逆関数の微分
単射であるような関数\begin{equation*}
f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が与えられた場合、終集合を値域に制限して、\begin{equation*}
f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right)
\end{equation*}とすれば全単射になるため、その逆関数\begin{equation*}
f^{-1}:f\left( X\right) \rightarrow X
\end{equation*}が存在することが保証されるとともに、\(f^{-1}\)もまた全単射になります。逆関数の定義より、順序対\(\left( x,y\right)\in X\times f\left( X\right) \)を任意に選んだときに、以下の関係\begin{equation*}y=f\left( x\right) \Leftrightarrow x=f^{-1}\left( y\right)
\end{equation*}が成り立つことに注意してください。では、逆関数\(f^{-1}\)はどのような条件のもとで微分可能であることが保証されるのでしょうか。また、逆関数\(f^{-1}\)が微分可能である場合、微分係数をどのように特定できるのでしょうか。順番に考えます。
全単射\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)の逆関数\(f^{-1}:f\left( X\right) \rightarrow X\)が与えられている状況を想定します。逆関数\(f^{-1}\)が定義域上の点\(b\in f\left( X\right) \)において微分可能であることを保証するためには、すなわち、微分係数\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}
\end{equation*}が有限な実数として定まることを保証するためには以下の諸条件が満たされている必要があります。
まず、逆関数\(f^{-1}\)は微分しようとしている点\(b\in f\left( X\right) \)において連続である必要があります。つまり、\(f^{-1}\)は点\(b\)および周辺の任意の点において定義されているとともに、\begin{equation*}\lim_{y\rightarrow b}f^{-1}\left( y\right) =f^{-1}\left( b\right)
\end{equation*}が成り立つということです。
点\(b\in f\left( X\right) \)が与えられたとき、逆関数の定義より\(f^{-1}\left( b\right) \in X\)が成り立ちます。つまり、点\(f^{-1}\left( b\right) \)はもとの関数\(f\)の定義域の要素です。そこで、もとの関数\(f\)は点\(f^{-1}\left( b\right) \)において微分可能であるとともに、そこでの微分係数\(\frac{df\left( f^{-1}\left( b\right)\right) }{dx}\)が非ゼロであるものとします。つまり、関数\(f\)は点\(f^{-1}\left( b\right) \)および周辺の任意の点において定義されているとともに、\begin{equation*}\frac{df\left( f^{-1}\left( b\right) \right) }{dx}=\left. \frac{df\left(
x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\}
\end{equation*}を満たすということです。
以上の条件が満たされる場合、逆関数\(f^{-1}\)は点\(b\)において微分可能であることが保証されるとともに、そこでの微分係数が、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(
b\right) \right) }{dx}}
\end{equation*}として定まることが保証されます。
x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\}
\end{equation*}が成り立つものとする。この場合、逆関数\(f^{-1}\)は点\(b\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(
b\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df\left( x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }}
\end{equation*}となる。
以上の命題を踏まえると、逆関数\(f^{-1}\)を定義域上の点\(b\in f\left( X\right) \)において微分するためには以下の手順にしたがえばよいということになります。
- 逆関数\(f^{-1}\)が点\(b\in f\left( X\right) \)において連続であり、もとの関数\(f\)の点\(f^{-1}\left( b\right) \in X\)における微分係数が非ゼロであることを確認する。
- もとの関数\(f\)を点\(f^{-1}\left( b\right) \)において微分して微分係数\begin{equation*}\dfrac{df\left( f^{-1}\left( b\right) \right) }{dx}=\left. \dfrac{df\left(x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }
\end{equation*}を特定する。 - 得られた微分係数の逆数をとれば、逆関数\(f^{-1}\)の点\(b\)における微分係数が、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(b\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df\left( x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }}
\end{equation*}として得られる。
逆関数\(f^{-1}\)の具体的な形状が明らかでない場合でも、上の命題が要求する条件が満たされる場合には、逆関数\(f^{-1}\)を特定することなく、\(f^{-1}\)を微分できることに注意してください。
x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\}
\end{equation*}が成り立つならば、先の命題より、逆関数\(f^{-1}\)は点\(b\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(
