教材一覧
SET

集合の相等

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

集合の相等

集合\(A\)に含まれる要素と集合\(B\)に含まれる要素が完全に一致するとき、\(A\)と\(B\)は等しいといい、そのことを\(A=B\)で表記します。逆に、集合\(A,B\)が等しくないとき、そのことを\(A\not=B\)で表記します。

例(等しい集合)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}A &=&\{x\in \mathbb{N} \ |\ x^{2}<25\} \\
B &=&\{x\in \mathbb{N} \ |\ x\leq 4\}
\end{eqnarray*}と定義されています。ただし、\(\mathbb{N} \)はすべての自然数からなる集合です。このとき、\begin{equation*}A=B=\{1,2,3,4\}
\end{equation*}が成り立ちます。
例(等しくない集合)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}A &=&\{x\in \mathbb{N} \ |\ 5x\leq 15\} \\
B &=&\{x\in \mathbb{N} \ |\ x^{2}<25\}
\end{eqnarray*}と定義されています。ただし、\(\mathbb{N} \)はすべての自然数からなる集合です。\(A,B\)を外延的に表現すると、\begin{eqnarray*}A &=&\{1,2,3\} \\
B &=&\{1,2,3,4\}
\end{eqnarray*}となります。\(4\)は\(B\)の要素である一方で\(A\)の要素ではないため\(A\not=B\)が成り立ちます。

 

包含関係を用いた集合の相等の定義

集合\(A,B\)について\(A\not=B\)が成り立つことは「集合\(A\)に含まれる要素と集合\(B\)に含まれる要素が完全に一致する」という命題が偽であることを意味しますが、このような事態が起こり得る状況としては以下の3通りの可能性があります。

  1. \(A\)の要素だが\(B\)の要素でないものが存在する。すなわち、\(\exists x\in A:x\not\in B\)が成り立つ。
  2. \(B\)の要素だが\(A\)の要素でないものが存在する。すなわち、\(\exists x\in B:x\not\in A\)が成り立つ。
  3. 上の2つの条件がともに成り立つ。

したがって、\(A\not=B\)が成り立つことは、\begin{equation}\left( \exists x\in A:x\not\in B\right) \vee \left( \exists x\in B:x\not\in
A\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}という命題が真であることを意味しますが、包含関係\(\subset \)の定義より、これは、\begin{equation*}A\not\subset B\vee B\not\subset A
\end{equation*}と言い換え可能です。つまり、\(A\)と\(B\)が等しくないことは、\(A\)が\(B\)の部分集合でないか、\(B\)が\(A\)の部分集合ではないか、その少なくとも一方であることを意味します。

逆に、\(A=B\)が成り立つことは、\(\left( 1\right) \)の否定である、\begin{equation*}\left( \forall x\in A:x\in B\right) \wedge \left( \forall x\in B:x\in
A\right)
\end{equation*}という命題が真であることを意味しますが、包含関係\(\subset \)の定義より、これは、\begin{equation*}A\subset B\wedge B\subset A
\end{equation*}と言い換え可能です。つまり、\(A\)と\(B\)が等しいことは、\(A\)が\(B\)の部分集合であるとともに\(B\)が\(A\)の部分集合であることを意味します。

 

集合が等しいことの証明戦略

集合\(A,B\)が等しいことを示す際の典型的な証明戦略は、\(A\)に含まれるすべての要素と\(B\)に含まれるすべての要素をそれぞれ特定した上で、それらが一致することを示すというものです。ただ、問題としている集合が無限個の要素を持つ場合にはそれらをすべて列挙することはできないため、すべての要素が一致することを示すのは困難です。一方、先述のように、任意の集合\(A,B\)について、\begin{equation*}A=B\Leftrightarrow \left( A\subset B\wedge B\subset A\right)
\end{equation*}という関係が成り立つことを踏まえると、\(A\subset B\)と\(B\subset A\)がともに成り立つことを示せば\(A=B\)が成り立つことを示したことになります。つまり、以下の2つの命題\begin{eqnarray*}&\forall a\in &A:a\in B \\
&\forall b\in &B:b\in A
\end{eqnarray*}が成り立つことを示せば、それは\(A=B\)を示したことになるということです。

例(集合が等しいことの証明)
集合\(A\)を、\begin{equation*}A=\left\{ 3a+2b\ |\ a,b\in \mathbb{Z} \right\}
\end{equation*}と定義します。ただし、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合です。このとき、\(A=\mathbb{Z} \)が成り立つことを示します。\(A\)の要素\(3a+2b\in A\)を任意に選びます。ただし、\(a,b\in \mathbb{Z} \)です。このとき、\(3a+3b\)は整数どうしの積の和であるため、これもまた整数です。つまり\(3a+2b\in \mathbb{Z} \)であるため\(A\subset \mathbb{Z} \)が成り立つことが示されました。逆に、整数\(z\in \mathbb{Z} \)を任意に選ぶと、これは\(z=3z+2\left( -z\right) \)と変形できますが、\(z,-z\in \mathbb{Z} \)であるため、\(A\)の定義より\(z\in A\)が成り立ちます。したがって\(\mathbb{Z} \subset A\)が成り立つことが示されました。\(A\subset \mathbb{Z} \)と\(\mathbb{Z} \subset A\)がともに成り立つことが示されましたが、これは\(A=\mathbb{Z} \)であることを意味します。

