連続関数と距離・位相の関係

関数が連続であることを表現するためには関数の収束の概念は必ずしも必要ではなく、距離の概念や開集合、もしくは閉集合の概念などをから間接的に定義することも可能です。

関数 連続 距離 点の近傍 開集合 閉集合

2019年9月2日:改定
2019年7月20日:公開

距離を用いた連続関数の表現

\(\mathbb{R}\)における距離について簡単に復習します。2つの実数\(x,y\in \mathbb{R}\)の間の距離は、\begin{equation*}
d\left( x,y\right) =\left\vert x-y\right\vert
\end{equation*}と定義されます。さらに、点\(a\in \mathbb{R}\)からの距離が\(\varepsilon >0\)よりも小さいような\(\mathbb{R}\)のすべての点からなる集合を、\begin{eqnarray*}
U_{\varepsilon }\left( a\right) &=&\{x\in \mathbb{R} \ |\ d\left( x,a\right) <\varepsilon \} \\
&=&\{x\in \mathbb{R} \ |\ \left\vert x-a\right\vert <\varepsilon \}
\end{eqnarray*}で表し、これを点\(a\)の\(\varepsilon \)-近傍と呼びます。特に、近傍\(U_{\varepsilon }\left( a\right) \)から点\(a\)を除いた集合は、\begin{eqnarray*}
U_{\varepsilon }\left( a\right) \backslash \{a\} &=&\{x\in \mathbb{R} \ |\ 0<d\left( x,a\right) <\varepsilon \} \\
&=&\{x\in \mathbb{R} \ |\ 0<\left\vert x-a\right\vert <\varepsilon \}
\end{eqnarray*}となります。これを点\(a\)の除外\(\varepsilon \)-近傍と呼びます。

距離について復習する

関数が収束することを点の近傍を用いて表現できるのと同様に、関数が連続であることもまた点の近傍を用いて表現可能です。そのことを確認する前に、収束関数と点の近傍の関係を復習します。

命題(収束関数と距離)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(\alpha ,\beta \in \mathbb{R} \)が与えられたとき、\begin{equation*} \forall \varepsilon >0,\ \exists \delta >0:f\left( U_{\delta }\left( \alpha \right) \backslash \{\alpha \}\right) \subset U_{\varepsilon }\left( \beta \right)
\end{equation*}が成り立つことは、\(\lim\limits_{x\rightarrow \alpha }f\left( x\right) =\beta \)が成り立つための必要十分条件である。
収束関数と距離の関係について復習する

上の関数\(f\)が点\(\alpha \)において連続であるものとしましょう。まず、\(f\)が\(\alpha \)において連続であることは\(f\)の\(\alpha \)における極限が\(f\left( \alpha \right) \)と一致することを意味するため、上の命題において\(\beta \)を\(f\left( \alpha \right) \)に置き換える必要があります。また、\(f\)が\(\alpha \)において連続である場合には\(f\)は\(\alpha \)において必ず定義されているため、\(x\)を\(\alpha \)に近づける際に\(x=\alpha \)の場合を除外する必要はありません。つまり、上の命題中の\(U_{\delta }\left( \alpha \right) \backslash \{\alpha \}\)を\(U_{\delta }\left( \alpha \right) \)に置き換えることになります。同様の理由により、「\(\alpha \in \mathbb{R}\)」の部分を「\(\alpha \in X\)」に置き換える必要があります。

以上を踏まえると、関数が点において連続であることを点の近傍を用いて以下のように表現できます。

命題(連続関数と距離)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)と点\(\alpha \in X\)が与えられたとき、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists \delta >0:f\left( U_{\delta }\left( \alpha \right) \right) \subset U_{\varepsilon }\left( f\left( \alpha \right) \right)
\end{equation*}が成り立つことは、\(f\)が\(\alpha \)において連続であるための必要十分条件である。
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この命題が興味深いのは、関数の収束の概念を前提とせずとも、距離の概念さえ与えられれば関数が点において連続であることを表現できてしまう点です。この事実は、距離の概念だけが定義された一般の集合においても(このような集合を距離空間と呼びます)、写像が点において連続であることが定義可能であることを意味します。距離空間については場を改めて解説します。

