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定数関数の極限

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定数関数

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、ある特定の実数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c
\end{equation*}という形で表すことができるとき、\(f\)を定数関数(constant function)と呼びます。つまり、定数関数とは入力する\(x\)の値によらず出力される値\(f\left( x\right) \)が常に一定であるような関数です。

例(定数関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =5
\end{equation*}であるとき、この\(f\)は定数関数です。
例(定数関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =\pi
\end{equation*}であるとき、この\(f\)は定数関数です。
例(定数関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ x\leq 3\right) \\
2 & \left( if\ x>3\right)\end{array}\right.
\end{equation*}であるものとします。この関数\(f\)は定数関数ではありませんが、\(f\)の定義域を縮小して得られる関数\begin{eqnarray*}f &:&(-\infty ,3]\rightarrow \mathbb{R} \\
f &:&\left( 3,+\infty \right) \rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}はいずれも定数関数です。

 

定数関数の極限

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は定数関数であるものとします。つまり、ある\(c\in \mathbb{R} \)が存在して、任意の\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つということです。\(f\)が点\(a\in \mathbb{R} \)周辺の任意の点において定義されているとき、\(f\)が\(a\)において収束するか否かを検討できますが、\(f\)は常に同一の値\(c\)をとることを踏まえると、\(f\)は\(a\)において\(c\)へ収束しそうです。実際、これは正しい主張です。

命題(定数関数の極限)

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、ある定数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c
\end{equation*}と表されるものとする。\(f\)が点\(a\in \mathbb{R} \)周辺の任意の点において定義されているならば、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つ。

証明
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例(定数関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =5
\end{equation*}であるものとします。\(\mathbb{R} \)は開集合であるため、点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は\(a\)の周辺にある任意の点において定義されています。したがって上の命題より、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =5
\end{equation*}が成り立ちます。

上の命題は、定数関数\(f\)が問題としている点\(a\)の周辺にある任意の点において定義されている場合にのみ適用可能です。\(f\)が点\(a\)の周辺の任意の点において定義されていない場合、そもそも\(x\rightarrow a\)のときの極限を考えることさえできません。

例(定数関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =2
\end{equation*}を定めるものとします。定義域\(\left[ 0,1\right] \)の内部は\(\left( 0,1\right) \)です。定義域の内点\(a\in \left( 0,1\right) \)を任意に選んだとき、\(f\)は\(a\)の周辺にある任意の点において定義されているため、先の命題より、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =2
\end{equation*}が成り立ちます。一方、定義域の境界点である\(0\)や\(1\)に注目したとき、\(f\)はそれらの点の周辺にある任意の点において定義されていないため、そもそも\(x\rightarrow a\)のときの\(f\)の極限を考えることはできません。そのような場合、片側極限を考えたり、関数の極限の定義にさかのぼって対処する必要があります。

 

定数関数の片側極限

片側極限に関しても同様の命題が成り立ちます。

命題(定数関数の片側極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、ある定数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c
\end{equation*}と表されるものとする。\(f\)が点\(a\in \mathbb{R} \)より大きい周辺の任意の点において定義されているならば、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a+}f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つ。また、\(f\)が\(a\)より小さい周辺の任意の点において定義されているならば、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a-}f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つ。
証明
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例(定数関数の片側極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =7
\end{equation*}であるものとします。定義域\(\left[ 0,1\right] \)の内部は\(\left( 0,1\right) \)です。\(f\)は定義域の任意の内点\(a\in \left(0,1\right) \)において通常の意味で収束し、そこでの極限は、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =7
\end{equation*}となります。一方、\(f\)は定義域の境界点である\(0\)や\(1\)において通常の意味で収束しません。\(f\)は\(0\)より大きい周辺の任意の点において定義されているため、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow 0+}f\left( x\right) =7
\end{equation*}が成り立ちます。また、\(f\)は\(1\)より小さい周辺の任意の点において定義されているため、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow 1-}f\left( x\right) =7
\end{equation*}が成り立ちます。

以下はもう少し複雑な場合です。

例(定数関数の片側極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ x\leq 3\right) \\
2 & \left( if\ x>3\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}であるものとします。この関数\(f\)は定数関数ではありませんが、\(f\)の定義域を縮小して得られる関数\begin{eqnarray*}f &:&(-\infty ,3]\rightarrow \mathbb{R} \\
f &:&\left( 3,+\infty \right) \rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}はいずれも定数関数です。\(a<3\)を満たす任意の点\(a\in \mathbb{R} \)については、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =\lim_{x\rightarrow a}1=1
\end{equation*}となり、\(a>3\)を満たす任意の点\(a\in \mathbb{R} \)については、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =\lim_{x\rightarrow a}2=2
\end{equation*}となります。一方、点\(3\)においては、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 3+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 3+}2=2 \\
\lim_{x\rightarrow 3-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 3-}1=1
\end{eqnarray*}となりますが、両者は異なるため、\(x\rightarrow 3\)のときに\(f\)は通常の意味において収束しません。

 

定数関数の無限大における極限

無限大における極限に関しても同様の命題が成り立ちます。

命題(定数関数の無限大における極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は定数関数であるものとする。つまり、\begin{equation*}\exists c\in \mathbb{R} ,\ \forall x\in X:f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つものとする。\(f\)が限りなく大きい任意の点において定義されているならば、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つ。また、\(f\)が限りなく小さい任意の点において定義されているならば、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つ。
証明
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例(定数関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-\frac{\pi }{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(\mathbb{R} \)は開集合であるため、点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =-\frac{\pi }{2}
\end{equation*}が成り立ちます。一方、\(f\)は限りなく大きい任意の点や、限りなく小さい任意の点において定義されているため、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) &=&-\frac{\pi }{2} \\
\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) &=&-\frac{\pi }{2}
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

 

演習問題

問題(定数関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、ある定数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =c
\end{equation*}と表されるものとする。\(f\)が点\(a\in \mathbb{R} \)周辺の任意の点において定義されているならば、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =c
\end{equation*}が成り立つことを、イプシロン・デルタ論法を用いて証明してください。
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問題(定数関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \supset (-\infty ,1]\cup (2,+\infty )\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in (-\infty ,1]\cup(2,+\infty )\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ x\leq 1\right) \\
2 & \left( if\ x>2\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。それぞれの点\(a\in \mathbb{R} \cup \left\{ \pm \infty \right\} \)において、\(x\)が\(a\)に限りなく近づく場合の\(f\)の極限を求めてください。また、極限が存在しない場合にはその理由を述べてください。
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次回は恒等関数と呼ばれる関数が収束することを示します。

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