関数の微分の定義
実数空間の部分集合上に定義された関数が定義域上の点において微分可能であることの意味を定義します。また、関数を微分することの直感的な意味を解説します。
1変数関数の微分を定義します。
実数空間の部分集合上に定義された関数が定義域上の点において微分可能であることの意味を定義します。また、関数を微分することの直感的な意味を解説します。
1変数関数の微分係数は瞬間変化率として解釈可能です。具体例を挙げると、瞬間の速さや数直線上を移動する物体の瞬間速度、限界費用などは微分係数として表現されます。
関数を微分することとは、その関数をシンプルな1次式で近似する(線型近似)ことを意味します。その意味をランダウの記号や無限小などの概念を用いて解説します。
増分を使わない微分の表現、ライプニッツ流の微分の表現、および微分商などについて解説します。
関数の片側微分を定義します。
関数の点における微分係数は極限を用いて定義されますが、その点が区間の境界点である場合などには通常の意味での極限が定義不可能であるため、片側極限を用いて微分可能性を定義します。このようにして定義された微分係数を片側微分係数と呼びます。
関数が点において右側微分可能かつ左側微分可能であるとともに左右の片側微分係数が一致することは、その関数がその点において微分可能であることと必要十分であるとともに、その場合、微分係数は片側微分係数と一致します。
関数が微分可能な定義域上のそれぞれの点に対して、そこでの微分係数(もしくは片側微分係数)を像として定める関数を導関数と呼びます。
微分の基本的な性質について解説します。
微分可能な関数は連続であり、右側微分可能な関数は右側連続であり、左側微分可能な関数は左側連続です。一方、これらの主張の逆は成立するとは限りません。
1変数の定数関数は微分可能であり、導関数は0のみを値としてとります。
恒等関数は微分可能であり、導関数は1のみを値としてとります。
微分可能な関数の定数倍として定義される関数もまた微分可能です。
微分可能な関数どうしの和として定義される関数もまた微分可能です。
微分可能な関数どうしの差として定義される関数もまた微分可能です。
微分可能な関数どうしの積として定義される関数もまた微分可能です。
微分可能な関数どうしの商として定義される関数もまた微分可能です。
多項式関数は任意の点において微分可能であることを示すとともに、多項式関数の導関数を特定します。
有理関数(多項式関数どうしの商として定義される関数)は微分可能であることを示すとともに、その微分係数および導関数を求める方法を解説します。
微分可能な関数どうしを合成して得られる関数もまた微分可能です。合成関数を微分する方法を解説します。
逆関数が微分可能であるための条件や、逆関数を微分する方法、また、逆関数の微分を用いて関数を微分する方法などについて解説します。
代表的な関数の微分について解説するとともに、それらの知識を利用してより広範な関数を微分する方法を解説します。
自然指数関数は全区間上で微分可能であるとともに、その導関数はもとの自然指数関数と一致します。
自然指数関数に限定されない一般の指数関数もまた全区間上で微分可能であることを示すとともに、その導関数を求める方法を解説します。
自然対数関数は定義域上の任意の点において微分可能であることを示すとともに、その導関数を求める方法を解説します。
自然対数関数とは限らない一般の対数関数もまた定義域上の任意の点において微分可能であることを示すとともに、その導関数を求める方法を解説します。
自然数ベキ関数(累乗関数)が微分可能であることを示すとともに、その微分係数や導関数を求める方法を解説します。
整数ベキ関数(累乗関数)が微分可能であることを示すとともに、その微分係数や導関数を求める方法を解説します。
無理関数はゼロとは異なる定義域上の点において微分可能です。無理関数を微分する方法を解説します。
有理数ベキ関数はゼロとは異なる定義域上の点において微分可能です。有理数ベキ関数を微分する方法を解説します。
絶対値関数はゼロとは異なる定義域上の点において微分可能です。絶対値関数や絶対値関数との合成関数を微分する方法を解説します。
実数ベキ関数は定義域上において微分可能です。実数ベキ関数や実数ベキ関数との合成関数を微分する方法を解説します。
正弦関数(sin関数)は定義域上の任意の点において微分可能です。正弦関数を微分する方法を解説します。
余弦(cos)関数は定義域上の任意の点において微分可能です。余弦関数を微分する方法を解説します。
正接関数(tan関数)は定義域上の任意の点において微分可能です。正接関数を微分する方法を解説します。
逆正弦関数(arcsin関数)は定義域の任意の内点において微分可能です。逆正弦関数を微分する方法を解説します。
逆余弦関数(arccos関数)は定義域の任意の内点において微分可能です。逆余弦関数を微分する方法を解説します。
逆正接関数(arctan関数)は定義域上の任意の点において微分可能です。逆正接関数を微分する方法を解説します。
関数が微分可能である場合には導関数が得られますが、さらに導関数が微分可能である場合には導関数の導関数が得られます。
関数の導関数が微分可能である場合には導関数の導関数が得られますがこれを2階の導関数と呼びます。同様に、3階の導関数、4階の導関数なども定義可能です。これらを高階の導関数と呼びます。
高階微分可能な関数の定数倍として定義される関数もまた高階微分であるとともに、その高階微分係数はもとの関数の高階微分係数の定数倍と一致します。
