関数の連続点
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義域上の点\(a\in X\)において連続であるか検討するためには、そもそも\(f\)は点\(a\)の周辺の任意の点において定義されている必要があります。また、\(f\)が点\(a\)の周辺においては定義されていない場合でも、点\(a\)以上の周辺の任意の点において定義されていれば、\(f\)が点\(a\)において右側連続であるか検討できます。同様に、\(f\)が点\(a\)以下の周辺の任意の点において定義されていれば、\(f\)が点\(a\)において左側連続であるか検討できます。以上を踏まえた上で、関数の連続性を以下のように定義します。
- 関数\(f\)が定義域上の点\(a\)の周辺の任意の点において定義されている場合、\(f\)が点\(a\)において連続であることの意味を、\(f\)が点\(a\)において通常の意味において連続であることとして定義する。つまり、この場合、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\)が有限な実数へ収束するとともに、そこでの極限が、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =f\left( a\right) \end{equation*}を満たす場合、\(f\)は点\(a\)において連続であると言う。点\(a\)が\(f\)の定義域の内点である場合などがこのケースに相当する。
- 関数\(f\)が定義域上の点\(a\)以上の周辺の任意の点において定義されている一方で点\(a\)より小さい周辺の任意の点においては定義されていない場合、\(f\)が点\(a\)において連続であることの意味を、\(f\)が点\(a\)において右側連続であることとして定義する。つまり、この場合、\(x\rightarrow a+\)のときに\(f\)が有限な実数へ右側収束するとともに、そこでの右側極限が、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a+}f\left( x\right) =f\left( a\right) \end{equation*}を満たす場合、\(f\)は点\(a\)において連続であると言う。\(f\)の定義域が閉区間であり、点\(a\)が左側の端点である場合などがこのケースに相当する。
- 関数\(f\)が定義域上の点\(a\)以下の周辺の任意の点において定義されている一方で点\(a\)より大きい周辺の任意の点においては定義されていない場合、\(f\)が点\(a\)において連続であることの意味を、\(f\)が点\(a\)において左側連続であることとして定義する。つまり、この場合、\(x\rightarrow a-\)のときに\(f\)が有限な実数へ左側収束するとともに、そこでの左側極限が、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a-}f\left( x\right) =f\left( a\right) \end{equation*}を満たす場合、\(f\)は点\(a\)において連続であると言う。\(f\)の定義域が閉区間であり、点\(a\)が右側の端点である場合などがこのケースに相当する。
- 関数\(f\)が定義域上の点\(a\)の周辺の任意の点において定義されていない場合、すなわち点\(a\)が関数\(f\)の定義域の孤立点である場合、\(f\)は点\(a\)において連続であるものとみなす。これはイプシロン・デルタ論法にもとづく関数の連続性が根拠になっている。
関数\(f\)が定義域上の点\(a\)において連続である場合、すなわち以上の4つのケースのいずれかに該当する場合、点\(a\)を関数\(f\)の連続点(continuous point)と呼びます。
関数の第1種の不連続点
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義域上の点\(a\in X\)において連続ではない場合、点\(a\)を関数\(f\)の不連続点(discontinuous point)と呼びます。関数\(f\)が定義域上の点\(a\)の周辺の任意の点において定義されている場合、片側連続性と連続性の関係を踏まえると、\(f\)が点\(a\)において連続であることは以下の3つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a+}f(x)\in \mathbb{R} \\
&&\left( b\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)\in \mathbb{R} \\
&&\left( c\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow
a+}f(x)=\lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)=f\left( \alpha \right)
\end{eqnarray*}がすべて成り立つこととして表現できます。したがって、\(f\)が定義域上の点\(a\)の周辺の任意の点において定義されている場合、点\(a\)が不連続点であることとは以上の3つの条件の中の少なくとも1つが成り立たないことを意味します。特に、\(\left( a\right) \)と\(\left( b\right) \)が成り立つ一方で\(\left(c\right) \)が成り立たない場合、このような不連続点\(a\)を第1種の不連続点(discontinuous point of the first kind)と呼びます。第1種の不連続点はさらに以下の2種類に分類可能です。
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域上の点\(a\in X\)が第1種の不連続点であるとともに、右側極限\(\lim\limits_{x\rightarrow a+}f(x)\)と左側極限\(\lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)\)が一致する場合、すなわち、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a+}f(x)\in \mathbb{R} \\
&&\left( b\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)\in \mathbb{R} \\
&&\left( c\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow
a+}f(x)=\lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)\not=f\left( \alpha \right)
\end{eqnarray*}が成り立つ場合、このような点\(a\)を除去可能な不連続点(removablediscontinuous point)と呼びます。
\begin{array}{cc}
x+1 & \left( if\ x\not=2\right) \\
4 & \left( if\ x=2\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は定義域上の点\(2\)の周辺の任意の点において定義されているとともに、そこでの左右の片側極限は、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 2+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 2+}\left(
