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関数

対数関数の定義と具体例

目次

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対数関数

\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、全区間上に指数関数\begin{equation*}a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義することができます。

指数関数\(a^{x}\)は狭義単調関数ですが、狭義単調関数は単射であるため\(a^{x}\)は単射です。また、指数関数\(a^{x}\)の値域は\(\mathbb{R} _{++}\)ですが、関数の終集合を値域に制限すれば全射になるため、\begin{equation}a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++} \quad \cdots (1)
\end{equation}は全射です。以上より、\(\left( 1\right) \)は単射かつ全射であること、すなわち全単射であることが明らかになりました。全単射には逆関数が存在するため、\(\left( 1\right) \)の逆関数を、\begin{equation*}\log _{a}\left( y\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}で表記し、これを\(a\)を底とする対数関数(logarithmic function with base \(a\))と呼びます。逆関数の定義より、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} \times \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}y=a^{x}\Leftrightarrow x=\log _{a}\left( y\right)
\end{equation*}が成り立ちます。逆関数は全単射であるため、対数関数\(\ln _{a}\left(y\right) \)は全単射です。

2つの変数\(x,y\)の記号を入れ替えることにより、\(a\)を底とする対数関数を、\begin{equation*}\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と表記することもできます。この場合、対数関数\(\log _{a}\left( x\right) \)の逆関数である指数関数は、\begin{equation*}a^{y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}と表記されます。逆関数の定義より、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}\times \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}x=a^{y}\Leftrightarrow y=\log _{a}\left( x\right)
\end{equation*}が成り立ちます。

例(自然指数関数)
ネイピア数\(e\)は\(1\)とは異なる正の実数であるため、\(e\)を底とする対数関数\begin{equation*}\log _{e}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これを自然対数関数(natural logarithmic function)と呼びます。自然対数関数を、\begin{equation*}
\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と表記することもできます。この関数のグラフは以下の通りです。

図:自然対数関数
図:自然対数関数

自然対数関数\(\ln \left( x\right) \)の逆関数は自然指数関数\begin{equation*}e^{y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}です。逆関数の定義より、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}\times \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}x=e^{y}\Leftrightarrow y=\ln \left( x\right)
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、\begin{eqnarray*}
\ln \left( 1\right) &=&0\quad \because 1=e^{0} \\
\ln \left( e\right) &=&1\quad \because e=e^{1}
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(常用対数)
\(10\)は\(1\)とは異なる正の実数であるため、\(10\)を底とする対数関数\begin{equation*}\log _{10}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これを常用対数関数(common logarithm function)と呼びます。この関数のグラフは以下の通りです。

図:常用対数
図:常用対数

常用対数\(\log _{10}\left( x\right) \)の逆関数は\(10\)を底とする指数関数\begin{equation*}10^{y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}です。逆関数の定義より、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}\times \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}x=10^{y}\Leftrightarrow y=\log _{10}\left( x\right)
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、\begin{eqnarray*}
\log _{10}\left( 10\right) &=&1\quad \because 10=10^{1} \\
\log _{10}\left( 100\right) &=&2\quad \because 100=10^{2} \\
\log _{10}\left( \frac{1}{10}\right) &=&-1\quad \because \frac{1}{10}=10^{-1} \\
\log _{10}\left( \frac{1}{100}\right) &=&-2\quad \therefore \frac{1}{100}=10^{-2}
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(二進対数)
\(2\)は\(1\)とは異なる正の実数であるため、\(2\)を底とする対数関数\begin{equation*}\log _{2}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これを二進対数関数(binary logarithm function)と呼びます。この関数のグラフは以下の通りです。

