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大学以降で使う教科書は主に大学の教員によって書かれたもの。彼らの多くは研究のプロフェッショナルであり、教育のプロフェッショナルではありません。海外の教科書と比べると一目瞭然ですが、日本では分かりやすい教科書を書くことよりも、エレガントに書くことに重きを置く価値観が蔓延しています。また、専門書は専門家の間で知識を共有するために書かれており、専門家たちが共有している前提知識について解説を加えられないことがほとんど。学生や独習者が専門書を読みこなせるようになるまでには時間がかかります。このような事情もあり、新たな知識を学ぶために教科書や専門書を読み始めても挫折してしまうことも。
独学する上で問題になるのは、分からないことや疑問が生じたときに聞ける相手がいないこと。分からないことはとりあえず後回しにするという手もありますが、その場で解決できるならそのほうがよいに決まっています。インターネット上の掲示板や質問箱で聞くという解決策もあります。しかし、本来すべての学習者は平等であるにも関わらず、上から目線な回答者や的外れな回答をする人も。ベースは独学が良いが、同じ教材を学ぶ人どうしが対等な立場でマナーを守りながら建設的な会話をできる場を求めている人も多いはずです。
教科書や専門書を読んでいて理解できない箇所に遭遇したら別の本を調べる。前提知識が不安なので別の本で勉強しなおす。多くの人はこのような「本の間のたらい回し」を経験をしているはずです。印刷物には紙面の制約があるため、一冊にすべてを書き切ることはできません。読者は広範な知識を得ようとすればするほど、様々な本に手を出すことになります。インターネット検索も同様です。探せば必要な情報は見つかりますが、情報をピンポイントで見つけるのは大変ですし、サイトによって記号の使い方や前提知識にバラつきがあります。
Wiki は個々の情報を調べる際に役立ちますが、あくまでオンラインの百科事典であり、学習者を想定して順を追って分かりやすく書かれた教科書ではありません。不特定多数の執筆者が参加するオンライン教科書もありますが、執筆者によって執筆のスタイルやフィロソフィーが違うため、教材としての一貫性や整合性に欠けています。優れた学術系ブログもありますが、ブログというメディアの性質上、それぞれの記事はピンポイントで知識や考え方を解説するものであり、何かを体系的に学ぶのに適しているわけではありません。AIは演繹的な思考を行っているのではなく、それらしい答えを統計的に抽出しているため、数学など厳密性を要求される問いに正しく答えてくれません。
高校までの学習の多くは受験を見据えて「与えられた問題を解く」ための訓練に充てられます。そのため問題演習の多くはパターン学習であり、情報処理能力を育むために行われます。一方、大学以降で求められることは、身に付けた知識を活用して自ら考え、新たな問題を発見し、それを解決していくメンタリティーとそれに必要な能力を獲得することであり、それに対応して問題演習の役割も変化すべきです。曖昧な知識にもとづくアイデアは妄想です。したがって演習問題は知識を厳密に理解する機会であるべきです。また、アイデアを生むのは多層的な理解です。そのため演習問題は知識を様々な角度から見る機会であるべきです。
日本の大学教員は教科書を書く際に分かりやすさよりもエレガントさを重視する傾向があります。それに合わせて学生側も、苦しみながら行間を埋めつつ読むことを美徳とする傾向があります。私たちはこのような風潮に一石を投じます。教科書に書かれていることは既に誰かに発見された知識。その解読に時間と労力をかけるのではなく、学ぶべきことは効率的に学び、より多くの時間と労力をクリエイティブなことに使ってもらいたい。そのような思いから私たちは分かりやすさを重視した教材作りを行っています。説明不足よりも過剰な説明のほうがよい、これが私たちの基本方針です。
ワイズでは「あいまいさを排除」し「行間を残さない」ような教材の執筆を心がけています。とは言え、場合によって分からないところや質問などがあるかもしれません。また、教材から触発されて思いついたアイデアや解法なども。そのような場合には質問やアイデアをコメントとして投稿し、ユーザーの間で共有することができます。ユーザーどうしの意見交換から生まれたアイデアは、私たちがテキストを改訂する際に積極的に反映させます。学びのプロセスを通じてテキストを磨き上げる、これは現在のユーザーだけでなく将来のユーザー、そしてコミュニティーにとって有益な活動です。
ワイズのユーザーは年齢・性別・学歴・社会的立場などとは関係なく「学ぶ人」として対等です。多くの匿名性の掲示板やSNSとは異なり、たとえ匿名のオンライン空間であってもお互いを人格として尊重することが求められます。コメントの投稿などにはユーザー登録(ユーザー名でOK)が必須です。広告やスパム投稿、他のユーザーを貶めたり威圧する発言、学んでいる内容とは関係のない不毛な議論などはブロックします。これらの施策はユーザーが快適かつ安心して「学ぶ」ことに集中できる環境を整備するために最低限必要なものであると考えています。
有料のプレミアム会員に加入すれば教材ページにコメント欄が表示されるようになるため、分からない個所があれば教材の執筆者に質問できます。同時に、他の会員と助け合いながら学習を進められるようになります。コミュニティーは実名制ではないため、好きなユーザー名を設定して気軽に参加できます。ただ、たとえプレミアム会員であっても、広告やスパム投稿、他のユーザーを貶めたり威圧する発言、学んでいる内容とは関係のない不毛な言い争いなどはブロックされます。これはコミュニティーの健全性を担保するために必要な措置です。