有界な開区間における微分可能性

有界な開区間\(\left( s,t\right) \subset \mathbb{R}\)は\(\mathbb{R}\)の内部であるため、その任意の要素は\(\left( s,t\right) \)の内点です。したがって、有界な開区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left( s,t\right) \rightarrow \mathbb{R}\)が与えられたとき、任意の点\(a\in \left( s,t\right) \)に対して、\(f\)が通常の意味において\(a\)において微分可能であるかどうかを検討可能です。その上で、\(f\)が\(\left( s,t\right) \)の任意の点において微分可能であるならば、すなわち、\begin{equation*}
\forall x\in \left( s,t\right) :f^{\prime }\left( x\right) \in \mathbb{R}
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(f\)は定義域\(\left( s,t\right) \)上で微分可能(differentiable)であると言います。

 

有界な閉区間における微分可能性

有界な閉区間\(\left[ s,t\right] \subset \mathbb{R}\)の要素は、内部に相当する有界な開区間\(\left( s,t\right) \)に属する内点と、内点とは異なる点である境界点\(s,t\)に分類可能です。したがって、有界な閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ s,t\right] \rightarrow \mathbb{R}\)が与えられたとき、開区間\(\left( s,t\right) \)に属する任意の点に関しては通常の意味における微分可能性が検討可能ですが、境界点\(s,t\)に関しては片側微分可能性で対応する必要があります。その上で、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ f\text{は点}s\text{において右側微分可能} \\
&&\left( b\right) \ f\text{は点}t\text{において左側微分可能} \\
&&\left( c\right) \ f\text{は開区間}\left(
s,t\right) \text{上の任意の点において微分可能}
\end{eqnarray*}がすべて成り立つ場合には、\(f\)は定義域\(\left[ s,t\right] \)上で微分可能であると言います。

 

有界な半開区間における微分可能性

有界な半開区間\((s,t]\subset \mathbb{R}\)の要素は、内部に相当する有界な開区間\(\left( s,t\right) \)に属する内点と、内点とは異なる点である境界点\(t\)に分類可能です。したがって、有界な半開区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset (s,t]\rightarrow \mathbb{R}\)が与えられたとき、開区間\(\left( s,t\right) \)に属する任意の点に関しては通常の意味における微分可能性が検討可能ですが、境界点\(t\)に関しては片側微分可能性で対応する必要があります。その上で、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ f\text{は点}t\text{において左側微分可能} \\
&&\left( b\right) \ f\text{は開区間}\left( s,t\right) \text{上の任意の点において微分可能}
\end{eqnarray*}がともに成り立つ場合には、\(f\)は定義域\((s,t]\)上で微分可能であると言います。

同様に考えると、有界な半開区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \lbrack s,t)\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域上で微分可能であることは、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ f\text{は点}s\text{において右側微分可能} \\
&&\left( b\right) \ f\text{は開区間}\left( s,t\right) \text{上の任意の点において微分可能}
\end{eqnarray*}がともに成り立つこととして定義されます。

 

無限区間における微分可能性

無限開区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset (s,+\infty )\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域上で微分可能であることは、\(s<x\)を満たす任意の点\(x\)において\(f\)が微分可能であることを意味します。

無限開区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset (-\infty ,t)\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域上で微分可能であることは、\(x<t\)を満たす任意の点\(x\)において\(f\)が微分可能であることを意味します。

無限閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \lbrack s,+\infty )\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域上で微分可能であることは、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ f\text{は点}s\text{において右側微分可能} \\
&&\left( b\right) \ f\text{は開区間}\left( s,+\infty \right) \text{上の任意の点において微分可能}
\end{eqnarray*}がともに成り立つことを意味します。

無限閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset (-\infty ,t]\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域上で微分可能であることは、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ f\text{は点}t\text{において左側微分可能} \\
&&\left( b\right) \ f\text{は開区間}\left( -\infty ,t\right) \text{上の任意の点において微分可能}
\end{eqnarray*}がともに成り立つことを意味します。

\(\mathbb{R} \)上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)が定義域上で微分可能であることは、\(f\)が任意の実数\(x\)において微分可能であることを意味します。

 

一般の集合における微分可能性

区間とは限らない集合\(X\subset \mathbb{R}\)として起こり得るパターンとしては、\(\left( 1\right) \ X\)が内点だけからなる場合、\(\left( 2\right) \ X\)が内点と境界点をともに含む場合、\(\left( 3\right) \ X\)が境界点だけからなる場合、の 3 通りに分類可能です。それぞれの場合について、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域\(X\)上で微分可能であることを以下のように考えます。

\(X\)が内点だけからなる場合、\(f\)が定義域\(X\)上で定義可能であることとは、\(f\)が\(X\)の任意の点において通常の意味で微分可能であることを意味します。

\(X\)が内点と境界点からなる場合、\(f\)が定義域\(X\)上で定義可能であることとは、\(f\)が\(X\)の任意の内点において通常の意味で微分可能であるとともに、\(X\)の境界点において片側微分可能であることを意味します。

