包含関係は順序関係

包含関係\(\subset \)は以下の性質を満たします。

命題(包含関係は順序関係)
任意の集合\(X,Y,Z\)について以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ X\subset X \\
&&\left( b\right) \ (X\subset Y\ \wedge \ Y\subset Z)\ \Rightarrow \ X\subset Z \\
&&\left( c\right) \ (X\subset Y\ \wedge \ Y\subset X)\ \Rightarrow \ X=Y
\end{eqnarray*}
証明を見る(プレミアム会員限定)

性質\(\left( a\right) \)は、任意の集合は自身の部分集合であることを意味します。包含関係が満たすこのような性質を反射律(reflexive law)と呼びます。性質\(\left( b\right) \)は、\(X\)が\(Y\)の部分集合であり、\(Y\)が\(Z\)の部分集合であるならば、\(X\)は\(Z\)の部分集合であることを意味します。包含関係が満たすこのような性質を推移律(transitive law)と呼びます。性質\(\left( c\right) \)は、\(X\)が\(Y\)の部分集合であり、\(Y\)が\(X\)の部分集合であるならば、\(X\)と\(Y\)は等しい集合であることを意味します。包含関係が満たすこのような性質を反対称律(antisymmetric law)と呼びます。

包含関係がこれらの性質を満たすことは、包含関係が順序関係(ordering relation)と呼ばれる二項関係(binary relation)であることを意味します。二項関係や順序関係については追って説明します。

二項関係について学ぶ 順序関係について学ぶ

 

包含関係は全順序関係ではない

包含関係は反射律、推移律、そして反対称律を満たしますが、それに加えて、任意の集合\(X,Y\)について、\begin{equation*}
X\subset Y\ \vee \ Y\subset X
\end{equation*}が真であるという完備律(complete law)を満たすならば、包含関係は全順序関係(total order)と呼ばれる二項関係になります。

しかし、包含関係は完備律を満たしません。実際、2 つの集合\(\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 3,4\right\} \)に対して \(\left\{ 1,2\right\} \subset \left\{ 3,4\right\} \)と\(\left\{ 3,4\right\} \subset \left\{ 1,2\right\} \)はともに偽であるため、\(\subset \)は完備律を満たしません。ゆえに包含関係は全順序関係ではありません。

全順序関係について学ぶ

 

包含関係は同値関係ではない

包含関係が反射律と推移律を満たしますが、それに加えて、任意の集合\(X,Y\)について、\begin{equation*}
X\subset Y\ \Rightarrow \ Y\subset X
\end{equation*}が成り立つという対称律(symmetric law)を満たすならば、包含関係は同値関係(equivalence relation)と呼ばれる二項関係になります。

しかし、包含関係は対称律を満たしません。実際、2 つの集合\(\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 1,2,3\right\} \)に対して、\(\left\{ 1,2\right\} \subset \left\{ 1,2,3\right\} \)は真ですが\(\left\{ 1,2,3\right\} \subset \left\{ 1,2\right\} \)は偽であるため、\(\subset \)は対称律を満たしません。ゆえに包含関係は同値関係ではありません。

同値関係について学ぶ

 

包含関係のもとでの上限と下限

空集合は任意の集合の部分集合であり、任意の集合は全体集合の部分集合です。

命題(上限と下限)
全体集合\(U\)、空集合\(\phi \)、そして任意の集合\(X\)の間には、\begin{equation*}
\phi \subset X\subset U
\end{equation*}という関係が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

次回は包含関係の同値表現について学びます。

次へ進む 演習問題(プレミアム会員限定)