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指数関数の定義

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指数関数

正の実数\(a>0\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、底が\(a\)で指数が\(x\)であるような累乗\(a^{x}\)と呼ばれる概念を定義するとともに、これが常に1つの実数として定まることを明らかにしました。したがって、\(a>0\)が与えられたとき、全区間上に以下のような関数\begin{equation*}a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これを底を\(a\)とする指数関数(exponential function)と呼びます。

例(自然指数関数)
ネイピア数\(e\)は正の実数であるため、\(e\)を底とする指数関数\begin{equation*}e^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これを自然指数関数(natural exponential function)と呼びます。この関数のグラフは以下の通りです。

図:自然指数関数
図:自然指数関数
例(指数関数)
\(2\)は正の実数であるため、\(2\)を底とする指数関数\begin{equation*}2^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。この関数のグラフは以下の通りです。

図:指数関数
図:指数関数
例(指数関数)
\(\frac{1}{2}\)は正の実数であるため、\(\frac{1}{2}\)を底とする指数関数\begin{equation*}\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。この関数のグラフは以下の通りです。

図:指数関数
図:指数関数
例(指数関数)
「単利・年利\(1\)% 」という条件の定期金利に\(100\)万円を預けると、\(x\)年後の元利合計(万円)は、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&100\cdot \left( 1+0.01\right) ^{x} \\
&=&100\cdot 1.01^{x}
\end{eqnarray*}となります。この\(f\)は底が\(1.01\)であるような指数関数\(1.01^{x}\)の定数倍(\(100\)倍)として定義される関数です。
例(指数関数)
ある人が伝染病を発症しました。その病気は平均して1人から1日あたり平均で3人に感染するものとします。\(x\)日後の総感染者数は、\begin{equation*}f\left( x\right) =3^{x}
\end{equation*}となります。この\(f\)は底が\(3\)であるような指数関数です。
例(指数関数)
全\(32\)人が参加するテニスのトーナメントが開催されます。第\(x\)回戦で敗退する人数は、\begin{equation*}f\left( x\right) =32\cdot \left( \frac{1}{2}\right) ^{x}
\end{equation*}となります。この\(f\)は底が\(\frac{1}{2}\)であるような指数関数\(\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\)の定数倍(\(32\)倍)として定義される関数です。
例(指数関数)
\(500\)万円で購入した車の価値が一年あたり\(15\)%の割合で減価償却していくものとします。\(x\)年後の価値(万円)は、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&500\cdot \left( 1-0.15\right) ^{x} \\
&=&500\cdot 0.85^{x}
\end{eqnarray*}となります。この\(f\)は底が\(0.85\)であるような指数関数\(0.85^{x}\)の定数倍(\(500\)倍)として定義される関数です。
例(指数関数)
\(1\)は正の実数であるため、\(1\)を底とする指数関数\begin{equation*}1^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能ですが、実数乗の定義より、任意の\(x\in \mathbb{R} \)について、\begin{equation*}1^{x}=1
\end{equation*}という関係が成り立つため、\(1^{x}\)は入力する値\(x\)によらず常に\(1\)を出力する定数関数です。このような事情もあり、多くの場合、\(1^{x}\)を指数関数から除外します。つまり、\(1\)とは異なる正の実数\(a\)に対してのみ、\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を指数関数とみなすということです。
例(指数関数)
指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は正の実数であるような底\(a\)に対してのみ定義されます。試しに、負の実数を底とするような指数関数を定義してみましょう。関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( -2\right) ^{x}
\end{equation*}を定めるものとします。このとき、例えば、\begin{equation*}
f\left( \frac{1}{2}\right) =\left( -2\right) ^{\frac{1}{2}}=\sqrt{-2}
\end{equation*}となりますが、これは平方が\(-2\)になるような正の実数です。ただ、任意の実数の平方は非負の実数であるため\(\sqrt{-2}\)は1つの実数として定まりません。したがって\(f\)は点\(\frac{1}{2}\)において定義不可能であり、上のように定義された\(f\)は関数ではないことになってしまいます。

 

指数関数は狭義の単調関数

指数関数は狭義の単調関数です。

命題(指数関数は狭義単調関数)
正の実数\(a>0\)を任意に選んだ上で、\(a\)を底とする指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(a>1\)の場合には\(a^{x}\)は狭義の単調増加関数であり、\(1>a>0\)の場合には\(a^{x}\)は狭義の単調減少関数である。
証明

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指数関数の値域

正の実数\(a>0\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだとき、実数乗の定義より、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ a^{0}=1 \\
&&\left( b\right) \ a^{1}=a
\end{eqnarray*}がともに成り立ちますが、これは任意の指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)のグラフが点\(\left( 0,1\right) \)と点\(\left( 1,a\right) \)を通過することを意味します。

