それぞれの実数に対して実数を1つずつ定める規則を関数と呼びます。
関数 f の値域が関数 g の定義域の部分集合である場合には、f の定義域のそれぞれの値 x に対して g(f(x)) を定めるような関数が定義可能であり、これを f と g の合成写像と呼びます。
狭義単調関数は全単射であるため、終集合を値域に制限すれば全単射になります。したがって、その逆関数が必ず存在します。特に、狭義単調増加関数の逆関数は狭義単調増加であり、狭義単調減少関数の逆関数は狭義単調減少です。
多項式関数について解説します。
入力した値に等しい値を返す関数を恒等関数と呼びます。恒等関数は狭義単調増加関数であるとともに、定義域と値域は一致します。したがって、全区間上に定義された恒等関数は逆関数を持ち、それもまた恒等関数になります。また、恒等関数と任意の関数の合成関数もまた恒等関数になります。
正の実数であるような底を所与としたとき、指数を変数とし、累乗を値として定めるような関数を指数関数と呼びます。特に、ネイピア数を底とする指数関数を自然指数関数と呼びます。指数関数は正の実数を値としてとる狭義単調関数です。
ベキ関数について解説します。
次数が自然数であるようなベキ関数を自然数ベキ関数と呼びます。次数が奇数である場合、自然数ベキ関数は狭義単調増加関数になります。次数が偶数である場合、非正の区間において狭義単調減少になり、非負の区間において狭義単調増加になります。
次数が整数であるようなベキ関数を整数ベキ関数と呼びます。次数が負の奇数である場合、整数ベキ関数は狭義単調減少関数になります。次数が負の偶数である場合、負の区間において狭義単調増加であり、正の区間において狭義単調減少です。
三角関数について解説します。
角および角度の概念を定義した上で、角度を表現する手法である度数法と弧度法について解説します。度数法は私たちになじみ深い「度」を単位に角度を測る手法である一方、弧度法では「ラジアン」を利用します。
それぞれのラジアンに対してその正弦(サイン)を定める関数を正弦関数(サイン関数)と呼びます。正弦関数のグラフを正弦曲線(サイン・カーブ)と呼びます。
それぞれのラジアンに対してその余弦(コサイン)を定める関数を余弦関数(コサイン関数)と呼びます。余弦関数のグラフを余弦曲線(コサイン・カーブ)と呼びます。
余弦の値が非ゼロになるようなそれぞれのラジアンに対してその正接(タンジェント)を定める関数を正接関数(タンジェント関数)と呼びます。正接関数のグラフを正接曲線(タンジェント・カーブ)と呼びます。
正弦関数(サイン関数)の定義域を適当な形で制限すれば全単射になるため、その逆関数である逆正弦関数(アークサイン関数)を定義することができます。
余弦関数(コサイン関数)の定義域を適当な形で制限すれば全単射になるため、その逆関数である逆余弦関数(アークコサイン関数)を定義することができます。
正接関数(タンジェント関数)の定義域を適当な形で制限すれば全単射になるため、その逆関数である逆正接関数(アークタンジェント関数)を定義することができます。
関数の極限について解説します。
実数の点集合上に定義された実数値関数を議論の対象とした上で、そのような関数が収束することの直感的な意味を解説し、さらにイプシロン・デルタ論法を用いて厳密に定義します。
関数の片側極限について解説します。
関数が点において収束することの定義において、変数がその点に近づいていく際の経路に関して特に制約は設けられていません。一方、変数が点に近づいていく際の経路を指定する形で関数の極限を定義することも可能であり、その場合の極限を片側極限と呼びます。
変数が限りなく大きく(小さく)なる場合の関数の極限について解説します。
関数の極限に関する性質について解説します。
関数が有界であることの意味、関数が点の周辺において局所有界であることの意味を定義します。また、関数が点において有限な実数へ収束するとき、その点の周辺において局所有界であることを示します。
収束する関数を定数倍して得られる関数もまた収束し、新たな関数の極限はもとの関数の極限の定数倍になります。また、このような関係は無限極限に関しても拡張可能です。
収束する関数どうしの差として得られる関数もまた収束し、新たな関数の極限はもとの関数の極限の差になります。また、このような関係は一定の条件のもとで無限極限に関しても拡張可能です。
収束する関数どうしの積として得られる関数もまた収束し、新たな関数の極限はもとの関数の極限の積になります。また、このような関係は一定の条件のもとで無限極限に関しても拡張可能です。
収束する関数どうしの商として得られる関数もまた収束し、新たな関数の極限はもとの関数の極限の商になります。また、このような関係は一定の条件のもとで無限極限に関しても拡張可能です。
定義域を共有する2つの収束関数について、一方の関数が定める値が他方の関数が定める値以上であるとき、両者の極限についても同様の大小関係が成り立ちます。また、はさみうちの定理と呼ばれる有益な命題についても解説します。
代表的な関数の極限について解説します。
関数 sin(x)/x の点0における極限および無限大における極限を求めます。この関数の極限を利用することにより正弦関数に関する様々な関数の極限を容易に導出できるようになります。加えて、三角関数の微分について考える際にもこの関数は重要な役割を果たします。
逆正弦関数(arcsin関数・アークサイン関数)や逆正弦関数との合成関数について、その極限、片側極限、および無限大における極限を求める方法を解説します。
