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逆余弦関数(arccos関数)の定義

目次

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逆余弦関数

全区間上に定義された余弦関数\begin{equation*}
\cos \left( x\right) :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は周期\(2\pi \)の周期関数であり、その値域は有界閉区間\(\left[ -1,1\right] \)です。つまり、変数\(x\)が定義域\(\mathbb{R} \)上を動くにしたがい\(\cos \left( x\right) \)の値は\(-1\)以上\(1\)以下の範囲で増減を繰り返すため、\(\mathbb{R} \)上に定義された余弦関数は全単射ではなく、したがって、その逆関数は存在しません。ただ、余弦関数の定義域を適当な範囲に制限すれば全単射を得ることができます。具体例を挙げると、余弦関数の定義域を有界閉区間\(\left[ 0,\pi \right] \)に制限した場合、この新たな定義域上で余弦関数は狭義単調減少関数になるとともに、値域は\(\left[ -1,1\right] \)となります。

命題(全単射であるような余弦関数)
余弦関数\(\cos \left( x\right) :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は有界閉区間\(\left[ 0,\pi \right]\subset \mathbb{R} \)上で狭義単調減少関数であるとともに、そこでの値域は\(\left[ -1,1\right] \)となる。
証明

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以上の命題より、以下の関数\begin{equation}
\cos \left( x\right) :\left[ 0,\pi \right] \rightarrow \left[ -1,1\right] \quad \cdots (1)
\end{equation}は全単射であるため、その逆関数が存在します。そこで、\(\left(1\right) \)の逆関数を、\begin{equation*}\cos ^{-1}\left( y\right) :\left[ -1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \end{equation*}または、\begin{equation*}
\arccos \left( x\right) :\left[ -1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \end{equation*}などで表記し、これを逆余弦関数(inverse cosine function)やアークコサイン関数(arccosine function)などと呼びます。順序対\(\left( x,y\right) \in \left[ 0,\pi \right] \times \left[-1,1\right] \)を任意に選んだとき、逆関数の定義より、\begin{equation*}y=\cos \left( x\right) \Leftrightarrow x=\cos ^{-1}\left( y\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

2つの変数\(x,y\)の記号を入れ替えることにより、逆余弦関数を、\begin{equation*}\cos ^{-1}\left( x\right) :\left[ -1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \end{equation*}と表現することもできます。逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) \)の逆関数は余弦関数\begin{equation*}\cos \left( y\right) :\left[ 0,\pi \right] \rightarrow \left[ -1,1\right] \end{equation*}であるため、順序対\(\left( x,y\right) \in \left[ -1,1\right] \times \left[ 0,\pi \right] \)を任意に選んだとき、逆関数の定義より、\begin{equation*}y=\cos ^{-1}\left( x\right) \Leftrightarrow x=\cos \left( y\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) \)のグラフは以下の通りです。

図:逆余弦関数のグラフ
図:逆余弦関数のグラフ
例(逆余弦関数)
繰り返しになりますが、順序対\(\left( x,y\right) \in \left[ -1,1\right] \times \left[ 0,\pi \right] \)を任意に選んだとき、逆関数の定義より、\begin{equation*}y=\cos ^{-1}\left( x\right) \Leftrightarrow x=\cos \left( y\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。また、余弦関数\(\cos \left( y\right) :\left[ 0,\pi \right] \rightarrow \left[ -1,1\right] \)に関して以下が成り立ちます。$$\begin{array}{ccccccc}\hline
y(ラジアン) & 0 & \frac{\pi }{6}
& \frac{\pi }{4} & \frac{\pi }{3} & \frac{\pi }{2} & \pi \\ \hline
\cos \left( y\right) & 1 & \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2}
& \frac{1}{2} & 0 & -1 \\ \hline
\end{array}$$

表:余弦関数の値

以上を踏まえると、逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) :\left[-1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \)に関して以下が成り立ちます。$$\begin{array}{ccccccc}\hline
x & 1 & \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{1}{2} & 0
& -1 \\ \hline
\cos ^{-1}\left( x\right) & 0 & \frac{\pi }{6} & \frac{\pi }{4} & \frac{\pi }{3} & \frac{\pi }{2} & \pi \\ \hline
\end{array}$$

表:逆余弦関数の値
例(逆余弦関数)
下図のような直角三角形が与えられているものとします。

図:直角三角形
図:直角三角形

斜辺の長さを\(a>0\)で、底辺の長さを\(b>0\)で、斜辺と底辺がつくる角の大きさ(ラジアン)を\(x\in \left( 0,\frac{\pi }{2}\right) \)でそれぞれ表記する場合、余弦の定義より、\begin{equation*}\cos \left( x\right) =\frac{b}{a}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。逆余弦関数の定義より、斜辺の長さと底辺の長さの比\(\frac{b}{a}\in \left( 0,1\right) \)が与えられたとき、\begin{equation*}\cos ^{-1}\left( \frac{b}{a}\right) =x
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、逆余弦関数を利用することにより、斜辺の長さと底辺の長さの比\(\frac{b}{a}\)から、斜辺と底辺が作る角の大きさ\(x\)を特定できるということです。

