写像 f:A→B が終集合のそれぞれの要素 b∈B に対して定める逆像 f⁻¹(b) が 1点集合である場合には、f⁻¹(b)とそこに含まれる 1 つの要素を同一視した上で、B のそれぞれの要素 b に対して X の要素 f⁻¹(b) を 1 つずつ定める写像 f⁻¹:B→A を作ることができます。この写像 f⁻¹ を f の逆写像と呼びます。
次のページ >

逆写像

復習になりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)が与えられたとき、終集合の要素\(b\in B\)の逆像とは、\begin{equation*}
f^{-1}\left( b\right) =\left\{ a\in A\ |\ b=f\left( a\right) \right\}
\end{equation*}と定義される\(A\)の部分集合です。一般には、終集合\(B\)の要素\(b\)を選んだとき、それに対して\(b=f\left( a\right) \)を満たす始集合\(A\)の要素\(a\)は存在するとは限らず(この場合の\(f^{-1}\left( b\right) \)は空集合)、存在する場合でも一意的であるとは限りません(この場合の\(f^{-1}\left( b\right) \)は複数の要素を持つ集合)。

一方、写像\(f:A\rightarrow B\)が与えられたとき、終集合の任意の要素\(b\in B\)に関する逆像\(f^{-1}\left( b\right) \subset A\)が1点集合である場合、集合\(f^{-1}\left( b\right) \)と、そこに含まれる1つの要素と同一視することにより、\(B\)のそれぞれの要素\(b\)に対して\(A\)の要素\(f^{-1}\left( b\right) \)を1つずつ定める写像が定義可能です。このように定義された写像を\(f\)の逆写像(inverse mapping)と呼び、これを\(f^{-1}:B\rightarrow A\)で表します。つまり、逆写像\(f^{-1}\)がぞれぞれの\(b\in B\)に対して定める像\(f^{-1}\left( b\right) \in A\)は、\(f\)による\(b\)の逆像\(f^{-1}\left( b\right) \subset A\)に含まれる唯一の要素と一致します。

繰り返しになりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)による要素\(b\in B\)の逆像\(f^{-1}\left( b\right) \)は\(A\)の「部分集合」である一方、写像\(f\)の逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)による要素\(b\in B\)の像\(f^{-1}\left( b\right) \)は\(A\)の「要素」です。両者を同一の記号によって表記していますが、厳密にはこれらは異なる概念です。ただ、逆写像\(f^{-1}\)について考える際には\(f\)による\(b\)の逆像\(f^{-1}\left( b\right) \)は1つの要素だけを持つ集合であることが前提になっており、その1つの要素は逆写像\(f^{-1}\)による\(b\)の像\(f^{-1}\left( b\right) \)と一致するため、両者を同一視するということです。

例(逆写像)
集合\(A=\left\{ 1,2,3\right\} \)と集合\(B=\left\{ a,b,c\right\} \)に対して、写像\(f:A\rightarrow B\)を以下の図で定義します。図では\(a\)には\(2\)から矢印が伸びていますが、これは\(f\)による\(a\)の逆像が\(\left\{ 2\right\} \)であること、すなわち\(f^{-1}\left( a\right) =\left\{ 2\right\} \)であることを意味します。他の 2 本の矢印より、\(f^{-1}\left( b\right) =\left\{ 3\right\} \)かつ\(f^{-1}\left( c\right) =\left\{ 1\right\} \)です。
図:逆写像
図:逆写像

写像\(f\)による終集合\(B\)の任意の要素の逆像が1点集合であることが確認できたため、逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が存在し、これは、\begin{eqnarray*}
f^{-1}\left( a\right) &=&2 \\
f^{-1}\left( b\right) &=&3 \\
f^{-1}\left( c\right) &=&1
\end{eqnarray*}を満たします。

