WIIS

集合

二重補集合の法則

目次

Mailで保存
Xで共有

二重補集合の法則

集合\(A\)を任意に選んだとき、その補集合\(A^{c}\)は集合であるため、さらにその補集合\begin{equation*}\left( A^{c}\right) ^{c}
\end{equation*}をとることができます。これを\(A\)の二重補集合(double complement)と呼びます。

集合の二重補集合はもとの集合と一致します。つまり、\begin{equation*}
\left( A^{c}\right) ^{c}=A
\end{equation*}が成り立ちます。これを二重補集合の法則(law of double complements)と呼びます。

命題(二重補集合の法則)
任意の集合\(A\)に対して、\begin{equation*}(A^{c})^{c}=A
\end{equation*}が成り立つ。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(二重補集合の法則)
全体集合\(U\)および集合\(A\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}U &=&\left\{ 1,2,3,4,5,6\right\} \\
A &=&\left\{ 1,3,5\right\}
\end{eqnarray*}として与えられているとき、補集合は、\begin{eqnarray*}
A^{c} &=&U\backslash A \\
&=&\left\{ 1,2,3,4,5,6\right\} \backslash \left\{ 1,3,5\right\} \\
&=&\left\{ 2,4,6\right\}
\end{eqnarray*}であり、二重補集合は、\begin{eqnarray*}
\left( A^{c}\right) ^{c} &=&U\backslash A^{c} \\
&=&\left\{ 1,2,3,4,5,6\right\} \backslash \left\{ 2,4,6\right\} \\
&=&\left\{ 1,3,5\right\}
\end{eqnarray*}であるため、\begin{equation*}
\left( A^{c}\right) ^{c}=A
\end{equation*}が成り立ちます。以上の結果は二重補集合の法則と整合的です。

例(二重補集合の法則)
全体集合\(U\)および集合\(A\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}U &=&\left[ 0,1\right] \\
A &=&\left[ 0,\frac{1}{2}\right] \end{eqnarray*}として与えられているとき、補集合は、\begin{eqnarray*}
A^{c} &=&U\backslash A \\
&=&\left[ 0,1\right] \backslash \left[ 0,\frac{1}{2}\right] \\
&=&\left( \frac{1}{2},1\right] \end{eqnarray*}であり、二重補集合は、\begin{eqnarray*}
\left( A^{c}\right) ^{c} &=&U\backslash A^{c} \\
&=&\left[ 0,1\right] \backslash \left( \frac{1}{2},1\right] \\
&=&\left[ 0,\frac{1}{2}\right] \end{eqnarray*}であるため、\begin{equation*}
\left( A^{c}\right) ^{c}=A
\end{equation*}が成り立ちます。以上の結果は二重補集合の法則と整合的です。

例(二重補集合の法則)
集合\(A\)が、\begin{equation*}A=\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は偶数}\right\}
\end{equation*}として与えられるとき、その補集合は、\begin{eqnarray*}
A^{c} &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は偶数ではない}\right\} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は奇数}\right\}
\end{eqnarray*}であり、二重補集合は、\begin{eqnarray*}
\left( A^{c}\right) ^{c} &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は奇数ではない}\right\} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は偶数}\right\}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( A^{c}\right) ^{c}=A
\end{equation*}が成り立ちます。以上の結果は二重補集合の法則と整合的です。

 

二重補集合の法則の一般化

集合\(A\)の二重補集合\(\left(A^{c}\right) ^{c}\)は集合であるため、さらにその補集合\(\left( \left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}\)や、さらにその補集合\(\left( \left(\left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}\)なども集合です。先の命題を繰り返し適用すれば、それらはいずれも\(A\)もしくは\(A^{c}\)と等しくなります。三重補集合\(\left( \left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}\)に関しては、\begin{equation*}\left( \left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}=A^{c}
\end{equation*}が成り立ち、四重補集合\(\left( \left( \left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}\right)^{c}\)に関しては、\begin{equation*}\left( \left( \left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}=A
\end{equation*}が成り立ちます。以降についても同様です。

命題(二重補集合の法則の一般化)
集合\(A\)と番号\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだ上で、\(A\)の\(n\)重補集合を、\begin{equation*}A^{c^{n}}
\end{equation*}で表記する。このとき、以下の関係\begin{equation*}
A^{c^{n}}=\left\{
\begin{array}{cl}
A^{c} & \left( if\ n\text{が奇数}\right) \\
A & \left( if\ n\text{が偶数}\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}が成り立つ。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(二重補集合の法則の一般化)
集合\(A\)が、\begin{equation*}A=\left\{ x\in U\ |\ P\left( x\right) \right\}
\end{equation*}と内包的に定義されているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
A^{c} &=&\left\{ x\in U\ |\ \lnot P\left( x\right) \right\} \\
\left( A^{c}\right) ^{c} &=&\left\{ x\in U\ |\ \lnot \lnot P\left( x\right)
\right\} =\left\{ x\in U\ |\ P\left( x\right) \right\} =A \\
\left( \left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c} &=&\left\{ x\in U\ |\ \lnot
\lnot \lnot P\left( x\right) \right\} =\left\{ x\in U\ |\ \lnot P\left(
x\right) \right\} =A^{c} \\
\left( \left( \left( A^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}\right) ^{c} &=&\left\{
x\in U\ |\ \lnot \lnot \lnot \lnot P\left( x\right) \right\} =\left\{ x\in
U\ |\ P\left( x\right) \right\} =A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

 

演習問題

問題(二重補集合の法則)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{equation*}\left( A^{c}\cup B^{c}\right) ^{c}=A\cap B
\end{equation*}が成り立つことを証明してください。

解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(二重補集合の法則)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{equation*}\left( \left( \left( A^{c}\cup B\right) ^{c}\right) ^{c}\right) ^{c}=A\cap
B^{c}
\end{equation*}が成り立つことを証明してください。

解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

Mailで保存
Xで共有

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです

会員登録

有料のプレミアム会員であれば、質問やコメントの投稿と閲覧、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題とその解答)へのアクセスなどが可能になります。

ワイズのユーザーは年齢・性別・学歴・社会的立場などとは関係なく「学ぶ人」として対等であり、お互いを人格として尊重することが求められます。ユーザーが快適かつ安心して「学ぶ」ことに集中できる環境を整備するため、広告やスパム投稿、他のユーザーを貶めたり威圧する発言、学んでいる内容とは関係のない不毛な議論などはブロックすることになっています。詳細はガイドラインをご覧ください。

誤字脱字、リンク切れ、内容の誤りを発見した場合にはコメントに投稿するのではなく、以下のフォームからご連絡をお願い致します。

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録