教材一覧
教材一覧
教材検索
FUNCTION

有理関数(分数関数)

目次

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

有理関数

復習になりますが、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が多項式関数であるとは、\(f\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が非負の整数\(n\in \mathbb{Z} _{+}\)と実数\(c_{k}\ \left( k=0,1,\cdots ,n\right) \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+\cdots +c_{n}x^{n}
\end{equation*}と表すことができることを意味します。

定義域を共有する2つの多項式関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と\(g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)が与えられたとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}h\left( x\right) =\frac{f\left( x\right) }{g\left( x\right) }
\end{equation*}を定める新たな関数\(h:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。このような関数\(h\)を有理関数(rational function)や分数関数(rational function)などと呼びます。ゼロで割ることはできないため、有理関数の分母を構成する関数\(g\)はゼロを値としてとりません。

例(有理関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{3x^{2}+5x-9}{2x}
\end{equation*}であるならば、この\(f\)は有理関数です。点\(0\)において分母は\(0\)になるため、\(f\)は点\(0\)において定義されないことに注意が必要です。
例(有理関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \{\pm \sqrt{3}\}\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{x^{2}+7x-\pi }{2\left( x^{2}-3\right) }
\end{equation*}であるならば、この\(f\)は有理関数です。点\(\pm \sqrt{3}\)において分母は\(0\)になるため、\(f\)は点\(\pm \sqrt{3}\)において定義されないことに注意が必要です。
例(有理関数)
ある商品を生産するために必要な固定費用(生産量に依存しない一定の費用)は\(1000\)であり、さらに、商品1個あたり費用\(7\)が追加的に必要であるものとします。商品の生産量が\(x\in \mathbb{Z} _{++}\)であるとき、商品\(1\)個あたりの平均生産費用は、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{1000+7x}{x}
\end{equation*}となります。この関数\(f:\mathbb{Z} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)は有理関数です。
例(有理関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =2-\frac{3}{x+1}
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は定数関数と有理関数の差として定義されていますが、実際には、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&\frac{2\left( x+1\right) }{x+1}-\frac{3}{x+1} \\
&=&\frac{2\left( x+1\right) -3}{x+1} \\
&=&\frac{2x-1}{x+1}
\end{eqnarray*}という変形が可能であるため、\(f\)は有理関数であることが明らかになりました。
例(有理関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 3\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 3\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{x^{2}-9}{x-3}
\end{equation*}を定めるものとします。分子を因数分解すると、\begin{equation*}
\frac{x^{2}-9}{x-3}=\frac{\left( x+3\right) \left( x-3\right) }{x-3}
\end{equation*}となりますが。\(f\)は点\(3\)において定義されておらず、したがって\(x-3\not=0\)であるため、さらに、\begin{equation*}\frac{\left( x+3\right) \left( x-3\right) }{x-3}=x+3
\end{equation*}と変形できます。したがって、与えられた関数\(f\)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 3\right\} \)に対して定める値を、\begin{equation*}f\left( x\right) =x+3
\end{equation*}と表現しても一般性は失われません。つまり、この関数\(f\)は多項式関数です。
例(有理関数)
多項式関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{f\left( x\right) }{1}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。右辺は多項式関数\(f\)と定数関数\(1\)の商ですが、定数関数は特別な多項式関数であるため右辺は有理関数です。したがって、それと一致する\(f\)もまた有理関数です。つまり、多項式関数は有理関数の特殊ケースです。

 

有理関数の定義域

繰り返しになりますが、関数\(h:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が有理関数であるとは、\(h\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、多項式関数である\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と\(g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を用いて、\begin{equation*}h\left( x\right) =\frac{f\left( x\right) }{g\left( x\right) }
\end{equation*}と表されることを意味します。ただ、ゼロで割ることはできないため、有理関数\(h\)は\(g\left( x\right) =0\)となるような点\(x\)において定義されません。言い換えると、\(h\)の定義域となり得る最大の集合は、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ g\left( x\right) \not=0\right\}
\end{equation*}です。

例(有理関数の定義域)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{2x-1}{x+1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)となり得る最大の集合を求めるために、分母が\(0\)になるような点を特定します。具体的には、\(x+1=0\)より\(x=-1\)であるため、\begin{eqnarray*}X &=&\mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \\
&=&\left( -\infty ,-1\right) \cup \left( -1,+\infty \right)
\end{eqnarray*}となります。

例(有理関数の定義域)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{2x^{2}-1}{x^{2}-1}-\frac{3x-2}{x^{2}-1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は2つの有理関数の差として定義されているため、\(f\)の定義域\(X\)となり得る最大の集合を求めるために、それぞれの有理関数の分母が\(0\)になるような点を特定します。具体的には、\(x^{2}-1=0\)より\(x=\pm 1\)であるため、\begin{eqnarray*}X &=&\mathbb{R} \backslash \left\{ 1,-1\right\} \\
&=&\left( -\infty ,-1\right) \cup \left( -1,1\right) \cup \left( 1,+\infty
\right)
\end{eqnarray*}となります。

 

有理関数のグラフ

有理関数のグラフを描くには多少のコツが必要です。有理関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、点\(a\in \mathbb{R} \)が以下の条件

  1. \(x\)が\(a\)より大きい値をとりながら\(a\)に限りなく近づくにつれて\(f\left(x\right) \)の値が限りなく大きくなるか限りなく小さくなる。
  2. \(x\)が\(a\)より小さい値をとりながら\(a\)に限りなく近づくにつれて\(f\left(x\right) \)の値が限りなく大きくなるか限りなく小さくなる。

