カントールの区間縮小定理

実数の連続性を公理として認めるとき、そこから区間列に関するカントールの区間縮小定理という命題を示すことができます。これは、有界閉区間からなる単調減少列について、その区間の長さが 0 に収束する場合には、その区間列に属するすべての区間に属する実数は1つだけであるという主張です。

2019年5月3日:公開

実数の連続性の復習

実数の連続性の公理として以下の4つの命題の中のどれを採用してもよいことを既に明らかにしました。\begin{eqnarray*}
&&\left( R\right) \ \forall A\subset \mathbb{R} :\left[ \left( A\not=\phi \ \wedge \ U\left( A\right) \not=\phi \right) \ \Rightarrow \ \exists \sup A\right] \\
&&\left( R^{\prime }\right) \ \forall A\subset \mathbb{R} :\left[ \left( A\not=\phi \ \wedge \ L\left( A\right) \not=\phi \right) \ \Rightarrow \ \exists \inf A\right] \\
&&\left( S\right) \ \text{上に有界な単調増加数列は収束する} \\
&&\left( S^{\prime }\right) \ \text{下に有界な単調減少数列は収束する}
\end{eqnarray*}

これ以外にも、デデキントの切断という概念を使って連続性の公理が言い換え可能であることや、連続性の公理からアルキメデスの原理と呼ばれる命題を導くことができることも議論しました。

実数の連続性について復習する 有界単調数列の収束定理について復習する

以上が実数の連続性について既に学んだことですが、実は連続性の公理は区間列を使って表現することが可能です。以下ではそのことを詳しく説明します。

 

カントールの区間縮小定理

まず、実数の連続性に関する公理を認めたとき、区間列に関する以下の命題を示すことができます。これをカントールの区間縮小定理(Cantor’s theory of diminishing intervals)と呼びます。

定理(カントールの区間縮小定理)
\(\mathbb{R}\)における有界閉区間\(I_{n}=\left[ a_{n},b_{n}\right] \)からなる区間列\(\{I_{n}\}\)が以下の2つの条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ I_{1}\supset I_{2}\supset I_{3}\supset \cdots \supset I_{n}\supset \cdots \\
&&\left( b\right) \ \lim\limits_{n\rightarrow \infty }(b_{n}-a_{n})=0
\end{eqnarray*}を満たすとき、\(\bigcap\limits_{n\in \mathbb{N}}I_{n}\)は\(\mathbb{R}\)の1点集合になる。
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簡単に解説します。まず、\(\mathbb{R}\)における有界閉区間\([a_{n},b_{n}]\)とは、\(a_{n}\leq b_{n}\)を満たす実数\(a_{n},b_{n}\)が定める\(\mathbb{R}\)の部分集合\begin{equation*}
\lbrack a_{n},b_{n}]=\{x\in \mathbb{R} \ |\ a_{n}\leq x\leq b_{n}\}
\end{equation*}のことです。区間縮小定理に登場する区間列\(\{I_{n}\}\)に含まれる任意の区間\(I_{n}\)はこのような有界閉区間です。定理中の条件\(\left( a\right) \)は区間列\(\{I_{n}\}\)が減少列であると言っています。

区間について復習する

有界閉区間\([a_{n},b_{n}]\)の長さは\(b_{n}-a_{n}\ \left( \geq 0\right) \)と定義されます。定理中の条件\(\left( b\right) \)は区間列\(\{I_{n}\}\)を構成する区間の長さは\(n\)が限りなく大きくなるにつれて\(0\)へ限りなく近づくと言っています。以上の条件が満たされるとき、区間列\(\{I_{n}\}\)の共通部分、すなわち\(\{I_{n}\}\)を構成するすべての区間に含まれる実数は1つだけになるというのが区間縮小定理の主張です。

改めて簡潔にまとめましょう。有界閉区間からなる単調減少列について、その区間の長さが\(0\)に収束する場合には、その区間列に属するすべての区間に属する実数は1つだけである。実数の連続性を公理として認めるとき、以上の事実が成り立つというのが区間縮小定理の主張です。

次回は区間列と実数の連続性の関係に関する議論を深めます。
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