x+1\right) =3 \\
\lim_{x\rightarrow 2-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 2-}\left(
x+1\right) =3
\end{eqnarray*}となり両者は一致する一方で、これらは\(f\left( 2\right) =4\)とは一致しないため、点\(2\)は除去可能な不連続点であるような第1種の不連続点です。
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域上の点\(a\in X\)が第1種の不連続点であるとともに、右側極限\(\lim\limits_{x\rightarrow a+}f(x)\)と左側極限\(\lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)\)が一致しない場合、すなわち、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a+}f(x)\in \mathbb{R} \\
&&\left( b\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)\in \mathbb{R} \\
&&\left( c\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow
a+}f(x)\not=\lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)
\end{eqnarray*}が成り立つ場合、このような点\(a\)を跳躍不連続点(jump discontinuous point)と呼びます。
\begin{array}{cc}
x+1 & \left( if\ x<2\right) \\
4 & \left( if\ x=2\right) \\
x+3 & \left( if\ x>2\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は定義域上の点\(2\)の周辺の任意の点において定義されているとともに、そこでの左右の片側極限は、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 2+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 2+}\left(
x+3\right) =5 \\
\lim_{x\rightarrow 2-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 2-}\left(
x+1\right) =3
\end{eqnarray*}となり両者は一致しないため、点\(2\)は跳躍不連続点であるような第1種の不連続点です。
関数の第2種の不連続点
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義域上の点\(a\in X\)の周辺の任意の点において定義されている一方で、右側極限\(\lim\limits_{x\rightarrow a+}f(x)\)と左側極限\(\lim\limits_{x\rightarrow a-}f(x)\)の少なくとも一方が有限な実数として定まらない場合、このような不連続点\(a\)を第2種の不連続点(discontinuous point of the second kind)と呼びます。
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x\in \mathbb{Q} \right) \\
1 & \left( if\ x\in \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選びます。まずは\(a\in \mathbb{Q} \)の場合について考えます。\(f\)が\(a\)において右側連続であるためには、\begin{equation*}\forall \varepsilon >0,\ \exists \delta >0,\ \forall x\in I:\left( 0\leq
x-a<\delta \Rightarrow \left\vert f\left( x\right) -f\left( a\right)
\right\vert <\varepsilon \right)
\end{equation*}が成り立つ必要がありますが、これは成り立ちません。実際、\(\varepsilon =\frac{1}{2}\)としたとき、任意の\(\delta >0\)に対して、無理数の稠密性より、\(0\leq x-a<\delta \)を満たす無理数\(x\)が必ず存在します。すると\(f\)の定義より、\begin{equation*}\left\vert f\left( x\right) -f\left( a\right) \right\vert =\left\vert
1-0\right\vert =1\geq \frac{1}{2}=\varepsilon
\end{equation*}となるため、\(f\)は\(a\)において右側連続ではありません。\(\alpha \not\in \mathbb{Q} \)の場合には、有理数の稠密性を用いることにより、上と同様の議論により\(f\)が\(a\)において右側連続ではないことが示されます。また、同様の議論において\(f\)は\(a\)において左側連続でもありません。したがって、\(\mathbb{R} \)上の任意の点は第2種の不連続点です。
連続点でも不連続点でもない点
関数が点において連続もしくは不連続であるためには、関数がその点において定義されている必要があります。言い換えると、関数の定義域に含まれない点はいずれも、その関数の連続点と不連続点のどちらでもないということです。
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は点\(0\)において定義されていないため、\(f\)は点\(0\)において連続と不連続のどちらでもありません。したがって、\(a\)は不連続点でもありません。
演習問題
\end{equation*}を定めるものとします。\(\mathbb{R} \)上の点を\(f\)の連続性の観点から分類してください。
\begin{array}{cl}
1-x^{2} & \left( if\ x<0\right) \\
x+2 & \left( if\ x\geq 0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(\mathbb{R} \)上の点を\(f\)の連続性の観点から分類してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(\mathbb{R} \)上の点を\(f\)の連続性の観点から分類してください。
|x-a|<\delta \Rightarrow \left\vert f\left( x\right) -f\left( a\right)
\right\vert <\varepsilon \right)
\end{equation*}となります。点\(a\in X\)が\(X\)の孤立点である場合、上の定義のもとでは、\(f\)は\(a\)において連続であることを証明してください。
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