の少なくとも一方を満たす場合には、このような点\(a\)から定義される\(y\)軸に平行な直線\(x=a\)を\(f\)のグラフの垂直漸近線(vertical asymptote)と呼びます。また、点\(b\in \mathbb{R} \)が以下の条件

  1. \(x\)が限りなく大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値が\(b\)に限りなく近づく。
  2. \(x\)が限りなく小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値が\(b\)に限りなく近づく。

の少なくとも一方を満たす場合には、このような点\(b\)から定義される\(x\)軸に平行な直線\(y=b\)を\(f\)のグラフの水平漸近線(horizontal asymptote)と呼びます。

例(有理関数のグラフの漸近線)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 3\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 3\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{2x+1}{x-3}
\end{equation*}を定めるものとします。この有理関数\(f\)のグラフが以下のように描かれています。

図:有理関数のグラフの漸近線
図:有理関数のグラフの漸近線

この関数\(f\)は点\(3\)において定義されていませんが、\(x\)が\(3\)より大きい値をとりながら\(3\)に限りなく近づくにつれて\(f\left( x\right) \)の値は限りなく大きくなります。また、\(x\)が\(3\)より小さい値をとりながら\(3\)に限りなく近づくにつれて\(f\left( x\right) \)の値は限りなく小さくなります。したがって、\begin{equation*}x=3
\end{equation*}は関数\(f\)のグラフの垂直漸近線です。また、\(f\left( x\right) \)は\(2\)を値としてとりませんが、\(x\)が限りなく大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値は\(2\)に限りなく近づき、\(x\)が限りなく小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値は\(2\)に限りなく近づきます。したがって、\begin{equation*}y=2
\end{equation*}は関数\(f\)のグラフの水平漸近線です。

有理関数のグラフを描く際には、まず、\(x\)切片や\(y\)切片が存在する場合にはそれらを特定します。また、垂直漸近線や水平漸近線が存在する場合にはそれらを特定します。漸近線によって平面は複数の領域に分割されますが、有理関数のグラフは漸近線と交わらないため、グラフが異なる領域を横断することはありません。したがって、それぞれの領域について、グラフが通過する点をいくつか特定すれば、それらを結ぶことにより有理関数のグラフを完成させることができます。

例(有理関数のグラフ)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ -\frac{1}{2}\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ -\frac{1}{2}\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{4x+1}{2x+1}
\end{equation*}を定めるものとします。まずは切片の座標を求めます。\(y=f\left( 0\right) \)を解くことにより、\(x\)切片\begin{equation*}\left( 0,1\right)
\end{equation*}を得ます。また、\(0=f\left(x\right) \)を解くことにより、\(x\)切片\begin{equation*}\left( -\frac{1}{4},0\right)
\end{equation*}を得ます。\(f\)の分母を構成する関数\(2x+1\)の値は点\(x=-\frac{1}{2}\)において\(0\)になるため、\(f\)は点\(-\frac{1}{2}\)において定義されていません。その一方で、\(f\)の分子を構成する関数\(4x+1\)の値は点\(x=-\frac{1}{2}\)において\(-1\)になるため、\(x\)が\(-\frac{1}{2}\)に近づくにつれて\(f\left( x\right) \)の値は限りなく大きくなるか、もしくは限りなく小さくなります。以上より、\(x=-\frac{1}{2}\)は\(f\)のグラフの水平漸近線です。あとは区切りの良い座標を求めてそれらを繋げば関数\(f\)のグラフを描けます(下図)。

図:有理関数のグラフ
図:有理関数のグラフ

 

演習問題

問題(有理関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =2-\frac{3}{x+1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)となり得る最大の集合を求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(有理関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{2x^{2}-1}{x^{2}-1}/\frac{3x-2}{x^{2}-1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)となり得る最大の集合を求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

次回から累乗について解説します。

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

RELATED KNOWLEDGE

関連知識

スカラー場
多変数の多項式関数

スカラー場(多変数関数)に関しても多項式関数を定義することができます。

スカラー場
多変数の有理関数(分数関数)

スカラー場(多変数関数)に関しても、多項式関数の商として定義されるスカラー場を有理関数や分数関数などと呼びます。

多項式関数
多項式関数

実数の定数と非負の整数個の変数の積として表される関数を単項式関数と呼び、単項式関数の和として定義される関数を多項式関数と呼びます。

多項式関数
多項式関数の微分

多項式関数は任意の点において微分可能であることを示すとともに、多項式関数の導関数を特定します。

有理関数
有理関数の微分

有理関数(多項式関数どうしの商として定義される関数)は微分可能であることを示すとともに、その微分係数および導関数を求める方法を解説します。

多項式関数
多項式関数の極限

多変数の多項式関数が収束することを示すとともに、その事実を利用してより広範なスカラー場(多変数関数)の極限を求める方法を解説します。

多項式関数
多項式関数の極限

多項式関数の極限、片側極限、および無限大における極限を求める方法を解説します。

有理関数
有理関数の極限

有理関数の極限、片側極限、および無限大における極限を求める方法を解説します。

テイラーの定理
関数のテイラー近似多項式

関数を微分することとは複雑な関数を1次の多項式によって近似することを意味します。それとは逆に、微分可能な関数を多項式を用いて近似することで近似の精度を高める考え方もあります。

関数