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DERIVATIVES OF MULTIVARIABLE FUNCTIONS

多変数関数の微分

OVERVIEW

本節で学ぶ内容

ユークリッド空間もしくはその部分集合を定義域とし、実数を値としてとる写像をスカラー場や多変数関数と呼びます。スカラー場の極限や連続性について学んだ知識を土台に、本節ではスカラー場の微分について考えます。

1変数関数の変数は数直線を移動する一方で多変数関数の変数は多次元空間上を移動するため、多変数関数の微分を定義するにあたり、1変数関数の微分の概念をどのような形で拡張すればよいかが問題になります。1変数関数の微分に関する多くの性質が多変数関数の微分にも継承されますが、多変数であることに由来する特殊な性質や問題も存在します。
TABLE OF CONTENTS

目次

SECTION 1

偏微分

多変数関数をあたかも1変数関数のように見なした場合に得られる微分概念を偏微分と呼びます。1変数関数において微分可能性は連続性を含意するのに対し、多変数関数において偏微分性は連続性を含意しません。

多変数関数の偏微分の定義

多変数関数が与えられたとき、1つの変数以外のすべての変数の値を固定し、あたかも1変数関数であるかのようにみなした上で定義される微分概念を偏微分と呼びます。

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偏微分と微分の関係

多変数関数を偏微分するプロセスは1変数関数を微分するプロセスと実質的に等しいため、偏微分を行う際には1変数関数の微分に関する諸々の公式を活用できます。

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勾配ベクトル(グラディエント)

多変数関数が定義域上の点においてすべての変数に関して偏微分可能である場合、その点におけるそれぞれの変数に関する偏微分係数を成分とするベクトルが存在します。これを勾配ベクトル(グラディエント)と呼びます。

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線型近似としての偏微分

多変数関数を特定の変数に関して偏微分することとは、他の変数の値を固定することで得られる1変数関数をシンプルな1次式で近似する(線型近似)ことを意味します。

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SECTION 2

偏微分の基本性質

偏微分の基本的な性質について解説します。

偏微分可能性と連続性

1変数関数に関しては微分可能性や偏微分可能性が連続性を含意する一方、2つ以上の変数を持つ多変数関数に関しては、偏微分可能性は連続性を必ずしも含意しません。

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多変数の初等関数の偏微分

多変数の定数関数、座標関数、多項式関数、有理関数および、それらの関数と1変数の微分可能な関数を組合せることで得られる多変数関数はいずれも偏微分可能です。

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多変数関数の和の偏微分

偏微分可能な関数どうしの和として定義される関数もまた偏微分可能であり、その関数の勾配ベクトルはもとの関数の勾配ベクトルの和と一致します。

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多変数関数の差の偏微分

偏微分可能な関数どうしの差として定義される関数もまた偏微分可能であり、その関数の勾配ベクトルはもとの関数の勾配ベクトルの差と一致します。

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多変数関数の積の偏微分

偏微分可能な関数どうしの積として定義される関数もまた偏微分可能であり、その偏導関数や勾配ベクトル場は積の法則と呼ばれる規則から得られます。

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多変数関数の商の偏微分

偏微分可能な関数どうしの商として定義される関数もまた偏微分可能であり、その偏導関数や勾配ベクトル場は商の法則と呼ばれる規則から得られます。

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SECTION 3

高階の偏微分

多変数が偏微分可能であるならば偏導関数が得られます。偏導関数もまた多変数関数であるためそれを偏微分できます。以降についても同様です。

高階の偏微分

多変数関数の偏導関数が偏微分可能である場合には偏導関数の偏導関数が得られますが、これを2階の偏導関数と呼びます。同様に、3階の偏導関数、4階の偏導関数なども定義可能です。これらを高階の偏導関数と呼びます。

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ヘッセ行列

多変数関数が任意の2つの変数の組み合わせに関して2階偏微分可能である場合には、2階偏微分係数を成分として持つ正方行列が定義可能です。これをヘッセ行列と呼びます。

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SECTION 4

方向微分

多変数関数の変数を特定のベクトルの方向へ移動する状況を想定した微分概念を方向微分と呼びます。偏微分と同様、方向微分もまた連続性を必ずしも含意しません。

方向微分と微分の関係

多変数関数が連続微分可能な点に関しては、その多変数関数を方向微分するプロセスは1変数関数を微分するプロセスと実質的に等しくなるため、方向微分を行う際に1変数関数の微分に関する諸々の公式を活用できます。

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方向微分と偏微分の関係

多変数関数が任意の方向へ方向微分可能である場合、その関数は任意の変数について偏微分可能ですが、その逆は成り立つとは限りません。一定の条件のもとでは、方向微分係数は勾配ベクトルと方向ベクトルの内積として定まります。

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方向微分可能性と連続性

スカラー場(多変数関数)が定義域上の点において任意の方向に関して方向微分可能である場合においても、そのスカラー場はその点において連続であるとは限りません。

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SECTION 5

全微分

微分可能性から連続性を導くためには偏微分や方向微分とは異なる微分概念が要請されます。それを全微分と呼ばれる概念として定式化します。

多変数関数の全微分の定義

多変数関数の偏微分は特定の変数だけを動かす状況を想定した微分概念であり、方向微分はすべての変数を特定の経路に沿って動かす状況を想定した微分概念です。一方、全微分はすべての変数を任意の経路に沿って動かす状況を想定した微分概念です。

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多変数関数の全微分と偏微分の関係

多変数関数が全微分可能である場合には偏微分可能であることが保証される一方、その逆は成り立つとは限りません。ただ、多変数関数が連続微分可能である場合には全微分可能であることが保証される一方、その逆は成り立つとは限りません。

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多変数関数の全微分と方向微分の関係

スカラー場(多変数関数)が定義域上の点において全微分可能であるとき、そのスカラー場はその点において任意の方向に関して方向微分可能であるとともに、方向微分係数は勾配ベクトルと方向ベクトルの内積と一致します。

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線型近似としての全微分

多変数関数をある点において全微分することとは、その点に限りなく近い周辺の任意の点において、もとの関数を1次の多項式関数で近似する(線型近似)することを意味します。

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SECTION 6

全微分の基本性質

全微分の基本的な性質について解説します。

多変数の初等関数の全微分

多変数の定数関数、座標関数、多項式関数、有理関数および、それらの関数と1変数の初等関数を組合せることで得られる多変数関数はいずれも全微分可能です。

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SECTION 7

テイラーの定理

多変数関数を全微分することとは、もとの複雑な関数をシンプルな1次の多項式関数で近似することを意味します。それとは逆に、多変数関数を高次の多項式によって近似することにより近似の精度を高めようとするのがテイラーの定理の背景にある考え方です。

多変数関数のテイラー近似多項式

多変数関数を全微分することとは複雑な関数を1次の多項式関数によって近似することを意味します。それとは逆に、多変数関数を高次の多項式関数を用いて近似することで近似の精度を高める考え方もあります。

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RELATED KNOWLEDGE

関連知識

REQUIRED KNOWLEDGE

必須知識

本節の内容を理解するためには以下の分野の知識が必要です。

1変数関数の微分

1変数関数の微分について学びます。具体的には、微分の概念を定義した上で、微分の基本性質や初等関数の微分、平均値の定理、高階の微分、テイラーの定理などについて学びます。これらの知識は後に1変数関数を目的関数とする最適化について学ぶ上での基盤になります。

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