教材一覧
教材一覧
教材検索

数列

ネイピア数(自然対数の底)

目次

次のページ:
Twitter
Mailで保存

ネイピア数の根拠となる数列

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}で与えられているものとします。この数列の項を列挙すると、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&\left( 1+\frac{1}{1}\right) ^{1}=2 \\
x_{2} &=&\left( 1+\frac{1}{2}\right) ^{2}=2.25 \\
x_{3} &=&\left( 1+\frac{1}{3}\right) ^{3}=2.3704 \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}などとなります。

例(元本の増加率)
\(1\)年ごとに\(100\%\)の金利がつく場合に元本の\(A\)円を\(1\)年間運用すると、\(1\)年後の元利合計は、\begin{equation*}A\left( 1+1\right) =2A
\end{equation*}となります。つまり、この場合には\(1\)年間で元本が\(2\)倍になります。金利を\(100\%\)の\(\frac{1}{2}\)に相当する\(50\%\)に下げる代わりに\(\frac{1}{2}\)年ごとに金利がつく場合に元本の\(A\)円を\(1\)年間運用すると、\(1\)年後の元利合計は、\begin{equation*}A\left( 1+\frac{1}{2}\right) ^{2}=2.25A
\end{equation*}となります。つまり、この場合には\(1\)年間で元本が\(2.25\)倍になります。金利を\(100\%\)の\(\frac{1}{3}\)に相当する\(\frac{100}{3}\%\)に下げる代わりに\(\frac{1}{3}\)年ごとに金利がつく場合に元本の\(A\)円を\(1\)年間運用すると、\(1\)年後の元利合計は、\begin{equation*}A\left( 1+\frac{1}{2}\right) ^{3}=2.3704
\end{equation*}となります。つまり、この場合には\(1\)年間で元本がおよそ\(2.37\)倍になります。一般に、金利を\(100\%\)の\(\frac{1}{n}\)に相当する\(\frac{100}{n}\%\)に下げる代わりに\(\frac{1}{n}\)年ごとに金利がつく場合に元本の\(A\)円を\(1\)年間運用すると、\(1\)年後の元利合計は、\begin{equation*}A\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}となります。つまり、この場合には\(1\)年間で元本が\(\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}\)倍になります。つまり、数列\begin{equation*}\left\{ \left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}\right\}
\end{equation*}の項\(x_{n}\)は、\(\frac{1}{n}\)年ごとに\(\frac{100}{n}\%\)の金利がつく場合に元本を\(1\)年間運用した場合の元本の増加率を表しています。

 

ネイピア数の根拠となる数列は狭義単調増加

先の数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は狭義単調増加です。つまり、\begin{equation*}\forall n\in \mathbb{N} :x_{n}<x_{n+1}
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
x_{1}<x_{2}<x_{3}<\cdots
\end{equation*}が成り立ちます。証明では2項定理を利用します。

命題(ネイピア数の根拠となる数列は狭義単調増加)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}で与えられているものとする。この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は狭義単調増加である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(元本の増加率)
先の例より、\(\frac{1}{n}\)年ごとに\(\frac{100}{n}\%\)の金利がつく場合に元本を\(1\)年間運用した場合の元本の増加率は、\begin{equation*}x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}です。\(n\)が大きくなるにつれて金利の発生期間\(\frac{1}{n}\)は短くなり、各期の金利\(\frac{100}{n}\)は小さくなりますが、先の命題より数列\(\left\{x_{n}\right\} \)は狭義単調増加であるため、\(n\)が大きくなるにつれて元本の増加率\(x_{n}\)は大きくなり続けます。

 

ネイピア数の根拠となる数列は上に有界

先の数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は上に有界です。つまり、\begin{equation*}\exists a\in \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :x_{n}\leq a
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)のすべての項よりも大きい実数が存在します。

命題(ネイピア数の根拠となる数列は上に有界)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}で与えられているものとする。この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は上に有界である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(元本の増加率)
先の例より、\(\frac{1}{n}\)年ごとに\(\frac{100}{n}\%\)の金利がつく場合に元本を\(1\)年間運用した場合の元本の増加率は、\begin{equation*}x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}です。\(n\)が大きくなるにつれて元本の増加率\(x_{n}\)は大きくなり続けることは先に指摘した通りですが、先の命題より数列\(\left\{x_{n}\right\} \)は上に有界であるため、\(n\)がどれほど大きくなっても元本の増加率\(x_{n}\)はある一定の値を超えることはありません。

 

ネイピア数

先の数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は上に有界な単調増加数列であることが明らかになりました。上に有界な単調増加数列は有限な実数へ収束するため、先の数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)もまた有限な実数へ収束することが明らかになりました。

命題(ネイピア数の根拠)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}で与えられているものとする。この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は有限な実数へ収束するとともに、その極限は、\begin{equation*}\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}=\sup \left\{ x_{n}\in \mathbb{R} \ |\ n\in \mathbb{N} \right\}
\end{equation*}となる。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

上の命題より、一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}として与えられる数列は有限な実数へ収束することが明らかになりました。そこで、その極限を、\begin{equation*}
e
\end{equation*}で表記し、これをネイピア数(Napier’s constant)やオイラーの数(Euler’s number)、または自然対数の底(base of natural logarithm)などと呼びます。つまり、ネイピア数とは、\begin{equation*}
e=\lim_{n\rightarrow \infty }\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}を満たすものとして定義される有限な実数です。

例(元本の増加率の極限としてのネイピア数)
先の例より、\(\frac{1}{n}\)年ごとに\(\frac{100}{n}\%\)の金利がつく場合に元本を\(1\)年間運用した場合の元本の増加率は、\begin{equation*}x_{n}=\left( 1+\frac{1}{n}\right) ^{n}
\end{equation*}です。\(n\)が大きくなるにつれて元本の増加率\(x_{n}\)は大きくなり続ける一方、\(n\)がどれほど大きくなっても\(x_{n}\)が一定の値を超えることがないことは先に示した通りです。さらに、先の命題より、この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は有限な実数へ収束するとともに、\begin{equation*}e=\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、ネイピア数とは、\(n\)を限りなく大きくした場合の元本の増加率の極限に相当する数です。
次のページ:
Twitter
Mailで保存

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

積分を用いた自然対数関数の定義

自然対数関数や自然対数などの概念は積分を用いて定義することもできます。その場合にも、自然対数関数の微分に関する既知の性質や対数法則などがそのまま成立します。

指数関数の定義

正の実数であるような底を所与としたとき、指数を変数とし、累乗を値として定めるような関数を指数関数と呼びます。特に、ネイピア数を底とする指数関数を自然指数関数と呼びます。指数関数は正の実数を値としてとる狭義単調関数です。

対数関数の定義

指数関数の逆関数を対数関数と呼びます。特に、自然指数関数の逆関数を自然対数関数と呼びます。対数関数は狭義単調関数です。