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サラスの公式

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次数2の正方行列の行列式

次数\(2\)の正方行列\begin{equation*}\begin{pmatrix}
a_{11} & a_{12} \\
a_{21} & a_{22}\end{pmatrix}\end{equation*}に対して、その行列式の値は、\begin{equation*}
\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} \\
a_{21} & a_{22}\end{vmatrix}=\mathrm{sgn}\left( 1,2\right) \cdot a_{11}a_{22}+\mathrm{sgn}\left( 2,1\right)
\cdot a_{12}a_{21}
\end{equation*}となります。\(\left( 1,2\right) \)は偶置換であり、\(\left( 2,1\right) \)は奇置換であるため、\begin{eqnarray*}\mathrm{sgn}\left( 1,2\right) &=&1 \\
\mathrm{sgn}\left( 2,1\right) &=&-1
\end{eqnarray*}となります。以上より、\begin{equation*}
\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} \\
a_{21} & a_{22}\end{vmatrix}=a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}
\end{equation*}であることが明らかになりました。

ここで注目すべきは、右辺の展開式は左辺の行列式の左上と右下の成分の積\(a_{11}a_{22}\)、すなわち\(\searrow \)方向の積から、右上と左下の積\(a_{12}a_{21}\)、すなわち\(\swarrow \)方向の積を引いたものになっています。つまり、\begin{equation*}\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} \\
a_{21} & a_{22}\end{vmatrix}=\left( \searrow \text{方向の積}a_{11}a_{22}\right)
-\left( \swarrow \text{方向の積}a_{12}a_{21}\right)
\end{equation*}というルールのもとで行列式を導出できます。これをサラスの公式(rule of Sarrus)と呼びます。

例(サラスの公式)
次数\(2\)の正方行列\begin{equation*}\begin{pmatrix}
2 & 3 \\
5 & 6\end{pmatrix}\end{equation*}の行列式の値は、サラスの公式より、\begin{equation*}
\begin{vmatrix}
2 & 3 \\
5 & 6\end{vmatrix}=2\cdot 6-3\cdot 5=-3
\end{equation*}となります。

 

次数3の正方行列の行列式

次数\(3\)の正方行列\begin{equation*}\begin{pmatrix}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
a_{21} & a_{22} & a_{23} \\
a_{31} & a_{32} & a_{33}\end{pmatrix}\end{equation*}に対して、その行列式の値は、\begin{eqnarray*}
\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
a_{21} & a_{22} & a_{23} \\
a_{31} & a_{32} & a_{33}\end{vmatrix}
&=&\mathrm{sgn}\left( 1,2,3\right) \cdot a_{11}a_{22}a_{33}+\mathrm{sgn}\left(
2,3,1\right) \cdot a_{12}a_{23}a+\mathrm{sgn}\left( 3,1,2\right) \cdot
a_{13}a_{21}a_{32} \\
&&+\mathrm{sgn}\left( 1,3,2\right) \cdot a_{11}a_{23}a_{32}+\mathrm{sgn}\left(
2,1,3\right) \cdot a_{12}a_{21}a_{33}+\mathrm{sgn}\left( 3,2,1\right) \cdot
a_{13}a_{22}a_{31}
\end{eqnarray*}となります。\(\left( 1,2,3\right) ,\left(2,3,1\right) ,\left( 3,1,2\right) \)は偶置換であり、\(\left( 1,3,2\right) ,\left( 2,1,3\right) ,\left(3,2,1\right) \)は奇置換であるため、\begin{eqnarray*}\mathrm{sgn}\left( 1,2,3\right) &=&\mathrm{sgn}\left( 2,3,1\right) =\mathrm{sgn}\left( 3,1,2\right) =1 \\
\mathrm{sgn}\left( 1,3,2\right) &=&\mathrm{sgn}\left( 2,1,3\right) =\mathrm{sgn}\left( 3,2,1\right) =-1
\end{eqnarray*}となります。以上より、\begin{equation*}
\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
a_{21} & a_{22} & a_{23} \\
a_{31} & a_{32} & a_{33}\end{vmatrix}=a_{11}a_{22}a_{33}+a_{12}a_{23}a+a_{13}a_{21}a_{32}-a_{11}a_{23}a_{32}-a_{12}a_{21}a_{33}-a_{13}a_{22}a_{31}
\end{equation*}であることが明らかになりました。

ここで注目すべきは、右辺の展開式は左辺の行列式の1行目のそれぞれの成分から右下へ移動して得られる成分の積\begin{equation*}
a_{11}a_{22}a_{33},\quad a_{12}a_{23}a_{31},\quad a_{13}a_{21}a_{32}
\end{equation*}の和、すなわち\(\searrow \)方向のそれぞれ積の和から、1行目のそれぞれの成分から左下へ移動して得られる成分の積\begin{equation*}a_{11}a_{23}a_{32},\quad a_{12}a_{21}a_{33},\quad a_{13}a_{22}a_{31}
\end{equation*}の和、すなわち\(\swarrow \)方向のそれぞれの積の和を引いたものになっています。つまり、\begin{eqnarray*}\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
a_{21} & a_{22} & a_{23} \\
a_{31} & a_{32} & a_{33}\end{vmatrix}
&=&\left( \searrow \text{方向の積の和}a_{11}a_{22}a_{33}+a_{12}a_{23}a_{31}+a_{13}a_{21}a_{32}\right) \\
&&-\left( \swarrow \text{方向の積の和}a_{11}a_{23}a_{32}+a_{12}a_{21}a_{33}+a_{13}a_{22}a_{31}\right)
\end{eqnarray*}というルールのもとで行列式を導出できます。これが次数\(3\)の場合のサラスの公式です。

例(サラスの公式)
次数\(3\)の正方行列\begin{equation*}\begin{pmatrix}
3 & 2 & -1 \\
1 & 5 & 2 \\
4 & -2 & 3\end{pmatrix}\end{equation*}の行列式の値は、サラスの公式より、\begin{eqnarray*}
\begin{vmatrix}
3 & 2 & -1 \\
1 & 5 & 2 \\
4 & -2 & 3\end{vmatrix}
&=&3\cdot 5\cdot 3+2\cdot 2\cdot 4+\left( -1\right) \cdot 1\cdot \left(
-2\right) \\
&&-3\cdot 2\cdot \left( -2\right) -2\cdot 1\cdot 3-\left( -1\right) \cdot
5\cdot 4 \\
&=&89
\end{eqnarray*}となります。

サラスの方法を利用して行列式の値を計算する方法は、正方行列の次数が\(4\)以上の場合には計算が煩雑になるため実用的ではありません。次数が\(4\)以上の場合には、後に解説する行列式の性質を利用し、次数の小さい行列式におきかえる手法を利用します。

 

演習問題

問題(サラスの方法)
以下の正方行列\begin{equation*}
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 \\
4 & -2 & 3 \\
2 & 5 & -1\end{pmatrix}\end{equation*}の行列式の値を計算してください。

証明

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問題(サラスの方法)
以下の正方行列\begin{equation*}
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 0 \\
3 & 2 & -4 \\
4 & 1 & 3\end{pmatrix}\end{equation*}の行列式の値を計算してください。

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