行列式

連立1次方程式の解を求める問題は行列式の理論と深い関係があります。ここでは行列式の定義および性質を確認した上で、連立1次方程式との関係を議論します。

学習内容

順列の置換

行列式を定義するための準備として、順列の置換とその符号について解説します。

順列の置換とその符号

1以上n以下の自然数を何らかの順番のもとで並べて列にしたものを順列と呼びます。小さい順番に並んでいる自然数の順列の成分を並び替える操作を置換と呼びます。

順列の置換の積(合成)とその符号

順列の置換は全単射と同一視できるため、複数の置換の合成写像を定義できます。これを置換の積と呼びます。置換の積の符号は、置換の符号どうしの積と一致します。

順列の置換の逆置換とその符号

順列の置換は全単射と同一視できるため、その逆写像に相当する全単射が存在し、それを逆置換と呼びます。置換と逆置換の符号は一致します。

行列式

行列式を定義した上で、その基本的な性質について解説します。

行列式の定義

正方行列に対して行列式と呼ばれる値を定義し、それを具体的に求める方法を解説します。

サラスの公式を用いた行列式の計算

次数が2または3であるような正方行列に関しては、その行列式の値を求める際にサラスの公式と呼ばれる指針を利用することができます。

転置行列の行列式の値

行列のij成分とji成分を入れ替えることで得られる行列を転置行列と呼びます。正方行列の行列式の値と、その転置行列の行列式の値は一致します。

行列式の行または列に関する交代性

正方行列の2つの行(列)を入れ替えると、その前後において、行列式の値は符号だけが変化します。以上の事実を利用すると、同じ行(列)を持つ正方行列の行列式の値はゼロになることが示されます。

行列式の行または列に関する斉次性

正方行列の1つの行(列)のすべての成分をk倍すると、その前後において、行列式の値はk倍になります。以上の事実は、正方行列のある行(列)が共通因数を持つ場合、それを行列式の外にくくり出せることを同時に意味します。

正方行列の定義とその分類(三角行列・対角行列・単位行列)

実数を正方形に配置したものを正方行列と呼びます。三角行列、対角行列、単位行列などはいずれも正方行列です。

行列式の行または列に関する加法性

行列式の1つの行(列)のそれぞれの成分が2つの実数の和に分解されているならば、この行列式を、それぞれの数を成分とする2つの行列式の和に分解できます。また、1つの行(列)の定数倍を別の行(列)に加えても、行列式の値は変化しません。

行簡約を用いた行列式の計算

与えられた正方行列の行列式の値を計算する際に、基本行変形によって正方行列を行標準形へ変換するプロセスを利用する方法について解説します。

行列式の余因子展開(ラプラス展開)

次数nの正方行列の行列式を計算するプロセスを、n個の次数n-1の正方行列の行列式を計算するプロセスへと簡略化できる根拠を与えるのが余因子展開です。

行列式を用いた正則行列の判定と逆行列の導出

正方行列が正則であることを行列式を用いて判定する方法、および行列式と余因子行列を用いて正則行列の逆行列を特定する方法について解説します。

行列式を用いた線型従属・線型独立であることの判定

実ベクトル空間の部分集合であるベクトル集合が線型従属ないし線型独立であることを判定するために行列式を利用する方法について解説します。

行列式の乗法性

2つの正方行列の行列積の行列式の値は、個々の行列の行列式の値の積と一致します。

行列式を用いた連立1次方程式の解法(クラーメルの法則)

変数の個数と1次方程式の個数が等しい連立1次方程式に関しては、一定の条件のもとで、行列式を用いることにより解を求めることができます。

確認テスト

行列式関する確認テストです。

学習ガイド

大学の数学カリキュラムとWIISのカリキュラムは何が違うのか

多くの大学では入学後すぐに微分積分学や線形代数学を学び、その後に実数論や位相空間論などの理論的な科目へ進みます。一方、WIISでは論理学・集合論の後に実数論を学び、その上で微分積分学へ進むカリキュラムを採用しています。本記事では、それぞれの考え方とWIISの学習順序のメリットについて解説します。

最新の議論

現在、活発な議論はありません。

関連分野

論理学

論理学は、数学における証明や推論の基礎となる分野です。命題論理や述語論理を通じて、論理式、真理値、量化記号、証明の考え方を体系的に解説します。大学数学や理論的な学問を学ぶための出発点となる教材を提供しています。

ベクトル

「大きさ」と「方向」という2種類の情報によって表現される量をベクトルと呼びます。ベクトルを定式化するとともに、その性質について解説します。

集合論

集合論は現代数学の共通言語です。集合、写像、関係、濃度、順序関係を中心に、数学のさまざまな分野を理解するための基礎概念を体系的に解説します。実数論、線形代数学、位相空間論などへ進むための土台を築きます。

行列

実数を長方形に配列したものを行列と呼びます。ここでは行列とそれについて定義される代数的演算について学びます。

実数論

実数論では、実数の連続性や極限の概念を基礎から学びます。実数の定義、数列、関数、級数、関数列、数直線の位相、拡大実数系を通じて、解析学の理論的基盤を体系的に理解することを目指します。

実ベクトル空間上の線形写像(線型変換)

線形写像と呼ばれるタイプの写像について解説します。

ユークリッド空間

ユークリッド空間は、現代数学における解析学と幾何学の出発点です。点列、位相、ベクトル値関数、多変数関数を通じて、高次元空間における極限・連続性・収束の概念を学びます。位相空間論や最適化理論へ進むための重要な基礎を体系的に解説します。

連立1次方程式

ベクトルや行列に関する知識を活用して連立1次方程式を分析するとともに、解を具体的に求める方法を解説します。

固有値と固有ベクトル

行列を相似な行列に置き換えて、それをなるべく簡単な形へ変換するプロセスを行列の標準化と呼びます。

ベクトル空間

体と非空の集合上に定義されたベクトル加法とスカラー乗法と呼ばれる演算がベクトル空間の公理を満たす場合、そのような集合をベクトル空間と呼びます。ここではベクトル空間を定義した上で、その基本的な性質を確認します。

ベクトル空間上の線形写像

定義域と終集合が一般のベクトル空間であるような線形写像について解説します。

このページの目次