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PROPOSITIONAL LOGIC

数列の定数倍の極限

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収束する数列の定数倍の極限

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)と実数\(c\in \mathbb{R}\)が与えられたとき、\begin{equation*}
c\cdot x_{n}
\end{equation*}を一般項とする新たな数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)が定義可能です。数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が収束する場合には数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)もまた収束し、両者の極限の間には、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left( c\cdot x_{n}\right) =c\cdot
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}
\end{equation*}という関係が成り立ちます(証明は演習問題にします)。

命題(収束する数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)と実数\(c\in \mathbb{R}\)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)を定義する。\(\left\{ x_{n}\right\} \)が収束するならば\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)もまた収束し、それらの極限の間には、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left( c\cdot x_{n}\right) =c\cdot
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}
\end{equation*}という関係が成立する。
証明
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つまり、収束する数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の定数倍の形をしている数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)が与えられたとき、\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)もまた収束することが保証されるとともに、\(\left\{ x_{n}\right\} \)の極限を\(c\)倍すれば\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)の極限が得られることを上の命題は保証しています。したがって、何らかの数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の定数倍の形をしている数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)の収束可能性を検討する際には、数列の収束の定義にさかのぼって考える前に、まずは\(c\)と\(\left\{ x_{n}\right\} \)を分けた上で、\(\left\{ x_{n}\right\} \)が収束することを確認すればよいということになります。

例(収束する数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ -x_{n}\right\} \)は数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の定数倍(\(-1\)倍)であるため、仮に\(\left\{ x_{n}\right\} \)が収束するならば\(\left\{ -x_{n}\right\} \)もまた収束し、その極限は、\begin{eqnarray*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left( -x_{n}\right) &=&\lim_{n\rightarrow
\infty }\left[ \left( -1\right) x_{n}\right] \\
&=&\left( -1\right) \lim_{n\rightarrow \infty }x_{n} \\
&=&-\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}
\end{eqnarray*}となります。
例(収束する数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=-\frac{3}{n}
\end{equation*}で与えられているものとします。\(\left\{ x_{n}\right\} \)は数列\(\left\{ \frac{1}{n}\right\} \)の定数倍(\(-3\)倍)として定義されていますが、数列\(\left\{ \frac{1}{n}\right\} \)は収束するとともに、\begin{equation}
\lim_{n\rightarrow \infty }\frac{1}{n}=0 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つため(確認してください)、先の命題より\(\left\{ x_{n}\right\} \)もまた収束するとともに、\begin{eqnarray*}
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n} &=&\lim_{n\rightarrow \infty }\left( -\frac{3}{n}\right) \quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&=&\left( -3\right) \cdot \lim_{n\rightarrow \infty }\frac{1}{n}\quad
\because \left( 1\right) \\
&=&\left( -3\right) \cdot 0\quad \because \left( 1\right) \\
&=&0
\end{eqnarray*}が成り立ちます。

 

発散する数列の定数倍の極限

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が正の無限大\(+\infty \)や負の無限大\(-\infty \)へ発散する場合にも、数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)の極限に関して、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left( c\cdot x_{n}\right) =c\cdot
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}
\end{equation*}という関係が成り立ちます(証明は演習問題にします)。ただし、上の表記では、拡大実数系\(\mathbb{R}^{\ast }\)が定義する以下の関係\begin{equation*}
c\cdot \left( +\infty \right) =\left\{
\begin{array}{cc}
+\infty & \left( if\ c>0\right) \\
0 & \left( if\ c=0\right) \\
-\infty & \left( if\ c<0\right)\end{array}\right.
\end{equation*}が前提になっています。

命題(発散する数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)と実数\(c\in \mathbb{R}\)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)を定義する。\(\left\{ x_{n}\right\} \)が正の無限大\(+\infty \)もしくは負の無限大\(-\infty \)に発散するならば、数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)の極限は、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left( c\cdot x_{n}\right) =c\cdot
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n}
\end{equation*}を満たす。
証明
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例(発散する数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
-\frac{n}{2\pi }
\end{equation*}で与えられているものとします。\(\left\{ x_{n}\right\} \)は数列\(\left\{ n\right\} \)の定数倍(\(-\frac{1}{2\pi }\)倍)として定義されていますが、数列\(\left\{ n\right\} \)に関しては、\begin{equation}
\lim_{n\rightarrow \infty }n=+\infty \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立ちます(確認してください)。したがって先の命題より、\begin{eqnarray*}
\lim_{n\rightarrow \infty }x_{n} &=&\lim_{n\rightarrow \infty }\left( -\frac{n}{2\pi }\right) \quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&=&\lim_{n\rightarrow \infty }\left[ \left( -\frac{1}{2\pi }\right) n\right] \\
&=&-\frac{1}{2\pi }\cdot \lim_{n\rightarrow \infty }n\quad \because \left(
1\right) \\
&=&-\frac{1}{2\pi }\cdot \left( +\infty \right) \quad \because \left(
1\right) \\
&=&-\infty \quad \because \mathbb{R}^{\ast }\text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立ちます。

 

数列の定数倍の極限

本節では数列の定数倍の極限に関して2通りのケースを考えましたが、得られた2つの命題を一般化すると以下のようになります。

命題(数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)と実数\(c\in \mathbb{R}\)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)を定義する。\(\left\{ x_{n}\right\} \)に関しては拡大実数\(a\in \mathbb{R}^{\ast }\)について、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow \infty }x_{n}=a
\end{equation*}が成り立つ場合、\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)に関しては、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow \infty }\left( c\cdot x_{n}\right) =c\cdot
\lim_{x\rightarrow \infty }x_{n}=c\cdot a
\end{equation*}が成り立つ。

上の命題において\(a\)が拡大実数であるとは、それが有限な実数にもなり得るし、正の無限大\(+\infty \)や負の無限大\(-\infty \)にもなり得るということです。\(a\)が有限な実数である場合、この命題は本節において最初に提示した命題になります。また、\(a\)が\(+\infty \)もしくは\(-\infty \)である場合、この命題は本節において2番目に提示した命題になります。このような意味において、この命題は本節における議論の集約です。

 

演習問題

問題(数列の定数倍の極限)
一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=-\frac{7\pi }{2n}
\end{equation*}として与えられる数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の極限を求めてください。
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問題(数列の定数倍の極限)
一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=-\frac{2n}{7\pi }
\end{equation*}として与えられる数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の極限を求めてください。
解答を見る
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問題(数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)と非ゼロの実数\(c\in \mathbb{R}\backslash \left\{ 0\right\} \)が与えられたとき、\begin{equation*}
\frac{x_{n}}{c}
\end{equation*}を一般項とする新たな数列\(\left\{ \frac{x_{n}}{c}\right\} \)が定義可能です。数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が収束する場合には数列\(\left\{ \frac{x_{n}}{c}\right\} \)もまた収束し、両者の極限の間には、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\left( \frac{x_{n}}{c}\right) =\frac{\lim\limits_{n\rightarrow \infty }x_{n}}{c}
\end{equation*}という関係が成り立つことを証明してください。
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問題(数列の定数倍の極限)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が、\begin{equation*}
\exists a\in \mathbb{R},\ \exists N\in \mathbb{N},\ \forall n\in \mathbb{N}:\left( n\geq N\Rightarrow x_{n}=a\right)
\end{equation*}を満たすものとします。実数\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだ上で数列\(\left\{ c\cdot x_{n}\right\} \)を定義したとき、この数列は有限な実数へ収束することを証明してください。
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次回は数列の和の極限について解説します。 質問・コメント(プレミアム会員限定) 次へ進む
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