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関数

正弦関数(sin関数)の極限

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正弦関数の極限

正弦関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}であるということです。

点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(x\rightarrow a\)の場合に\(f\)は有限な実数へ収束するとともに、その極限は、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =\sin \left( a\right)
\end{equation*}となります。

命題(正弦関数の極限)

関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =\sin \left( a\right)
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( 3x^{2}+2x+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(3x^{2}+2x+1\)と正弦関数\(\sin \left( x\right) \)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、多項式関数の極限より、\begin{equation}\lim_{x\rightarrow a}\left( 3x^{2}+2x+1\right) =3a^{2}+2a+1 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立ちます。\(3a^{2}+2a+1\in \mathbb{R} \)であるため、正弦関数の極限より、\begin{equation}\lim_{x\rightarrow 3a^{2}+2a+1}\sin \left( x\right) =\sin \left(
3a^{2}+2a+1\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます(関数\(\sin \left( x\right) \)は点\(3a^{2}+2a+1\)において連続)。したがって、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\sin \left(
3x^{2}+2x+1\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\sin \left( 3a^{2}+2a+1\right) \quad \because \left( 1\right) ,\left(
2\right) \text{および合成関数の極限}
\end{eqnarray*}となります。

例(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( \frac{x^{2}-1}{x-1}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(x\rightarrow 0\)の場合の\(f\)の極限を求めます。\(f\)は有理関数\(\frac{x^{2}-1}{x-1}\)と正弦関数\(\sin \left( x\right) \)の合成関数であることに注意してください。\(\frac{x^{2}-1}{x-1}\)は点\(0\)の周辺の任意の点において定義されているため、有理関数の極限より、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0}\left( \frac{x^{2}-1}{x-1}\right)
&=&\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\left( x+1\right) \left( x-1\right) }{x-1} \\
&=&\lim_{x\rightarrow 0}\left( x+1\right) \\
&=&1
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation}
\lim_{x\rightarrow 0}\left( \frac{x^{2}-1}{x-1}\right) =1 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立ちます。\(1\in \mathbb{R} \)であるため、正弦関数の極限より、\begin{equation}\lim_{x\rightarrow 1}\sin \left( x\right) =\sin \left( 1\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます(関数\(\sin \left( x\right) \)は点\(1\)において連続)。したがって、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\sin \left(
\frac{x^{2}-1}{x-1}\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\sin \left( 1\right) \quad \because \left( 1\right) ,\left( 2\right)
\text{および合成関数の極限}
\end{eqnarray*}となります。

 

正弦関数の片側極限

片側極限に関しても同様の主張が成り立ちます。

命題(正弦関数の片側極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \lim_{x\rightarrow a+}f\left( x\right) =\sin \left(
a\right) \\
&&\left( b\right) \ \lim_{x\rightarrow a-}f\left( x\right) =\sin \left(
a\right)
\end{eqnarray*}がともに成り立つ。

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例(正弦関数の片側極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\sin \left( x\right) & \left( if\ x<0\right) \\
x+1 & \left( if\ x\geq 0\right)\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(a<0\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、その周辺の任意の点\(x\)において\(f\left( x\right) =\sin \left(x\right) \)であるため、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\sin \left(
x\right) \\
&=&\sin \left( a\right) \quad \because \text{正弦関数の極限}
\end{eqnarray*}となります。点\(0\)より小さい周辺の任意の点\(x\)において\(f\left( x\right) =\sin \left(x\right) \)であるため、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0-}\sin \left(
x\right) \\
&=&\sin \left( 0\right) \quad \because \text{正弦関数の左側極限} \\
&=&0
\end{eqnarray*}である一方で、点\(0\)より大きい周辺の任意の点\(x\)において\(f\left( x\right) =x+1\)であるため、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0+}\left(
x+1\right) \\
&=&0+1\quad \because \text{多項式関数の右側極限} \\
&=&1
\end{eqnarray*}となります。つまり、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 0-}f\left( x\right) \not=\lim_{x\rightarrow 0+}f\left(
x\right)
\end{equation*}であるため、\(x\rightarrow 0\)のときに\(f\)は有限な実数へ収束しません。\(a>0\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、その周辺の任意の点\(x\)において\(f\left( x\right) =x+1\)であるため、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\left(
x+1\right) \\
&=&a+1\quad \because \text{多項式関数の極限}
\end{eqnarray*}となります。

 

正弦関数の無限大における極限

正弦関数\(\sin \left( x\right) \)は周期\(2\pi \)の周期関数であるため、\(x\rightarrow +\infty \)の場合や\(x\rightarrow -\infty \)の場合に\(\sin\left( x\right) \)は有限な実数へ収束せず、正の無限大\(+\infty \)や負の無限大\(-\infty \)へも発散しません。

 

演習問題

問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\cos ^{2}\left( x\right) }{1-\sin \left( x\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(X\)は\(f\)の定義域です。\(x\rightarrow \frac{\pi }{2}\)の場合の\(f\)の極限を求めてください。
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問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x+\pi \right) +\sin \left( x-\pi \right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(x\rightarrow \pi \)の場合の極限を求めてください。
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問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{1-\cos \left( x\right) }{\sin \left( x\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(X\)は\(f\)の定義域です。\(f\)が点\(0\)の周辺の任意の点において定義されている場合、\(x\rightarrow 0\)の場合の極限を求めてください。
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問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\sin \left( \frac{x-\pi }{2}\right) }{\sin \left(
\frac{x+\pi }{2}\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(X\)は\(f\)の定義域です。\(f\)が点\(2\pi \)の周辺の任意の点において定義されている場合、\(x\rightarrow 2\pi \)のときの極限を求めてください。
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問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\sin \left( 5x\right) -\sin \left( 3x\right) }{\sin
\left( x\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。\(x\rightarrow 0\)の場合の極限を求めてください。
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