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狭義単調関数の逆関数

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狭義単調関数から生成される全単射

復習になりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)の定義域に属する異なる要素\(a,a^{\prime}\in A\)を任意に選んだとき、\(f\)によるそれらの像\(f\left( a\right) ,f\left( a^{\prime }\right) \)もまた異なることが保証される場合には、すなわち、\begin{equation*}\forall a,a^{\prime }\in A:\left[ a\not=a^{\prime }\Rightarrow f\left(
a\right) \not=f\left( a^{\prime }\right) \right] \end{equation*}が成り立つ場合には、\(f\)を単射と呼びます。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は特別な写像であるため、関数に関しても、それが単射であるか判定可能です。関数\(f\)が狭義単調増加である場合、\(x\not=x^{\prime }\)を満たす\(x,x^{\prime }\in X\)を任意に選ぶと\(x<x^{\prime }\)か\(x^{\prime }<x\)のどちら一方が成り立ちます。\(x<x^{\prime }\)の場合には\(f\)が狭義単調増加であることから\(f\left( x\right)<f\left( x^{\prime }\right) \)となりますが、これは\(f\left( x\right) \not=f\left( x^{\prime}\right) \)を意味します。\(x^{\prime}<x\)の場合も同様にして\(f\left( x^{\prime }\right) \not=f\left( x\right) \)が導かれるため、\(f\)は単射であることが示されました。狭義単調増加関数は単射であるということです。狭義単調減少関数が単射であることも同様にして示されます。

命題(狭義単調関数は単射)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が狭義単調関数であるならば、\(f\)は単射である。

上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、単射は狭義単調関数であるとは限りません。以下の例より明らかです。

例(単射だが狭義単調ではない関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left\{ 1,2,3\right\} \rightarrow \left\{ 4,5,6\right\} \)が、\begin{eqnarray*}f\left( 1\right) &=&4 \\
f\left( 2\right) &=&6 \\
f\left( 3\right) &=&5
\end{eqnarray*}を満たすものとします。この\(f\)は単射である一方で狭義単調関数ではありません(演習問題にします)。

上の命題において「狭義単調関数」という条件を「単調関数」に置き換えたとき、主張は成り立つとは限りません。単調関数は単射であるとは限らないということです。以下の例から明らかです。

例(単射ではない単調関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、定数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c
\end{equation*}と表されるものとします。この\(f\)は単調関数である一方で単射ではありません(演習問題にします)。

復習になりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)の終集合の要素\(b\in B\)を任意に選んだとき、それに対して\(b=f\left( a\right) \)を満たす定義域の要素\(a\in A\)が存在することが保証される場合には、すなわち、\begin{equation*}\forall b\in B,\ \exists a\in A:b=f\left( a\right)
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(f\)を全射と呼びます。一般に、写像\(f:A\rightarrow B\)が与えられたとき、その終集合を値域\begin{equation*}f\left( A\right) =\left\{ f\left( a\right) \in B\ |\ a\in A\right\}
\end{equation*}に制限して\(f:A\rightarrow f\left( A\right) \)とすれば、それぞれの\(b\in f\left( A\right) \)に対して\(b=f\left(a\right) \)を満たす\(a\in A\)が必ず存在するため、この\(f\)は全射になります。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は特別な写像であるため、同様の議論が成り立ちます。つまり、関数\(f\)の終集合を値域\begin{equation*}f\left( X\right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in X\right\}
\end{equation*}に制限して\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)とすればこれは全射になります。

命題(関数から作られる全射)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)は全射である。

単射かつ全射であるような写像を全単射と呼びます。関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が狭義単調関数であるものとします。先の命題より\(f\)は単射です。さらに\(f\)の終集合を値域に制限して\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)とすれば全射になります。単射の定義域を制限してもそれは相変わらず単射です。したがって、狭義単調関数\(f\)の終集合を値域に制限した\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)は全単射であることが明らかになりました。

命題(狭義単調関数から作られる全単射)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が狭義単調関数であるならば、\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)は全単射である。

この命題の逆は成立するとは限りません。なぜなら、先に示したように単射であるような関数は狭義単調であるとは限らないからです。また、上の命題において「狭義単調関数」の部分を「単調関数」に置き換えて得られる主張は成り立つとは限りません。単調関数は単射であるとは限らないからです。

