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正弦関数の連続性と極限

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正弦関数の連続性

復習になりますが、正弦関数\(\sin :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)とはそれぞれのラジアン\(\theta \in \mathbb{R} \)に対して、その正弦\begin{equation*}\sin \left( \theta \right) \in \mathbb{R} \end{equation*}を定める関数です。ただし、ラジアン\(\theta \)の動径と単位元が交わる点を\(P\)とするとき、ラジアン\(\theta \)の正弦は、\begin{equation*}\sin \left( \theta \right) =\text{点}P\text{の}y\text{座標}
\end{equation*}と定義されます(下図)。

図:正弦関数
図:正弦関数

正弦関数のグラフ、すなわち正弦曲線は滑らかな途切れのない曲線であるため、正弦関数は連続であることが予想されます。実際、これは正しい予想です。

命題(正弦関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとする。\(f\)は\(X\)上で連続である。すなわち、定義域上の点\(a\in X\)を任意に選んだとき以下が成り立つ。
  1. \(f\)が点\(a\in X\)の周辺の任意の点において定義されているならば、\(f\)は点\(a\)において連続である。
  2. \(f\)が点\(a\in X\)より大きい周辺の任意の点において定義されているならば、\(f\)は点\(a\)において右側連続である。
  3. \(f\)が点\(a\in X\)より小さい周辺の任意の点において定義されているならば、\(f\)は点\(a\)において左側連続である。
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例(正弦関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(\mathbb{R} \)は開集合であるため、点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)の周辺の任意の点において定義されています。したがって上の命題より、\(f\)は点\(a\)において連続です。つまり、\(\mathbb{R} \)上に定義された正弦関数は定義域上の任意の点において通常の意味において連続であるということです。
例(正弦関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\sin \left( x\right) & \left( if\ x<0\right) \\
x+1 & \left( if\ x\geq 0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(a<0\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\sin \left(
x\right) \quad \because a<0 \\
&=&\sin \left( a\right) \quad \because \text{正弦関数の連続性} \\
&=&f\left( a\right)
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は点\(a\)において連続です。点\(0\)に関しては、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0-}\sin \left(
x\right) \quad \because x<0 \\
&=&\sin \left( 0\right) \quad \because \text{正弦関数の左側連続性} \\
&=&0 \\
&\not=&1 \\
&=&f\left( 0\right)
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は点\(0\)において左側連続ではありません。したがって\(f\)は点\(0\)において連続でもありません。一方、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0+}\left(
x+1\right) \quad \because x>0 \\
&=&\lim_{x\rightarrow 0+}x+\lim_{x\rightarrow 0+}1 \\
&=&0+1 \\
&=&1 \\
&=&f\left( 0\right)
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は点\(0\)において右側連続です。\(a>0\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\left(
x+1\right) \quad \because a>0 \\
&=&\lim_{x\rightarrow a}x+\lim_{x\rightarrow a}1 \\
&=&a+1 \\
&=&f\left( a\right)
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は点\(a\)において連続です。

 

正弦関数の極限

一般に、関数の連続性は収束可能性を、右側連続性は右側収束可能性を、左側連続性は左側連続可能性をそれぞれ含意するため、先の命題を踏まえると以下を得ます。

命題(正弦関数の極限)

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとする。定義域上の点\(a\in X\)を任意に選んだとき以下が成り立つ。

  1. \(f\)が点\(a\in X\)の周辺の任意の点において定義されているならば、\(f\)は\(x\rightarrow a\)のときに有限な実数へ収束し、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =f\left( a\right)
    \end{equation*}が成り立つ。
  2. \(f\)が点\(a\in X\)より大きい周辺の任意の点において定義されているならば、\(f\)は\(x\rightarrow a+\)のときに有限な実数へ右側収束し、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a+}f\left( x\right) =f\left( a\right)
    \end{equation*}が成り立つ。
  3. \(f\)が点\(a\in X\)より小さい周辺の任意の点において定義されているならば、\(f\)は\(x\rightarrow a-\)のときに有限な実数へ左側収束し、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a-}f\left( x\right) =f\left( a\right)
    \end{equation*}が成り立つ。
例(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(\mathbb{R} \)は開集合であるため、点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)の周辺の任意の点において定義されています。したがって上の命題より、\(f\)は\(x\rightarrow a\)のときに有限な実数へ収束し、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =f\left( a\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow a}\sin \left( x\right) =\sin \left( a\right)
\end{equation*}を満たします。つまり、\(\mathbb{R} \)上に定義された正弦関数は定義域上の任意の点において有限な極限を持ち、なおかつその極限はその点における正弦と一致するということです。
例(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\sin \left( x\right) & \left( if\ x<0\right) \\
x+1 & \left( if\ x\geq 0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(a<0\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\sin \left(
x\right) \quad \because a<0 \\
&=&\sin \left( a\right) \quad \because \text{正弦関数の連続性}
\end{eqnarray*}となります。点\(0\)に関しては、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 0-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0-}\sin \left(
x\right) \quad \because x<0 \\
&=&\sin \left( 0\right) \quad \because \text{正弦関数の左側連続性} \\
&=&0
\end{eqnarray*}となります。一方、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow 0+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0+}\left(
x+1\right) \quad \because x>0 \\
&=&\lim_{x\rightarrow 0+}x+\lim_{x\rightarrow 0+}1 \\
&=&0+1 \\
&=&1
\end{eqnarray*}となります。\(a>0\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\left(
x+1\right) \quad \because a>0 \\
&=&\lim_{x\rightarrow a}x+\lim_{x\rightarrow a}1\quad \because \text{正弦関数の連続性} \\
&=&a+1
\end{eqnarray*}となります。