 

真部分集合

集合\(A,B\)について、\(A\)は\(B\)の部分集合であるが\(A\)と\(B\)は等しくないとき、すなわち、\begin{equation*}A\subset B\wedge A\not=B
\end{equation*}が成り立つとき、\(A\)は\(B\)の真部分集合(propersubset)であるといい、このことを\(A\varsubsetneq B\)で表記します。

集合\(A\)が集合\(B\)の真部分集合でないことは、上の命題の否定に相当する以下の命題\begin{equation*}A\not\subset B\vee A=B
\end{equation*}が成り立つことを意味します。つまり、\(A\)が\(B\)の部分集合ではないか、\(A\)と\(B\)が等しいかの少なくとも一方が成り立つとき、\(A\)は\(B\)の真部分集合ではありません。

例(真部分集合)
集合\(\left\{ 1,3,5\right\} \)と集合\(\left\{1,3\right\} \)の間には、\begin{equation*}\left\{ 1,3\right\} \varsubsetneq \left\{ 1,3,5\right\}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。また、\begin{eqnarray*}
\left\{ 1,3\right\} &\subset &\left\{ 1,3\right\} \\
\left\{ 1,3,5\right\} &\subset &\left\{ 1,3,5\right\}
\end{eqnarray*}がともに成り立つ一方で、\begin{eqnarray*}
\left\{ 1,3\right\} &\varsubsetneq &\left\{ 1,3\right\} \\
\left\{ 1,3,5\right\} &\varsubsetneq &\left\{ 1,3,5\right\}
\end{eqnarray*}はともに成り立ちません。

 

演習問題

問題(集合の相等)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ A=B\Rightarrow A\subset B \\
&&\left( b\right) \ A\subset B\Rightarrow A=B
\end{eqnarray*}はそれぞれ成り立つでしょうか。理由とともに答えてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(集合の相等)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ A=B\Rightarrow A\varsubsetneq B \\
&&\left( b\right) \ A\varsubsetneq B\Rightarrow A=B
\end{eqnarray*}はそれぞれ成り立つでしょうか。理由とともに答えてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(集合の相等)
集合\(A,B\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*}A &=&\left\{ 1,2,3,4\right\} \\
B &=&\left\{ n\in \mathbb{N} \ |\ n^{2}<17\right\}
\end{eqnarray*}と定義するとき、\(A=B\)が成り立つことを証明してください。ただし、\(\mathbb{N} \)はすべての自然数からなる集合です。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(集合の相等)
集合\(A,B\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*}A &=&\left\{ 4x+1\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{Z} \right\} \\
B &=&\left\{ 4x-3\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{Z} \right\}
\end{eqnarray*}と定義するとき、\(A=B\)が成り立つことを証明してください。ただし、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合です。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(包含関係は順序関係)
任意の集合\(A,B,C\)について、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ A\subset A \\
&&\left( b\right) \ (A\subset B\wedge B\subset C)\Rightarrow A\subset C \\
&&\left( c\right) \ (A\subset B\wedge B\subset A)\Rightarrow A=B
\end{eqnarray*}が成り立つことを証明してください。\(\left(a\right) \)は反射律(reflexive law)であり、\(\left( b\right) \)は推移律(transitive law)であり、\(\left( c\right) \)は反対称律(antisymmetric law)です。つまり、包含関係\(\subset \)は順序関係(ordering relation)です。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(包含関係の性質)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{equation*}A\subset B\vee B\subset A
\end{equation*}と言う関係は成り立つでしょうか。理由とともに答えてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

次回は全体集合について学びます。

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

部分事象

部分集合

集合 A,B について、A のすべての要素が同時に B の要素でもある場合には A は B の部分集合であると言います。

二項関係

二項関係

始集合と終集合が一致する関係を二項関係と呼びます。二項関係は与えられた集合の直積の部分集合として定義されます。

等しい事象

等しい事象

事象 A に属する標本点が事象 B に属する標本点が完全に一致するとき、A と B は等しいと言います。これは、A が B の部分事象であるとともに、B が A の部分事象であることを意味します。

集合の相等

集合の変形

集合どうしが等しいことを示す = を二項関係とみなしたとき、これは同値関係です。つまり、集合の相等関係は反射律、対称律、推移律を満たします。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録