例(逆写像)
写像\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x
\end{equation*}を像として定めるものとします。\(f\)によるそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)の逆像は、\begin{eqnarray*}
f^{-1}\left( y\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ y=f\left( x\right) \right\} \quad \because f^{-1}\left( y\right) \text{の定義} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ y=x\right\} \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\{y\}
\end{eqnarray*}ですが、これは1点集合であるため逆写像\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在し、\(f^{-1}\)はそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =y
\end{equation*}を像として定めます。
例(逆写像)
一夫一妻制を採用する社会において、既婚者である男性の集合を\(M\)、彼らの妻からなる集合を\(W\)で表します。写像\(f:M\rightarrow W\)はそれぞれの既婚男性\(m\in M\)に対して、\begin{equation*}
f\left( m\right) =m\text{の妻}
\end{equation*}を像として定めるものとします。\(f\)によるそれぞれ妻\(w\in W\)の逆像は、\begin{eqnarray*}
f^{-1}\left( w\right) &=&\left\{ m\in M\ |\ w=f\left( m\right) \right\}
\quad \because f^{-1}\left( w\right) \text{の定義} \\
&=&\left\{ m\in M\ |\ w=m\text{の妻}\right\} \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left\{ w\text{の夫}\right\} \quad \because \text{一夫一妻制社会}
\end{eqnarray*}ですが、これは1点集合であるため逆写像\(f^{-1}:W\rightarrow M\)が存在し、\(f^{-1}\)はそれぞれの\(w\in W\)に対して、\begin{equation*}
f^{-1}\left( w\right) =w\text{の夫}
\end{equation*}を像として定めます。

 

逆関数が存在しないケース

一般に、写像は逆写像を持つとは限りません。まず、写像\(f:A\rightarrow B\)によるある要素\(b\in B\)の逆像\(f^{-1}\left( b\right) \subset A\)が空集合である場合、逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)による\(b\in B\)の像\(f^{-1}\left( b\right) \)が存在しないため、\(f^{-1}\)を定義することができません。

例(逆写像)
集合\(A=\left\{ 1,2,3\right\} \)と集合\(B=\left\{ a,b,c\right\} \)に対して、写像\(f:A\rightarrow B\)を以下の図で定義します。図では\(c\)には矢印が伸びていませんが、これは\(f^{-1}\left( c\right) =\phi \)であることを意味します。逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が写像であるためには、\(B\)のそれぞれの要素に対して逆写像\(f^{-1}\)は\(A\)の要素を1つずつ定める必要があります。しかし、この例では\(c\)に対して逆写像\(f^{-1}\)が定めるべき\(A\)の要素が存在しないため、逆写像\(f^{-1}\)を定義できません。
図:逆写像
図:逆写像
例(逆写像)
写像\(f:\mathbb{Z}\rightarrow \mathbb{Z}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =2x
\end{equation*}を像として定めるものとします。\(f\)によるそれぞれの\(y\in \mathbb{Z}\)の逆像は、\begin{eqnarray*}
f^{-1}\left( y\right) &=&\left\{ x\in
\mathbb{Z}\ |\ y=f\left( x\right) \right\} \quad \because f^{-1}\left( y\right) \text{の定義} \\
&=&\left\{ x\in
\mathbb{Z}\ |\ y=2x\right\} \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left\{ \frac{y}{2}\right\}
\end{eqnarray*}ですが、\(y\)が奇数である場合には\(\frac{y}{2}\)は自然数でないため、\(f^{-1}\left( y\right) \)は空集合になります。したがって、逆写像\(f^{-1}:\mathbb{N} \rightarrow \mathbb{N}\)は存在しません。
例(逆写像)
上の例において\(f\)の終集合を\(\mathbb{Z}\)から偶数全体の集合\(E\)に縮小して\(f:\mathbb{Z}\rightarrow E\)とします。このとき、\(f\)によるそれぞれの\(y\in E\)の逆像は、先と同様に、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =\left\{ \frac{y}{2}\right\}
\end{equation*}となりますが、\(y\)は偶数であるため\(\frac{y}{2}\)は整数となります。したがって、\(f^{-1}\left( y\right) \)は1点集合であるため逆写像\(f^{-1}:E\rightarrow \mathbb{Z}\)が存在し、\(f^{-1}\)はそれぞれの\(y\in E\)に対して、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =\frac{y}{2}
\end{equation*}を像として定めます。

写像\(f:A\rightarrow B\)によるある要素\(b\in B\)の逆像\(f^{-1}\left( b\right) \subset A\)が複数の要素を持つ集合である場合、逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)による\(b\in B\)の像\(f^{-1}\left( b\right) \)が一意的に定まらないため、\(f^{-1}\)を定義することができません。

