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1変数関数の微分

一般の指数関数の微分

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一般の指数関数の微分

自然指数関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるということです。定義域上の点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において微分可能であるとともに、そこでの微分係数は、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =e^{a}
\end{equation*}となります。では、自然指数関数に限定されない一般の指数関数もまた微分可能なのでしょうか。

指数関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、\(a\not=1\)かつ\(a>0\)を満たす\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =a^{x}
\end{equation*}と表されるということです。

定義域上の点\(b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において微分可能であるとともに、そこでの微分係数は、\begin{equation*}f^{\prime }\left( b\right) =a^{b}\cdot \ln \left( a\right)
\end{equation*}となります。

命題(指数関数の微分)

関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =a^{x}
\end{equation*}と表されるものとする。点\(b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime }\left( b\right) =a^{b}\cdot \ln \left( a\right)
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(指数関数の導関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =a^{x}
\end{equation*}と表されるものとします。先の命題より、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上において微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =a^{x}\cdot \ln \left( a\right)
\end{equation*}を定めます。つまり、指数関数\(a^{x}\)の導関数はもとの関数\(a^{x}\)の定数倍(\(\ln \left( a\right) \)倍)と一致します。
例(自然指数関数の導関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は指数関数であるため、先の命題より\(f\)は\(\mathbb{R} \)上において微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( x\right) &=&e^{x}\cdot \ln \left( e\right) \\
&=&e^{x}\cdot 1 \\
&=&e^{x}
\end{eqnarray*}を定めます。つまり、自然指数関数\(e^{x}\)の導関数はもとの関数\(e^{x}\)と一致します。
例(指数関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(x^{2}\)と指数関数\(\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\)の積として定義されているため微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( x\right) &=&\left[ x^{2}\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\right] ^{\prime }\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( x^{2}\right) ^{\prime }\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}+x^{2}\left[
\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\right] ^{\prime }\quad \because \text{微分可能な関数の積} \\
&=&2x\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}+x^{2}\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\ln
\left( \frac{1}{2}\right) \quad \because \text{多項式関数および指数関数の微分} \\
&=&2x\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}-x^{2}\left( \frac{1}{2}\right) ^{x}\ln
\left( 2\right) \\
&=&\frac{2x-x^{2}\ln \left( 2\right) }{2^{x}} \\
&=&\frac{x\left( 2-x\ln \left( 2\right) \right) }{2^{x}}
\end{eqnarray*}を定めます。

例(指数関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( x^{5}-1\right) \cdot 10^{x}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(x^{5}-1\)と指数関数\(10^{x}\)の積として定義されているため微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( x\right) &=&\left[ \left( x^{5}-1\right) \cdot 10^{x}\right] ^{\prime }\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( x^{5}-1\right) ^{\prime }\cdot 10^{x}+\left( x^{5}-1\right) \left(
10^{x}\right) ^{\prime }\quad \because \text{微分可能な関数の積} \\
&=&5x^{4}\cdot 10^{x}+\left( x^{5}-1\right) \left( 10^{x}\cdot \ln \left(
10\right) \right) \quad \because \text{多項式関数および指数関数の微分} \\
&=&10^{x}\left[ \ln \left( 10\right) \cdot x^{5}+5x^{4}-\ln \left( 10\right) \right] \end{eqnarray*}を定めます。

例(指数関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{2^{x}}{x^{2}+1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(x^{2}+1\)と指数関数\(2^{x}\)の商として定義されているため微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( x\right) &=&\left( \frac{2^{x}}{x^{2}+1}\right) ^{\prime
}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\frac{\left( 2^{x}\right) ^{\prime }\left( x^{2}+1\right) -2^{x}\left(
x^{2}+1\right) ^{\prime }}{\left( x^{2}+1\right) ^{2}}\quad \because \text{微分可能な関数の商} \\
&=&\frac{2^{x}\ln \left( 2\right) \left( x^{2}+1\right) -2^{x}\left(
2x\right) }{\left( x^{2}+1\right) ^{2}}\quad \because \text{多項式関数および指数関数の微分} \\
&=&\frac{2^{x}\left( \ln \left( 2\right) x^{2}-2x+\ln \left( 2\right)
\right) }{\left( x^{2}+1\right) ^{2}}
\end{eqnarray*}を定めます。

例(指数関数の微分)
「単利・年利\(5\)\% 」という条件の定期金利に\(100\)万円を預けると、\(x\)年後の元利合計(万円)は、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&100\cdot \left( 1+0.05\right) ^{x} \\
&=&100\cdot 1.05^{x}
\end{eqnarray*}となります。この関数のグラフは以下の通りです。

