区間の集合族
区間の長さと、その区間を分割して得られる小区間の長さの関係は、数直線の部分集合どうしの外延量の関係として捉えることができます。つまり、「区間の長さ」という外延量は数直線の部分集合族に導入されるということです。この集合族は集合半環としての性質を満たします。
数直線上には有界な区間というクラスには属さない点集合が存在するため、区間の長さでは、区間よりも広いクラスの点集合の外延量を計測できないことになります。このような問題を解消するためには、区間の集合族よりも広いクラスの集合族を導入します。
有限個の互いに素な区間の和集合として表される点集合を区間塊と呼びます。すべての区間塊からなる集合族は集合環としての性質を満たします。
区間塊は有限個の互いに素な区間の和集合として表される点集合ですが、それらの区間の長さの総和として区間塊の長さを定義します。区間塊の長さはσ-加法測度としての性質を満たします。
数直線上には区間塊というクラスには属さない点集合が存在するため、区間塊の長さでは、区間塊よりも広いクラスの点集合の外延量を計測できないことになります。このような問題を解消するためには、区間塊の集合族よりも広いクラスの集合族を導入します。
区間の長さを拡張することにより、任意の点集合の外延量を測定可能な測度概念を定義します。このような操作をカラテオドリ拡張と呼び、こうして得られる測度をルベーグ外測度やカラテオドリ外測度などと呼びます。ルベーグ外測度は外測度としての性質を満たします。
ルベーグ外測度はσ-加法性を満たさないため、その定義域を適当なRの部分集合族へ縮小することを考えます。そのようなRの部分集合族の候補としてルベーグ集合族と呼ばれるものを導入します。これはσ-代数としての性質を満たします。
ルベーグ外測度の定義域をルベーグ可測集合族に制限して得られる写像をルベーグ測度と呼びます。ルベーグ外測度とは異なり、ルベーグ測度はσ-加法測度としての性質を満たします。
外測度の値がゼロであるような集合を零集合と呼びます。零集合はルベーグ可測です。零集合の基本的な性質について解説します。関連して「ほとんどいたるところ」という用語の意味を解説します。
ルベーグ可測ではない集合を具体的に構成するとともに、その事実を用いてルベーグ外測度が加法性を満たさないことを確認します。
点集合のヴィタリ被覆の中から有限個の互いに素な区間を上手く選んだ上で、選んだ区間の和集合ともとの集合との差集合をとることにより、その差集合の測度をいくらでも小さくすることができます。これをヴィタリの被覆定理と呼びます。
開集合族を部分集合として持つ最小のσ-代数をボレル集合族と呼びます。ルベーグ測度の定義域をボレル集合族に制限することにより得られる写像をボレル測度と呼びます。
ルベーグ可測集合族は実数空間Rの開集合系を部分集合として持つσ-代数ですが、他にも同様の性質を満たすRの部分集合族は存在するのでしょうか。ボレル集合族はそのような性質を満たすRの部分集合族の中で最小のものです。
ルベーグ外測度の定義域をボレル集合族に制限することにより得られる写像をボレル測度と呼びます。ルベーグ測度と同様に、ボレル測度もまたσ-加法測度としての性質を満たします。
拡大実数系上の開集合系から生成される最小のσ-代数をボレル集合族と呼びます。ボレル集合族は拡大実数系上の近傍系や特定の近傍系から生成することもできます。
カントール集合を定義するとともに、3進展開を用いてカントール集合を特徴づけます。カントール集合は非空なコンパクト集合であるとともに、非可算集合であるような零集合でもあります。
本節を学ぶ上で必要となる前提知識はありません。
本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での基礎になります。
命題論理の基本単位が命題変数であったのに対し、述語論理では命題関数と呼ばれる概念が基本単位となります。それにより扱うことのできる言明の範囲が広がるとともに、量化と呼ばれる操作が可能になります。