b\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df\left( x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }}
\end{equation*}となります。
\end{equation*}が成り立つものとします。この場合、先の命題より、逆関数\(f^{-1}\)は定義域\(f\left( X\right) \)上で微分可能であるとともに、導関数\(\frac{df^{-1}}{dx}:f\left(X\right) \rightarrow X\)はそれぞれの\(y\inf\left( X\right) \)に対して、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(
y\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df\left( x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( y\right) }}
\end{equation*}を定めます。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は狭義単調増加関数であるとともに、その値域は、\begin{equation*}f\left( \mathbb{R} \right) =\mathbb{R} \end{equation*}です。したがって、逆関数\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在して、これはそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{-1}\left( y\right) =\frac{y-1}{2}
\end{equation*}を定めます。逆関数\(f^{-1}\)の点\(1\)における微分係数は、\begin{eqnarray*}\frac{df^{-1}\left( 1\right) }{dy} &=&\left. \frac{d}{dy}\left( \frac{y-1}{2}\right) \right\vert _{y=1}\quad \because f^{-1}\text{の定義} \\
&=&\left. \frac{1}{2}\right\vert _{y=1} \\
&=&\frac{1}{2}
\end{eqnarray*}ですが、同じことを先の命題を用いて導出します。逆関数\(f^{-1}\)は多項式関数であるため点\(1\)において連続です。もとの関数\(f\)は点\(f^{-1}\left( 1\right) =0\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{eqnarray*}\frac{df\left( f^{-1}\left( 1\right) \right) }{dx} &=&\left. \frac{d}{dx}\left( 2x+1\right) \right\vert _{x=f^{-1}\left( 1\right) } \\
&=&\left. 2\right\vert _{x=0} \\
&=&2 \\
&\not=&0
\end{eqnarray*}を満たします。したがって、先の命題より、逆関数\(f^{-1}\)は点\(1\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( 1\right) }{dy}=\frac{1}{\frac{df\left( f^{-1}\left(
1\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{2}
\end{equation*}となりますが、これは先の結果と一致します。
逆関数の微分を通じた微分
先の命題は、逆関数\(f^{-1}\)を微分するためにはもとの関数\(f\)を微分すればよいという主張ですが、それとは逆に、関数\(f\)を微分するための手段として逆関数\(f^{-1}\)を微分することもできます。順番に解説します。
関数\(f\)の逆関数が\(f^{-1}\)であることと\(f^{-1}\)の逆関数が\(f\)であることは必要十分であるため、先の命題において\(f\)と\(f^{-1}\)の立場を入れ替えることにより以下の命題を得ます。
\end{equation*}が成り立つものとする。この場合、関数\(f\)は点\(a\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df\left( a\right) }{dx}=\frac{1}{\dfrac{df^{-1}\left( f\left( a\right)
\right) }{dy}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}\right\vert _{y=f\left( a\right) }}
\end{equation*}となる。
以上の命題を踏まえると、関数\(f\)を定義域上の点\(a\in X\)において微分するためには以下の手順にしたがえばよいということになります。
- 関数\(f\)が点\(a\in X\)において連続であり、逆関数\(f^{-1}\)の点\(f\left( a\right) \in f\left( X\right) \)における微分係数が非ゼロであることを確認する。
- 逆関数\(f^{-1}\)を点\(f\left( a\right) \)において微分して微分係数\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( f\left( a\right) \right) }{dy}=\left. \frac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}\right\vert _{y=f\left( a\right) }\end{equation*}を特定する。
- 得られた微分係数の逆数をとれば、関数\(f\)の点\(a\)における微分係数が、\begin{equation*}\frac{df\left( a\right) }{dx}=\frac{1}{\dfrac{df^{-1}\left( f\left( a\right)\right) }{dy}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}\right\vert _{y=f\left( a\right) }}
\end{equation*}として得られる。
もとの関数\(f\)を微分するよりも逆関数\(f^{-1}\)を微分するほうが簡単である場合、この手法は有用です。