例(逆写像)
集合\(A=\left\{ 1,2,3\right\} \)と集合\(B=\left\{ a,b,c\right\} \)に対して、写像\(f:A\rightarrow B\)を以下の図で定義します。図では\(1\)と\(3\)から\(b\)へ矢印が伸びていますが、これは\(f^{-1}\left( b\right) =\left\{ 1,3\right\} \)であることを意味します。逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が写像であるためには、\(B\)のそれぞれの要素に対して逆写像\(f^{-1}\)は\(A\)の要素を1つずつ定める必要があります。しかし、この例では\(b\)に対して逆写像\(f^{-1}\)が定める\(A\)の要素を1つに限定できないため、逆写像\(f^{-1}\)を定義できません。
図:逆写像
図:逆写像
例(逆写像)
写像\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を像として定めるものとします。\(f\)によるそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)の逆像は、\begin{eqnarray*}
f^{-1}\left( y\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ y=x^{2}\right\} \\
&=&\left\{ \sqrt{y},-\sqrt{y}\right\}
\end{eqnarray*}となります。例えば、\begin{equation*}
f^{-1}\left( 1\right) =\{x\in \mathbb{R} \ |\ 1=x^{2}\}=\{1,-1\}
\end{equation*}となりますが、これは1点集合ではないため逆写像\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は存在しません。
例(逆写像)
上の例において\(f\)の定義域を\(\mathbb{R} \)から\(\mathbb{R} _{+}\)に縮小して\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)とします。ただし、\(\mathbb{R} _{+}\)は非負の実数からなる集合です。このとき、\(f\)によるそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)の逆像は、\begin{eqnarray*}
f^{-1}\left( y\right) &=&\{x\in \mathbb{R} _{+}\ |\ y=x^{2}\} \\
&=&\left\{ \sqrt{y}\right\} \quad \because x\geq 0
\end{eqnarray*}ですが、これは1点集合であるため逆写像\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が存在し、\(f^{-1}\)はそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =\sqrt{y}
\end{equation*}を像として定めます。

以上の議論が示唆するように、写像\(f:A\rightarrow B\)の逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が存在することを保証するためには、\(f\)による任意の\(b\in B\)に関する逆像\(f^{-1}\left( b\right) \subset A\)が1点集合である必要があります。

 

逆写像の求め方

写像\(f:A\rightarrow B\)に対して、その逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が存在するものとします。\(f\left( a\right) =b\)を満たす順序対\(\left( a,b\right) \in A\times B\)を任意に選ぶと、逆写像の定義より、この\(b\)に対して逆写像\(f^{-1}\)が定める像\(f^{-1}\left( b\right) \)は\(a\)に他なりません。つまり\(f^{-1}\left( b\right) =a\)が成り立ちます。逆に、\(f^{-1}\left( b\right) =a\)を満たす順序対\(\left( a,b\right) \in A\times B\)を任意に選ぶと、やはり逆写像の定義より\(f\left( a\right) =b\)が成り立ちます。以上を踏まえると、任意の順序対\(\left( a,b\right) \in A\times B\)に対して、\begin{equation*}
f\left( a\right) =b\Leftrightarrow f^{-1}\left( b\right) =a
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、写像\(f\)による\(a\)の像が\(b\)であることと、逆写像\(f^{-1}\)による\(b\)の像が\(a\)であることは必要十分です。

以上の事実を用いると、写像から逆写像を求めることができます。具体的には、写像の形状\(f\left( x\right) \)が具体的に与えられているとき、\(f\left( x\right) =y\)とおくと、上の関係より\(\left( x,y\right) \)は\(f^{-1}\left( y\right) =x\)を満たすことが保証されます。したがって、\(f\left( x\right) =y\)を\(x\)について解くことにより逆写像の具体的な形状\(f^{-1}\left( y\right) \)が明らかになります。

