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DIFFERENTIATION OF FUNCTIONS

合成関数の微分

目次

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合成関数の微分

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の値域と関数\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域の間に、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset Y
\end{equation*}という関係が成り立つ場合には、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) =g\left( f\left( x\right) \right) \in \mathbb{R} \end{equation*}を定める合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。

関数\(f\)が定義域上の点\(a\in X\)の周辺の任意の点において定義されているとき、\(f\)が点\(a\)において微分可能であるかどうか検討できます。仮に\(f\)が点\(a\)において微分可能であるならば、そこでの微分係数に相当する有限な実数\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) \in \mathbb{R} \end{equation*}が存在します。加えて、関数\(g\)が点\(f\left( a\right) \)の周辺の任意の点において定義されているならば、\(g\)が点\(f\left( a\right) \)において微分可能であるかどうか検討可能です。仮に\(g\)が点\(f\left(a\right) \)において微分可能である場合、そこでの微分係数に相当する有限な実数\begin{equation*}g^{\prime }\left( f\left( a\right) \right) \in \mathbb{R} \end{equation*}が存在します。以上の条件が成り立つとき、合成関数\(g\circ f\)もまた点\(a\)において微分可能であることが保証されるとともに、そこでの微分係数が、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( a\right) =g^{\prime }\left( f\left(
a\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( a\right)
\end{equation*}と定まることが保証されます。

命題(合成関数の微分)

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \)の間に\(f\left( X\right) \subset Y\)という関係が成り立つ場合には合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能である。\(f\)が定義域上の点\(a\in X\)において微分可能であるとともに、\(g\)が点\(f\left(a\right) \)において微分可能である場合には、\(g\circ f\)もまた点\(a\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( a\right) =g^{\prime }\left( f\left(
a\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( a\right)
\end{equation*}を満たす。

証明

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つまり、点\(a\)において微分可能な関数\(f\)と、点\(f\left( a\right) \)において微分可能な関数\(g\)の合成関数であるような関数\(g\circ f\)が与えられたとき、\(g\circ f\)もまた点\(a\)において微分可能であることが保証されるとともに、得られた2つの微分係数の積をとれば\(g\circ f\)の点\(a\)における微分係数が得られることを上の命題は保証しています。したがって、2つの関数\(f,g\)の合成関数\(g\circ f\)の微分可能性を判定する際には、微分の定義にさかのぼって考える前に、まずは\(f\)と\(g\)に分けた上で、それらがそれぞれ必要な点において微分可能であることを確認すればよいということになります。

例(合成関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 2x-1\right) ^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において微分可能でしょうか。\(f\)は関数\(2x-1\)と関数\(x^{3}\)の合成関数であることに注意してください。関数\(2x-1\)は点\(a\)の周辺の任意の点において定義されているとともに、\begin{eqnarray*}\left. \left( 2x-1\right) ^{\prime }\right\vert _{x=a} &=&\left.
2\right\vert _{x=a} \\
&=&2
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation}
\left. \left( 2x-1\right) ^{\prime }\right\vert _{x=a}=2 \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます。関数\(x^{3}\)は点\(2a-1\)の周辺の任意の点において定義されているとともに、\begin{eqnarray*}\left. \left( x^{3}\right) ^{\prime }\right\vert _{x=2a-1} &=&\left.
3x^{2}\right\vert _{x=2a-1} \\
&=&3\left( 2a-1\right) ^{2}
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation}
\left. \left( x^{3}\right) ^{\prime }\right\vert _{x=2a-1}=3\left(
2a-1\right) ^{2} \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます。したがって先の命題より、関数\(f\)は点\(a\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( a\right) &=&\left. \left[ \left( 2x-1\right) ^{3}\right] ^{\prime }\right\vert _{x=a}\quad \because f\text{の定義}
\\
&=&\left. \left( x^{3}\right) ^{\prime }\right\vert _{x=2a-1}\cdot \left.
\left( 2x-1\right) ^{\prime }\right\vert _{x=a}\quad \because \text{合成関数の微分} \\
&=&3\left( 2a-1\right) ^{2}\cdot 2\quad \because \left( 1\right) ,\left(
2\right) \\
&=&6\left( 2a-1\right) ^{2}
\end{eqnarray*}となります。任意の\(a\in \mathbb{R} \)について同様であるため、\(f\)の導関数\(f^{\prime }\)の定義域は\(\mathbb{R} \)であり、これはそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =6\left( 2x-1\right) ^{2}
\end{equation*}を定めることが明らかになりました。