図:定期預金の元本
図:定期預金の元本

初期時点(\(t=0\))の元本に関して、\begin{eqnarray*}f\left( 0\right) &=&100\cdot 1.05^{0} \\
&=&100\cdot 1 \\
&=&100
\end{eqnarray*}が成立しています。\(f\)は微分可能であり、その導関数\(f^{\prime }\)は、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =100\cdot 1.05^{x}\cdot \ln \left( 1.05\right)
\end{equation*}であるため、任意の\(x\)について、\begin{equation*}\frac{f^{\prime }\left( x\right) }{f\left( x\right) }=\frac{100\cdot
1.05^{x}\cdot \ln \left( 1.05\right) }{100\cdot 1.05^{x}}=\ln \left(
1.05\right)
\end{equation*}が成り立ちますが、これは定数です。これは何を意味するのでしょうか。\(f^{\prime }\left( x\right) \)は\(x\)年後の時点における元本の増加率であり、\(f\left( x\right) \)は\(x\)年後の時点における元本合計です。したがって、それらの商\(\frac{f^{\prime }\left(x\right) }{f\left( x\right) }\)は\(x\)年後の時点における\(1\)円当たりの増加率です。したがって、以上の事実は、元本合計が変化しても\(1\)円当たりの増加率は\(\ln \left( 1.05\right) \)で一定であることを意味します。逆に言うと、\(1\)円当たりの増加率が一定でも、元本合計は指数関数的に急速に増加するということです。

 

指数関数の片側微分

片側微分に関しても同様の命題が成り立ちます。

命題(指数関数の片側微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =a^{x}
\end{equation*}と表されるものとする。点\(b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(b\)において右側微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime }\left( b+0\right) =a^{b}\cdot \ln \left( a\right)
\end{equation*}が成り立つとともに、\(f\)は点\(b\)において左側微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime }\left( b-0\right) =a^{b}\cdot \ln \left( a\right)
\end{equation*}が成り立つ。

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例(指数関数の片側微分)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =2^{x}+1
\end{equation*}を定めるものとします。定義域の内点\(a\in \left(0,1\right) \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( a\right) &=&\left. \left( 2^{x}\right) ^{\prime
}\right\vert _{x=a}+\left( 1\right) ^{\prime }\quad \because \text{微分可能な関数の和} \\
&=&\left( \left. 2^{x}\ln \left( 2\right) \right\vert _{x=a}\right) +0\quad
\because \text{指数関数の微分} \\
&=&2^{a}\ln \left( 2\right)
\end{eqnarray*}となります。定義域の左側の端点\(0\)においては、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( 0+0\right) &=&\left. \left( 2^{x}\right) _{+}^{\prime
}\right\vert _{x=0}+\left. \left( 1\right) _{+}^{\prime }\right\vert \quad
\because \text{右側微分可能な関数の定数倍・和} \\
&=&\left( \left. 2^{x}\ln \left( 2\right) \right\vert _{x=0}\right) +0\quad
\because \text{指数関数および定数関数の右側微分} \\
&=&2^{0}\ln \left( 2\right) \\
&=&\ln \left( 2\right)
\end{eqnarray*}となります。また、定義域の右側の端点\(1\)においては、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( 1-0\right) &=&\left. \left( 2^{x}\right) _{-}^{\prime
}\right\vert _{x=1}+\left. \left( 1\right) _{-}^{\prime }\right\vert \quad
\because \text{左側微分可能な関数の定数倍・和} \\
&=&\left( \left. 2^{x}\ln \left( 2\right) \right\vert _{x=1}\right) +0\quad
\because \text{指数関数および定数関数の左側微分} \\
&=&2^{1}\ln \left( 2\right) \\
&=&2\ln \left( 2\right)
\end{eqnarray*}となります。したがって\(f\)は微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =2^{x}\ln \left( 2\right)
\end{equation*}を定めることが明らかになりました。

 

演習問題

問題(指数関数の極限)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( x^{5}-1\right) \cdot 10^{x}
\end{equation*}を定めるものとします。導関数を求めてください。

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問題(指数関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =2^{4x}+4x^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。導関数を求めてください。

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問題(指数関数の微分)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{5}\left( \frac{1}{10}\right) ^{2x}
\end{equation*}を定めるものとします。導関数を求めてください。

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