例(狭義単調関数から作られる全単射)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left\{ 1,2,3\right\} \rightarrow \left\{ 4,5,6\right\} \)が、\begin{eqnarray*}f\left( 1\right) &=&4 \\
f\left( 2\right) &=&5 \\
f\left( 3\right) &=&6
\end{eqnarray*}を満たす場合、\(f\)は狭義単調増加関数です。\(f\)の値域は\(\left\{ 4,5,6\right\} \)であるため、この関数は全単射でもあります。
例(狭義単調関数から作られる全単射)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =6x+2
\end{equation*}を定めるものとします。先に示したように、この関数は狭義単調増加であるため単射です。加えて、\(f\)の値域は、\begin{eqnarray*}f\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\left\{ 6x+2\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}であり、これは終集合\(\mathbb{R} \)と一致するため、この関数は全単射でもあります。
例(狭義単調関数から作られる全単射)
関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{+}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。ただし\(\mathbb{R} _{+}\)はすべての非負の実数からなる集合です。\(x_{1}<x_{2}\)を満たす\(x_{1},x_{2}\in \mathbb{R} _{+}\)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}f\left( x_{2}\right) -f\left( x_{1}\right) &=&x_{2}^{2}-x_{1}^{2}\quad
\because f\text{の定義} \\
&=&\left( x_{2}+x_{1}\right) \left( x_{2}-x_{1}\right) \\
&>&0\quad \because x_{1},x_{2}\in \mathbb{R} _{+}\text{かつ}x_{1}<x_{2}
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation*}
f\left( x_{2}\right) >f\left( x_{1}\right)
\end{equation*}となるため\(f\)は狭義単調増加関数であり、したがって単射です。加えて、\(f\)の値域は、\begin{eqnarray*}f\left( \mathbb{R} _{+}\right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} _{+}\right\} \\
&=&\left\{ x^{2}\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} _{+}\right\} \\
&=&\mathbb{R} _{+}
\end{eqnarray*}であるため、\(f\)の終集合を値域に制限した\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)は全射であり、したがって全単射でもあります。

 

狭義単調関数の逆関数

繰り返しになりますが、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が狭義単調関数であるならば、終集合を値域に制限して得られる関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)は全単射になるため、その逆関数\(f^{-1}:f\left( X\right) \rightarrow X\)が存在することが保証されるとともに、逆関数\(f^{-1}\)もまた全単射になります。特に、\(f\)が狭義単調増加である場合には\(f^{-1}\)もまた狭義単調増加であり、\(f\)が狭義単調減少である場合には\(f^{-1}\)もまた狭義単調減少になります。

問題(狭義単調関数の逆関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が狭義単調関数であるならば、逆関数\(f^{-1}:f\left( X\right) \rightarrow X\)が存在する。特に、\(f\)が狭義単調増加であるならば\(f^{-1}\)もまた狭義単調増加であり、\(f\)が狭義単調減少であるならば\(f^{-1}\)もまた狭義単調減少である。
証明

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例(狭義単調関数の逆関数)
先に示したように、関数\(f:\mathbb{R} \supset \left\{ 1,2,3\right\} \rightarrow \left\{ 4,5,6\right\} \)が、\begin{eqnarray*}f\left( 1\right) &=&4 \\
f\left( 2\right) &=&5 \\
f\left( 3\right) &=&6
\end{eqnarray*}を満たす場合、これは全単射です。したがって逆関数\(f^{-1}:\left\{4,5,6\right\} \rightarrow \left\{ 1,2,3\right\} \)が存在し、これは、\begin{eqnarray*}f^{-1}\left( 4\right) &=&1 \\
f^{-1}\left( 5\right) &=&2 \\
f^{-1}\left( 6\right) &=&3
\end{eqnarray*}を満たします。\(f\)と\(f^{-1}\)はともに狭義単調増加関数であるため、先の命題の主張と整合的です。
例(狭義単調関数の逆関数)
先に示したように、関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =6x+2
\end{equation*}を定めるとき、これは全単射です。したがって逆関数\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在します。そこで、\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} \times \mathbb{R} \)であることを踏まえた上で、\begin{equation*}y=f\left( x\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
y=6x+2
\end{equation*}とおき、これを\(x\)について解くと、\begin{equation*}x=\frac{y-2}{6}
\end{equation*}となるため、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =\frac{y-2}{6}
\end{equation*}を得ます。これが逆関数\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が\(y\in \mathbb{R} \)に対して定める値です。\(f\)と\(f^{-1}\)はともに狭義単調増加関数であるため、先の命題の主張と整合的です。
例(狭義単調関数の逆関数)
先に示したように、関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{+}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を定めるとき、これは全単射です。したがって逆関数\(f^{-1}:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が存在します。そこで、\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{+}\times \mathbb{R} _{+}\)であることを踏まえた上で、\begin{equation*}y=f\left( x\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
y=x^{2}
\end{equation*}とおき、これを\(x\)について解くと、\begin{equation*}x=\sqrt{y}
\end{equation*}となるため、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =\sqrt{y}
\end{equation*}を得ます。これが逆関数\(f^{-1}:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が\(y\in \mathbb{R} _{+}\)に対して定める値です。\(f\)と\(f^{-1}\)はともに狭義単調増加関数であるため、先の命題の主張と整合的です。

 

演習問題

問題(単射だが狭義単調ではない関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left\{ 1,2,3\right\} \rightarrow \left\{ 4,5,6\right\} \)が、\begin{eqnarray*}f\left( 1\right) &=&4 \\
f\left( 2\right) &=&9 \\
f\left( 3\right) &=&5
\end{eqnarray*}を満たすものとします。この\(f\)は単射である一方で狭義単調ではないことを示してください。
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問題(単射ではない単調関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、定数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c
\end{equation*}と表されるものとします。この\(f\)は単調関数である一方で単射ではないことを示してください。
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