ベクトル値関数(曲線)の定義
実数空間もしくはその部分集合を定義域とし、値としてユークリッド空間の点をとる写像をベクトル値関数や曲線などと呼びます。
ベクトル値関数(曲線)の概念を定義します。
実数空間もしくはその部分集合を定義域とし、値としてユークリッド空間の点をとる写像をベクトル値関数や曲線などと呼びます。
ベクトル値関数 f が与えられたとき、y=f(x) を満たすベクトル (x,y) からなる集合を f のグラフと呼びます。
ベクトル値関数による点の像、集合の像、値域などの概念を定義します。ベクトル値関数の値域は曲線に相当します。
ベクトル値関数による点の逆像、集合の逆像、定義域などの概念を定義します。また、ベクトル値関数の定義域を求める方法を解説します。
1変数関数の値域がベクトル値関数の定義域の部分集合である場合、両者の合成関数が定義可能です。
ベクトル値関数が収束することの意味を定義した上で、収束すること・収束しないことを判定する方法を解説します。
1変数のベクトル値関数(曲線)が収束することの意味を解説した上で、さらにイプシロン・デルタ論法を用いて厳密に定義します。
ベクトル値関数(曲線)が収束することと、そのすべての成分関数が収束することは必要十分です。したがって、ベクトル値関数の収束可能性に関する議論は、1変数関数である成分関数の収束可能性に関する議論に帰着させられます。
ベクトル値関数(曲線)の収束可能性に関する議論は点列の収束可能性に関する議論に置き換えられます。さらに、点列の収束可能性に関する議論は座標数列の収束可能性に関する議論に置き換えることができるため、結局、ベクトル値関数の収束可能性に関する議論を数列の収束可能性に関する議論に帰着させることができます。
ベクトル値関数(曲線)の変数が特定の点へ限りなく近づく場合にベクトル値関数が無限大へ発散することの意味を定義します。
ベクトル値関数の変数が点に近づいていく際の経路を指定する形で極限を定義することも可能であり、その場合の極限を片側極限と呼びます。
1変数のベクトル値関数(曲線)の変数が点に限りなく近づいていく際の経路を指定する形で定義される極限概念を片側極限と呼びます。
ベクトル値関数が右側収束(左側収束)することは、すべての成分関数が右側収束(左側収束)することと必要十分です。
ベクトル値関数が右側収束することや左側収束することを収束点列を用いて表現します。
ベクトル値関数の右側極限と左側極限が存在するとともに両者が一致することは、その関数の極限が存在することと必要十分です。
ベクトル値関数の変数がある点に右側もしくは左側から限りなく近づくときに、関数が定める値のノルムが限りなく大きくなる場合には、それらの極限を片側無限極限と呼びます。
ベクトル値関数の変数が限りなく大きくなる場合や限りなく小さくなる場合の極限について解説します。
ベクトル値関数(曲線)の変数が正の無限大や負の無限大をとる場合の極限について解説します。
ベクトル値関数(曲線)が無限大においてユークリッド空間上の点へ収束することと、すべての成分関数が無限大において有限な実数へ収束することは必要十分です。
ベクトル値関数(曲線)が無限大においてユークリッド空間上の点へ収束することは、点列の極限を用いて表現することもできます。
ベクトル値関数(曲線)が無限大において発散することの意味を定義します。
ベクトル値関数の極限と関連する基本的な性質について解説します。
ベクトル値関数(曲線)が有界であること、点の周辺において局所有界であることの意味を定義します。ベクトル値関数が収束する場合、有界であるとは限らない一方で、局所有界であることは保証されます。
1変数関数とベクトル値関数の合成関数として定義されるベクトル値関数が収束するための条件や極限を求める方法などについて解説します。
ベクトル値関数(曲線)が収束するとき、その関数のスカラー倍として定義される関数もまた収束します。
ベクトル値関数(曲線)が収束するとき、その関数のスカラー関数倍として定義される関数もまた収束します。
収束するベクトル値関数どうしのベクトル和として定義されるベクトル値関数もまた収束します。
収束するベクトル値関数どうしの内積として定義されるスカラー値関数もまた収束します。
ベクトル値関数が連続であることの意味を定義します。
ベクトル値関数(曲線)が定義域上の点において収束するとともに、その極限がその点における関数の値と一致する場合には、関数はその点において連続であると言います。
イプシロンデルタ論法を利用すれば、ベクトル値関数の極限という概念を経由せずとも、ベクトル値関数が連続であることを表現できます。
ベクトル値関数が定義域上の点において連続であること、連続ではないことを点列を用いて判定する方法を解説します。
連続なベクトル値関数が満たす性質について解説します。
連続な1変数関数と連続なベクトル値関数の合成関数として定義される合成関数もまた連続です。
連続な1変数のベクトル値関数のスカラー倍として定義されるベクトル値関数もまた連続です。同様に、片側連続(右側連続・左側連続)なベクトル値関数のスカラー倍として定義されるベクトル値関数もまた片側連続です。
1変数のベクトル値関数が連続であるとき、その関数のスカラー関数倍として定義される関数もまた連続です。
連続な1変数のベクトル値関数どうしのベクトル和として定義されるベクトル値関数も連続です。
連続な1変数のベクトル値関数どうしの内積として定義されるベクトル値関数も連続です。
以下の分野の知識があると本節の内容を円滑に学習できます。
実数を順番に並べたものを数列や実数列と呼びます。数列の項が先に進むにつれてある実数に限りなく近づく場合には、その数列は収束すると言い、その実数を数列の極限と呼びます。
関数に関するテキストと演習問題です。実数の点集合上に定義され実数を値としてとる関数について、収束の概念や連続性の概念を中心に解説します。
n 次元空間上にベクトル加法やスカラー乗法などの演算や大小関係を定義すると、実順序ベクトル空間になります。実順序ベクトル空間上にユークリッド距離と呼ばれる概念を定義したものがユークリッド空間です。
ユークリッド空間上の無限個の点を順番に並べたものを点列と呼びます。点列は実数列を一般化した概念です。ここでは点列が収束することの意味を定義した上で、収束点列の性質について解説します。
ユークリッド距離をもとにユークリッド空間上の開集合と呼ばれる概念を定義した上で、その性質や、関連する概念などについて解説します。
実数空間もしくはその部分集合を定義とし、ユークリッド空間を終集合とする写像を曲線やベクトル値関数などと呼びます。ここでは曲線の収束や連続性などについて解説します。
本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での基礎になります。
多変数関数(スカラー場)という概念を定義するとともに、多変数関数が有限な実数へ収束すること、および連続であることの意味を定義した上で、連続な多変数関数の性質について解説します。
本節では多変数のベクトル値関数(ベクトル場)が収束することの意味や、連続であることの意味を解説します。本節で得られる知識は後に多変数のベクトル値関数の微分について学ぶ際の前提知識となります。
曲線(1変数のベクトル値関数)について、その微分を定義した上で、微分に関して成り立つ様々な性質を解説します。