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SEQUENCE OF REAL NUMBERS

数列

OVERVIEW

数列とは何か

実数を順番に並べたものを数列や実数列と呼びます。数列の項が先に進むにつれてある実数に限りなく近づく場合には、その数列は収束すると言い、その実数を数列の極限と呼びます。数列の極限はそれ自体で重要な概念ですが、加えて、実数の連続性や数直線上の位相に関する諸概念、実数の連続性および連続性などはいずれも数列を用いて表現することができます。

TABLE OF CONTENTS

目次

LIMIT OF SEQUENCE

数列の極限

数列と呼ばれる概念を定義した上で、数列が収束することの意味を定義します。

数列の定義と具体例

実数を順番に並べたものを数列や実数列と呼びます。数列はすべての自然数からなる集合を定義域とし、すべての実数からなる集合を終集合とする写像として定式化することもできます。

数列の極限(収束する数列)

数列の項が先に進むにつれてある実数に限りなく近づく場合には、その数列は収束すると言い、その実数を数列の極限と呼びます。ただし、「限りなく近づく」という表現は曖昧であるため、イプシロン・エヌ論法を用いて収束列の概念を厳密に定義します。

数列の無限極限(発散する数列)

数列の項が先に進むにつれて限りなく大きくなる場合には、その数列は正の無限大に発散すると言います。また、数列の項が先に進むにつれて限りなく小さくなる場合には、その数列は負の無限大に発散すると言います。正ないし負の無限大に発散する数列は収束しません。収束列ではなく、なおかつ正ないし負の無限大に発散しない数列を振動列と呼びます。

PROPERTIES OF LIMIT OF SEQUENCE

数列の極限の性質

数列の極限に関する基本的な性質について解説します。

有界数列と収束数列の関係

数列のすべての項からなる集合が上に有界ならば、その数列は上に有界であると言います。また、数列のすべての項からなる集合が下に有界ならば、その数列は下に有界であると言います。上に有界かつ下に有界な数列を有界な数列と呼びます。収束列は有界ですが、有界な数列は収束するとは限りません。

定数数列の極限

すべての項が等しい数列を定数数列(定数列)と呼びます。定数列は有限な実数へ収束します。

数列の定数倍の極限(定数倍の法則)

数列が収束するとき、その数列の一般項の定数倍を一般項とする数列もまた収束します。また、正の無限大や負の無限大に発散する数列と、その数列の定数倍の極限の間にも同様の関係が成り立ちます。

数列の和の極限(和の法則)

2つの数列が収束するとき、それらの一般項の和を一般項とする数列もまた収束します。また、ともに正の無限大に発散する2つの数列や、ともに負の無限大に発散する2つの数列の間にも同様の関係が成り立ちます。

数列の差の極限(差の法則)

2つの数列が収束するとき、それらの一般項の差を一般項とする数列もまた収束します。また、正の無限大に発散する数列と負の無限大に発散する数列の間にも同様の関係が成り立ちます。

数列の積の極限(積の法則)

2つの数列が収束するとき、それらの一般項の積を一般項とする数列もまた収束します。また、正の無限大や負の無限大に発散する数列の間にも同様の関係が成り立ちます。

数列の商の極限(商の法則)

2つの数列が収束するとき、それらの一般項の商を一般項とする数列もまた収束します。また、2つの数列のどちらか一方が正の無限大や負の無限大に発散し、他方が収束する場合にも、それらの商の間に同様の関係が成り立ちます。

数列の平方根の極限

非負の実数を項とする数列が収束するとき、その一般項の平方根を一般項とする数列も収束します。また、非負の実数を項とする数列が正の無限大へ発散するとき、その一般項の平方根を一般項とする数列も正の無限大へ発散します。

数列の絶対値の極限

数列が収束するとき、その一般項の絶対値を一般項とする数列も収束します。以上の事実を利用することにより、数列が有限な実数へ収束すること・しないことを判定できます。

数列の極限と不定形

数列の極限が不定形である場合、その数列の一般項を上手く変形してから極限をとることにより不定形を解消できることがあります。今回は不定形を解消するための方法を解説します。

MONOTONE SEQUENCE

単調数列

単調数列と呼ばれるクラスの数列について解説します。

単調数列(単調増加数列・単調減少数列)の定義と具体例

数列の項が先に行くにつれて大きくなることはあっても小さくなることがない場合、その数列を単調増加数列と呼びます。逆に、項が先に行くにつれて小さくなることはあっても大きくなることがない場合、その数列を単調減少数列と呼びます。

有界単調数列と実数の連続性

上に有界な単調増加数列の収束定理や下に有界な単調減少数列の収束定理などはいずれも実数の連続性の公理と必要十分であることを示します。

SEQUENCE OF INTERVALS

区間列

区間を順番に並べたものを区間列と呼びます。

区間列の定義と具体例

実数の区間を順番に並べたものを区間列と呼びます。また、区間列に属する区間を任意に選んだとき、それが直前の区間を部分集合として含んでいる場合にはその区間列を増加列と呼びます。一方、区間列に属する区間を任意に選んだとき、それが直前の区間の部分集合であるならばその区間列を減少列と呼びます。