\(X\)が境界点だけからなる場合、\(f\)が定義域\(X\)上で定義可能であることとは、\(f\)が\(X\)の任意の点において片側微分可能であることを意味します。

 

導関数

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が微分可能であれば、それぞれの内点\(x\in X^{i}\)に対しては微分係数\(f^{\prime }\left( x\right) \)を定め、境界点\(x\in X^{f}\)が存在する場合にはそれに対して片側微分係数\(f^{\prime }\left( x+0\right) \)または\(f^{\prime }\left( x-0\right) \)を定める関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)を定義できます。そこで、このような関数を\(f\)の導関数(derivative)と呼び、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) ,\quad \frac{df(x)}{dx},\quad \frac{d}{dx}f(x)
\end{equation*}などで表します。

導関数\(f^{\prime }\)が存在することは関数\(f\)が微分可能であることを意味します。また、微分可能な関数\(f\)の導関数\(f^{\prime }\)を求めることを\(f\)を微分する(differentiate)と言います。

例(導関数)
全区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}で与えられているものとします。点\(a\in \mathbb{R}\)を任意に選んだとき、そこでの平均変化率は、\begin{equation*}
\frac{f\left( a+h\right) -f\left( a\right) }{h}=\frac{\left( a+h\right) ^{2}-a^{2}}{h}=2a+h
\end{equation*}であるため、\begin{equation*}
\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f\left( a+h\right) -f\left( a\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0}\left( 2a+h\right) =2a
\end{equation*}となります。つまり、\(f\)は任意の点\(a\in \mathbb{R}\)において微分可能であり、そこでの微分係数は\(f^{\prime }\left( a\right) =2a\)となるため、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)は、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =2x
\end{equation*}となります。
例(導関数)
区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R}\)が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}で与えられているものとします。先の例と同様の議論より、\(f\)は任意の内点\(a\in \left( 0,1\right) \)において微分可能であり、そこでの微分係数は\(f^{\prime }\left( a\right) =2a\)です。端点\(0\)については、\begin{equation*}
\lim_{h\rightarrow 0+}\frac{f\left( 0+h\right) -f\left( 0\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0+}\left( 2\cdot 0+h\right) =0
\end{equation*}となるため、\(f\)は\(0\)において右側微分可能であり、そこでの右側微分係数は\(f^{\prime }\left( 0+0\right) =0\)である。もう一方の端点\(1\)については、\begin{equation*}
\lim_{h\rightarrow 0-}\frac{f\left( 1+h\right) -f\left( 1\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0-}\left( 2\cdot 1+h\right) =2
\end{equation*}となるため、\(f\)は\(1\)において左側微分可能であり、そこでの左側微分係数は\(f^{\prime }\left( 1-0\right) =2\)である。したがって、導関数\(f^{\prime }:\left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R}\)は、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x=0\right) \\
2x & \left( if\ 0<x<1\right) \\
2 & \left( if\ x=1\right)
\end{array}\right. =2x
\end{equation*}となります。
例(導関数)
全区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)が、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x & \left( if\ x\geq 0\right) \\
-x & \left( if\ x<0\right) \end{array}\right. \end{equation*}と定義されているものとします。\(a>0\)を満たす任意の点\(a\in \mathbb{R}\)については、\begin{equation*}
\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f\left( a+h\right) -f\left( a\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{\left( a+h\right) -a}{h}=\lim_{h\rightarrow 0}1=1
\end{equation*}となるため、\(f\)は\(a\)において微分可能で\(f^{\prime }\left( a\right) =1\)となります。\(a<0\)を満たす任意の点\(a\in \mathbb{R}\)については、\begin{equation*} \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f\left( a+h\right) -f\left( a\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{-\left( a+h\right) -\left( -a\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0}\left( -1\right) =-1 \end{equation*}となるため、\(f\)は\(a\)において微分可能で\(f^{\prime }\left( a\right) =-1\)となります。また、点\(0\in \mathbb{R} \)においては、\begin{eqnarray*} f^{\prime }\left( 0+0\right) &=&\lim_{h\rightarrow 0+}\frac{f\left( 0+h\right) -f\left( 0\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0+}1=1 \\ f^{\prime }\left( 0-0\right) &=&\lim_{h\rightarrow 0-}\frac{f\left( 0+h\right) -f\left( 0\right) }{h}=\lim_{h\rightarrow 0-}\left( -1\right) =-1 \end{eqnarray*}となり、両者は異なるため\(f\)は\(0\)において微分可能ではありません。したがって、導関数\(f^{\prime }\)は点\(0\)において定義されず、それ以外の点に対しては、\begin{equation*} f^{\prime }\left( x\right) =\left\{ \begin{array}{cc} 1 & \left( if\ x>0\right) \\
-1 & \left( if\ x<0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を値として定める関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R}\)です。

次回からは微分の基本的な性質について学びます。
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