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STATIC GAME OF COMPLETE INFORMATION

完備情報の静学ゲーム

OVERVIEW

完備情報の静学ゲーム

完備情報の静学ゲームとは非協力かつ静学かつ完備情報であるようなゲームのことです。つまり、そこではプレイヤーたちの間に拘束的な合意は成立せず(非協力)、それぞれのプレイヤーは意思決定を行う際に他のプレイヤーたちが行った意思決定を事前に観察できず(静学)、なおかつゲームのルールはプレイヤーたちにとって共有知識です(完備情報)。完備情報ゲームにおける均衡概念はナッシュ均衡です。
TABLE OF CONTENTS

目次

GAME IN STRATEGIC FORM

完備情報の静学ゲームの定式化

完備情報の静学ゲームを戦略型ゲームと呼ばれるモデルを用いて表現します。

戦略型ゲーム(標準型ゲーム)

完備情報の静学ゲームを記述するためにはプレイヤー、行動、結果、利得などをそれぞれ具体的に特定する必要があります。それらの要素を記述する方法はいくつか存在しますが、ここでは戦略型ゲームと呼ばれるモデルについて解説します。

DOMINANT STRATEGY EQUILIBRIUM

支配戦略均衡

支配戦略均衡について解説します。

狭義の支配純粋戦略均衡

戦略型ゲームにおける純粋戦略の組を構成する戦略がいずれも狭義の支配戦略である場合、そのような戦略の組を狭義の支配戦略均衡と呼びます。

広義の支配純粋戦略均衡

戦略型ゲームにおける純粋戦略の組を構成する戦略がいずれも広義の支配戦略である場合、そのような戦略の組を広義の支配戦略均衡と呼びます。

DOMINANT STRATEGY EQUILIBRIUM

支配される戦略の逐次消去

支配される戦略の逐次消去と呼ばれる均衡概念について解説します。

純粋戦略によって狭義支配される戦略の逐次消去

与えられたゲームにおいてそれぞれのプレイヤーが何らかの戦略によって狭義支配される純粋戦略を持つ場合、それをプレイヤーの純粋戦略集合から消去することを通じてプレイヤーたちが選択し得る戦略の組を絞り込む手法を狭義支配される戦略の逐次消去と呼びます。

純粋戦略によって広義支配される戦略の逐次消去

与えられたゲームにおいてそれぞれのプレイヤーが何らかの戦略によって広義支配される純粋戦略を持つ場合、それをプレイヤーの純粋戦略集合から消去することを通じてプレイヤーたちが選択し得る戦略の組を絞り込む手法を広義支配される戦略の逐次消去と呼びます。

NASH EQUILIBRIUM

ナッシュ均衡

ナッシュ均衡と呼ばれる均衡概念について解説します。

広義の純粋戦略ナッシュ均衡

戦略型ゲームにおいてプレイヤーたちの純粋戦略の組に注目したときに、その組を構成する戦略がお互いに最適反応になっているならば、その組を純粋戦略ナッシュ均衡と呼びます。純粋戦略ナッシュ均衡は存在するとは限らず、存在する場合にも一意的であるとは限りません。

広義の混合戦略ナッシュ均衡

戦略型ゲームの混合拡張においてプレイヤーたちの混合戦略の組に注目したときに、その組を構成する混合戦略がお互いに広義の最適反応になっているならば、その組を広義の混合戦略ナッシュ均衡と呼びます。

狭義のナッシュ均衡

戦略型ゲームにおいてプレイヤーたちの戦略の組に注目したときに、その組を構成する戦略がお互いに狭義の最適反応になっているならば、その組を狭義のナッシュ均衡と呼びます。

ナッシュ均衡と支配される戦略の逐次消去の関係

戦略型ゲームにナッシュ均衡が存在する場合、そのゲームに支配される戦略の逐次消去を適用すると、そのナッシュ均衡は最後まで残ります。特に、ゲームが逐次消去によって解ける場合、その解はゲームの一意的なナッシュ均衡であることが保証されます。

ナッシュ均衡と支配戦略均衡の関係

戦略型ゲームに支配戦略均衡が存在する場合、それはナッシュ均衡であることが保証されます。逆は成立するとは限りません。つまり、ナッシュ均衡は支配戦略均衡であるとは限りません。

JUSTIFICATION OF NASH EQUILIBRIUM

ナッシュ均衡の正当性

ナッシュ均衡はどのような意味において正当化されるのでしょうか。

ナッシュ均衡の正当性

合理性の仮定や期待効用仮説を採用する限りにおいて、完備情報の静学ゲームにおける均衡概念はナッシュ均衡しか存在しません。しかし、これはあくまでもゲームの分析者の立場から見たときの考え方であり、プレイヤーの視点から考えてみると話が少し複雑になります。

