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DIFFERENTIATION OF FUNCTIONS

自然指数関数の高階微分とテイラー展開(マクローリン展開)

目次

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自然指数関数の高階微分

自然指数関数は全区間上に定義可能であるため、それぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定める関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。自然指数関数は微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めます。つまり、導関数\(f^{\prime }\)はもとの関数\(f\)と一致します。同様の議論を繰り返すことにより以下を得ます。

命題(自然指数関数の高階微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるものとする。\(f\)は\(C^{\infty }\)級であり、\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだとき、\(f\)の\(n\)階の導関数\(f^{\left(n\right) }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\left( n\right) }\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定める。

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自然指数関数に関するテイラーの定理

関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるものとします。先に示したように\(f\)は全区間\(\mathbb{R} \)上に定義された\(C^{\infty }\)級の関数であり、\(n\)階の導関数\(f^{\left( n\right) }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation}f^{\left( n\right) }\left( x\right) =e^{x} \quad \cdots (1)
\end{equation}を定めます。\(f\)はテイラーの定理が要求する条件を満たしているため、点\(a\in \mathbb{R} \)とそれとは異なる点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ a\right\} \)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{equation*}f\left( x\right) =P_{n-1,a}\left( x\right) +\frac{f^{\left( n\right) }\left(
a+\theta \left( x-a\right) \right) }{n!}\left( x-a\right) ^{n}
\end{equation*}という関係を満たす実数\(\theta \in \left( 0,1\right) \)が存在することが保証されます。ただし、\(P_{n-1,a}\left(x\right) \)は\(f\)の点\(a\)における\(n-1\)次のテイラー近似多項式であり、\begin{eqnarray*}P_{n-1,a}\left( x\right) &=&\sum_{k=0}^{n-1}\left[ \frac{f^{\left( k\right)
}\left( a\right) }{k!}\cdot \left( x-a\right) ^{k}\right] \quad \because
\text{テイラー近似多項式の定義} \\
&=&\sum_{k=0}^{n-1}\left[ \frac{e^{a}}{k!}\cdot \left( x-a\right) ^{k}\right] \quad \because \left( 1\right) \\
&=&e^{a}+e^{a}\left( x-a\right) +\frac{e^{a}}{2}\left( x-a\right)
^{2}+\cdots +\frac{e^{a}}{\left( n-1\right) !}\left( x-a\right) ^{n-1}
\end{eqnarray*}となります。また、点\(a\)における\(n\)次のラグランジュ剰余項は、\begin{equation*}\frac{f^{\left( n\right) }\left( a+\theta \left( x-a\right) \right) }{n!}\left( x-a\right) ^{n}=\frac{e^{a+\theta \left( x-a\right) }}{n!}\left(
x-a\right) ^{n}\quad \because \left( 1\right)
\end{equation*}となります。得られた結果を命題としてまとめます。

命題(自然指数関数に関するテイラーの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \mathbb{R} \)とそれとは異なる点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ a\right\} \)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sum_{k=0}^{n-1}\left[ \frac{e^{a}}{k!}\cdot \left(
x-a\right) ^{k}\right] +\frac{e^{a+\theta \left( x-a\right) }}{n!}\left(
x-a\right) ^{n}
\end{equation*}を満たす実数\(\theta \in \left(0,1\right) \)が存在する。

点\(0\)は自然指数関数の定義域である全区間\(\mathbb{R} \)の内点であるため、自然指数関数にマクローリンの定理を適用することもできます。

命題(自然指数関数に関するマクローリンの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるものとする。点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sum_{k=0}^{n-1}\left( \frac{1}{k!}\cdot x^{k}\right) +\frac{e^{\theta x}}{n!}x^{n}
\end{equation*}を満たす実数\(\theta \in \left(0,1\right) \)が存在する。
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例(ネイピア数は無理数)
以上の命題を用いることにより、ネイピア数\(e\)が無理数であることを示すことができます(演習問題)。

 

自然指数関数に関するテイラー展開

自然指数関数はテイラーの定理が適用可能であるだけでなく、テイラー展開も可能です。まずはマクローリン展開可能であることを示します。

命題(自然指数関数に関するマクローリン展開)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるものとする。点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&\sum_{k=0}^{\infty }\left[ \frac{1}{k!}\cdot x^{k}\right] \\
&=&1+x+\frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{3!}x^{3}+\cdots
\end{eqnarray*}という関係が成り立つ。

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以上の命題を踏まえると、自然指数関数がテイラー展開可能であることが示されます。

命題(自然指数関数に関するテイラー展開)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \mathbb{R} \)とそれとは異なる点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ a\right\} \)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&\sum_{k=0}^{\infty }\left[ \frac{e^{a}}{k!}\cdot \left(
x-a\right) ^{k}\right] \\
&=&e^{a}+e^{a}\left( x-a\right) +\frac{e^{a}}{2}\left( x-a\right) ^{2}+\frac{e^{a}}{3!}\left( x-a\right) ^{3}+\cdots
\end{eqnarray*}という関係が成り立つ。

