集合族の要素がいずれも集合 A の部分集合であるとき、その集合族を A の部分集合族と呼びます。特に、集合 A のすべての部分集合を要素として持つ A の部分集合族を A のベキ集合と呼びます。
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部分集合族

集合族の要素である集合がいずれもある集合\(A\)の部分集合であるとき、その集合族を\(A\)の部分集合族(family of subsets)と呼びます。

集合族\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)が集合\(A\)の部分集合族であることは、任意の添字\(\lambda \in \Lambda \)に関する集合\(A_{\lambda }\)が\(A\)の部分集合であること、すなわち、\begin{equation*}
\forall \lambda \in \Lambda :A_{\lambda }\subset A
\end{equation*}が成り立つこととして定式化できます。

例(部分集合族)
集合\(A=\left\{ 1,2,3\right\} \)に対して、\begin{eqnarray*}
&&\left\{ \left\{ 1\right\} ,\left\{ 2\right\} ,\left\{ 3\right\} \right\}
\\
&&\left\{ \left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 1,3\right\} ,\left\{ 2,3\right\}
\right\} \\
&&\left\{ \phi ,\left\{ 1\right\} ,\left\{ 2\right\} ,\left\{ 3\right\}
,\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 1,3\right\} ,\left\{ 2,3\right\} ,\left\{
1,2,3\right\} \right\}
\end{eqnarray*}などはいずれも\(A\)の部分集合族です。
例(部分集合族)
集合\(A\)を任意に選んだとき、\(\phi \)と\(A\)自身はいずれも\(A\)の部分集合です。したがって、\begin{equation*}
\left\{ \phi ,A\right\}
\end{equation*}は\(A\)の部分集合の1つです。
例(部分集合族)
ある高校の全校生徒からなる集合を\(A\)で表します。1年生からなる集合を\(A_{1}\)で、2年生からなる集合を\(A_{2}\)で、3年生からなる集合を\(A_{3}\)で表します。これらはいずれも\(A\)の部分集合です。このとき、\(\left\{ A_{1}\right\} \)や\(\left\{ A_{1},A_{3}\right\}\)や\(\left\{ A_{1},A_{2},A_{3}\right\} \)などはいずれも\(A\)の部分集合族です。
例(部分集合族)
自然数\(n\)を任意に選んだ上で、\begin{equation*}
\left\{ \left\{ 1\right\} ,\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 1,2,3\right\}
,\cdots ,\left\{ 1,\cdots ,n\right\} \right\}
\end{equation*}と定義される集合族について考えます。それぞれの自然数\(i\in \left\{ 1,2,\cdots ,n\right\} \)に対して、\begin{equation*}
A_{i}=\left\{ 1,2,\cdots ,i\right\}
\end{equation*}という集合を定義するのであれば、先の集合族を、\begin{equation*}
\left\{ A_{1},A_{2},A_{3},\cdots ,A_{n}\right\}
\end{equation*}と表すことができます。すべての自然数からなる集合を\(\mathbb{N}\)で表すとき、任意の自然数\(i\)について\(A_{i}\subset \mathbb{N}\)が成り立つため、この集合族は\(\mathbb{N}\)の部分集合族です。

 

ベキ集合

集合\(A\)のすべての部分集合を要素として持つような\(A\)の部分集合族を\(A\)のベキ集合(power set)と呼び、これを\(2^{A}\)で表します。定義より、\begin{equation*}
2^{A}=\left\{ B\ |\ B\subset A\right\}
\end{equation*}と定式化されます。

例(ベキ集合)
集合\(A=\left\{ 1,2,3\right\} \)のベキ集合は、\begin{equation*}
2^{A}=\left\{ \phi ,\left\{ 1\right\} ,\left\{ 2\right\} ,\left\{ 3\right\}
,\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 1,3\right\} ,\left\{ 2,3\right\} ,\left\{
1,2,3\right\} \right\}
\end{equation*}です。空集合\(\phi \)や集合\(A\)自身は\(A\)の部分集合であるため、\(A\)のベキ集合は\(\phi \)や\(A\)を必ず要素として持ちます。
例(ベキ集合)
集合\(A=\left\{ a\right\} \)のベキ集合は、\begin{equation*}
2^{A}=\left\{ \phi ,\left\{ a\right\} \right\}
\end{equation*}です。
例(ベキ集合)
空集合\(\phi \)は集合であるため、そのベキ集合\(2^{\phi }\)を考えることができます。まず、\(\phi \)は\(\phi \)自身の部分集合であるため、\(\phi \in 2^{\phi }\)が成り立ちます。また、\(\phi \)は\(\phi \)以外の集合を部分集合として持ちません。したがって、\begin{equation*}
2^{\phi }=\left\{ \phi \right\}
\end{equation*}となります。
例(ベキ集合)
集合\(A,B\)を任意に選んだとき、\(A\)が\(B\)の部分集合であることは、\(A\)が\(B\)のベキ集合の要素であることと言い換え可能です。したがって、\begin{equation*}
A\subset B\Leftrightarrow A\in 2^{B}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。集合族\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)が集合\(A\)の部分集合族であることは、\begin{equation*}
\forall \lambda \in \Lambda :A_{\lambda }\subset A
\end{equation*}が成り立つことを意味しますが、ベキ集合を用いてこれを表現すると、\begin{equation*}
\forall \lambda \in \Lambda :A_{\lambda }\in 2^{A}
\end{equation*}となります。

集合\(A\)が有限\(n\)個の要素を持つ場合、そのベキ集合\(2^{A}\)の要素である集合の個数は\(2^{n}\)です。これがベキ集合という名称の根拠であり、集合\(A\)のベキ集合を\(2^{A}\)と表記する根拠です。

命題(ベキ集合の要素の個数)
集合\(A\)が有限\(n\)個の要素を持つとき、そのベキ集合\(2^{A}\)は\(2^{n}\)個の集合を要素として持つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

この命題は\(n\)に関する数学的帰納法により示すことができます(演習問題にします)。

次回は集合族の共通部分について学びます。

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