複数の収束列の項の間に大小関係に関する一定の関係が成り立つ場合には、それらの収束列の極限の間にも同様の関係が成り立ちます。また、はさみうちの定理や絶対値定理などについても解説します。

2019年5月1日:公開

収束列と順序

任意の番号\(n\)について\(x_{n}\leq y_{n}\)が成り立つような数列\(\{x_{n}\},\{y_{n}\}\)について考えます。つまり、任意番目の項に注目したとき、\(\{y_{n}\}\)の項が\(\{x_{n}\}\)の項以上であるということです。さらにこれらの数列がともに収束する場合には、両者の極限についても同様の大小関係が成り立ちます。

命題(収束列と順序)
収束列\(\{x_{n}\},\{y_{n}\}\)について、\begin{equation*}
\forall n\in \mathbb{N} :x_{n}\leq y_{n}
\end{equation*}が成り立つ場合には、両者の極限についても、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}\leq \lim_{n\rightarrow \infty }y_{n}
\end{equation*}という関係が成り立つ。
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有界な収束列の極限

上の命題を利用すると、上に有界な収束列の極限はその数列の上界以下であることや、下に有界な収束列の極限はその数列の下界以上であることを示すことができます。

系(有界な収束列の極限)
収束列\(\{x_{n}\}\)について、\begin{equation*}
\exists M\in \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :x_{n}\leq M
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(\{x_{n}\}\)の極限についても、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}\leq M
\end{equation*}が成り立つ。また、\begin{equation*}
\exists L\in \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :L\leq x_{n}
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(\{x_{n}\}\)の極限についても、\begin{equation*}
L\leq \lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}
\end{equation*}が成り立つ。
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はさみうちの定理

収束列\(\{x_{n}\},\{y_{n}\}\)がともに同一の極限\(\alpha \)へ収束するものとします。さらに第3の数列\(\{z_{n}\}\)が任意の番号\(n\)について\(x_{n}\leq z_{n}\leq y_{n}\)を満たす場合には、\(\{z_{n}\}\)もまた収束することが保証され、なおかつその極限は先の2つの数列と同様に\(\alpha \)となります。これをはさみうちの定理(squeeze theorem)と呼びます。

定理(はさみうちの定理)
同一の極限\(\alpha \)に収束する収束列\(\{x_{n}\},\{y_{n}\}\)に対して、数列\(\{z_{n}\}\)が、\begin{equation*}
\forall n\in \mathbb{N} :x_{n}\leq z_{n}\leq y_{n}
\end{equation*}を満たす場合には、\(\{z_{n}\}\)もまた極限\(\alpha \)に収束する。
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例(はさみうちの定理)
数列\(\{\frac{\cos n}{n}\}\)について考えます。任意の番号\(n\)について\(-1\leq \cos n\leq 1\)であることから、各辺を\(n\ \left( >0\right) \)で割ることにより、任意の\(n\)について、\begin{equation*}
-\frac{1}{n}\leq \frac{\cos n}{n}\leq \frac{1}{n}
\end{equation*}を得ます。さらに、\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }\frac{1}{n}=0\)かつ\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }-\frac{1}{n}=0\)であることからはさみうちの定理が適用可能であり、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\frac{\cos n}{n}=0
\end{equation*}を得ます。
例(はさみうちの定理)
数列\(\{\frac{\sin n+\cos n}{n^{2}}\}\)について考えます。任意の番号\(n\)について\(-1\leq \sin n\leq 1\)かつ\(-1\leq \cos n\leq 1\)であることから、任意の\(n\)について、\begin{equation*}
-2\leq \sin n\leq 2
\end{equation*}が成り立ちます。さらに辺々を\(n^{2}\ \left( >0\right) \)で割ると、任意の\(n\)について、\begin{equation*}
-\frac{2}{n^{2}}\leq \frac{\sin n+\cos n}{n^{2}}\leq \frac{2}{n^{2}}
\end{equation*}を得ます。ここで、\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }\frac{2}{n^{2}}=0\)かつ\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }-\frac{2}{n^{2}}=0\)であることに注目すると、はさみうちの定理より、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\frac{\sin n+\cos n}{n^{2}}=0
\end{equation*}を得ます。

 

絶対値定理

数列\(\{x_{n}\}\)に対して、その項の絶対値\(\left\vert x_{n}\right\vert\)を一般項とする数列\(\{\left\vert x_{n}\right\vert \}\)について考えます。ここで注目すべきは、絶対値の定義より、任意の番号\(n\)について、\begin{equation*}
-\left\vert x_{n}\right\vert \leq x_{n}\leq \left\vert x_{n}\right\vert
\end{equation*}という関係が成り立つということです。さて、数列\(\{\left\vert x_{n}\right\vert \}\)について、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left\vert x_{n}\right\vert =0
\end{equation*}が成り立つ場合には、数列\(\{-\left\vert x_{n}\right\vert \}\)についても明らかに、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }-\left\vert x_{n}\right\vert =0
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、はさみうちの定理を適用すれば\(\{x_{n}\}\)もまた\(0\)へ収束することが示されます。これを絶対値定理(absolute value theorem)と呼びます。

系(絶対値定理)
数列\(\{\left\vert x_{n}\right\vert \}\)が\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }\left\vert x_{n}\right\vert =0\)を満たすならば、数列\(\{x_{n}\}\)について\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }=0\)が成り立つ。

数列\(\{x_{n}\}\)が極限値\(0\)へ収束することを示すためには、絶対値定理より、代わりに数列\(\{\left\vert x_{n}\right\vert \}\)が極限値\(0\)へ収束することを示してもよいということです。以下に例を挙げます。

例(絶対値定理)
数列\(\{x_{n}\}\)が、\begin{equation*}
x_{n}=\frac{\left( -1\right) ^{n}}{n^{2}+2}
\end{equation*}と定義されるとき、\begin{eqnarray*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left\vert \frac{\left( -1\right) ^{n}}{n^{2}+2}\right\vert &=&\lim_{n\rightarrow \infty }\frac{\left\vert \left( -1\right)
^{n}\right\vert }{\left\vert n^{2}+2\right\vert } \\
&=&\lim_{n\rightarrow \infty }\frac{1}{n^{2}+2} \\
&=&0
\end{eqnarray*}が成り立つため、絶対値定理より\(\{x_{n}\}\)は極限\(0\)へ収束します。

次回からは単調数列について学びます。
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