例(連続関数と距離)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x+1 & \left( if\ x\leq 2\right) \\
x+3 & \left( if\ x>2\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}と定義されるものとします。この関数\(f\)の点\(2\in \mathbb{R} \)における連続性を検討します。\(\varepsilon =1\)と任意の\(\delta >0\)に注目すると、\begin{equation*}
f\left( U_{\delta }\left( 2\right) \right) \cap (3,5]=\phi
\end{equation*}となる一方で、\begin{equation*}
U_{1}\left( f\left( 2\right) \right) =U_{1}\left( 3\right) =\left( 2,4\right)
\end{equation*}となります。したがって、\(\frac{7}{2}\)は\(f\left( U_{\delta }\left( 2\right) \right) \)に属さない一方で\(U_{1}\left( f\left( 2\right) \right) \)に属するため、\(f\left( U_{\delta }\left( 2\right) \right) \)は\(U_{1}\left( f\left( 2\right) \right) \)の部分集合ではありません。ゆえに上の命題より、この\(f\)は\(2\)において連続ではありません。

 

位相を用いた連続関数の表現

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義域\(X\)上で連続であることとは、\(f\)が\(X\)の任意の点において連続であることを意味しますが、このことは開集合の概念を用いて表現することも可能です。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、終集合の部分集合であるような開集合\(B\subset \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、\(f\)によるその逆像\begin{equation*}
f^{-1}\left( B\right) =\{x\in X\ |\ f\left( x\right) \in B\}
\end{equation*}をとります。一般に、この逆像\(f^{-1}\left( B\right) \)は逆像であるとは限りません。一方、どのような開集合\(B\)をとった場合でもそれに対する\(f^{-1}\left( B\right) \)が常に開集合であることは、\(f\)が\(X\)上で連続であるための必要十分条件になります。

命題(連続関数と開集合)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)について、任意の開集合\(B\subset \mathbb{R} \)の逆像\(f^{-1}\left( B\right) \subset X\)が開集合であることは、\(f\)が\(X\)上で連続であるための必要十分条件である。
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この命題が興味深いのは、関数の収束や距離の概念を前提とせずとも、開集合の概念さえ与えられれば関数が連続であることを表現できてしまう点です。この事実は、開集合の概念だけが定義された一般の集合においても(このような集合を位相空間と呼びます)、写像が連続であることが定義可能であることを意味します。位相空間については場を改めて解説します。

例(連続関数と開集合)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x+1 & \left( if\ x\leq 2\right) \\
x+3 & \left( if\ x>2\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}と定義されるものとします。開集合\(\left( 2,4\right) \subset \mathbb{R} \)に対して、その\(f\)による逆像は、\begin{equation*}
f^{-1}\left( \left( 2,4\right) \right) =\left[ 1,2\right] \end{equation*}という閉区間であり、\(\mathbb{R} \)の開集合ではありません。したがって上の命題より\(f\)は\(\mathbb{R} \)上の連続関数ではありません。

開集合と連続関数の関係を規定する上の命題を利用すると、閉集合によって連続関数を以下のように特徴づけることも可能であることが示されます。

命題(連続関数と開集合)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)について、任意の閉集合\(B\subset \mathbb{R} \)の逆像\(f^{-1}\left( B\right) \subset X\)が閉集合であることは、\(f\)が\(X\)上で連続であるための必要十分条件である。
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例(連続関数と開集合)
先の例と同様に、関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x+1 & \left( if\ x\leq 2\right) \\
x+3 & \left( if\ x>2\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}と定義されるものとします。閉集合\(\left[ 4,6\right] \subset \mathbb{R} \)に対して、その\(f\)による逆像は、\begin{equation*}
f^{-1}\left( \left[ 4,6\right] \right) =(2,3] \end{equation*}という半開区間であり、\(\mathbb{R} \)の閉集合ではありません。したがって上の命題より\(f\)は\(\mathbb{R} \)上の連続関数ではありません。

次回は関数の片側連続性について解説します。
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