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収束するベクトル値関数と有界性・局所有界性

目次

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上に有界なベクトル値関数

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{m}\)上に標準的順序\(\leq \)が定義されているものとします。つまり、任意の点\(x,y\in \mathbb{R} ^{m}\)について、\begin{equation*}x\leq y\Leftrightarrow \forall i\in \left\{ 1,\cdots ,m\right\} :x_{i}\leq
y_{i}
\end{equation*}が成り立つものとして\(\leq \)は定義されているということです。以上を踏まえた上で、\(\mathbb{R} ^{m}\)の空ではない部分集合\(A\)について、\(\mathbb{R} ^{m}\)のある点\(U\)が\(A\)の任意の点以上である場合には、すなわち、\begin{equation*}\exists U\in \mathbb{R} ^{m},\ \forall x\in A:x\leq U
\end{equation*}が成り立つならば、\(U\)を\(A\)の上界と呼びます。\(\mathbb{R} ^{m}\)の非空な部分集合\(A\)が上界を持つとき、\(A\)は上に有界であると言います。

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の値域、すなわち\(f\left( x\right) \)がとり得る値からなる集合\begin{equation*}f\left( X\right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in X\right\}
\end{equation*}は\(\mathbb{R} ^{m}\)の空ではない部分集合であるため、上に有界であるか検討できます。値域\(f\left( X\right) \)が上に有界であるとき、すなわち、\begin{equation*}\exists U\in \mathbb{R} ^{m},\ \forall x\in X:f\left( x\right) \leq U
\end{equation*}が成り立つとき、この関数\(f\)は上に有界である(bounded from above)であると言います。また、値域\(f\left( X\right) \)の上界を\(f\)の上界(upper bound)と呼びます。

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が上に有界であるものとし、その上界\(U\in \mathbb{R} ^{m}\)を任意に選びます。上界の定義より、\begin{equation*}\forall x\in X:f\left( x\right) \leq U
\end{equation*}が成り立ちますが、標準的順序\(\leq \)の定義を踏まえると、これは、\begin{equation*}\forall i\in \left\{ 1,\cdots ,m\right\} ,\ \forall x\in X:f_{i}\left(
x\right) \leq U_{i}
\end{equation*}と必要十分です。ただし、\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)は関数\(f\)の成分関数であり、\(U_{i}\)は点\(U\)の第\(i\)成分です。つまり、ベクトル値関数\(f\)のすべての成分関数が上に有界であることと、\(f\)が上に有界であることは必要十分です。

命題(上に有界なベクトル値関数)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が上に有界であることと、\(f\)のすべての成分関数\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が上に有界であることは必要十分である。

上の命題より、ベクトル値関数の上に有界性に関する議論を成分関数の上に有界性に関する議論に置き換えて考えることができます。

例(上に有界なベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 1+\frac{1}{x^{2}+1},2-\frac{1}{x^{2}+1}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。任意の\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( x\right) &=&1+\frac{1}{x^{2}+1}\leq 2 \\
f_{2}\left( x\right) &=&2-\frac{1}{x^{2}+1}\leq 2
\end{eqnarray*}が成り立つため、\(f\)の成分関数である\(f_{1}\)と\(f_{2}\)はともに上に有界です。したがって先の命題より、\(f\)は上に有界でであることが明らかになりました。

先の命題は、ベクトル値関数が上に有界ではないことを示す際にも有用です。つまり、少なくとも1つの成分関数が上に有界ではない場合、もとのベクトル値関数もまた上に有界ではありません。

例(上に有界ではないベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 1+\frac{1}{x^{2}+1},2x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。成分関数\(f_{2}\left( x\right) =2x\)は上に有界ではないため、先の命題より、\(f\)もまた上に有界ではありません。

 

下に有界なベクトル値関数

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{m}\)の空ではない部分集合\(A\)について、\(\mathbb{R} ^{m}\)のある点\(L\)が\(A\)の任意の点以下である場合には、すなわち、\begin{equation*}\exists L\in \mathbb{R} ^{m},\ \forall x\in A:L\leq x
\end{equation*}が成り立つならば、\(L\)を\(A\)の下界と呼びます。\(\mathbb{R} ^{m}\)の非空な部分集合\(A\)が下界を持つとき、\(A\)は下に有界であると言います。