例(逆写像)
写像\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\frac{1}{2}x
\end{equation*}を像として定めるとき、その逆写像\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在します(確認してください)。そこで、\begin{equation*}
y=f\left( x\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
y=\frac{1}{2}x
\end{equation*}とおいた上で、これを\(x\)について解くと、\begin{equation*}
x=2y
\end{equation*}を得るため、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =2y
\end{equation*}となります。これが逆写像\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)による\(y\in \mathbb{R} \)の像\(f^{-1}\left( y\right) \in \mathbb{R} \)です。
例(逆写像)
先に扱った例ですが、一夫一妻制を採用する社会において、既婚者である男性の集合を\(M\)、彼らの妻からなる集合を\(W\)で表します。写像\(f:M\rightarrow W\)はそれぞれの既婚男性\(m\in M\)に対して、\begin{equation*}
f\left( m\right) =m\text{の妻}
\end{equation*}を像として定めるとき、その逆写像\(f^{-1}:W\rightarrow M\)が存在します。そこで、\begin{equation*}
w=f\left( m\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
w=m\text{の妻}
\end{equation*}とおいた上で、これを\(m\)について解くと、\begin{equation*}
m=w\text{の夫}
\end{equation*}を得るため、\begin{equation*}
f^{-1}\left( w\right) =w\text{の夫}
\end{equation*}となります。これが逆写像\(f^{-1}:W\rightarrow M\)による\(w\in W\)の像\(f^{-1}\left( w\right) \in M\)です。

 

逆写像の定義域と値域

復習になりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)の定義域\(D\left( f\right) \)は、\(f\)による\(B\)の逆像\(f^{-1}\left( B\right) \)として定義されます。したがって、\begin{equation*}
D\left( f\right) =\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \in B\right\}
\end{equation*}です。また、\(f\)の値域\(R\left( f\right) \)は、\(f\)による\(A\)の像\(f\left( A\right) \)として定義されます。したがって、\begin{equation*}
R\left( f\right) =\left\{ f\left( a\right) \in B\ |\ a\in A\right\}
\end{equation*}です。

写像\(f:A\rightarrow B\)の逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)もまた写像であることから、その定義域や値域を考えることができます。具体的には、逆写像\(f^{-1}\)の定義域\(D\left( f^{-1}\right) \)とは、\(f^{-1}\)による\(A\)の逆像\(\left( f^{-1}\right) ^{-1}\left( A\right) \)であるため、\begin{equation*}
D\left( f^{-1}\right) =\left\{ b\in B\ |\ f^{-1}\left( b\right) \in
A\right\}
\end{equation*}となります。また、\(f^{-1}\)の値域\(R\left( f^{-1}\right) \)は、\(f^{-1}\)による\(B\)の像\(f^{-1}\left( B\right) \)であるため、\begin{equation*}
R\left( f^{-1}\right) =\left\{ f^{-1}\left( b\right) \in A\ |\ b\in
B\right\}
\end{equation*}となります。

例(逆写像の定義域と値域)
写像\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\frac{1}{2}x
\end{equation*}を像として定めるものとします。\(f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}
D\left( f\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \right\} \quad \because D\left( f\right) \text{の定義} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \frac{1}{2}x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}であり、\(f\)の値域は、\begin{eqnarray*}
R\left( f\right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because R\left( f\right) \text{の定義} \\
&=&\left\{ \frac{1}{2}x\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}です。\(f\)の逆写像\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在し、それぞれの\(y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =2y
\end{equation*}を像として定めます。\(f^{-1}\)の定義域は、\begin{eqnarray*}
D\left( f^{-1}\right) &=&\left\{ y\in \mathbb{R} \ |\ f^{-1}\left( y\right) \in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\left\{ y\in \mathbb{R} \ |\ 2y\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}であり、\(f^{-1}\)の値域は、\begin{eqnarray*}
R\left( f^{-1}\right) &=&\left\{ f^{-1}\left( y\right) \in \mathbb{R} \ |\ y\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\left\{ 2y\in \mathbb{R} \ |\ y\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}です。

繰り返しになりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)の定義域は、\begin{equation*}
D\left( f\right) =\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \in B\right\}
\end{equation*}である一方、逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)の値域は、\begin{equation*}
R\left( f^{-1}\right) =\left\{ f^{-1}\left( b\right) \in A\ |\ b\in
B\right\}
\end{equation*}です。以上を踏まえると、要素\(a\in A\)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}
a\in D\left( f\right) &\Leftrightarrow &f\left( a\right) \in B\quad
\because D\left( f\right) \text{の定義} \\
&\Leftrightarrow &\exists b\in B:b=f\left( a\right) \\
&\Leftrightarrow &\exists b\in B:a=f^{-1}\left( b\right) \quad \because
f^{-1}\text{の定義} \\
&\Leftrightarrow &a\in R\left( f^{-1}\right) \quad \because R\left(
f^{-1}\right) \text{の定義}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
D\left( f\right) =R\left( f^{-1}\right)
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、写像の定義域と逆写像の値域は一致するということです。同様に、写像の値域と逆写像の定義域が一致すること、すなわち、\begin{equation*}
R\left( f\right) =D\left( f^{-1}\right)
\end{equation*}が成り立つことを示すことができます。

