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1変数のベクトル値関数

1変数関数とベクトル値関数の合成関数の連続性

目次

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1変数関数とベクトル値関数の合成関数の連続性

1変数関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の値域とベクトル値関数\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の定義域の間に、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset Y
\end{equation*}という関係が成り立つ場合には合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because g\circ f\text{の定義} \\
&=&\left( g_{1}\left( f\left( x\right) \right) ,\cdots ,g_{m}\left( x\right)
\right) \quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定めます。ただし、\(g_{i}:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)は\(g\)の成分関数です。

関数\(f\)は定義域上の点\(a\in X\)を含め周辺の任意の点において定義されているとともに点\(a\)において連続であるものとします。合成関数の定義より\(f\left( a\right)\in Y\)ですが、\(g\)は点\(f\left( a\right) \)を含め周辺の任意の点において定義されているとともに点\(f\left(a\right) \)において連続であるものとします。以上の条件が満たされる場合、合成関数\(g\circ f\)もまた点\(a\)において連続であることが保証されます。

命題(1変数関数とベクトル値関数の合成関数の連続性)
1変数関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とベクトル値関数\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の間には\(f\left( X\right) \subset Y\)が成り立つものとする。この場合、合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が定義可能である。\(f\)が定義域上の点\(a\in X\)を含め周辺の任意の点において定義されているとともに点\(a\)において連続であるものとする。\(g\)は点\(f\left( a\right) \in Y\)を含め周辺の任意の点において定義されているとともに点\(f\left(a\right) \)において連続であるものとする。以上の条件のもとでは\(g\circ f\)もまた点\(a\)において連続である。
証明

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例(合成関数の連続性)
1変数関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とベクトル値関数\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の間には\(f\left( X\right) \subset Y\)が成り立つものとします。この場合、合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が定義可能です。\(X\)と\(Y\)がともに\(\mathbb{R} \)上の開集合であるとともに、\(f\)は\(X\)上で連続であり、\(g\)は\(Y\)上で連続であるものとします。\(X\)は開集合であるため、点\(a\in X\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)および周辺の任意の点において定義されており、したがって点\(a\)において連続です。\(Y\)は開集合であるため、\(g\)は点\(f\left( a\right) \)および周辺の任意の点において定義されており、したがって点\(f\left(a\right) \)において連続です。したがって、先の命題より\(g\circ f\)は点\(a\)において連続です。\(X\)上の任意の点において同様であるため、\(g\circ f\)は\(X\)上で連続です。
例(合成関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \sin ^{2}\left( x\right) -\sin \left( x\right)
,\sin \left( x\right) +1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は1変数関数である正弦関数\(\sin \left( x\right) \)とベクトル値関数\(\left(x^{2}-x,x+1\right) \)の合成関数であることに注意してください。点\(a\)を任意に選んだとき、正弦関数の連続性より\(\sin \left(x\right) \)は点\(a\)において連続です。\(\left( x^{2}-x,x+1\right) \)は多項式関数を成分関数とするベクトル値関数であるため点\(\sin \left( a\right) \)において連続です。したがって、先の命題より\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続です。
例(合成関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \cos \left( \left\vert x\right\vert \right) ,\sin
\left( \left\vert x\right\vert \right) \right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は1変数関数である絶対値関数\(\left\vert x\right\vert \)とベクトル値関数\(\left( \cos\left( x\right) ,\sin \left( x\right) \right) \)の合成関数であることに注意してください。点\(a\)を任意に選んだとき、絶対値関数の連続性より\(\left\vert x\right\vert \)は点\(a\)において連続です。\(\left( \cos\left( x\right) ,\sin \left( x\right) \right) \)は余弦関数と正弦関数を成分関数とするベクトル値関数であるため点\(\left\vert a\right\vert \)において連続です。したがって、先の命題より\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続です。

 

先の命題が要求する条件の吟味

繰り返しになりますが、1変数関数\(f\)が点\(a\)において連続であるとともに、ベクトル値関数\(g\)が点\(f\left( a\right) \)において連続である場合には、合成関数\(g\circ f\)もまた点\(a\)において連続であることが保証されます。先の命題において「関数\(f\)が点\(a\)において連続である」という条件や「関数\(g\)が点\(f\left( a\right) \)において連続である」という条件は必須なのでしょうか。