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の値域、すなわち\(f\left( x\right) \)がとり得る値からなる集合\begin{equation*}f\left( X\right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in X\right\}
\end{equation*}は\(\mathbb{R} ^{m}\)の空ではない部分集合であるため、下に有界であるか検討できます。値域\(f\left( X\right) \)が下に有界であるとき、すなわち、\begin{equation*}\exists L\in \mathbb{R} ^{m},\ \forall x\in X:L\leq f\left( x\right)
\end{equation*}が成り立つとき、この関数\(f\)は下に有界である(bounded from below)であると言います。また、値域\(f\left( X\right) \)の下界を\(f\)の上界(upper bound)と呼びます。

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が下に有界であるものとし、その下界\(L\in \mathbb{R} ^{m}\)を任意に選びます。下界の定義より、\begin{equation*}\forall x\in X:L\leq f\left( x\right)
\end{equation*}が成り立ちますが、標準的順序\(\leq \)の定義を踏まえると、これは、\begin{equation*}\forall i\in \left\{ 1,\cdots ,m\right\} ,\ \forall x\in X:L_{i}\leq
f_{i}\left( x\right)
\end{equation*}と必要十分です。ただし、\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)は関数\(f\)の成分関数であり、\(L_{i}\)は点\(L\)の第\(i\)成分です。つまり、ベクトル値関数\(f\)のすべての成分関数が下に有界であることと、\(f\)が下に有界であることは必要十分です。

命題(下に有界なベクトル値関数)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が下に有界であることと、\(f\)のすべての成分関数\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が下に有界であることは必要十分である。

上の命題より、ベクトル値関数の下に有界性に関する議論を成分関数の下に有界性に関する議論に置き換えて考えることができます。

例(下に有界なベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 1+\frac{1}{x^{2}+1},2-\frac{1}{x^{2}+1}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。任意の\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( x\right) &=&1\leq 1+\frac{1}{x^{2}+1} \\
f_{2}\left( x\right) &=&1\leq 2-\frac{1}{x^{2}+1}
\end{eqnarray*}が成り立つため、\(f\)の成分関数である\(f_{1}\)と\(f_{2}\)はともに下に有界です。したがって先の命題より、\(f\)は下に有界でであることが明らかになりました。

先の命題は、ベクトル値関数が下に有界ではないことを示す際にも有用です。つまり、少なくとも1つの成分関数が下に有界ではない場合、もとのベクトル値関数もまた下に有界ではありません。

例(下に有界ではないベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 1+\frac{1}{x^{2}+1},-2x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。成分関数\(f_{2}\left( x\right) =-2x\)は下に有界ではないため、先の命題より、\(f\)もまた下に有界ではありません。

 

有界なベクトル値関数

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が上に有界かつ下に有界であるとき、すなわち、\begin{equation*}\exists U\in \mathbb{R} ^{m},\ \exists L\in \mathbb{R} ^{m},\ \forall x\in X:L\leq f\left( x\right) \leq U
\end{equation*}が成り立つとき、この関数\(f\)は有界(bounded)であると言います。

ベクトル値関数と成分関数の有界性に関する先の2つの命題より以下が得られます。

命題(有界なベクトル値関数)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が有界であることと、\(f\)のすべての成分関数\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が有界であることは必要十分である。
例(有界なベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 1+\frac{1}{x^{2}+1},2-\frac{1}{x^{2}+1}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。任意の\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( x\right) &=&1\leq 1+\frac{1}{x^{2}+1}\leq 2 \\
f_{2}\left( x\right) &=&1\leq 2-\frac{1}{x^{2}+1}\leq 2
\end{eqnarray*}が成り立つため、\(f\)の成分関数である\(f_{1}\)と\(f_{2}\)はともに有界です。したがって先の命題より、\(f\)は有界でであることが明らかになりました。

先の命題は、ベクトル値関数が有界ではないことを示す際にも有用です。つまり、少なくとも1つの成分関数が有界ではない場合、すなわち上に有界でないか下に有界でないかの少なくとも一方である場合、もとのベクトル値関数もまた有界ではありません。