カントールの縮小区間定理

実数の連続性を公理として認めるとき、そこから区間列に関するカントールの縮小区間定理という命題を示すことができます。これは、有界閉区間からなる単調減少列について、その区間の長さが 0 に収束する場合には、その区間列に属するすべての区間に属する実数は1つだけであるという主張です。

区間列と実数の連続性

実数空間が全順序体としての公理を満たすことを認める場合、実数の連続性の公理と、カントールの縮小区間定理およびアルキメデスの性質が成り立つことは必要十分になります。

SUBSEQUENCE

部分列

部分列と呼ばれるクラスの数列について解説します。

部分列を用いた数列の収束判定

数列が収束することと、その任意の部分列がもとの数列の極限と同じ極限へ収束することは必要十分です。以上の事実は、収束する数列の極限を特定したり、数列が発散することを示す上で有用です。

ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理

収束する数列の任意の部分列は収束する一方、収束しない数列に関しては、収束する部分列を持つ場合とそうでない場合の両方が起こり得ます。一方、数列が有界である場合には、それ自身が収束するかどうかを問わず、収束する部分列が必ず存在します。これをボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理と呼びます。

部分列と実数の連続性

ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理はカントールの縮小区間定理と必要十分です。したがって、ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理とアルキメデスの性質が成り立つことは実数の連続性と必要十分です。

CAUCHY SEQUENCE

コーシー列

コーシー列と呼ばれるクラスの数列について解説します。

コーシー列(基本列)の定義と具体例

項が先に進むにつれて項の変化がどこまでも小さくなっていく数列をコーシー列と呼びます。コーシー列の概念を厳密に定義した上で、コーシー列と収束列の関係を議論します。また、数列がコーシー列であるための判定条件について解説します。

コーシー列と有界数列の関係

コーシー列は有界である一方、有界な数列はコーシー列であるとは限りません。したがって、有界ではない数列はコーシー列ではありません。

コーシー列と実数の連続性

コーシー列の収束定理とアルキメデスの性質がともに成り立つことは、実数の連続性の公理と必要十分であることを示します。

LIMIT SUPERIOR AND LIMIT INFERIOR OF SEQUENCE

数列の上極限と下極限

数列の上極限と下極限について解説します。

数列の上極限と下極限

数列の上極限と下極限を定義します。数列が有界である場合、その上極限と下極限がそれぞれ有限な実数として定まることが保証されます。

上極限と下極限を用いた数列の収束判定

数列の上極限と下極限が有限な実数として定まるとともに両者が一致することは、その数列が有限な実数へ収束するための必要十分条件です。しかもその場合、極限は上極限や下極限と一致します。

数列の定数倍の上極限と下極限

数列の上極限および下極限と、その数列の定数倍として定義される数列の上極限および下極限の間に成立する関係について解説します。

EXAMPLE OF SEQUENCES

代表的な数列

代表的な数列について解説します。

等差数列とその部分和および極限

隣り合う項が共通の差を持つ数列を等差数列と呼びます。等差数列を定義するとともに、その部分和を明らかにした上で、等差数列が収束する・発散するための条件を明らかにします。

等比数列(幾何数列)とその部分和および極限

隣り合う項が共通の比を持つ数列を等比数列と呼びます。等比数列を定義するとともに、その部分和を明らかにした上で、等比数列が収束する・発散する・振動するための条件を明らかにします。

調和数列とその部分和および極限

各項の逆数をとると等差数列になるような数列を調和数列と呼びます。調和数列の部分和の近似値を特定するとともに、調和数列が収束することを示します。

ネイピア数(自然対数の底)

ネイピア数(オイラー数、自然対数の定)を数列の極限として定義するとともに、それが複利で元本を運用する場合の元本の増加率の極限として解釈可能であることを示します。

EXAM

確認テスト

数列に関する確認テストです。

RELATED KNOWLEDGE

関連知識

REQUIRED KNOWLEDGE

前提知識

本節の内容を理解する上で以下の知識が役に立ちます。

論理

論理学のテキストと演習問題です。命題論理と述語論理について学びます。

集合

集合に関するテキストと演習問題です。集合、写像、同値関係、集合の濃度などについて解説します。

実数の定義

実数を無限小数として定義する場合、実数に関する議論はすべて無限小数に関する議論として行うことになり面倒です。そこで代替的な方法として公理主義的なアプローチのもとで実数を定義します。ここでは実数を特徴づける公理について解説します。

ADVANCED KNOWLEDGE

発展知識

本節で得た知識は以下の分野を学ぶ上での基礎になります。

数直線の位相

実数空間すなわち数直線の位相に関するテキストと演習問題です。実数空間上の開集合や閉集合など、位相を規定する概念について解説します。

1変数関数

関数に関するテキストと演習問題です。実数の点集合上に定義され実数を値としてとる関数について、収束の概念や連続性の概念を中心に解説します。

ユークリッド空間上の点列

ユークリッド空間上の無限個の点を順番に並べたものを点列と呼びます。点列は実数列を一般化した概念です。ここでは点列が収束することの意味を定義した上で、収束点列の性質について解説します。

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