WIIS

関数

有界変動関数どうしの差

目次

関連知識

Mailで保存
Xで共有

有界変動関数どうしの差

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された2つの関数\begin{eqnarray*}f &:&\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \\
g &:&\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}が与えられているものとします。すると、それぞれの\(x\in \left[ a,b\right] \)に対して、\begin{equation*}\left( f-g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) -g\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな関数\begin{equation*}
f-g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。

関数\(f,g\)がともに区間\(\left[a,b\right] \)上で有界変動であるものとします。つまり、関数\(f\)の区間\(\left[a,b\right] \)上での全変動\begin{eqnarray*}TV\left( f\right) &=&\sup \left\{ V\left( f,P\right) \in \mathbb{R} \ |\ P\text{は}\left[ a,b\right] \text{の分割}\right\} \\
&=&\sup \left\{ \sum_{k=1}^{n}\left\vert f\left( x_{k}\right) -f\left(
x_{k-1}\right) \right\vert \in \mathbb{R} \ |\ \left\{ x_{k}\right\} _{k=0}^{n}\text{は}\left[ a,b\right] \text{の分割}\right\}
\end{eqnarray*}と、関数\(g\)の区間\(\left[ a,b\right]\)上での全変動\begin{eqnarray*}TV\left( g\right) &=&\sup \left\{ V\left( g,P\right) \in \mathbb{R} \ |\ P\text{は}\left[ a,b\right] \text{の分割}\right\} \\
&=&\sup \left\{ \sum_{k=1}^{n}\left\vert g\left( x_{k}\right) -g\left(
x_{k-1}\right) \right\vert \in \mathbb{R} \ |\ \left\{ x_{k}\right\} _{k=0}^{n}\text{は}\left[ a,b\right] \text{の分割}\right\}
\end{eqnarray*}がともに有限な実数として定まるということです。この場合、関数\(f-g\)もまた区間\(\left[a,b\right] \)上で有界変動になることが保証されるとともに、これらの関数の全変動の間には以下の関係\begin{equation*}TV\left( f-g\right) \leq TV\left( f\right) +TV\left( g\right)
\end{equation*}が成り立ちます。

つまり、区間\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動な関数\(f,g\)どうしの差の形をしている関数\(f-g\)が与えられたとき、\(f-g\)もまた区間\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であるとともに、\(f-g\)の全変動は\(f\)の全変動と\(g\)の全変動の和を超えません。したがって、何らかの関数\(f,g\)の差の形をしている関数\(f-g\)の有界変動性を検討する際には、\(f\)と\(g\)を分けた上で、それぞれが有界変動であることを確認すればよいということになります。

命題(有界変動関数どうしの差)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された2つの関数\(f,g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(f-g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(f,g\)がともに\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であるならば、\(f-g\)もまた\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であるとともに、それらの全変動の間には、\begin{equation*}TV\left( f-g\right) \leq TV\left( f\right) +TV\left( g\right)
\end{equation*}という関係が成立する。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(有界変動関数どうしの差)
関数\(f,g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(c_{1},c_{2}\in \mathbb{R} \)が与えられた状況において、関数\begin{equation*}c_{1}f-c_{2}g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。\(f\)と\(g\)がともに\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であるものとします。有界変動関数の定数倍は有界変動であるため\(c_{1}f\)と\(c_{2}g\)はともに\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動です。有界変動関数どうしの差は有界変動であるため\(c_{1}f-c_{2}g\)は\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動です。さらに、これらの関数の全変動について、以下の関係\begin{eqnarray*}TV\left( c_{1}f-c_{2}g\right) &\leq &TV\left( c_{1}f\right) +TV\left(
c_{2}g\right) \quad \because \text{有界変動関数の差の全変動} \\
&=&\left\vert c_{1}\right\vert \cdot TV\left( f\right) +\left\vert
c_{2}\right\vert \cdot TV\left( g\right) \quad \because \text{有界変動関数の定数倍の全変動}
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation*}
TV\left( c_{1}f-c_{2}g\right) \leq \left\vert c_{1}\right\vert \cdot
TV\left( f\right) +\left\vert c_{2}\right\vert \cdot TV\left( g\right)
\end{equation*}が成り立ちます。

 

関数の差の全変動は関数の全変動の差と一致するとは限らない

関数\(f,g\)がともに区間\(\left[a,b\right] \)上において有界変動である場合には関数\(f-g\)もまた区間\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であるとともに、以下の関係\begin{equation*}TV\left( f-g\right) \leq TV\left( f\right) +TV\left( g\right)
\end{equation*}が成り立つことが明らかになりました。この関係は等号で成立するとは限りません。以下の例より明らかです。

例(関数の差の全変動が関数の全変動の和と一致しないケース)
関数\(f,g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \left[ a,b\right] \)に対して定める値が、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&x \\
g\left( x\right) &=&x
\end{eqnarray*}であるものとします。この場合、関数\(f-g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ a,b\right] \)に対して、\begin{eqnarray*}\left( f-g\right) \left( x\right) &=&f\left( x\right) -g\left( x\right)
\quad \because f-g\text{の定義} \\
&=&x-x\quad \because f,g\text{の定義} \\
&=&0
\end{eqnarray*}を定めます。これらの関数はいずれも\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であるとともに、\begin{equation*}TV\left( f-g\right) <TV\left( f\right) +TV\left( g\right)
\end{equation*}が成り立ちます(演習問題)。

 

演習問題

問題(関数の差の全変動が関数の全変動の和と一致しないケース)
関数\(f,g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \left[ a,b\right] \)に対して定める値が、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&x \\
g\left( x\right) &=&x
\end{eqnarray*}とそれぞれ表されるものとします。その上で、関数\(f-g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。\(f,g,f-g\)はいずれも\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であるとともに、\begin{equation*}TV\left( f-g\right) <TV\left( f\right) +TV\left( g\right)
\end{equation*}が成り立つことを示してください。

解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(有界変動関数どうしの差)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された2つの関数\(f,g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(f-g:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。本文中で明らかにしたように、\(f\)と\(g\)ともに\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動である場合には\(f-g\)もまた\(\left[a,b\right] \)上で有界変動です。では逆に、\(f-g\)が\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動である場合には\(f\)と\(g\)もまた\(\left[ a,b\right] \)上で有界変動であると言えるでしょうか。議論してください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

Mailで保存
Xで共有

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです

会員登録

有料のプレミアム会員であれば、質問やコメントの投稿と閲覧、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題とその解答)へのアクセスなどが可能になります。

ワイズのユーザーは年齢・性別・学歴・社会的立場などとは関係なく「学ぶ人」として対等であり、お互いを人格として尊重することが求められます。ユーザーが快適かつ安心して「学ぶ」ことに集中できる環境を整備するため、広告やスパム投稿、他のユーザーを貶めたり威圧する発言、学んでいる内容とは関係のない不毛な議論などはブロックすることになっています。詳細はガイドラインをご覧ください。

誤字脱字、リンク切れ、内容の誤りを発見した場合にはコメントに投稿するのではなく、以下のフォームからご連絡をお願い致します。

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録