命題(写像と逆写像の関係)
写像\(f:A\rightarrow B\)に対してその逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が存在するとき、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ D\left( f\right) =R\left( f^{-1}\right) \\
&&\left( b\right) \ R\left( f\right) =D\left( f^{-1}\right)
\end{eqnarray*}がともに成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

 

逆写像の逆写像

繰り返しになりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)の逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が存在する場合には、任意の順序対\(\left( a,b\right) \in A\times B\)について、\begin{equation}
f\left( a\right) =b\Leftrightarrow f^{-1}\left( b\right) =a \tag{1}
\end{equation}という関係が成り立ちます。すると、逆写像\(f^{-1}\)による終集合の要素\(a\in A\)の逆像は、\begin{eqnarray*}
\left( f^{-1}\right) ^{-1}\left( a\right) &=&\left\{ b\in B\ |\
f^{-1}\left( a\right) =b\right\} \\
&=&\left\{ b\in B\ |\ f\left( a\right) =b\right\} \quad \because \left(
1\right) \\
&=&\left\{ f\left( a\right) \right\}
\end{eqnarray*}となり、これは1つの要素だけを持つ\(B\)の部分集合であるため、\(f^{-1}\)の逆写像\(\left( f^{-1}\right) ^{-1}:A\rightarrow B\)が存在し、これはそれぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
\left( f^{-1}\right) ^{-1}\left( a\right) =f\left( a\right)
\end{equation*}を像として定めます。つまり、\(\left( f^{-1}\right) ^{-1}=f\)が成り立ちます。

命題(逆写像の逆写像)
写像\(f:A\rightarrow B\)の逆写像\(f^{-1}:B\rightarrow A\)が存在する場合には、さらにその逆写像\(\left( f^{-1}\right) ^{-1}:A\rightarrow B\)が存在して、\begin{equation*}
\left( f^{-1}\right) ^{-1}=f
\end{equation*}が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

次回は合成写像について学びます。
次へ進む 質問・コメントを投稿する 演習問題(プレミアム会員限定)

Share on facebook
Share on twitter
Share on email
次のページ >

プレミアム会員になると、質問やコメントの投稿と閲覧、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題とその解答)へのアクセスなどが可能になります。プレミアム会員の方は以下からログインしてください。

会員登録 | パスワードを忘れましたか?

有料のプレミアム会員になると、質問やコメントの投稿と閲覧、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題とその解答)へのアクセスなどが可能になります。

ワイズのユーザーは年齢・性別・学歴・社会的立場などとは関係なく「学ぶ人」として対等であり、お互いを人格として尊重することが求められます。ユーザーが快適かつ安心して「学ぶ」ことに集中できる環境を整備するため、広告やスパム投稿、他のユーザーを貶めたり威圧する発言、学んでいる内容とは関係のない不毛な議論などはブロックすることになっています。詳細はガイドラインをご覧ください。

本サイトは MathJax を実装しているため、コメント文中で LaTex コマンドを利用することで美しい数式を入力できます。その際、インライン数式は\(数式\)で、ディスプレイ数式は$$数式$$という形式でそれぞれ入力してください。 例えば、\(ax^{2}+bx+c=0\)と入力すると\(ax^{2}+bx+c=0\)と表示され、$$ax^{2}+bx+c=0$$と入力すると$$ax^{2}+bx+c=0$$と表示されます。MathJax(LaTex)の文法については次のサイト( https://easy-copy-mathjax.xxxx7.com )などを参照してください。 紙に手書きした数式や図をカメラやスマホで撮影した上で、コメント欄に張り付けることもできます。その場合、コメント入力欄にある「ファイルを選択」ボタンをクリックした上で画像をアップロードしてください。アップロード可能な画像フォーマットは jpg, gif, png の 3 種類、ファイルサイズの上限は 5 MB です。PDF ファイルの添付も可能です。

誤字脱字、リンク切れ、内容の誤りを発見した場合にはコメントに投稿するのではなく、以下のフォームからご連絡をお願い致します。

プレミアム会員だけが質問やコメントを投稿・閲覧できます。

アカウント
ログイン