例(有界ではないベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset (0,1]\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in (0,1]\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \frac{1}{x},-\frac{1}{x}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。成分関数\(f_{1}\left( x\right) =\frac{1}{x}\)の値域は、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( (0,1]\right) &=&\left\{ f_{1}\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in (0,1]\right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ \frac{1}{x}\in \mathbb{R} \ |\ x\in (0,1]\right\} \quad \because f_{1}\left( x\right) \text{の定義} \\
&=&[1,+\infty )
\end{eqnarray*}であるため\(f_{1}\left( x\right) \)は上に有界ではなく、したがって有界でもありません。先の命題より、これは\(f\)が有界でないことも同時に意味します。ちなみに、もう一方の成分関数\(f_{2}\left( x\right) =-\frac{1}{x}\)の値域は、\begin{eqnarray*}f_{2}\left( (0,1]\right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in (0,1]\right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ -\frac{1}{x}\in \mathbb{R} \ |\ x\in (0,1]\right\} \quad \because f_{2}\left( x\right) \text{の定義} \\
&=&(-\infty ,-1] \end{eqnarray*}であるため\(f_{1}\left( x\right) \)は下に有界ではなく、したがって有界でもありません。\(0<a<1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、この関数\(f\)の定義域を\(\left[ a,1\right] \)に縮小するとどうなるでしょうか。この場合、成分関数\(f_{1}\left( x\right) =\frac{1}{x}\)の値域は、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( \left[ a,1\right] \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ a,1\right] \right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ \frac{1}{x}\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ a,1\right] \right\} \quad \because f_{1}\left( x\right)
\text{の定義} \\
&=&\left[ 1,\frac{1}{a}\right] \end{eqnarray*}となるため\(f_{1}\left( x\right) \)は有界です。もう一方の成分関数\(f_{2}\left( x\right) =-\frac{1}{x}\)の値域は、\begin{eqnarray*}f_{2}\left( \left[ a,1\right] \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ a,1\right] \right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ -\frac{1}{x}\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ a,1\right] \right\} \quad \because f_{2}\left( x\right)
\text{の定義} \\
&=&\left[ -\frac{1}{a},-1\right] \end{eqnarray*}となるため\(f_{2}\left( x\right) \)は有界です。したがって先の命題より、定義域を\(\left[ a,1\right] \)へ縮小した\(f\)は有界です。

ユークリッド空間の部分集合が有界であることは様々な形で表現可能であるため、それにあわせてベクトル値関数の有界性を様々な形で表現できます。具体例を上げると、ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{m}\)の非空な部分集合\(A\)に対して、\begin{equation*}\exists y\in \mathbb{R} ^{m},\ \exists \varepsilon \in \mathbb{R} ,\ \forall x\in A:d\left( x,y\right) \leq \varepsilon
\end{equation*}が成り立つことは、\(A\)が有界であるための必要十分です。ただし、\(d\)は\(\mathbb{R} ^{m}\)上のユークリッド距離関数です。この命題において\(A\)をベクトル値関数の値域と読み替えることにより以下を得ます。

命題(距離を用いた有界性の表現)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)に対して、\begin{equation*}\exists y\in \mathbb{R} ^{m},\ \exists \varepsilon \in \mathbb{R} ,\ \forall x\in X:d\left( f\left( x\right) ,y\right) \leq \varepsilon
\end{equation*}が成り立つことは、\(f\)が有界であるための必要十分条件である。

以上の命題より、ベクトル値関数\(f\)が有界であることは、\(f\)の値域に属する任意の点\(f\left( x\right) \)からの距離が有限な実数になるような\(\mathbb{R} ^{m}\)の点が存在することと必要十分であることが明らかになりました。この定義を採用すれば、標準的順序を前提とせずにベクトル値関数の有界性を議論できます。

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{m}\)の非空な部分集合\(A\)が有界であることは、\begin{equation*}\exists \varepsilon \in \mathbb{R} ,\ \forall x,y\in A:d\left( x,y\right) \leq \varepsilon
\end{equation*}が成り立つこととも必要十分です。この命題において\(A\)をベクトル値関数の値域と読み替えることにより以下を得ます。

