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IMPERFECT COMPETITION THEORY

不完全競争市場

OVERVIEW

不完全競争市場

市場において商品が少数の生産者によって供給されている場合や商品の差別化が行われている場合などにはプライス・テイカーの仮定は成り立たず、生産者は価格を主体的に操作できます。そのような不完全競争市場における生産者の行動を分析します。
TABLE OF CONTENTS

目次

MONOPOLY EQUILIBRIUM

独占均衡

独占企業の意思決定について解説します。

価格決定を通じた独占均衡

独占企業が利潤を最大化するために価格を決定する場合の独占均衡は、独占均衡が利潤を最大化するために供給量を決定する場合の独占均衡と一致します。

MARKET POWER

独占力の源泉

市場支配力の概念を定義するとともに、独占企業が市場支配力を持つ理由を解説します。

独占企業の市場支配力とラーナー指数

企業が限界費用を上回る市場価格を設定することを可能にする力を市場支配力と呼びます。市場支配力を測る指標の1つがラーナー指数です。独占企業のラーナー指数は市場の需要の価格弾力性の逆数と一致します。

独占力の源泉:絶対的費用優位性

ある市場において既存企業が参入企業よりも常により少ない費用で商品を生産できる場合、既存企業は絶対的費用優位性を持つと言います。独占企業が絶対的費用優位性を持つ場合、それは参入障壁として機能します。

独占力の源泉:規模の経済性と自然独占

独占市場が形成される理由は参入障壁に限定されません。参入と退出が自由であり、企業どうしが対等な立場で競争を行う市場においても一定の条件のもとでは独占が形成されます。コンテスタブル・マーケットの理論を用いて自然独占について解説します。

DISADVANTAGES OF MONOPOLIES

独占市場の問題

独占がもたらす弊害について解説します。

独占市場の問題:X-非効率性

独占市場などの不完全競争市場において、企業が競争圧力にさらされていないことに起因して発生する非効率性をX-非効率性と呼びます。X-非効率性は社会的な厚生の損失をもたらし得ます。

独占市場の問題:レント・シーキング

独占企業が得る超過利潤をレントと呼びます。独占企業の絶対的費用優位性が行政の許認可などに由来する場合、独占企業はレントを維持するためロビー活動や政治献金など市場外で活動を行います。

ANTIMONOPOLY POLICY

独占市場への政府介入

独占に対する政策について解説します。

独占市場への政府介入:補助金による産業保護

当局による介入が行われない場合には商品の供給が行われないような市場においても、補助金を通じて独占企業に商品を供給させることにより、社会的余剰を増やすことができる余地があります。

独占市場への政府介入:限界費用価格規制

独占均衡では死荷重が発生するため社会的余剰が最大化されません。社会的余剰を最大化するために、独占企業が供給する商品の価格を競争均衡価格へ抑える政策を限界費用価格規制と呼びます。

MULTI PRODUCT MONOPOLY

複数業種にまたがる独占

同一企業が複数の商品市場を独占するケースについて解説します。

COURNOT COMPETITION

クールノー競争(寡占市場における数量競争)

寡占市場において数量競争が行われる状況について解説します。

クールノー競争(複占市場における数量競争)

同質財が2つの企業によって供給される複占市場において、企業がカルテルを形成せずに供給量を決定する状況をクールノー競争モデルとして定式化するとともに、そこでのナッシュ均衡を特定します。

クールノー均衡の社会的効率性

複占市場においてクールノー競争が行われる場合に実現する社会的余剰は、完全競争が行われる場合の社会的余剰よりも小さく、カルテルが形成される場合の社会的余剰よりも大きくなります。

技術水準が異なる企業間のクールノー競争

クールノー競争が行われる複占市場において企業間の技術水準に差がある場合、すなわち企業間で限界費用に差がある場合にも、両企業の間の技術水準の差が十分小さい場合にはクールノー均衡が存在します

BERTRAND COMPETITION

ベルトラン競争(寡占市場における価格競争)

寡占市場において価格競争が行われる状況について解説します。

ベルトラン競争(複占市場における価格競争)

同質財が2つの企業によって供給される複占市場において、企業がカルテルを形成せずに価格を決定する状況をベルトラン競争モデルとして定式化するとともに、そこでのナッシュ均衡を特定します。

ベルトラン均衡の社会的効率性

通常、独占市場や複占市場、寡占市場などの不完全競争市場において社会的余剰は最大化されません。一方、複占市場においてベルトラン競争が行われる場合には完全競争市場と同様に社会的余剰が最大化されます。こうした現象をベルトランのパラドクスと呼びます。

技術水準が異なる企業間のベルトラン競争

等しい限界費用を持つ2つの企業がベルトラン競争を行う場合、均衡において両企業の利潤はゼロになります。一方、限界費用に差がある2つの企業がベルトラン競争を行う場合には、均衡において、相対的に効率的な企業は正の利潤を得られます。

STACKELBERG COMPETITION

シュタッケルベルグ競争(寡占市場における動学的競争)

寡占市場において動学的な形で数量競争や価格競争が行われる状況を分析します。

CARTEL

カルテル

カルテルが形成される寡占市場について解説します。

生産量に関するカルテルの不安定性(カルテル破り)

複占市場の線型モデルにおいて2つの企業が結合利潤を最大化するような生産計画を実行するよう約束した場合においても、その約束に拘束力がない場合には、実際に実現するのは、両社とも数量競争を行うという結果(クールノー競争)であり、これは両社にとって効率的ではありません。

価格に関するカルテルの不安定性(カルテル破り)

複占市場の線型モデルにおいて2つの企業が結合利潤を最大化するような価格を選択するよう約束した場合においても、その約束に拘束力がない場合には、実際に実現するのは、両社とも価格競争を行うという結果(ベルトラン競争)であり、これは両社にとって効率的ではありません。

RELATED KNOWLEDGE

関連知識

REQUIRED KNOWLEDGE

前提知識

本節の内容を理解する上で以下の知識が役に立ちます。

ゲーム理論

ゲーム理論のテキストと演習問題です。ゲーム理論の概要について解説した上で、完備情報の静学ゲーム、完備情報の動学ゲーム、不完備情報の静学ゲーム、不完備情報の動学ゲーム、協力ゲームなど様々なクラスのゲームについて解説します。

消費者理論

世の中に存在する資源は有限であり、加えて消費者は所得をはじめとする様々な制約に直面しているため、好きなものを好きなだけ消費できるわけではありません。だからこそ消費者が何をどのように選ぶのかという問題について考える意味があります。消費者理論は、様々な制約に直面する消費者がどのような意思決定を行うかを明らかにしようとします。

生産者理論

世の中に存在する資源は有限であり、加えて生産者は技術水準や資本をはじめとする様々な制約に直面しているため、好きなものを好きなだけ生産できるわけではありません。生産者理論は、様々な制約に直面する生産者がどのような意思決定を行うかを明らかにしようとします。

ADVANCED KNOWLEDGE

発展知識

本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での基礎になります。

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