 

逆正弦関数は狭義単調減少関数

逆余弦関数は狭義単調減少関数です。

命題(逆余弦関数は狭義単調減少)
逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) :\left[-1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \)は狭義単調減少関数である。
証明

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逆余弦関数の値域

逆余弦関数が余弦関数の逆関数として定義されることを踏まえると以下を得ます。

命題(逆余弦関数の値域)
逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) :\left[-1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \)の値域は\(\left[ 0,\pi \right] \)である。
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例(逆余弦関数のグラフ)
逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) :\left[-1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \)のグラフは以下の通りです。

図:逆余弦関数のグラフ
図:逆余弦関数のグラフ

先に示したように、この関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) \)は定義域\(\left[ -1,1\right] \)上で狭義単調減少であるとともに、値域は\(\left[ 0,\pi \right] \)です。上のグラフは以上の事実と整合的です。

 

逆余弦関数との合成関数

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を任意に選びます。また、逆余弦関数を\(g:\left[ -1,1\right] \rightarrow \left[ 0,\pi \right] \)で表記します。\(g\left( x\right) =\cos ^{-1}\left( x\right) \)です。以上を踏まえた上で、関数\(f\)の値域と逆余弦関数\(g\)の定義域\(\left[ -1,1\right] \)の間に、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset \left[ -1,1\right] \end{equation*}という関係が成り立つ場合には合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because \text{合成関数の定義} \\
&=&\cos ^{-1}\left( f\left( x\right) \right) \quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定めます。

例(逆余弦関数との合成関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\cos ^{-1}\left( x+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(x+1\)と逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) \)の合成関数です。\(\cos^{-1}\left( x\right) \)の定義域は\(\left[ -1,1\right] \)であるため、\(f\)の定義域\(X\)は、\begin{eqnarray*}X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -1\leq x+1\leq 1\right\} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -2\leq x\leq 0\right\} \\
&=&\left[ -2,0\right] \end{eqnarray*}となります。

例(逆余弦関数との合成関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\cos ^{-1}\left( \frac{\pi }{x+1}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有理関数\(\frac{\pi }{x+1}\)と逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left( x\right) \)の合成関数です。\(\cos^{-1}\left( x\right) \)の定義域は\(\left[ -1,1\right] \)であるため、\(f\)の定義域\(X\)は、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \ |\ -1\leq \frac{\pi }{x+1}\leq 1\right\}
\end{equation*}となります。\(x+1>0\)の場合には、\begin{eqnarray*}x+1>0\wedge -1\leq \frac{\pi }{x+1}\leq 1 &\Leftrightarrow &x>-1\wedge
-\left( x+1\right) \leq \pi \leq x+1 \\
&\Leftrightarrow &x>-1\wedge -1-\pi \leq x\wedge \pi -1\leq x \\
&\Leftrightarrow &\pi -1\leq x
\end{eqnarray*}であり、\(x+1<0\)の場合には、\begin{eqnarray*}x+1<0\wedge -1\leq \frac{\pi }{x+1}\leq 1 &\Leftrightarrow &x<-1\wedge
-\left( x+1\right) \geq \pi \geq x+1 \\
&\Leftrightarrow &x<-1\wedge -1-\pi \geq x\wedge \pi -1\geq x \\
&\Leftrightarrow &-1-\pi \geq x
\end{eqnarray*}であるため、\begin{eqnarray*}
X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \ |\ \pi -1\leq x\vee -1-\pi \geq x\right\} \\
&=&(-\infty ,-\pi -1]\cup \lbrack \pi -1,+\infty )
\end{eqnarray*}となります。

例(逆余弦関数との合成関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\cos ^{-1}\left( \cos \left( x\right) \right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は余弦関数\(\cos \left(x\right) \)と逆余弦関数\(\cos ^{-1}\left(x\right) \)の合成関数です。\(\cos ^{-1}\left( x\right) \)の定義域は\(\left[-1,1\right] \)であるため、\(f\)の定義域\(X\)は、\begin{eqnarray*}X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -1\leq \cos \left( x\right) \leq 1\right\} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}となります。

 

演習問題

問題(逆余弦関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\cos ^{-1}\left( \frac{x^{2}+1}{2x}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を求めてください。
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問題(逆余弦関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\cos ^{-1}\left( \frac{2+\sin \left( x\right) }{3}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を求めてください。
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問題(逆余弦関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\cos \left( \cos ^{-1}\left( x\right) \right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を求めてください。
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