例(合成関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
0 & \left( if\ x\not=0\right) \\
1 & \left( if\ x=0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定め、関数\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left( x,x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because \text{合成関数の定義} \\
&=&\left( f\left( x\right) ,f\left( x\right) \right) \quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定めます。点\(0\)に注目したとき、この合成関数\(g\circ f\)は先の命題が要求する条件を満たしません。実際、関数\(f\)に関しては、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0}0\quad
\because f\text{の定義} \\
&=&0 \\
&\not=&f\left( 0\right) \quad \because f\left( 0\right) =1
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は点\(0\)において連続ではありません。加えて、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0}\left( g\circ f\right) \left( x\right)
&=&\lim_{x\rightarrow 0}\left( f\left( x\right) ,f\left( x\right) \right) \\
&=&\left( \lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) ,\lim_{x\rightarrow
0}f\left( x\right) \right) \\
&=&\left( \lim_{x\rightarrow 0}0,\lim_{x\rightarrow 0}0\right) \quad
\because f\text{の定義} \\
&=&\left( 0,0\right)
\end{eqnarray*}であるとともに、\begin{eqnarray*}
\left( g\circ f\right) \left( 0\right) &=&g\left( f\left( 0\right) \right)
\quad \because g\circ f\text{の定義} \\
&=&g\left( 1\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( 1,1\right) \quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}であるため、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 0}\left( g\circ f\right) \left( x\right) \not=\left(
g\circ f\right) \left( 0\right)
\end{equation*}であり、したがって\(g\circ f\)は点\(0\)において連続ではありません。
例(合成関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x
\end{equation*}を定め、関数\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\left( 0,0\right) & \left( if\ x\not=0\right) \\
\left( 1,1\right) & \left( if\ x=0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because \text{合成関数の定義} \\
&=&g\left( x\right) \quad \because f\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定めます。つまり、合成関数\(g\circ f\)は関数\(g\)と一致します。点\(0\)に注目したとき、この合成関数\(g\circ f\)は先の命題が要求する条件を満たしません。実際、関数\(f\)に関しては、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0}x\quad
\because f\text{の定義} \\
&=&0 \\
&=&f\left( 0\right) \quad \because f\text{の定義}
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は点\(0\)において連続である一方で、点\(f\left( 0\right) =0\)において、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0}g\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0}\left(
0,0\right) \quad \because g\text{の定義} \\
&=&\left( 0,0\right) \\
&\not=&g\left( 0\right) \quad \because g\left( 0\right) =\left( 1,1\right)
\end{eqnarray*}となるため、\(g\)は点\(0\)において連続ではないからです。合成関数\(g\circ f\)は関数\(g\)と一致するため、\(g\circ f\)もまた点\(0\)において連続ではありません。

以上の2つの例が示唆するように、合成関数\(g\circ f\)が点\(a\)において連続であることを保証するためには、先の命題において「関数\(f\)が点\(a\)において連続である」という条件と「関数\(g\)が点\(f\left( a\right) \)において連続である」という条件を外すことはできません。その一方で、関数\(f\)が点\(a\)において連続でない場合に合成関数\(g\circ f\)が点\(a\)において連続になる状況は起こり得ます。以下の例より明らかです。

例(合成関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{1}{x}
\end{equation*}を定めるとともに、関数\(g:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left( \frac{1}{x},\frac{1}{x}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because f\circ g\text{の定義} \\
&=&\left( \frac{1}{f\left( x\right) },\frac{1}{f\left( x\right) }\right)
\quad \because g\text{の定義} \\
&=&\left( \frac{1}{\frac{1}{x}},\frac{1}{\frac{1}{x}}\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( x,x\right)
\end{eqnarray*}を定めます。関数\(f\left(x\right) =\frac{1}{x}\)は点\(0\)において定義されていないため点\(0\)において連続ではありません。その一方で、合成関数\(\left(f\circ g\right) \left( x\right) =\left( x,x\right) \)は点\(0\)において連続です。
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