 

合成関数の片側微分

片側微分についても同様の主張は成り立つのでしょうか。例えば、合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\(f\)が定義域上の点\(a\in X\)において右側微分可能であるとともに、\(g\)が点\(f\left( a\right) \)において右側微分可能である場合、\(g\circ f\)もまた点\(a\)において右側微分可能であることを保証できるのでしょうか。また、\(f\)が点\(a\)において左側微分可能であり、\(g\)が点\(f\left( a\right) \)において左側微分可能である場合、\(g\circ f\)もまた点\(a\)において左側微分可能であることを保証できるのでしょうか。以下の例が示唆するように、このような関係は成り立つとは限りません。

例(合成関数の片側微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-x^{2}
\end{equation*}を定め、関数\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ x\geq 0\right) \\
0 & \left( if\ x<0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の値域は\(g\)の定義域\(\mathbb{R} \)の部分集合であるため合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ x=0\right) \\
0 & \left( if\ x\not=0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めます。点\(0\)に注目したとき、\(f\)は点\(0\)において右微分可能であり、\(g\)は点\(f\left( 0\right) =0\)において右側微分可能です。しかし、\(g\circ f\)は点\(0\)において右側微分可能ではありません(演習問題にします)。

 

合成関数の微分

以上の議論より、通常の意味での微分可能性に微分の意味を限定した場合、微分可能な関数どうしの合成関数は微分可能であることが明らかになりました。

命題(合成関数の微分)

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \)の間に\(f\left( X\right) \subset Y\)という関係が成り立つ場合には合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能である。\(f\)と\(g\)がともに(通常の意味で)微分可能であるならば\(g\circ f\)もまた(通常の意味で)微分可能であり、その導関数\(\left( g\circ f\right) ^{\prime }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( x\right) =g^{\prime }\left( f\left(
x\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( x\right)
\end{equation*}を定める。

先に例を通じて確認したように、\(f\)や\(g\)が通常の意味で微分可能ではなく、右側微分可能だが左側微分可能ではない場合、もしくは左側微分可能だが右側微分可能である場合などには、上と同様の主張は成り立つとは限りません。命題中に(通常の意味で)と但し書きをしている理由は以上の通りです。

上の命題では\(g\)が定義域上\(Y\)で微分可能であることを条件として要求していますが、より正確には、\(f\)の値域\(f\left( X\right) \)上の任意の点において\(g\)が微分可能であれば条件としては十分です。

例(微分可能な関数の合成関数の微分)
定義域が\(\mathbb{R} \)であるような2つの関数\(f,g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)からは合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が常に定義可能です。さらに\(f\)と\(g\)がともに微分可能であるならば、上の命題より、\(g\circ f\)もまた微分可能であり、導関数\(\left( g\circ f\right) ^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( x\right) =g^{\prime }\left( f\left(
x\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( x\right)
\end{equation*}を定めます。つまり、\(\mathbb{R} \)上に定義された微分可能な関数の合成関数として定義される関数もまた\(\mathbb{R} \)上で微分可能であるということです。

 

