整数ベキ関数は定義域上の任意の点において微分可能であることを示すとともに、その導関数を特定します。また、整数ベキ関数と微分可能な関数の合成関数について、その導関数を特定します。

整数ベキ関数 微分

整数ベキ関数

復習になりますが、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、整数\(z\in \mathbb{Z}\)を用いて、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{z}
\end{equation*}という形で表されるならば、\(f\)を整数ベキ関数と呼びます。

指数\(z\)が正の整数である場合、\(x^{z}\)は自然数ベキ関数になり、定義域は\(X=\mathbb{R}\)となります。また、指数が\(z=0\)の場合には\(x^{0}=1\)となるため、これは定数関数になり、定義域はやはり\(X=\mathbb{R}\)です。自然数ベキ関数や定数関数の微分可能性についてはすでに解説したため、以降では\(z\)が負の整数の場合について考えます。負の整数\(z\)は正の整数\(n\)を用いて\(z=-n\)と表すことができるため、以降では負の指数を\(-n\)で表します。

自然数ベキ関数の微分可能性について復習する 定数関数の微分可能性について復習する

指数が負の整数である場合のベキ関数は、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{-n}=\frac{1}{x^{n}}
\end{equation*}と定義されます。これは定数関数\(1\)と、自然数ベキ関数\(x^{n}\)の商です。ゼロで割ることは許されないため、この\(f\)は点\(x=0\)において定義されないことに注意してください。したがって、関数\(f\)の定義域は\(X=\mathbb{R} \backslash \{0\}\)となります。

指数が負の整数であるベキ関数は定義域\(\mathbb{R} \backslash \{0\}\)上の任意の点\(a\)において\(a^{-n}\)へ収束するとともに、\(\mathbb{R} \backslash \{0\}\)上で連続です。

整数ベキ関数について復習する
例(整数ベキ関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R}\)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して定める値が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{-5}=\frac{1}{x^{5}}
\end{equation*}であるならば、この\(f\)は整数ベキ関数です。分母が\(0\)になることは許されないため、この関数は点\(0\)において定義されないことに注意する必要があります。

 

整数ベキ関数の微分

指数が負の整数である場合のベキ関数\(f\left( x\right) =x^{-n}=\frac{1}{x^{n}}\)は定数関数\(1\)と自然数ベキ関数\(x^{n}\)の商ですが、すでに明らかにしたように、これらはともに任意の\(a\in \mathbb{R}\)において微分可能です。また、一般に、関数\(f,g\)が点\(a\)において微分可能である場合には関数\(\frac{f}{g}\)もまた点\(a\)において微分可能であり、それらの微分係数の間には、\begin{equation*}
\left( \frac{f}{g}\right) ^{\prime }\left( a\right) =\frac{f^{\prime }\left(
a\right) \cdot g\left( a\right) -f\left( a\right) \cdot g^{\prime }\left(
a\right) }{\left[ g\left( a\right) \right] ^{2}}
\end{equation*}という関係が成立します。以上の事実を利用すると、整数ベキ関数の微分可能性に関する以下の命題が得られます。

命題(整数ベキ関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R}\)は整数ベキ関数であるものとする。すなわち、それぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \{0\}\)に対して\(f\)が定める値は、正の整数\(n\)を用いて、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{-n}
\end{equation*}という形で表すことができるものとする。この\(f\)は\(\mathbb{R} \backslash \{0\}\)上で微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =-nx^{-\left( n+1\right) }
\end{equation*}を定める。
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例(整数ベキ関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R}\)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して定める値が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{-5}
\end{equation*}であるならば、\(f\)は整数ベキ関数であるため\(\mathbb{R} \backslash \{0\}\)上で微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =-5x^{-6}
\end{equation*}を定めます。

 

整数ベキ関数との合成

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)を任意に選びます。ただし、\(X=\{x\in X\ |\ f\left( x\right) \not=0\}\)です。また、\(g:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R}\)を指数が負の整数\(-n\)であるようなベキ関数とします。つまり、\(g\left( x\right) =x^{-n}\)です。\(f\)の値域\(f\left( X\right) \)は\(g\)の定義域\(\mathbb{R} \backslash \{0\}\)の部分集合であるため、合成関数\(g:f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が定義可能です。この合成関数\(g\circ f\)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}
\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because g\circ f\text{の定義} \\
&=&\left[ f\left( x\right) \right] ^{-n}\quad \because g\text{の定義} \\
&=&\frac{1}{\left[ f\left( x\right) \right] ^{n}}
\end{eqnarray*}を値として定めます。ただし、\(n\)は正の整数です。

合成関数について復習する

関数\(f\)が点\(a\)において微分可能であるものとします。整数ベキ関数\(g\)は\(\mathbb{R} \backslash \{0\}\)上で微分可能であるため、点\(f\left( a\right) \)においても微分可能です。したがって、合成関数の微分に関する命題より、合成関数\(g\circ f\)もまた点\(a\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{eqnarray*}
\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( a\right) &=&g^{\prime }\left(
f\left( a\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( a\right) \quad \because
\text{合成関数の微分} \\
&=&-n\cdot \left[ f\left( a\right) \right] ^{-\left( n+1\right) }\cdot
f^{\prime }\left( a\right) \quad \because \text{整数ベキ関数の微分}
\end{eqnarray*}となります。