図:対数関数
図:対数関数

二進対数\(\log _{2}\left( x\right) \)の逆関数は\(2\)を底とする指数関数\begin{equation*}2^{y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}です。逆関数の定義より、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}\times \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}x=2^{y}\Leftrightarrow y=\log _{2}\left( x\right)
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、\begin{eqnarray*}
\log _{2}\left( 2\right) &=&1\quad \because 2=2^{1} \\
\log _{2}\left( 4\right) &=&2\quad \because 4=2^{2} \\
\log _{2}\left( \frac{1}{2}\right) &=&-1\quad \because \frac{1}{2}=2^{-1} \\
\log _{2}\left( \frac{1}{4}\right) &=&-2\quad \therefore \frac{1}{4}=2^{-2}
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(対数関数)
\(\frac{1}{2}\)は\(1\)とは異なる正の実数であるため、\(\frac{1}{2}\)を底とする対数関数\begin{equation*}\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。この関数のグラフは以下の通りです。

図:対数関数
図:対数関数

対数関数\(\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) \)の逆関数は\(\frac{1}{2}\)を底とする指数関数\begin{equation*}\left( \frac{1}{2}\right) ^{y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}です。逆関数の定義より、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}\times \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}x=\left( \frac{1}{2}\right) ^{y}\Leftrightarrow y=\log _{\frac{1}{2}}\left(
x\right)
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、\begin{eqnarray*}
\log _{\frac{1}{2}}\left( 2\right) &=&-1\quad \because 2=\left( \frac{1}{2}\right) ^{-1} \\
\log _{\frac{1}{2}}\left( 4\right) &=&-2\quad \because 4=\left( \frac{1}{2}\right) ^{-2} \\
\log _{\frac{1}{2}}\left( \frac{1}{2}\right) &=&1\quad \because \frac{1}{2}=\left( \frac{1}{2}\right) ^{1} \\
\log _{\frac{1}{2}}\left( \frac{1}{4}\right) &=&2\quad \therefore \frac{1}{4}=\left( \frac{1}{2}\right) ^{2}
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(対数関数)
ローカル・マグニチュード(local magnitude scale)とは、地震計の針の振れ幅の大きさをもとに地震の規模を表現する指標です。具体的には、震源から100km離れた地点に置かれた標準的な地震計が記録する針の振れ幅(μm)が\(x\)である場合、ローカル・マグニチュードは、\begin{equation*}f\left( x\right) =\log _{10}\left( x\right)
\end{equation*}と定義されます。これは常用対数関数です。例えば、\begin{eqnarray*}
f\left( 10\right) &=&\log _{10}\left( 10\right) =1 \\
f\left( 100\right) &=&\log _{10}\left( 100\right) =2 \\
f\left( 1000\right) &=&\log _{10}\left( 1000\right) =3 \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}などが成り立ちますが、これは針の振れ幅が\(10\)倍になるごとにローカル・マグニチュードは\(1\)だけ大きくなることを意味します。針の振れ幅を表す数値の桁数は大きいため、常用対数をとることにより桁数を減らすことができます。また、人間の感覚量は受ける刺激の強さの対数に比例するという経験則(ヴェーバー-フェヒナーの法則:Weber-Fechner law)が存在するため、針の触れ幅(=揺れという刺激の大きさ)という客観的な指標の対数をとることにより、人間が受ける感覚により近い指標になります。
例(対数関数)
デシベル(decibel)とは、音が伝わる際の大気圧の変化量の大きさ(音圧)をもとに音の大きさを表現する指標です。具体的には、音圧(μPa:マイクロパスカル)が\(x\)である場合、デシベルは、\begin{equation*}f\left( x\right) =20\cdot \log _{10}\left( \frac{x}{20}\right)
\end{equation*}と定義されます。例えば、 人間が聞き取れる最小の音圧である\(20\)μPa(基準音圧)を出発点として、\begin{eqnarray*}f\left( 20\right) &=&20\cdot \log _{10}\left( \frac{20}{20}\right) =0 \\
f\left( 200\right) &=&20\cdot \log _{10}\left( \frac{200}{20}\right) =20 \\
f\left( 2000\right) &=&20\cdot \log _{10}\left( \frac{2000}{20}\right) =40
\\
&&\vdots
\end{eqnarray*}などが成り立ちますが、これは音圧(μPa)が\(10\)倍になるごとにデシベルは\(20\)だけ大きくなることを意味します。マイクロパスカルで記録される音圧の値の桁数は大きいため、対数をとることにより桁数を減らすことができます。また、人間の感覚量は受ける刺激の強さの対数に比例するという経験則(ヴェーバー-フェヒナーの法則:Weber-Fechner law)が存在するため、音圧(=大気圧の変化という刺激の大きさ)という客観的な指標の対数をとることにより、人間が受ける感覚により近い指標になります。