連鎖公式

合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を微分する場合、通常は、問題としている点\(a\in X\)において\(f\)が微分可能であることを確認し、なおかつ\(g\)が点\(f\left( a\right) \)において微分可能であることを確認した上で、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( a\right) =g^{\prime }\left( f\left(
a\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( a\right)
\end{equation*}という関係式を利用して微分係数\(\left( g\circ f\right)^{\prime }\left( a\right) \)を求めることになります。一方、\(g\circ f\)の導関数\(\left( g\circ f\right) ^{\prime}\left( x\right) \)が与えられている場合には、その変数\(x\)に\(a\)を代入すれば微分係数\(\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left(a\right) \)がただちに得られるため簡単です。したがって、導関数\(\left(g\circ f\right) ^{\prime }\)を特定できるのであればより望ましいということになります。ここで役に立つのが上の命題です。つまり、\(f\)と\(g\)がともに微分可能である場合には\(g\circ f\)もまた微分可能であり、その導関数\(\left( g\circ f\right) ^{\prime }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( x\right) =g^{\prime }\left( f\left(
x\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( x\right)
\end{equation*}を定めることが保証されます。この命題を具体的にどのように利用すればよいでしょうか。以下で解説します。

ある関数が与えられており、それを微分しようとしている状況を想定します。もし、その関数が何らかの2つの関数\(f,g\)の合成関数\(g\circ f\)であることに気が付くことができれば、\(f,g\)がともに微分可能であるという条件のもと、合成関数の微分公式\begin{equation}\left( g\circ f\right) ^{\prime }\left( x\right) =g^{\prime }\left( f\left(
x\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( x\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}を利用することで、もとの関数を微分できるはずです。

合成関数の定義より\(\left( g\circ f\right) \left( x\right) =g\left( f\left( x\right) \right) \)となるため、合成関数とは、最初に入力した\(x\)に対して合成関数の「内側」の関数\(f\)が値\(y=f\left( x\right) \)を定め、さらにその値\(y\)に対して合成関数の「外側」の関数\(g\)が値\(g\left( y\right) \)を定めるという2段階構造になっています。言い換えると、合成関数\(\left( g\circ f\right) \left( x\right) \)は「外側」の関数\(g\left( y\right) \)と「内側」の関数\(y=f\left( x\right) \)に分離可能であるということです。これらの表記を利用して\(\left( 1\right) \)を言い換えると、\begin{equation}\frac{d}{dx}\left( g\circ f\right) \left( x\right) =\frac{d}{dy}g\left(
y\right) \cdot \frac{d}{dx}f\left( x\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}となります。つまり、微分しようとしている関数が2つの関数\(f,g\)の合成関数\(g\circ f\)であることに気が付いた場合には、\(f,g\)がともに微分可能であることを確認した上で、\(f,g\)をそれぞれ微分し、得られた結果の積をとれば良いということになります。ただし、\(\left( 2\right) \)の右辺中の\(\frac{dg\left(y\right) }{dy}\)すなわち\(g^{\prime }\left( y\right) \)は変数\(y\)に関する関数であるため、\(\left( 1\right) \)のようにこれを\(g^{\prime }\left( f\left(x\right) \right) \)にするためには\(\frac{dg\left( y\right) }{dy}\)の変数に\(y=f\left(x\right) \)を代入する必要があります。このような代入を明示的に表現するのであれば、\(\left( 2\right) \)は、\begin{equation*}\frac{d}{dx}\left( g\circ f\right) \left( x\right) =\left. \frac{d}{dy}g\left( y\right) \right\vert _{y=f\left( x\right) }\cdot \frac{d}{dx}f\left(
x\right)
\end{equation*}となります。これを連鎖公式(chain rule)と呼びます。連鎖公式の運用例を以下に挙げます。

