実数空間もしくはその部分集合を定義域とし、値としてユークリッド空間上の点をとるような写像をベクトル値関数や曲線などと呼びます。
本節ではベクトル値関数が収束することの意味や、連続であることの意味を解説します。本節で得られる知識は後にベクトル値関数の微分について学ぶ上での前提知識となります。
ベクトル値関数(曲線)の概念を定義します。
ベクトル値関数(曲線)が収束することと、そのすべての成分関数が収束することは必要十分です。したがって、ベクトル値関数の収束可能性に関する議論は、1変数関数である成分関数の収束可能性に関する議論に帰着させられます。
ベクトル値関数(曲線)の収束可能性に関する議論は点列の収束可能性に関する議論に置き換えられます。さらに、点列の収束可能性に関する議論は座標数列の収束可能性に関する議論に置き換えることができるため、結局、ベクトル値関数の収束可能性に関する議論を数列の収束可能性に関する議論に帰着させることができます。
ベクトル値関数の変数が点に近づいていく際の経路を指定する形で極限を定義することも可能であり、その場合の極限を片側極限と呼びます。
ベクトル値関数の変数が限りなく大きくなる場合や限りなく小さくなる場合の極限について解説します。
ベクトル値関数(曲線)が無限大においてユークリッド空間上の点へ収束することと、すべての成分関数が無限大において有限な実数へ収束することは必要十分です。
ベクトル値関数の極限と関連する基本的な性質について解説します。
ベクトル値関数(曲線)が有界であること、点の周辺において局所有界であることの意味を定義します。ベクトル値関数が収束する場合、有界であるとは限らない一方で、局所有界であることは保証されます。
ベクトル値関数(曲線)が定義域上の点において収束するとともに、その極限がその点における関数の値と一致する場合には、関数はその点において連続であると言います。
イプシロンデルタ論法を利用すれば、ベクトル値関数の極限という概念を経由せずとも、ベクトル値関数が連続であることを表現できます。
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以下の分野の知識があると本節の内容を円滑に学習できます。
数列に関するテキストと演習問題です。数列という概念を定義した上で、さらに収束列、単調数列、区間列、部分列などについて学び、これらの概念を使って実数の連続性を表現できることを確認します。
n 次元空間上にベクトル加法やスカラー乗法などの演算や大小関係を定義すると、実順序ベクトル空間になります。実順序ベクトル空間上にユークリッド距離と呼ばれる概念を定義したものがユークリッド空間です。
ユークリッド空間上の無限個の点を順番に並べたものを点列と呼びます。点列は実数列を一般化した概念です。ここでは点列が収束することの意味を定義した上で、収束点列の性質について解説します。
実数空間もしくはその部分集合を定義とし、ユークリッド空間を終集合とする写像を曲線やベクトル値関数などと呼びます。ここでは曲線の収束や連続性などについて解説します。
本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での土台になります。