収束列の任意の部分列はもとの収束列と同じ極限に収束します。また、有界な数列に関しては、たとえそれが収束しない場合でも、必ず収束する部分列を持ちます。後者の性質をボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理と呼びます。

2019年5月4日:公開

収束列の部分列は収束する

収束列の任意の部分列はもとの収束列と同じ極限に収束します。

命題(部分列の極限)
数列\(\{x_{n}\}\)が収束するならば、その任意の部分列\(\{x_{l\left( n\right) }\}\)もまた収束列であり、もとの数列の極限\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }x_{n}\)へ収束する。
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上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、数列\(\{x_{n}\}\)の中に収束する部分列\(\{x_{l\left( n\right) }\}\)が存在する場合でも、もとの数列\(\{x_{n}\}\)は収束するとは限りません。実際、\begin{equation*}
x_{n}=\left( -1\right) ^{n}
\end{equation*}と定義される数列\(\{x_{n}\}\)は振動列であるため収束しませんが、\begin{equation*}
x_{l\left( n\right) }=1
\end{equation*}と定義される\(\{x_{n}\}\)の部分列\(\{x_{l\left( n\right) }\}\)は\(1\)へ収束します。

 

数列の収束判定条件

先の命題を使うと数列の収束に関する様々な判定条件を導くことができます。1つ目は数列が収束しないことの判定条件です。

命題(数列の非収束判定条件)
数列\(\{x_{n}\}\)の部分列の中に収束しないものが存在するならば、もとの数列\(\{x_{n}\}\)は収束しない。
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つまり、数列が収束しないことを示すためには、収束しない部分列を見つければよいということです。

例(収束しない数列)
数列\(\{x_{n}\}\)が\(x_{n}=\left( -1\right) ^{n}+n\)と定義されるものとします。この数列の偶数番目の項からなる部分列\(\{x_{l\left( n\right) }\}\)に注目します。この部分列の項は、\begin{equation*}
2,4,6,8,10,\cdots
\end{equation*}であり、明らかに収束しません。したがってもとの数列\(\{x_{n}\}\)は収束しません。

もう一つ、数列が収束しないことの判定条件を提示します。

命題(数列の非収束判定条件)
数列\(\{x_{n}\}\)が収束する複数の部分列を持ち、なおかつそれらの極限が異なるならば、もとの数列\(\{x_{n}\}\)は収束しない。
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つまり、数列が収束しないことを示すためには、異なる極限へ収束する複数の部分列を見つければよいということです。

例(収束しない数列)
数列\(\{x_{n}\}\)が\(x_{n}=(-1)^{n}+\frac{1}{n}\)と定義されるものとします。数列\(\{x_{n}\}\)の奇数番目の項からなる部分列の一般項は\(-1+\frac{1}{n}\)であり、これは\(-1\)へ収束します。一方、\(\{x_{n}\}\)の偶数番目の項からなる部分列の一般項は\(1+\frac{1}{n}\)であり、これは\(1\)へ収束します。\(\{x_{n}\}\)は異なる極限へ収束する複数の部分列を持つため、これは収束しません。

最後に収束列の極限を部分列から求める方法を提示します。

命題(収束列の極限を特定)
数列\(\{x_{n}\}\)が収束し、なおかつ部分列\(\{x_{l\left( n\right) }\}\)が極限\(\alpha \in \mathbb{R}\)へ収束するならば、もとの数列\(\{x_{n}\}\)の極限もまた\(\alpha \)である。
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つまり、数列が収束することが分かっている場合には、その極限を求めるために部分列の極限を特定してもよいということです。ちなみに、この条件はもとの数列が収束することが分かっている場合にのみ利用可能です。なぜなら、もとの数列が収束しない場合でも部分列が収束することはあるからです。

 

ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理

収束列の任意の部分列は収束することが明らかになりましたが、収束しない数列の部分列の収束可能性に関してどのようなことが言えるでしょうか。一般に、収束しない数列に関しては、部分列が収束するケースと収束しないケースがともに起こり得ます。しかし、有界な数列に関しては、たとえそれが収束しない場合でも、必ず収束する部分列を持ちます。

したがって、数列が与えられたとき、その数列が収束するかどうかが分からない場合でも、その数列が有界であることさえ保証できれば、その数列から収束する部分列を取り出すことができます。これをボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理(Bolzano-Weierstrauss theorem)と呼びます。

定理(ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理)
有界な数列は収束する部分列を持つ。
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次回は部分列の収束と実数の連続性の関係について学びます。
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