例(連鎖公式)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 2x-1\right) ^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。先ほど、それぞれの点\(a\in \mathbb{R} \)における微分係数\(f^{\prime}\left( a\right) \)を求めることを通じて導関数\(f^{\prime }\)を求めましたが、以下では連鎖公式を利用して\(f^{\prime }\)を求めます。与えられた関数\(f\)は「外側の」関数に相当する\(h\left( y\right) =y^{3}\)と、「内側」の関数に相当する\(y=g\left( x\right) =2x-1\)の合成関数です。つまり、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( h\circ g\right) \left( x\right) =h\left( g\left(
x\right) \right)
\end{equation*}として理解できます。\(h,g\)はともに微分可能であるため連鎖公式を利用できます。具体的には、\begin{eqnarray*}\frac{d}{dx}f\left( x\right) &=&\frac{d}{dx}\left( h\circ g\right) \left(
x\right) \\
&=&\left. \frac{d}{dy}h\left( y\right) \right\vert _{y=g\left( x\right)
}\cdot \frac{d}{dx}g\left( x\right) \quad \because \text{連鎖公式} \\
&=&\left. \frac{d}{dy}\left( y^{3}\right) \right\vert _{y=2x-1}\cdot \frac{d}{dx}\left( 2x-1\right) \quad \because f,g\text{の定義} \\
&=&\left. 3y^{2}\right\vert _{y=2x-1}\cdot 2 \\
&=&3\left( 2x-1\right) ^{2}\cdot 2 \\
&=&6\left( 2x-1\right) ^{2}
\end{eqnarray*}となります。つまり、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =6\left( 2x-1\right) ^{2}
\end{equation*}となりますが、これは先の結果と整合的です。

 

3つ以上の関数の合成

3つ以上の関数を合成して得られる関数の微分についても同様の議論が成立します。関数\(f,g,h\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}f &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \\
g &:&\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \\
h &:&\mathbb{R} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}で与えられているとともに、これらの間に、\begin{eqnarray*}
f\left( X\right) &\subset &Y \\
g\left( Y\right) &\subset &Z
\end{eqnarray*}という関係が成り立つのであれば、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( h\circ g\circ f\right) (x)=h\left( g\left( f\left( x\right) \right)
\right)
\end{equation*}を定める合成関数\(h\circ g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。\(f,g,h\)がいずれも(通常の意味で)微分可能であるならば\(h\circ g\circ f\)もまた(通常の意味で)微分可能であり、その導関数\(\left( h\circ g\circ f\right) ^{\prime }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( \left( h\circ g\circ f\right) \right) ^{\prime }\left( x\right)
=h^{\prime }(g\left( f\left( x\right) \right) )\cdot g^{\prime }\left(
f\left( x\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( x\right)
\end{equation*}を定めます。この場合、連鎖公式をどのように整理すればよいでしょうか。

ある関数が与えられており、それを微分しようとしている状況を想定します。もし、その関数が何らかの3つの関数\(f,g,h\)の合成関数\(h\circ g\circ f\)であることに気が付くことができれば、\(f,g,h\)がともに微分可能であるという条件のもと、合成関数の微分公式\begin{equation}\left( \left( h\circ g\circ f\right) \right) ^{\prime }\left( x\right)
=h^{\prime }(g\left( f\left( x\right) \right) )\cdot g^{\prime }\left(
f\left( x\right) \right) \cdot f^{\prime }\left( x\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}を利用することで、もとの関数を微分できるはずです。