命題(距離を用いた有界性の表現)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)に対して、\begin{equation*}\exists \varepsilon \in \mathbb{R} ,\ \forall x,y\in X:d\left( f\left( x\right) ,f\left( y\right) \right) \leq
\varepsilon
\end{equation*}が成り立つことは、\(f\)が有界であるための必要十分条件である。

以上の命題より、ベクトル値関数\(f\)が有界であることは、\(f\)の値域に属する任意の2つの点の間の距離が有限な実数であることと必要十分であることが明らかになりました。

 

収束するベクトル値関数と有界性

収束するベクトル値関数は有界であるとは限りません。以下の例より明らかです。

例(収束するが有界ではないベクトル値関数)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( x,x^{2}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\left(
x,x^{2}\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( \lim_{x\rightarrow a}x,\lim_{x\rightarrow a}x^{2}\right) \quad
\because \text{ベクトル値関数の極限と成分関数の極限} \\
&=&\left( a,a^{2}\right) \\
&\in &\mathbb{R} ^{2}\quad \because a\in \mathbb{R} \end{eqnarray*}が成り立ちます。その一方で、成分関数\(f_{1}\left( x\right) =x\)の値域は、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ f_{1}\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because f_{1}\text{の定義} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}であるため\(f_{1}\left( x\right) \)は有界ではなく、したがって\(f\)もまた有界ではありません。

 

局所有界なベクトル値関数

先に例を通じて確認したように、ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が有界でない場合においても、その定義域を何らかの集合\(Y\subset X\)に制限すれば\(f\)が有界になる状況は起こり得ます。この場合、\(f\)は\(Y\)上で有界(bounded on \(Y\))であると言います。

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が点\(a\in \mathbb{R} \)の周辺の任意の点において定義されているものとします。\(f\)は必ずしも点\(a\)において定義されている必要はありません。いずれにせよ、点\(a\)を中心とする何らかの開近傍\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right)
\end{equation*}が存在して、\(f\)が\(N_{\varepsilon}\left( a\right) \cap X\)上で有界になるならば、すなわち、\begin{eqnarray*}f\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap X\right) &=&\left\{ f\left(
x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap X\right\} \\
&=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \cap X\right\}
\end{eqnarray*}が有界になるような正の実数\(\varepsilon >0\)が存在する場合には、\(f\)は\(a\)の周辺において局所有界(locally bounded around \(a\))であると言います。

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が点\(a\in \mathbb{R} \)の周辺において局所有界であるものとします。つまり、ある半径\(\varepsilon \in \mathbb{R} \)および点\(U,L\in \mathbb{R} ^{m}\)に対して、\begin{equation*}\forall x\in N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap X:L\leq f\left( x\right)
\leq U
\end{equation*}が成り立つということです。標準的順序\(\leq \)の定義を踏まえると、これは、\begin{equation*}\forall i\in \left\{ 1,\cdots ,m\right\} ,\ \forall x\in N_{\varepsilon
}\left( a\right) \cap X:L_{i}\leq f_{i}\left( x\right) \leq U_{i}
\end{equation*}と必要十分です。ただし、\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)は関数\(f\)の成分関数であり、\(L_{i}\)は点\(L\)の第\(i\)成分であり、\(U_{i}\)は点\(U\)の第\(i\)成分です。つまり、ベクトル値関数\(f\)のすべての成分関数が点\(a\)の周辺において局所有界であることと、\(f\)が点\(a\)の周辺において局所有界であることは必要十分です。

命題(局所有界なベクトル値関数)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が点\(a\in \mathbb{R} \)の周辺において局所有界であることと、\(f\)のすべての成分関数\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が点\(a\)の周辺において有界であることは必要十分である。