逆余弦関数(arccos関数・アークコサイン関数)や逆余弦関数との合成関数について、その極限、片側極限、および無限大における極限を求める方法を解説します。
逆正接関数(arctan関数・アークタンジェント関数)や逆正接関数との合成関数について、その極限、片側極限、および無限大における極限を求める方法を解説します。
不定形と呼ばれるタイプの極限を定義するとともに、不定形を解消する方法を解説します。
2つの関数の商として定義されている関数について、分子の関数と分母の関数がともにゼロへ収束する場合、もとの関数の極限を0/0型の不定形と呼びます。不定形の極限は有限な実数として定まる場合とそうでない場合の両方が起こり得ます。
2つの関数の商として定義されている関数について、分子の関数と分母の関数がともに無限大へ発散する場合、もとの関数の極限を∞/∞型の不定形と呼びます。不定形の極限は有限な実数として定まる場合とそうでない場合の両方が起こり得ます。
2つの関数の積として定義されている関数について、一方がゼロへ収束する一方で他方が無限大へ発散する場合、もとの関数の極限を0×∞型の不定形と呼びます。不定形の極限は有限な実数として定まる場合とそうでない場合の両方が起こり得ます。
2つの関数の差として定義されている関数について、2つの関数がともに正の無限大へ発散する場合、もしくはともに負の無限大へ発散する場合、もとの関数の極限を∞-∞型の不定形と呼びます。不定形の極限は有限な実数として定まる場合とそうでない場合の両方が起こり得ます。
関数の関数べき乗として定義される関数について、底に相当する関数が1へ収束する一方で指数に相当する関数が無限大へ発散する場合、もとの関数の極限を1^∞型の不定形と呼びます。
関数の関数べき乗として定義される関数について、底に相当する関数と指数に相当する関数がともに0へ収束する場合、もとの関数の極限を00型の不定形と呼びます。
関数の関数べき乗として定義される関数について、底に相当する関数が無限大へ発散する一方で指数に相当する関数が0へ収束する場合、もとの関数の極限を∞0型の不定形と呼びます。
関数の極限が不定形である場合でも、関数を変形してから極限をとることにより不定形を解消できる場合があります。約分、因数分解、有理化などを通じて不定形を解消する方法を解説します。
関数の極限が不定形である場合でも、関数の極限公式を用いることにより不定形を解消できる場合があります。三角関数やネイピア数に関する極限公式を用いて不定形を解消する方法を解説します。
0/0型の不定形の極限が有限な実数として定まるかを判定する際に、一定の条件のもとでは微分を利用できます。これをロピタルの定理と呼びます。
関数が連続であることの意味を解説します。
関数の変数が定義域上のある点に限りなく近づくにつれて関数の値が有限な極限へ収束するとともに、その点における関数の値が先の極限と一致する場合、関数はその点において連続であると言います。
関数による任意の開集合の逆像が開集合であることは、その関数が定義域上において連続であるための必要十分条件です。また、関数による任意の有界開区間の逆像が開集合であることもまた、関数が連続であるための必要十分条件です。
関数が上半連続であること、および下半連続の意味を方位集合と呼ばれる概念を用いて定義します。関数が上半連続かつ下半連続であることはその関数が連続であるための必要十分条件です。
代表的な関数の連続性を示すとともに、連続関数の性質を解説します。
関数が定義域上の点において右側極限を持つとともに、それがその点における関数の値と一致する場合、その関数はその点において右側連続であると言います。また、関数が定義域上の点において左側極限を持つとともに、それがその点における関数の値と一致する場合、その関数はその点において左側連続であると言います。
関数が定義域上の点において連続であるとき、その点を連続点と呼びます。一方、関数が定義域上の点において連続ではないとき、その点を不連続点と呼びます。不連続点は第1種と第2種の2種類に分類され、さらに第1種の不連続点は除去可能な不連続点と跳躍不連続点に分類されます。
代表的な関数の連続性を示すとともに、連続関数の性質を解説します。
区間上に定義された連続な狭義単調関数の逆関数もまた区間上に定義された連続な狭義単調関数になります。定義域が区間ではない場合、同様の主張は成り立つとは限りません。
関数が一様連続であることの意味を定義します。
一様連続な1変数関数は連続である一方、連続関数は一様連続であるとは限りません。ただ、連続関数の定義域がコンパクト集合である場合、その関数が一様連続であることが保証されます。
以下の分野の知識があると本セクションの内容を円滑に理解できます。
実数を無限小数として定義する場合、実数に関する議論はすべて無限小数に関する議論として行うことになり面倒です。そこで代替的な方法として公理主義的なアプローチのもとで実数を定義します。ここでは実数を特徴づける公理について解説します。
本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での土台になります。
1変数関数の微分の概念を定義した上で、微分の基本性質や初等関数の微分、平均値の定理、高階の微分、テイラーの定理などについて学びます。これらの知識は後に1変数関数を目的関数とする最適化について学ぶ上での基盤になります。