\end{equation*}を定めるものとします。関数\(f\)は点\(1\)において微分可能でしょうか。無理関数の微分を学んでいないため、\(f\)を直接微分するのではなく、逆関数\(f^{-1}\)の微分を通じて\(f\)が微分可能であるか検討します。\(f\)は狭義単調増加関数であるとともに、その値域は、\begin{equation*}f\left( \mathbb{R} _{+}\right) =\mathbb{R} _{+}
\end{equation*}です。したがって、逆関数\(f^{-1}:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が存在して、これはそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{-1}\left( y\right) =y^{2}
\end{equation*}を定めます。無理関数は連続であるため関数\(f\)は点\(1\)において連続です。逆関数\(f^{-1}\)は単項式関数であるため点\(f\left( 1\right) =1\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{eqnarray*}\frac{df^{-1}\left( 1\right) }{dy} &=&\left. \frac{d}{dy}y^{2}\right\vert
_{y=1}\quad \because f^{-1}\text{の定義} \\
&=&\left. 2y\right\vert _{y=1} \\
&=&2 \\
&\not=&0
\end{eqnarray*}を満たします。したがって、先の命題より、関数\(f\)は点\(1\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df\left( 1\right) }{dx}=\frac{1}{\dfrac{df^{-1}\left( f\left( 1\right)
\right) }{dy}}=\frac{1}{2}
\end{equation*}となります。
連続関数の逆関数の微分
逆関数の微分に話を戻します。先に明らかにしたように、全単射\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)の逆関数\(f^{-1}:f\left( X\right) \rightarrow X\)が与えられている状況において、逆関数\(f^{-1}\)が定義域上の点\(b\in f\left( X\right) \)において微分可能であることを保証するためには、逆関数\(f^{-1}\)が点\(b\)において連続であるとともに、もとの関数\(f\)の点\(f^{-1}\left( b\right) \in X\)における微分係数が非ゼロであれば十分です。
ただし、関数\(f\)が定義域\(X\)上で連続である場合、逆関数\(f^{-1}\)が点\(b\)において連続であることを保証できます。したがって、逆関数\(f^{-1}\)が点\(b\)において微分可能であるための条件の1つである「逆関数\(f^{-1}\)が点\(b\)において連続」を「関数\(f\)が定義域\(X\)上で連続」に置き換えることができます。つまり、関数\(f\)が定義域\(X\)上で連続であるとともに、点\(f^{-1}\left(b\right) \)における微分係数が非ゼロであれば、逆関数\(f^{-1}\)が点\(b\)において微分可能であることを保証できます。
x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\}
\end{equation*}が成り立つものとする。この場合、逆関数\(f^{-1}\)は点\(b\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(
b\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df\left( x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }}
\end{equation*}となる。
以上の命題を踏まえると、連続関数\(f\)の逆関数\(f^{-1}\)を定義域上の点\(b\in f\left( X\right) \)において微分するためには以下の手順にしたがえばよいということになります。
- 関数\(f\)が定義域\(X\)上で連続であり、関数\(f\)の点\(f^{-1}\left( b\right) \in X\)における微分係数が非ゼロであることを確認する。
- もとの関数\(f\)を点\(f^{-1}\left( b\right) \)において微分して微分係数\begin{equation*}\dfrac{df\left( f^{-1}\left( b\right) \right) }{dx}=\left. \dfrac{df\left(x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }
\end{equation*}を特定する。 - 得られた微分係数の逆数をとれば、逆関数\(f^{-1}\)の点\(b\)における微分係数が、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(b\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df\left( x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }}
\end{equation*}として得られる。
x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\}
\end{equation*}です。微分可能性は連続性を含意するため、\(f\)は\(X\)上で連続です。したがって、先の命題より、逆関数\(f^{-1}\)は点\(b\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( b\right) }{dy}=\frac{1}{\dfrac{df\left( f^{-1}\left(
b\right) \right) }{dx}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df\left( x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( b\right) }}
\end{equation*}となります。
連続な逆関数の微分を通じた微分
関数\(f\)の逆関数が\(f^{-1}\)であることと\(f^{-1}\)の逆関数が\(f\)であることは必要十分であるため、先の命題において\(f\)と\(f^{-1}\)の立場を入れ替えることにより以下の命題を得ます。