上の命題より、ベクトル値関数の局所有界性に関する議論を成分関数の局所有界性に関する議論に置き換えて考えることができます。

例(局所有界なベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( x,-x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は有界ではありません(確認してください)。一方、点\(a\in \mathbb{R} \)と正の実数\(\varepsilon >0\)をそれぞれ任意に選んだとき、成分関数\(f_{1}\left(x\right) =x\)に関しては、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap \mathbb{R} \right) &=&\left\{ f_{1}\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap \mathbb{R} \right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \right\} \quad
\because f_{1}\left( x\right) \text{の定義} \\
&=&\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right)
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
f_{1}\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap \mathbb{R} \right) \subset \left[ a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right] \end{equation*}が成り立ちますが、これは\(f_{1}\left( x\right) \)が点\(a\)の周辺において局所有界であることを意味します。座標関数\(f_{2}\left(x\right) =-x\)に関しては、\begin{eqnarray*}f_{2}\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap \mathbb{R} \right) &=&\left\{ f_{2}\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap \mathbb{R} \right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ -x\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \right\} \quad
\because f_{2}\left( x\right) \text{の定義} \\
&=&\left( -a-\varepsilon ,-a+\varepsilon \right)
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
f_{2}\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap \mathbb{R} \right) \subset \left[ -a-\varepsilon ,-a+\varepsilon \right] \end{equation*}が成り立ちますが、これは\(f_{1}\left( x\right) \)が点\(a\)の周辺において局所有界であることを意味します。したがって先の命題より、\(f\)は点\(a\)の周辺において局所有界です。\(\mathbb{R} \)の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)の任意の点の周辺において局所有界であることが明らかになりました。

先の命題は、ベクトル値関数が局所有界ではないことを示す際にも有用です。つまり、少なくとも1つの成分関数が局所有界ではない場合、もとのベクトル値関数もまた局所有界ではありません。

例(局所有界ではないベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \frac{1}{x},2x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は有界ではありません(確認してください)。点\(0\)に注目したとき、任意の実数\(\varepsilon \)について、座標関数\(f_{1}\left(x\right) =\frac{1}{x}\)は、\begin{eqnarray*}f_{1}\left( N_{\varepsilon }\left( 0\right) \cap \left( \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \right) \right) &=&\left\{ f_{1}\left(
x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in N_{\varepsilon }\left( 0\right) \cap \left( \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \right) \right\} \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ \frac{1}{x}\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left( -\varepsilon ,0\right) \cup \left( 0,\varepsilon \right)
\right\} \quad \because f_{1}\left( x\right) \text{の定義}
\\
&=&\left( -\infty ,0\right) \cup \left( 0,+\infty \right)
\end{eqnarray*}となるため、\(f_{1}\left( x\right) \)は点\(0\)の周辺において局所有界ではありません。したがって先の命題より、\(f\)もまた点\(0\)の周辺において局所有界ではありません。

 

収束するベクトル値関数と局所有界性

先に確認したように、収束するベクトル値関数は有界であるとは限りません。一方、ベクトル値関数が点において収束する場合、その点の周辺において局所有界であることは保証されます。

命題(収束するベクトル値関数と局所有界性)
ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(a\in \mathbb{R} \)について、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\)が\(\mathbb{R} ^{m}\)の点に収束するならば、\(f\)は点\(a\)の周辺において局所有界である。
証明

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ある点において収束するベクトル値関数はその点の周辺において局所有界であることが明らかになりました。対偶より、ある点の周辺において局所有界ではないベクトル値関数はその点において収束しません。

例(収束するベクトル値関数と局所有界性)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \frac{1}{x},2x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。先に示したように、この関数\(f\)は点\(0\)の周辺において局所有界ではありません。したがって、上の命題より、この関数\(f\)は\(x\rightarrow 0\)のときに\(\mathbb{R} ^{2}\)の点に収束しません。実際、成分関数\(f_{1}\left(x\right) =\frac{1}{x}\)に関して、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0}f_{1}\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0}\left(
\frac{1}{x}\right) \quad \because f_{1}\text{の定義} \\
&=&+\infty
\end{eqnarray*}が成り立つため、\(f\)もまた\(x\rightarrow 0\)のときに\(\mathbb{R} ^{2}\)の点に収束しません。

逆に、ある点の周辺において局所有界なベクトル値関数はその点において収束するのでしょうか。以下の例が示唆するように、ある点において局所有界なベクトル値関数はその点において収束するとは限りません。

例(局所有界だが収束しないベクトル値関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \sin \left( \frac{1}{x}\right) ,\cos \left( \frac{1}{x}\right) \right)
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は点\(0\)の周辺において局所有界である一方、\(x\rightarrow 0\)のときに\(\mathbb{R} ^{2}\)の点に収束しません(演習問題)。
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