合成関数の定義より\(\left( h\circ g\circ f\right) (x)=h\left( g\left( f\left( x\right) \right)\right) \)となるため、合成関数とは、最初に入力した\(x\)に対して合成関数の「内側」の関数\(f\)が値\(y=f\left( x\right) \)を定め、さらにその値\(y\)に対して合成関数の「中央」の関数\(g\)が値\(z=g\left(y\right) \)を定め、さらにその値\(z\)に対して合成関数の「外側」の関数\(h\)が値\(h\left( z\right) =h\left( g\left( f\left( x\right) \right)\right) \)を定めるという3重構造になっています。言い換えると、合成関数\(\left( h\circ g\circ f\right) (x)\)は「外側」の関数\(h\left( z\right) \)と「中央」の関数\(z=g\left( y\right) \)と「内側」の関数\(y=f\left(x\right) \)とに分離可能であるということです。これらの表記を利用して\(\left( 1\right) \)を言い換えると、\begin{equation}\frac{d}{dx}\left( h\circ g\circ f\right) \left( x\right) =\frac{d}{dz}h\left( z\right) \cdot \frac{d}{dy}g\left( y\right) \cdot \frac{d}{dx}f\left( x\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}となります。つまり、微分しようとしている関数が3つの関数\(f,g,h\)の合成関数\(h\circ g\circ f\)であることに気が付いた場合には、\(f,g,h\)がともに微分可能であることを確認した上で、\(f,g,h\)をそれぞれ微分し、得られた結果の積をとればよいということになります。ただし、\(\left( 2\right) \)を\(\left( 1\right) \)のような\(x\)に関する関数として表現するためには、\(h\)の導関数\(\frac{d}{dz}h\left( z\right) \)を\(z=g\left( f\left( x\right) \right) \)で、\(g\)の導関数\(\frac{d}{dy}g\left( y\right) \)を\(y=f\left( x\right) \)でそれぞれ評価する必要があります。つまり、\begin{equation*}\frac{d}{dx}\left( h\circ g\circ f\right) \left( x\right) =\left. \frac{d}{dz}h\left( z\right) \right\vert _{z=g\left( f\left( x\right) \right) }\cdot
\left. \frac{d}{dy}g\left( y\right) \right\vert _{y=f\left( x\right) }\cdot
\frac{d}{dx}f\left( x\right)
\end{equation*}とする必要があります。以上が3つの関数の合成関数に関する連鎖公式です。

例(連鎖公式)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 2x^{2}-1\right) ^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。与えられた関数\(f\)は「外側」の関数に相当する\(i\left( z\right) =z^{3}\)と、「中央」の関数に相当する\(h\left( y\right) =2y-1\)と、「内側」の関数に相当する\(g\left( x\right) =x^{2}\)の合成関数です。つまり、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( i\circ h\circ g\right) \left( x\right) =i\left(
h\left( g\left( x\right) \right) \right)
\end{equation*}として理解できます。\(g,h,i\)はいずれも微分可能であるため連鎖公式を利用できます。具体的には、\begin{eqnarray*}\frac{d}{dx}f\left( x\right) &=&\frac{d}{dx}\left( i\circ h\circ g\right)
\left( x\right) \\
&=&\left. \frac{d}{dz}h\left( z\right) \right\vert _{z=g\left( f\left(
x\right) \right) }\cdot \left. \frac{d}{dy}g\left( y\right) \right\vert
_{y=f\left( x\right) }\cdot \frac{d}{dx}f\left( x\right) \quad \because
\text{連鎖公式} \\
&=&\left. \frac{d}{dz}z^{3}\right\vert _{z=2x^{2}-1}\cdot \left. \frac{d}{dy}\left( 2y-1\right) \right\vert _{y=x^{2}}\cdot \frac{d}{dx}x^{2}\quad
\because f,g,h\text{の定義} \\
&=&\left. 3z^{2}\right\vert _{z=2x^{2}-1}\cdot \left. 2\right\vert
_{y=x^{2}}\cdot 2x \\
&=&3\left( 2x^{2}-1\right) ^{2}\cdot 2\cdot 2x \\
&=&12x\left( 2x^{2}-1\right) ^{2}
\end{eqnarray*}となります。つまり、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =12x\left( 2x^{2}-1\right) ^{2}
\end{equation*}です。

 

演習問題

問題(合成関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 6x^{2}+7x\right) ^{4}
\end{equation*}を定めるものとします。導関数を求めてください。

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問題(合成関数の片側微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-x^{2}
\end{equation*}を定め、関数\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ x\geq 0\right) \\
0 & \left( if\ x<0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。以上を踏まえたとき、\(f\)は点\(0\)において右側微分可能であること、\(g\)は点\(f\left( 0\right) \)において右側微分可能であること、そして合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は点\(0\)において右側微分可能ではないことをそれぞれ証明してください。
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次回は逆関数の微分について学びます。

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