対数関数の連続性
対数関数\(f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して定める値が、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす定数\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =\log _{a}\left( x\right)
\end{equation*}と表されるということです。
点\(b\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において連続であることが保証されます。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上において連続です。
命題(対数関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して定める値が、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす定数\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =\log _{a}\left( x\right)
\end{equation*}と表されるものとする。点\(b\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において連続である。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上において連続である。
\end{equation*}と表されるものとする。点\(b\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において連続である。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上において連続である。
例(自然対数関数の連続性)
自然対数関数\begin{equation*}
\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\ln\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\ln\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
例(常用対数関数の連続性)
常用対数関数\begin{equation*}
\log _{10}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\log _{10}\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
\log _{10}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\log _{10}\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
例(二進対数関数の連続性)
二進対数関数\begin{equation*}
\log _{2}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\log _{2}\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
\log _{2}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\log _{2}\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
例(対数関数の連続性)
以下の関数\begin{equation*}
\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。
例(マグニチュードの連続性)
ローカル・マグニチュード(local magnitude scale)とは、地震計の針の振れ幅の大きさをもとに地震の規模を表現する指標です。震源から100km離れた地点に置かれた標準的な地震計が記録する針の振れ幅(μm)が\(x\in \mathbb{R} _{++}\)である場合、ローカル・マグニチュードは、\begin{equation*}f\left( x\right) =\log _{10}\left( x\right)
\end{equation*}と定義されます。関数\begin{equation*}
f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。つまり、地震計の針の振れ幅\(x\)が連続的に変化すると、ローカル・マグニチュードの値もまた連続的に変化します。
\end{equation*}と定義されます。関数\begin{equation*}
f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数であるため、先の命題より、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。つまり、地震計の針の振れ幅\(x\)が連続的に変化すると、ローカル・マグニチュードの値もまた連続的に変化します。
例(対数関数との合成関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\ln \left( x^{2}+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(x^{2}+1\)と自然対数関数\(\ln \left( x\right) \)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、多項式関数の連続性より\(x^{2}+1\)は点\(a\)において連続です。\(a^{2}+1\in \mathbb{R} _{++}\)であるため、対数関数の連続性より\(\ln \left(x\right) \)は点\(a^{2}+1\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より\(\ln \left( x^{2}+1\right) \)すなわち\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続です。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(x^{2}+1\)と自然対数関数\(\ln \left( x\right) \)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、多項式関数の連続性より\(x^{2}+1\)は点\(a\)において連続です。\(a^{2}+1\in \mathbb{R} _{++}\)であるため、対数関数の連続性より\(\ln \left(x\right) \)は点\(a^{2}+1\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より\(\ln \left( x^{2}+1\right) \)すなわち\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続です。
例(デシベルの連続性)
デシベル(decibel)とは、音が伝わる際の大気圧の変化量の大きさ(音圧)をもとに音の大きさを表現する指標です。音圧(μPa:マイクロパスカル)が\(x\in \mathbb{R} _{++}\)である場合、デシベルは、\begin{equation*}f\left( x\right) =20\log _{10}\left( \frac{x}{20}\right)
\end{equation*}と定義されます。関数\begin{equation*}
f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は多項式関数\(\frac{x}{20}\)と対数関数\(\log _{10}\left( x\right) \)の合成関数の定数倍であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、多項式関数の連続性より\(\frac{x}{20}\)は点\(a\)において連続です。\(\frac{a}{20}\in \mathbb{R} _{++}\)であるため、対数関数の連続性より\(\log_{10}\left( x\right) \)は点\(\frac{a}{20}\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より\(\log _{10}\left( \frac{x}{20}\right) \)は点\(a\)において連続です。連続関数の定数倍は連続であるため\(20\log _{10}\left( \frac{x}{20}\right) \)すなわち\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} _{++}\)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。つまり、音圧\(x\)が連続的に変化すると、デシベルの値もまた連続的に変化します。
\end{equation*}と定義されます。関数\begin{equation*}