\end{equation*}が成り立つものとする。この場合、関数\(f\)は点\(a\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df\left( a\right) }{dx}=\frac{1}{\dfrac{df^{-1}\left( f\left( a\right)
\right) }{dy}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}\right\vert _{y=f\left( a\right) }}
\end{equation*}となる。
以上の命題を踏まえると、関数\(f\)を定義域上の点\(a\in X\)において微分するためには以下の手順にしたがえばよいということになります。
- 逆関数\(f^{-1}\)が定義域\(f\left( X\right) \)上で連続であり、逆関数\(f^{-1}\)の点\(f\left( a\right)\in f\left( X\right) \)における微分係数が非ゼロであることを確認する。
- 逆関数\(f^{-1}\)を点\(f\left( a\right) \)において微分して微分係数\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( f\left( a\right) \right) }{dy}=\left. \frac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}\right\vert _{y=f\left( a\right) }\end{equation*}を特定する。
- 得られた微分係数の逆数をとれば、関数\(f\)の点\(a\)における微分係数が、\begin{equation*}\frac{df\left( a\right) }{dx}=\frac{1}{\dfrac{df^{-1}\left( f\left( a\right)\right) }{dy}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}\right\vert _{y=f\left( a\right) }}
\end{equation*}として得られる。
もとの関数\(f\)を微分するよりも逆関数\(f^{-1}\)を微分するほうが簡単である場合、この手法は有用です。
\end{equation*}です。微分可能性は連続性を含意するため、\(f^{-1}\)は\(f\left( X\right) \)上で連続です。したがって、先の命題より、関数\(f\)は点\(a\)において微分可能であり、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\frac{df\left( a\right) }{dx}=\frac{1}{\dfrac{df^{-1}\left( f\left( a\right)
\right) }{dy}}=\frac{1}{\left. \dfrac{df^{-1}\left( y\right) }{dy}\right\vert _{y=f\left( a\right) }}
\end{equation*}となります。
逆関数の微分が要求する条件の吟味
全単射\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow f\left( X\right) \)の逆関数\(f^{-1}:f\left( X\right) \rightarrow X\)が与えられている状況において、逆関数\(f^{-1}\)が定義域上の点\(b\in f\left( X\right) \)において微分可能であることを保証するためには、逆関数\(f^{-1}\)が点\(b\)において連続であるとともに、もとの関数\(f\)の点\(f^{-1}\left( b\right) \in X\)における微分係数が非ゼロであれば十分です。では、これらの条件は必須なのでしょうか。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は狭義単調増加関数であり、その値域は、\begin{equation*}f\left( \mathbb{R} \right) =\mathbb{R} \end{equation*}であるため逆関数\(f^{-1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在し、これはそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{-1}\left( y\right) =x^{\frac{1}{3}}
\end{equation*}を定めます。この逆関数\(f^{-1}\)は点\(0\)において微分可能でしょうか。\(f^{-1}\)は有理ベキ関数であるため点\(0\)において連続です。関数\(f\)は単項式関数であるため点\(f^{-1}\left( 0\right) =0\)において微分可能ですが、そこでの微分係数は、\begin{eqnarray*}\frac{df\left( f^{-1}\left( 0\right) \right) }{dx} &=&\left. \frac{df\left(
x\right) }{dx}\right\vert _{x=f^{-1}\left( 0\right) } \\
&=&\left. \frac{dx^{3}}{dx}\right\vert _{x=0} \\
&=&\left. 3x^{2}\right\vert _{x=0} \\
&=&0
\end{eqnarray*}であるため、逆関数の微分に関する命題が要求する条件が満たされず、したがって、逆関数\(f^{-1}\)が点\(0\)において微分可能であることを保証できません。ちなみに、逆関数\(f^{-1}\)すなわち有理数ベキ関数\(x^{\frac{1}{3}}\)は点\(0\)において微分可能ではありません。
演習問題
\end{equation*}を定めるものとします。逆関数\(f^{-1}\)が存在することを示した上で、以下の微分係数\begin{equation*}\frac{df^{-1}\left( 1\right) }{dy}
\end{equation*}を求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。逆関数の微分を用いて\(f\)の導関数を求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。逆関数の微分を用いて\(f\)の導関数を求めてください。
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