正弦関数\(\sin :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\sin \left( x\right) }{x}
\end{equation*}を定める新たな関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。この関数\(f\)は\(x\rightarrow 0\)のときに有限な実数へ収束するとともに、そこでの極限は、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) =1
\end{equation*}となります(演習問題にします)。以上の事実は三角関数の微分を考える際に重要な役割を果たします。

命題(三角関数に関する基本的な極限)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\sin \left( x\right) }{x}
\end{equation*}を定めるものとする。\(x\rightarrow 0\)のときに\(f\)は有限な実数へ収束し、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) =1
\end{equation*}が成り立つ。
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正弦関数の連続性を利用した関数の極限の導出方法

正弦関数が連続であることを利用すると、より広範な関数の極限を容易に求められます。

例(関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation}f\left( x\right) =\sin \left( 3x\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}を定めるものとします。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(x\rightarrow a\)の場合に\(f\)は有限な実数へ収束するでしょうか。関数\(3x\)に関しては、\begin{equation}\lim_{x\rightarrow a}\left( 3x\right) =3a \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます。ここで重要なことは正弦関数\(\sin \)が連続であるという事実です。したがって、正弦関数\(\sin \)は点\(3a\)においても連続であるため、連続性の定義より、\begin{equation}\lim_{3x\rightarrow 3a}\sin \left( 3x\right) =\sin \left( 3a\right) \quad \cdots (3)
\end{equation}が成り立ちます。以上を踏まえると、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{3x\rightarrow 3a}\sin \left(
3x\right) \quad \because \left( 1\right) ,\left( 2\right) \\
&=&\sin \left( 3a\right) \quad \because \left( 3\right) \\
&=&f\left( a\right) \quad \because \left( 1\right)
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =f\left( a\right)
\end{equation*}という関係を得ます。つまり、問題としている関数\(f\left( x\right) \)の変数\(x\)に\(a\)を代入して値\(f\left( a\right) \)を求めれば、それが\(x\rightarrow a\)のときの\(f\)の極限と一致することが保証されます。
例(関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x+\pi \right) +\sin \left( x-\pi \right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(x\rightarrow \pi \)のときに\(f\)は有限な実数へ収束するでしょうか。まず、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow \pi }\left( x+\pi \right) &=&2\pi \\
\lim_{x\rightarrow \pi }\left( x-\pi \right) &=&0
\end{eqnarray*}が成り立つとともに、正弦関数\(\sin \)は点\(2\pi ,0\)において連続であるため、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow \pi }f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow \pi }\left[
\sin \left( x+\pi \right) +\sin \left( x-\pi \right) \right] \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\lim_{x\rightarrow \pi }\sin \left( x+\pi \right) +\lim_{x\rightarrow \pi
}\sin \left( x-\pi \right) \quad \because \text{収束する関数の和} \\
&=&\sin \left( \pi +\pi \right) +\sin \left( \pi -\pi \right) \quad \because
\text{正弦関数の連続性} \\
&=&\sin \left( 2\pi \right) +\sin \left( 0\right) \\
&=&0
\end{eqnarray*}となります。

 

演習問題

問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\sin \left( \frac{x-\pi }{2}\right) }{\sin \left(
\frac{x+\pi }{2}\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(X\)は\(f\)の定義域です。\(x\rightarrow 2\pi \)のときの\(f\)の極限を求めてください。
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問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\sin \left( 4x\right) }{x}
\end{equation*}を定めるものとします。\(x\rightarrow 0\)のときの\(f\)の極限を求めてください。
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問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{4x}{\sin \left( 3x\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(X\)は\(f\)の定義域です。\(x\rightarrow 0\)のときの\(f\)の極限を求めてください。
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問題(正弦関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{\sin \left( 4x\right) }{\sin \left( 3x\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(X\)は\(f\)の定義域です。\(x\rightarrow 0\)のときの\(f\)の極限を求めてください。
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次回は余弦関数が連続であることを示すとともに、余弦関数の連続性を利用してより広範な関数の極限を求める方法を解説します。

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