f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は多項式関数\(\frac{x}{20}\)と対数関数\(\log _{10}\left( x\right) \)の合成関数の定数倍であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、多項式関数の連続性より\(\frac{x}{20}\)は点\(a\)において連続です。\(\frac{a}{20}\in \mathbb{R} _{++}\)であるため、対数関数の連続性より\(\log_{10}\left( x\right) \)は点\(\frac{a}{20}\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より\(\log _{10}\left( \frac{x}{20}\right) \)は点\(a\)において連続です。連続関数の定数倍は連続であるため\(20\log _{10}\left( \frac{x}{20}\right) \)すなわち\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} _{++}\)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上で連続です。つまり、音圧\(x\)が連続的に変化すると、デシベルの値もまた連続的に変化します。
対数関数の片側連続性
片側連続性についても同様の命題が成り立ちます。
命題(対数関数の片側連続性)
関数\(f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して定める値が、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす定数\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =\log _{a}\left( x\right)
\end{equation*}と表されるものとする。点\(b\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において右側連続である。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上において右側連続である。点\(b\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において左側連続である。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上において左側連続である。
\end{equation*}と表されるものとする。点\(b\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において右側連続である。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上において右側連続である。点\(b\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において左側連続である。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{++}\)上において左側連続である。
例(対数関数の片側連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\ln \left( x\right) & \left( if\ x\geq 1\right) \\
0 & \left( if\ x<1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(a>1\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、その周辺の任意の点\(x\in \mathbb{R} \)において\(f\left( x\right) =\ln \left( x\right) \)であるため、対数関数の連続性より\(f\)は点\(a\)において連続です。また、点\(1\)において、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 1+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 1+}\ln \left(
x\right) \quad \because x>1\text{および}f\text{の定義} \\
&=&\ln \left( 1\right) \quad \because \text{対数関数の片側極限} \\
&=&0 \\
&=&f\left( 1\right) \quad \because f\text{の定義}
\end{eqnarray*}であるため、\(f\)は点\(1\)において右側連続です。その一方で、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 1-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 1-}0\quad
\because x<1\text{および}f\text{の定義}
\\
&=&0\quad \because \text{定数関数の片側極限} \\
&=&f\left( 1\right)
\end{eqnarray*}であるため、\(f\)は点\(1\)において左側連続です。つまり、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow 1+}f\left( x\right) =\lim_{x\rightarrow 1-}f\left(
x\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は点\(0\)において連続です。また、\(a<1\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、その周辺の任意の点\(x\in \mathbb{R} \)において\(f\left( x\right) =0\)であるため、定数関数の連続性より\(f\)は点\(a\)において連続です。以上より、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続であることが明らかになりました。
\begin{array}{cl}
\ln \left( x\right) & \left( if\ x\geq 1\right) \\
0 & \left( if\ x<1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(a>1\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、その周辺の任意の点\(x\in \mathbb{R} \)において\(f\left( x\right) =\ln \left( x\right) \)であるため、対数関数の連続性より\(f\)は点\(a\)において連続です。また、点\(1\)において、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 1+}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 1+}\ln \left(
x\right) \quad \because x>1\text{および}f\text{の定義} \\
&=&\ln \left( 1\right) \quad \because \text{対数関数の片側極限} \\
&=&0 \\
&=&f\left( 1\right) \quad \because f\text{の定義}
\end{eqnarray*}であるため、\(f\)は点\(1\)において右側連続です。その一方で、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow 1-}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 1-}0\quad
\because x<1\text{および}f\text{の定義}
\\
&=&0\quad \because \text{定数関数の片側極限} \\
&=&f\left( 1\right)
\end{eqnarray*}であるため、\(f\)は点\(1\)において左側連続です。つまり、\begin{equation*}\lim_{x\rightarrow 1+}f\left( x\right) =\lim_{x\rightarrow 1-}f\left(
x\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は点\(0\)において連続です。また、\(a<1\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、その周辺の任意の点\(x\in \mathbb{R} \)において\(f\left( x\right) =0\)であるため、定数関数の連続性より\(f\)は点\(a\)において連続です。以上より、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続であることが明らかになりました。
演習問題
問題(対数関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\ln \left( x^{2}-9\right)
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x<-3\vee x>3\right\}
\end{equation*}です。この関数\(f\)が連続である点をすべて明らかにしてください。
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x<-3\vee x>3\right\}
\end{equation*}です。この関数\(f\)が連続である点をすべて明らかにしてください。
問題(対数関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =2x\log _{10}\left( x^{3}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)が連続である点をすべて明らかにしてください。
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)が連続である点をすべて明らかにしてください。
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