命題(指数関数の値)
正の実数\(a>0\)を任意に選んだとき、\(a\)を底とする指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ a^{0}=1 \\
&&\left( b\right) \ a^{1}=a
\end{eqnarray*}をともに満たす。

正の実数\(a>0\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだとき、実数乗の性質より、\begin{equation*}a^{x}>0
\end{equation*}が成り立ちますが、これは任意の指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が正の実数のみを値としてとることを意味します。

命題(指数関数の値の符号)
正の実数\(a>0\)を任意に選んだとき、\(a\)を底とする指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、\begin{equation*}\forall x\in \mathbb{R} :a^{x}>0
\end{equation*}を満たす。

任意の指数関数は正の実数のみを値として取ることが明らかになりましたが、後に導入する関数の極限連続性などの概念を利用することにより、指数関数は任意の正の実数を値として取り得ること、すなわち指数関数の値域が\(\mathbb{R} _{++}\)であることが導かれます。

命題(指数関数の値域)

正の実数\(a>0\)を任意に選んだとき、\(a\)を底とする指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)の値域は\(\mathbb{R} _{++}\)となる。

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例(指数関数のグラフ)
関数\(e^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)のグラフは以下の通りです。

図:自然指数関数
図:自然指数関数

この関数\(e^{x}\)は指数関数であるため値域は\(\mathbb{R} _{++}\)です。また、ネイピア数は\(e>1\)を満たすため\(e^{x}\)は狭義の単調増加関数です。加えて、そのグラフは点\(\left(0,1\right) \)と点\(\left( 1,e\right) \)を通過します。上のグラフは以上の事実と整合的です。

例(指数関数のグラフ)
関数\(2^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)のグラフは以下の通りです。

図:指数関数
図:指数関数

この関数\(2^{x}\)は指数関数であるため値域は\(\mathbb{R} _{++}\)です。また、底が\(2>1\)を満たすため\(2^{x}\)は狭義の単調増加関数です。加えて、そのグラフは点\(\left( 0,1\right) \)と点\(\left(1,2\right) \)を通過します。上のグラフは以上の事実と整合的です。

例(指数関数のグラフ)
関数\(\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)のグラフは以下の通りです。

図:指数関数
図:指数関数

この関数\(\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\)は指数関数であるため値域は\(\mathbb{R} _{++}\)です。また、底が\(0<\frac{1}{2}<1\)を満たすため\(\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\)は狭義の単調減少関数です。加えて、そのグラフは点\(\left(0,1\right) \)と点\(\left( 1,\frac{1}{2}\right) \)を通過します。上のグラフは以上の事実と整合的です。

 

指数関数との合成関数

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を任意に選びます。また、全区間上に定義された指数関数を\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)で表記します。\(g\left( x\right)=a^{x}\)です。\(f\)の値域は明らかに\(g\)の定義域\(\mathbb{R} \)の部分集合であることから合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が常に定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because g\circ f\text{の定義} \\
&=&a^{f\left( x\right) }\quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定めます。

例(多項式関数との合成)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は多項式関数であるものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、非負の整数\(m\in \mathbb{Z} _{+}\)と実数\(c_{k}\ \left( k=0,1,\cdots ,m\right) \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+\cdots +c_{n}x^{n}
\end{equation*}で表されるということです。先の議論より、正の実数\(a>0\)を任意に選んだとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =a^{c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+\cdots +c_{n}x^{n}}
\end{equation*}を値として定める関数\(g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。これは多項式関数\(f\left( x\right) \)と指数関数\(a^{x}\)の合成関数です。例えば、それぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =e^{3x^{3}-2x^{2}+x+1}
\end{equation*}を定める関数\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はこのような合成関数の例です。
例(有理関数との合成)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)はともに多項式関数であるものとします。先の議論より、正の実数\(a>0\)を任意に選んだとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}h\left( x\right) =a^{\frac{f\left( x\right) }{g\left( x\right) }}
\end{equation*}を定める関数\(h:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。これは有理関数\(\frac{f\left( x\right) }{g\left( x\right) }\)と指数関数\(a^{x}\)の合成関数です。例えば、それぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{\frac{2x+1}{\left( 1-x\right) ^{3}}}
\end{equation*}を定める関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はこのような合成関数の例です。

 

演習問題

問題(関数の定義域)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{-x^{2}-4x+7}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)となり得る最大の集合を特定してください。
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問題(関数の定義域)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \frac{1}{2}\right) ^{\frac{x-4}{x^{2}-2x-15}}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)となり得る最大の集合を特定してください。
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次回は対数関数について解説します。

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