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リプシッツ関数と絶対連続関数の関係

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リプシッツ関数は絶対連続関数

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が与えられているものとします。

関数\(f\)が\(\left[ a,b\right] \)上においてリプシッツ関数(リプシッツ連続)であることは、\begin{equation*}\exists k\in \mathbb{R} ,\ \forall x,y\in \left[ a,b\right] :\left\vert f\left( y\right) -f\left(
x\right) \right\vert \leq k\left\vert y-x\right\vert
\end{equation*}が成り立つこととして定義されます。

一方、関数\(f\)が\(\left[ a,b\right] \)上において絶対連続であることは、\begin{equation*}\forall \varepsilon >0,\ \exists \delta >0,\ \forall \left( a\right) ,\left(
b\right) ,\left( c\right) \text{を満たす}\left\{ \left[ a_{i},b_{i}\right] \right\} _{i=1}^{n}:\left[ \sum_{i=1}^{n}\left\vert b_{i}-a_{i}\right\vert <\delta \Rightarrow \sum_{i=1}^{n}\left\vert
f\left( b_{i}\right) -f\left( a_{i}\right) \right\vert <\varepsilon \right] \end{equation*}が成り立つこととして定義されます。ただし、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ n\in \mathbb{N} \\
&&\left( b\right) \ \forall i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} :a\leq
a_{i}<b_{i}\leq b \\
&&\left( c\right) \ \forall i,j\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} :\left(
i\not=j\Rightarrow \left[ a_{i},b_{i}\right] \cap \left[ a_{j},b_{j}\right] =\phi \right)
\end{eqnarray*}です。つまり、どれほど小さい\(\varepsilon >0\)を任意に選んだ場合でも、それに対して何らかの\(\delta >0\)を選ぶことにより、以下の4つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ n\in \mathbb{N} \\
&&\left( b\right) \ \forall i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} :a\leq
a_{i}<b_{i}\leq b \\
&&\left( c\right) \ \forall i,j\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} :\left(
i\not=j\Rightarrow \left[ a_{i},b_{i}\right] \cap \left[ a_{j},b_{j}\right] =\phi \right) \\
&&\left( d\right) \ \sum_{i=1}^{n}\left\vert b_{i}-a_{i}\right\vert <\delta
\end{eqnarray*}を満たす任意の閉区間族\(\left\{ \left[ a_{i},b_{i}\right] \right\} _{i=1}^{n}\)について、\begin{equation*}\sum_{i=1}^{n}\left\vert f\left( b_{i}\right) -f\left( a_{i}\right)
\right\vert <\varepsilon
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上において絶対連続です。

リプシッツ関数は絶対連続です。

命題(リプシッツ関数は絶対連続)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)が\(\left[ a,b\right] \)上においてリプシッツ関数であるならば、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上において絶対連続である。
証明

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絶対連続関数はリプシッツ関数であるとは限らない

リプシッツ関数は絶対連続関数であることが明らかになりましたが、その逆は成り立つとは限りません。つまり、絶対連続関数はリプシッツ関数であるとは限らないということです。以下の例より明らかです。

例(絶対連続だがリプシッツ関数ではない関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sqrt{x}
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は\(\left[ 0,1\right]\)上において絶対連続である一方でリプシッツ関数ではありません(演習問題)。

 

連続性に関する諸概念どうしの関係

これまで登場した連続性に関する概念どうしの関係について整理します。

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が与えられているものとします。

関数\(f\)が区間\(\left[ a,b\right] \)上においてリプシッツ関数である場合には、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上において絶対連続であることが保証されます。さらに、\(f\)が\(\left[ a,b\right] \)上において絶対連続である場合には、\(f\)は\(\left[a,b\right] \)上において一様連続であることが保証されます。さらに、\(f\)が\(\left[ a,b\right] \)上において一様連続である場合には、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上において連続であることが保証されます。したがって、以下の関係\begin{equation*}\text{リプシッツ関数}\Rightarrow
\text{絶対連続性}\Rightarrow \text{一様連続性}\Rightarrow \text{連続性}
\end{equation*}が成り立ちます。

関数\(f\)の定義域が一般の集合\(X\subset \mathbb{R} \)である場合、\(X\)上において連続な関数\(f\)は\(X\)上において一様連続であるとは限りません。その一方で、定義域\(X\)が\(\mathbb{R} \)上のコンパクト集合である場合、\(X\)上において連続な関数\(f\)は\(X\)上において一様連続です。有界閉区間\(\left[ a,b\right] \)はコンパクト集合であるため、\(\left[ a,b\right] \)上に定義された関数\(f\)に関しては、\begin{equation*}\text{一様連続性}\Leftrightarrow \text{連続性}
\end{equation*}が成り立ちます。

関数\(f\)が区間\(\left[ a,b\right] \)上において一様連続である場合、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上において絶対連続であるとは限りません

関数\(f\)が区間\(\left[ a,b\right] \)上において絶対連続である場合、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上にリプシッツ関数であるとは限りません。

 

演習問題

問題(絶対連続だがリプシッツ関数ではない関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sqrt{x}
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)が\(\left[ 0,1\right]\)上において絶対連続である一方でリプシッツ関数ではないことを示してください。
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