ナッシュ均衡と自己拘束的な合意

プレイヤーたちが事前交渉を行い何らかの合意に至った場合、それを強制する仕組みが存在しないにも関わらず合意が守られるのであれば、そのような合意は自己拘束的であると言われます。自己拘束的な合意は必ずナッシュ均衡である一方、その逆は成立するとは限りません。

ナッシュ均衡と社会的慣習

プレイヤーをランダムに変えて同じゲームを繰り返しプレーした結果、ある時点からプレイヤーたちが一定の戦略をプレーするよう状況が安定するのであれば、それは社会的慣習が形成されたことを意味します。社会的慣習が形成される場合、それはナッシュ均衡です。

MULTIPLE EQULIBRIUM PROBLEM

複数均衡の問題

ゲームに複数のナッシュ均衡が存在する場合、その中のどれをプレイヤーたちが実際にプレーするか必ずしも明らかではありません。

複数均衡の問題

戦略型ゲームに複数のナッシュ均衡が存在する場合、プレイヤーたちはその中のどれを実際にプレーすることになるか必ずしも明らかではありません。これを複数均衡の問題や均衡選択の問題などと呼びます。

複数均衡問題と利得支配

戦略型ゲームに複数のナッシュ均衡が存在するとともに、ある均衡が別の均衡を狭義にパレート支配することを利得支配と呼びます。

複数均衡問題とリスク支配

戦略型ゲームに複数のナッシュ均衡が存在するとともに、ある均衡からのプレイヤーたちの離脱損失の積が、別の均衡からのプレイヤーたちの離脱損失の積よりも大きい場合、前者の均衡は後者の均衡をリスク支配すると言います。

複数均衡問題とフォーカルポイント

プレイヤーたちが相談できない状況において何らかの選択を迫られた場合に、ある選択肢が他の選択肢よりも注意を引くものであるならば、それをフォーカルポイントと呼びます。ゲームに複数のナッシュ均衡が存在する場合、その中の1つがフォーカルポイントであれば、プレイヤーたちはそれをプレーすることが予想されます。

EXISTENCE OF NASH EQUILIBRIUM

ナッシュ均衡の存在

ゲームにナッシュ均衡が存在するための条件や、ナッシュ均衡の個数に関する議論を行います。

ナッシュの定理

有限な戦略型ゲームの混合拡張には必ず混合戦略ナッシュ均衡が存在します。これをナッシュの定理と呼びます。角谷の不動点定理を用いてナッシュの定理を証明します。

対称ゲームに対称ナッシュ均衡が存在するための条件

対称的な戦略型ゲームに対称的な純粋戦略ナッシュ均衡が存在するための条件を明らかにします。以上の事実を用いることにより、有限かつ対称的な戦略型ゲームの混合拡張には対称的な混合戦略ナッシュ均衡が存在することを示します。

TWO PLAYER ZERO SUM GAME

2人ゼロ和ゲーム

2人ゼロサムゲームにおけるナッシュ均衡は鞍点と一致します。

ゼロ和ゲーム(定和ゲーム)

戦略型ゲームのプレイヤーが2人であるとともに、どのような結果が実現した場合にも両者が得る利得の和が必ずゼロであるならば、そのようなゲームをゼロ和ゲーム(ゼロサムゲーム)と呼びます。

マックスミニ戦略とミニマックス戦略

2人ゼロ和ゲームにおいて、最低でも確保できる利得を最大化する戦略をマックスミニ戦略と呼び、最悪の状況で直面する被害を最小化する戦略をミニマックス戦略と呼びます。

ミニマックス定理

2人ゼロ和ゲームにおいて一方のプレイヤーのマックスミニ値と他方のプレイヤーのミニマックス値が一致することは、ゲームに鞍点(ナッシュ均衡)が存在するための必要十分条件です。特に、有限ゲームの混合拡張においてマックスミニ値とミニマックス値は常に一致します。

RELATED KNOWLEDGE

関連知識

REQUIRED KNOWLEDGE

前提知識

本節を学ぶ上で必要となる前提知識はありません。

ADVANCED KNOWLEDGE

発展知識

本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での基礎になります。

述語論理

命題論理の基本単位が命題変数であったのに対し、述語論理では命題関数と呼ばれる概念が基本単位となります。それにより扱うことのできる言明の範囲が広がるとともに、量化と呼ばれる操作が可能になります。

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