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テイラー展開を用いて数の近似値を求める

自然指数関数\(e^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)における\(n\)次のマクローリン近似多項式は、\begin{equation*}P_{n,0}\left( x\right) =\sum_{k=0}^{n}\left[ \frac{1}{k!}\cdot x^{k}\right] =1+x+\frac{1}{2}x^{2}+\cdots +\frac{1}{2}x^{n}
\end{equation*}であり、点\(0\)の周辺の任意の点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)において、\begin{equation*}e^{x}\approx P_{n,0}\left( x\right)
\end{equation*}という近似式が成り立ちます。\(n\)が大きくなるほど近似の精度が高くなりますが、\(e^{x}\)はマクローリン展開可能であるため、究極的には、ゼロとは異なる点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を任意に選んだときに、\begin{equation*}e^{x}=\sum_{k=0}^{\infty }\left[ \frac{1}{k!}\cdot x^{k}\right] =1+x+\frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{3!}x^{3}+\cdots
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

例(ネイピア数の近似)
自然指数関数\(e^{x}\)のマクローリン近似多項式より、\(e\)すなわち\(e^{1}\)の\(n\)次のマクローリン近似多項式は、\begin{equation*}P_{n,0}\left( 1\right) =\sum_{k=0}^{n}\left[ \frac{1}{k!}\cdot 1^{k}\right] =\sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!}
\end{equation*}となります。したがって、\begin{eqnarray*}
P_{1,0}\left( 1\right) &=&1+1=2 \\
P_{2,0}\left( 1\right) &=&1+1+\frac{1}{2}=2.5 \\
P_{3,0}\left( 1\right) &=&1+1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3!}=2.6667 \\
P_{4,0}\left( 1\right) &=&1+1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3!}+\frac{1}{4!}=2.7083
\\
&&\vdots
\end{eqnarray*}などとなります。さらに、\(e\)のマクローリン級数は、\begin{eqnarray*}e &=&\sum_{k=0}^{\infty }\left( \frac{1}{k!}\right) \\
&=&1+1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3!}+\frac{1}{4!}\cdots \\
&=&2.7183\cdots
\end{eqnarray*}となります。

 

テイラー展開を用いて関数の極限を求める

繰り返しになりますが、自然指数関数\(e^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はマクローリン展開可能であり、ゼロとは異なる点\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}e^{x}=\sum_{k=0}^{\infty }\left[ \frac{1}{k!}\cdot x^{k}\right] =1+x+\frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{3!}x^{3}+\cdots
\end{equation*}という関係が成り立ちます。関数\(f\)が自然指数関数を含む関数である場合、\(\left( 1\right) \)を用いることにより、\(f\)を多項式関数や有理関数へ変換することができます。したがって、そのような関数\(f\)の極限を求める際には、それを多項式関数や有理関数の極限に関する問題へ帰着させることができます。

例(テイラー展開を用いて関数の極限を求める)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{e^{x}-1}{x}
\end{equation*}を定めるものとします。ゼロとは異なる任意の\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に関しては、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&\frac{e^{x}-1}{x}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\frac{\left( 1+x+\frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{3!}x^{3}+\cdots \right) -1}{x}\quad \because x\not=0\text{および}e^{x}\text{のマクローリン展開} \\
&=&\frac{x+\frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{3!}x^{3}+\cdots }{x} \\
&=&1+\frac{1}{2}x+\frac{1}{3!}x^{2}+\cdots
\end{eqnarray*}という関係が成り立つため、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0}\left( 1+\frac{1}{2}x+\frac{1}{3!}x^{2}+\cdots \right) \\
&=&1
\end{eqnarray*}が成り立ちます。

例(テイラー展開を用いて関数の極限を求める)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{1+x-e^{x}}{x^{2}}
\end{equation*}を定めるものとします。ゼロとは異なる任意の\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に関しては、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&\frac{1+x-e^{x}}{x^{2}}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\frac{1+x-\left( 1+x+\frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{3!}x^{3}+\cdots \right) }{x^{2}}\quad \because x\not=0\text{および}e^{x}\text{のマクローリン展開} \\
&=&\frac{-\left( \frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{3!}x^{3}+\cdots \right) }{x^{2}}
\\
&=&-\left( \frac{1}{2}+\frac{1}{3!}x+\cdots \right)
\end{eqnarray*}という関係が成り立つため、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow 0}\left[
-\left( \frac{1}{2}+\frac{1}{3!}x+\cdots \right) \right] \\
&=&-\frac{1}{2}
\end{eqnarray*}が成り立ちます。

 

演習問題

問題(ネイピア数は無理数)
ネイピア数\(e\)が無理数であることを証明してください。
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次回は自然指数関数に限定されない一般の指数関数がテイラー展開可能であることを示すとともに、そのテイラー級数を求めます。

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