高階微分可能な関数どうしの和として定義される関数もまた高階微分であるとともに、その高階微分係数はもとの関数の高階微分係数の和と一致します。
高階微分可能な関数どうしの積として定義される関数もまた高階微分であり、その高階導関数はライプニッツの公式と呼ばれる命題より導出可能です。
関数が微分可能であることに加えて導関数が連続である場合、その関数は連続微分可能であると言います。連続微分可能な関数は微分可能ですが、その逆は成立するとは限りません。
高階微分可能な1変数関数に関して一般的な議論を行う準備として、微分作用素と呼ばれる概念を導入します。
平均値の定理について解説します。
有界な閉区間上に定義された連続関数が定義域の内部において微分可能であるとともに定義域の端点において等しい値をとる場合、その関数は定義域の内部に停留点を持つことが保証されます。これをロルの定理と呼びます。
関数が全単射でない場合でも、一定の条件のもとでは、関数の定義域を点の近傍に制限することにより局所的な逆関数の存在を保証できるとともに、その逆関数を微分できます。
有界な閉区間上に定義された連続関数が定義域の内部において微分可能である場合には、そのグラフの両端の点を結んだ線分と平行な接線をグラフ上に引くことができます。
リプシッツ定数が1より小さいリプシッツ関数を縮小関数と呼びます。縮小関数の定義域が完備集合であり、なおかつ値域が定義域の部分集合である場合、その関数は不動点を持ちます。
有界閉区間上に定義された関数が定義域上で連続であり、定義域の内部である有界開区間上で微分可能であり、なおかつ導関数が有界である場合、その関数は絶対連続になることが保証されます。
区間上に定義された微分可能な関数を対象とした場合、その導関数を観察することにより、もとの関数の値の挙動(定数関数・単調関数・狭義単調関数)に関する情報を得ることができます。
コーシーの平均値の定理とは、有界閉区間上に定義された2つの関数について、関数の値の区間を通じた変化量と瞬間的な変化量の関係を規定する命題です。コーシーの平均値の定理はラグランジュの平均値の定理の一般化です。
関数を微分することとは、もとの複雑な関数をシンプルな1次の多項式で近似することを意味します。それとは逆に、微分可能な関数を多項式によって近似することで近似の精度を高めようとするのがテイラーの定理の背景にある考え方です。
関数を微分することとは複雑な関数を1次の多項式関数によって近似することを意味します。それとは逆に、微分可能な関数を高次の多項式関数を用いて近似することで近似の精度を高める考え方もあります。
関数が高階微分可能である場合に、その関数をテイラーの近似多項式によって近似できることの根拠を与えるのがテイラーの定理です。
テイラーの定理は関数の値が有限次数の多項式と剰余項の和として表せることを保証する命題ですが、次数が限りなく大きくなるにつれて剰余項はゼロへ収束する場合、関数の値を無限次数の多項式として表現できます。
自然指数関数はテイラー(マクローリン)展開可能です。自然指数関数のテイラー(マクローリン)級数を特定します。
自然指数関数とは限らない指数関数がテイラー(マクローリン)展開可能であるための条件と特定するとともに、そのテイラー(マクローリン)級数を特定します。
自然対数関数にはテイラーの定理を適用できる一方、点0において定義されていないためマクローリンの定理を適用できません。関数 ln(x+1) は点0において定義されており、マクローリン展開可能です。
正弦関数(sin関数)はテイラー(マクローリン)展開可能です。正弦関数のテイラー(マクローリン)級数を特定します。
余弦関数(cos関数)はテイラー(マクローリン)展開可能です。余弦関数のテイラー(マクローリン)級数を特定します。
正接関数(tan関数)はマクローリン展開可能です。正弦関数(sin関数)と余弦関数(cos関数)のマクローリン級数を用いて正接関数のマクローリン級数を特定する方法を解説します。
平面上に存在する曲線が媒介変数表示されている状況において、曲線上に存在する点のx座標とy座標の関係を微分を用いて評価する方法を解説します。
平面上に存在する曲線が媒介変数表示されている状況において、曲線上に存在する点のx座標とy座標の値の関係を微分を用いて評価する方法を解説します。
平面上に存在する円が媒介変数表示されている状況において、円上に存在する点のx座標とy座標の値の関係を微分を用いて評価する方法を解説します。
平面上に存在する楕円が媒介変数表示されている状況において、楕円上に存在する点のx座標とy座標の値の関係を微分を用いて評価する方法を解説します。
平面上に存在するサイクロイドが媒介変数表示されている状況において、サイクロイド上に存在する点のx座標とy座標の値の関係を微分を用いて評価する方法を解説します。
本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での基礎になります。
曲線(1変数のベクトル値関数)について、その微分を定義した上で、微分に関して成り立つ様々な性質を解説します。
多変数関数(スカラー場)について、偏微分、方向微分、全微分などの様々な微分概念を定義するとともに、これらの微分概念の性質について解説します。
与えられた制約条件のもとで関数の値を最大化または最小化する変数の値を求めることを最適化と呼びます。ここでは微分可能な関数を対象とする様々な最適化問題の解法を解説します。