教材一覧
教材検索
DIFFERENTIATION OF FUNCTIONS

関数の定数倍の高階微分

目次

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

高階微分可能な関数の定数倍

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(c\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( c\cdot f\right) \left( x\right) =c\cdot f\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな関数\(c\cdot f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。\(f\)が定義域上の点\(a\in X\)の周辺の任意の値において定義されているとき、\(f\)が点\(a\)において\(n\)階微分可能であるか否かを検討できます。仮に\(f\)が点\(a\)において\(n\)階微分可能であるならば、そこでの\(n\)階微分係数に相当する有限な実数\begin{equation*}f^{\left( n\right) }\left( a\right) \in \mathbb{R} \end{equation*}が存在します。この場合、\(c\cdot f\)もまた点\(a\)において\(n\)階微分可能であることが保証されるとともに、そこでの\(n\)階微分係数が、\begin{equation*}\left( c\cdot f\right) ^{\left( n\right) }\left( a\right) =c\cdot f^{\left(
n\right) }\left( a\right) \in \mathbb{R} \end{equation*}として定まることが保証されます。これは\(n\)に関する数学的帰納法により証明されます。

命題(高階微分可能な関数の定数倍)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(c\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(c\cdot f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(f\)が定義域上の点\(a\in X\)において\(n\)階微分可能であるならば、\(c\cdot f\)もまた点\(a\)において\(n\)階微分可能であり、そこでの\(n\)階微分係数は、\begin{equation*}\left( c\cdot f\right) ^{\left( n\right) }\left( a\right) =c\cdot f^{\left(
n\right) }\left( a\right)
\end{equation*}を満たす。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

つまり、点\(a\)において\(n\)階微分可能な関数\(f\)の定数倍の形をしている関数\(c\cdot f\)が与えられたとき、\(c\cdot f\)もまた点\(a\)において\(n\)階微分可能であることが保証されるとともに、点\(a\)における\(f\)の\(n\)階微分係数を\(c\)倍すれば、点\(a\)における\(c\cdot f\)の\(n\)階微分係数が得られることを上の命題は保証しています。したがって、何らかの関数\(f\)の定数倍の形をしている関数\(c\cdot f\)の高階微分可能性を検討する際には、高階微分の定義にさかのぼって考える前に、まずは\(c\)と\(f\)を分けた上で、\(f\)が高階微分可能であることを確認すればよいということになります。

例(高階微分可能な関数の定数倍)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が\(n\)階微分可能であるものとします。実数\(c\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(c\cdot f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、先の命題より\(c\cdot f\)もまた\(n\)階微分可能であり、その\(n\)階導関数\(\left( c\cdot f\right) ^{\left(n\right) }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}\left( c\cdot f\right) ^{\left( n\right) }\left( x\right) =c\cdot f^{\left(
n\right) }\left( x\right)
\end{equation*}を定めます。ただし、\(f^{\left( n\right) }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は\(f\)の\(n\)階導関数です。
例(高階微分可能な関数の定数倍)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-e^{x}
\end{equation*}を定めるものとします。関数\(e^{x}\)は\(n\)階微分であり、その\(n\)階導関数は、\begin{equation}\frac{d^{n}}{dx^{n}}e^{x}=e^{x} \quad \cdots (1)
\end{equation}であることを踏まえると、\(f\)の\(n\)階導関数は、\begin{eqnarray*}f^{\left( n\right) }\left( x\right) &=&\frac{d^{n}}{dx^{n}}\left(
-e^{x}\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&-\frac{d^{n}}{dx^{n}}e^{x}\quad \because \text{高階微分可能な関数の定数倍} \\
&=&-e^{x}\quad \because \left( 1\right)
\end{eqnarray*}となります。

例(高階微分可能な関数の定数倍)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。正弦関数\(\sin \left( x\right) \)は\(n\)階微分であり、その\(n\)階導関数は、\begin{equation}\frac{d^{n}}{dx^{n}}\sin \left( x\right) =\left\{
\begin{array}{ll}
\left( -1\right) ^{m}\sin \left( x\right) & \left( if\ n=2m\right) \\
\left( -1\right) ^{m+1}\cos \left( x\right) & \left( if\ n=2m-1\right)
\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}となります。ただし\(m\in \mathbb{N} \)です。したがって、\(f\)の\(n\)階導関数は、\begin{eqnarray*}f^{\left( n\right) }\left( x\right) &=&\frac{d^{n}}{dx^{n}}\left[ -\sin
\left( x\right) \right] \quad \because f\text{の定義} \\
&=&-\frac{d^{n}}{dx^{n}}\sin \left( x\right) \quad \because \text{高階微分可能な関数の定数倍} \\
&=&\left\{
\begin{array}{ll}
\left( -1\right) ^{m+1}\sin \left( x\right) & \left( if\ n=2m\right) \\
\left( -1\right) ^{m}\cos \left( x\right) & \left( if\ n=2m-1\right)
\end{array}\right. \quad \because \left( 1\right)
\end{eqnarray*}となります。

 

演習問題

問題(高階微分可能な関数の定数倍)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-\cos \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の\(n\)階導関数を求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(高階微分可能な関数の定数倍)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-\frac{\log \left( 1+x\right) }{\pi }
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の\(n\)階導関数を求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

次回は高階微分可能な関数の和として定義される関数の高階微分可能性について解説します。

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

高階の微分

高階の微分

関数の導関数が微分可能である場合には導関数の導関数が得られますがこれを2階の導関数と呼びます。同様に、3階の導関数、4階の導関数なども定義可能です。これらを高階の導関数と呼びます。

関数の和

関数の和の高階微分

高階微分可能な関数どうしの和として定義される関数もまた高階微分であるとともに、その高階微分係数はもとの関数の高階微分係数の和と一致します。

関数の定数倍

関数の定数倍の極限

収束する関数を定数倍して得られる関数もまた収束し、新たな関数の極限はもとの関数の極限の定数倍になります。また、このような関係は無限極限に関しても拡張可能です。

関数の定数倍

関数の定数倍の連続性

連続な関数の定数倍として定義される関数もまた連続です。同様に、片側連続(右側連続・左側連続)な関数の定数倍として定義される関数もまた片側連続です。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関数の微分