合成関数の微分について復習する
命題(整数ベキ関数との合成関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)を任意に選ぶ。\(X=\{x\in X\ |\ f\left( x\right) \not=0\}\)である。このとき、それぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
g\left( x\right) =\left[ f\left( x\right) \right] ^{-n}
\end{equation*}を定める関数\(g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)を考える。ただし、\(n\)は正の整数である。\(f\)が点\(a\in X\)において微分可能ならば\(g\)もまた\(a\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}
g^{\prime }\left( a\right) =-n\cdot \left[ f\left( a\right) \right] ^{-\left( n+1\right) }\cdot f^{\prime }\left( a\right)
\end{equation*}となる。
証明を見る(プレミアム会員限定)
例(単項式関数との合成)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して\(f\)が定める値は、自然数\(m,n\)と実数\(c\)を用いて、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left( cx^{n}\right) ^{-m}
\end{equation*}という形で表すことができるものとします。ただし、\begin{equation*}
X=\{x\in
\mathbb{R}
\ |\ cx^{n}\not=0\}
\end{equation*}です。これは単項式関数\(cx^{n}\)と整数ベキ関数\(x^{-m}\)の合成関数です。単項式関数は\(\mathbb{R}\)上の任意の点において微分可能であるため、上の命題より、この関数\(f\)は\(X\)上の任意の点において微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}
f^{\prime }\left( x\right) &=&-m\left( cx^{n}\right) ^{-\left( m+1\right)
}\left( cx^{n}\right) ^{\prime } \\
&=&-m\left( cx^{n}\right) ^{-\left( m+1\right) }ncx^{n-1} \\
&=&-\frac{mn}{c^{m}x^{nm+1}}
\end{eqnarray*}を定めます。
例(多項式関数との合成)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して\(f\)が定める値は、自然数\(m,n\)と実数\(c_{k}\ \left( k=0,1,\cdots ,n\right) \)を用いて、\begin{eqnarray*}
f\left( x\right) &=&\left( \sum_{k=0}^{n}c_{k}x^{k}\right) ^{-m} \\
&=&\left( c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+\cdots +c_{n}x^{n}\right) ^{-m} \\
&=&\frac{1}{\left( c_{0}+c_{1}x+c_{2}x^{2}+\cdots +c_{n}x^{n}\right) ^{m}}
\end{eqnarray*}という形で表すことができるものとします。ただし、\begin{equation*}
X=\left\{ x\in
\mathbb{R}
\ |\ \sum_{k=0}^{n}c_{k}x^{k}\not=0\right\}
\end{equation*}です。これは多項式関数\(\sum_{k=0}^{n}c_{k}x^{k}\)と整数ベキ関数\(x^{-m}\)の合成関数です。単項式関数は\(\mathbb{R}\)上の任意の点において微分可能であるため、上の命題より、この関数\(f\)は\(X\)上の任意の点において微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}
f^{\prime }\left( x\right) &=&-m\left( \sum_{k=0}^{n}c_{k}x^{k}\right)
^{-\left( m+1\right) }\left( \sum_{k=0}^{n}c_{k}x^{k}\right) ^{\prime } \\
&=&-m\left( \sum_{k=0}^{n}c_{k}x^{k}\right) ^{-\left( m+1\right) }\left(
\sum_{k=0}^{n}c_{k}kx^{k-1}\right)
\end{eqnarray*}を定めます。
例(有理関数との合成)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して\(f\)が定める値は、自然数\(n\)と多項式関数\(g,h:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)を用いて、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left[ \frac{g\left( x\right) }{h\left( x\right) }\right] ^{-n}
\end{equation*}という形で表すことができるものとします。ただし、\begin{equation*}
X=\left\{ x\in \mathbb{R}
\ |\ \frac{g\left( x\right) }{h\left( x\right) }\not=0\right\}
\end{equation*}です。これは有理関数\(\frac{g\left( x\right) }{h\left( x\right) }\)と整数ベキ関数\(x^{-n}\)の合成関数です。有理関数は定義域\(X\)上の任意の点において微分可能であるため、上の命題より、この関数\(f\)もまた\(X\)上の任意の点において微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}
f^{\prime }\left( x\right) &=&-n\left[ \frac{g\left( x\right) }{h\left(
x\right) }\right] ^{-\left( n+1\right) }\left( \frac{g\left( x\right) }{h\left( x\right) }\right) ^{\prime } \\
&=&-n\left[ \frac{g\left( x\right) }{h\left( x\right) }\right] ^{-\left(
n+1\right) }\frac{g^{\prime }\left( x\right) h\left( x\right) -g\left(
x\right) h^{\prime }\left( x\right) }{\left[ h\left( x\right) \right] ^{2}}
\end{eqnarray*}を定めます。

次回は無理関数の微分について学びます。

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