集合 A,B について、A に属する要素と B に属する要素が一致するとき、A と B は等しいといい、そのことを A=B で表します。
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集合の相等

復習になりますが、集合\(A,B\)がまったく同じ要素を持つとき、\(A\)と\(B\)は等しいといい、そのことを\(A=B\)と表記します。逆に、集合\(A,B\)が等しくないとき、そのことを\(A\not=B\)と表記します。

例(等しい集合)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}
A &=&\{x\in
\mathbb{N}\ |\ x^{2}<25\} \\
B &=&\{x\in
\mathbb{N}\ |\ x\leq 4\}
\end{eqnarray*}と定義されています。ただし、\(\mathbb{N}\)はすべての自然数からなる集合です。このとき、\begin{equation*}
A=B=\{1,2,3,4\}
\end{equation*}が成り立ちます。
例(等しくない集合)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}
A &=&\{x\in
\mathbb{N}\ |\ 5x\leq 15\} \\
B &=&\{x\in
\mathbb{N}\ |\ x^{2}<25\}
\end{eqnarray*}と定義されています。ただし、\(\mathbb{N}\)はすべての自然数からなる集合です。\(A,B\)を外延的に表現すると、\begin{eqnarray*}
A &=&\{1,2,3\} \\
B &=&\{1,2,3,4\}
\end{eqnarray*}となります。\(A\)と\(B\)は等しくないため、\(A\not=B\)が成り立ちます。

 

包含関係を用いた集合の相等の定義

集合\(A,B\)について\(A\not=B\)が成り立つことは、「集合\(A,B\)がまったく同じ要素を持つ」という命題が偽であることを意味しますが、このような事態が起こり得る場合としては以下の 3 通りが存在します。

  1. \(A\)の要素だが\(B\)の要素でないものが存在する場合、すなわち、\(\exists x\in A:x\not\in B\)が成り立つ場合
  2. \(B\)の要素だが\(A\)の要素でないものが存在する場合、すなわち、\(\exists x\in B:x\not\in A\)が成り立つ場合
  3. 上の 2 つの場合がともに成り立つ場合

したがって、\(A\not=B\)が成り立つことは、\begin{equation}
\left( \exists x\in A:x\not\in B\right) \vee \left( \exists x\in B:x\not\in
A\right) \tag{1}
\end{equation}という命題が真であることを意味しますが、包含関係\(\subset \)の定義より、これは、\begin{equation*}
A\not\subset B\ \vee \ B\not\subset A
\end{equation*}と言い換え可能です。つまり、\(A\)と\(B\)が等しくないことを、\(A\)が\(B\)の部分集合でないか、\(B\)が\(A\)の部分集合ではないか、その少なくとも一方が成り立つこととして定義することもできます。

逆に、\(A=B\)が成り立つことは、\(\left( 1\right) \)の否定である、\begin{equation*}
\left( \forall x\in A:x\in B\right) \wedge \left( \forall x\in B:x\in
A\right)
\end{equation*}という命題が真であることを意味しますが、包含関係\(\subset \)の定義より、これは、\begin{equation*}
A\subset B\ \wedge \ B\subset A
\end{equation*}と言い換え可能です。つまり、\(A\)と\(B\)が等しいことを、\(A\)が\(B\)の部分集合であるとともに、\(B\)が\(A\)の部分集合であることとして定義することもできます。

 

集合が等しいことの証明戦略

集合\(A,B\)が等しいことを示す上での典型的な証明戦略は、\(A,B\)の要素をそれぞれ特定した上で、それらがまったく同じであることを示すというものです。ただ、それ以外の証明戦略も存在します。具体的には、先述のように、任意の集合\(A,B\)について、\begin{equation*}
A=B\ \Leftrightarrow \ \left( A\subset B\ \wedge \ B\subset A\right)
\end{equation*}という関係が成り立つため、\(A\subset B\)と\(B\subset A\)がともに真であることを示すことができれば、それは\(A=B\)が真であることを示したことになります。

例(集合が等しいことの証明)
集合\(A\)を、\begin{equation*}
A=\left\{ 3a+2b\ |\ a,b\in \mathbb{Z} \right\}
\end{equation*}と定義します。ただし、\(\mathbb{Z}\)はすべての整数からなる集合です。このとき、\(A=\mathbb{Z}\)が成り立つことを示します。\(A\)の要素\(3a+2b\in A\)を任意に選びます。ただし、\(a,b\in \mathbb{Z} \)です。このとき、\(3a+3b\)は整数どうしの積の和であるため、これもまた整数です。つまり、\(3a+2b\in \mathbb{Z} \)であるため、\(A\subset \mathbb{Z} \)が成り立つことが示されました。逆に、整数\(z\in \mathbb{Z} \)を任意に選ぶと、これは\(z=3z+2\left( -z\right) \)と表すことができますが、\(z,-z\in \mathbb{Z} \)であるため、\(A\)の定義より\(z\in A\)が成り立ちます。したがって、\(\mathbb{Z}\subset A\)が成り立つことが示されました。\(A\subset \mathbb{Z} \)と\(\mathbb{Z}\subset A\)がともに成り立つことが示されましたが、これは\(A=\mathbb{Z}\)であることを意味します。

 

真部分集合

集合\(X,Y\)について、\(X\)は\(Y\)の部分集合であるが\(X\)と\(Y\)は等しくないとき、すなわち、\begin{equation*}
X\subset Y\ \wedge \ X\not=Y
\end{equation*}が成り立つとき、\(X\)は\(Y \)の真部分集合(proper subset)であるといい、このことを\(X\varsubsetneq Y\)で表します。

集合\(X\)が集合\(Y\)の真部分集合でないことは、上の命題の否定に相当する以下の命題\begin{equation*}
X\not\subset Y\ \vee \ X=Y
\end{equation*}が成り立つことを意味します。つまり、\(X\)が\(Y\)の部分集合ではないか、\(X\)と\(Y\)が等しいかの少なくとも一方が成り立つとき、\(X\)は\(Y\)の真部分集合ではありません。

次回は全体集合について学びます。

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