 

対数関数は狭義の単調関数

対数関数は狭義の単調関数です。ただし、底が\(1\)より大きい場合には狭義単調増加関数であり、底が\(1\)より小さい場合には狭義単調減少関数です。

命題(対数関数は狭義単調関数)
\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、対数関数\(\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(a>1\)の場合には\(\log _{a}\left( x\right) \)は狭義の単調増加関数関数であり、\(0<a<1\)の場合には\(\log _{a}\left( x\right) \)は狭義の単調減少関数である。
証明

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対数関数の値域

\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、指数関数\(a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}\)は、\begin{eqnarray*}&&\left( a_{1}\right) \ a^{0}=1 \\
&&\left( b_{1}\right) \ a^{1}=a
\end{eqnarray*}をともに満たします。数関数\(\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はその逆関数であるため、逆関数の定義より、\begin{eqnarray*}&&\left( a_{2}\right) \ \log _{a}\left( 1\right) =0 \\
&&\left( b_{2}\right) \ \log _{a}\left( a\right) =1
\end{eqnarray*}がともに成り立ちますが、これは任意の対数関数\(\log _{a}\left( x\right) \)のグラフが点\(\left( 1,0\right) \)および点\(\left( a,1\right) \)を通過することを意味します。

命題(対数関数の値)
\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、対数関数\(\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。これに対して、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \log _{a}\left( 1\right) =0 \\
&&\left( b\right) \ \log _{a}\left( a\right) =1
\end{eqnarray*}がともに成り立つ。

対数関数の値域は\(\mathbb{R} \)です。つまり、対数関数は任意の実数を値としてとり得ます。

命題(対数関数の値域)

\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、対数関数\(\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。この関数の値域は\(\mathbb{R} \)である。

証明

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例(対数関数のグラフ)
関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)のグラフは以下の通りです。

図:自然対数関数
図:自然対数関数

この関数\(\ln \left( x\right) \)は対数関数であるため値域は\(\mathbb{R} \)です。また、底が\(e>1\)を満たすため\(\ln \left( x\right) \)は狭義の単調増加関数です。加えて、そのグラフは点\(\left( 1,0\right) \)および点\(\left( e,1\right) \)を通過します。上のグラフは以上の事実と整合的です。

例(対数関数のグラフ)
関数\(\log _{10}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)のグラフは以下の通りです。

図:常用対数
図:常用対数

この関数\(\log _{10}\left( x\right) \)は対数関数であるため値域は\(\mathbb{R} \)です。また、底が\(10>1\)を満たすため\(\log _{10}\left( x\right) \)は狭義の単調増加関数です。加えて、そのグラフは点\(\left( 1,0\right) \)および点\(\left( 10,1\right) \)を通過します。上のグラフは以上の事実と整合的です。

例(対数関数のグラフ)
関数\(\log _{2}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)のグラフは以下の通りです。

図:対数関数
図:対数関数

この関数\(\log _{2}\left( x\right) \)は対数関数であるため値域は\(\mathbb{R} \)です。また、底が\(2>1\)を満たすため\(\log _{2}\left( x\right) \)は狭義の単調増加関数です。加えて、そのグラフは点\(\left( 1,0\right) \)および点\(\left( 2,1\right) \)を通過します。上のグラフは以上の事実と整合的です。

例(対数関数のグラフ)
関数\(\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)のグラフは以下の通りです。

図:対数関数
図:対数関数

この関数\(\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) \)は対数関数であるため値域は\(\mathbb{R} \)です。また、底が\(0<\frac{1}{2}<1\)を満たすため\(\log _{\frac{1}{2}}\left( x\right) \)は狭義の単調減少関数です。加えて、そのグラフは点\(\left(1,0\right) \)および点\(\left( \frac{1}{2},1\right) \)を通過します。上のグラフは以上の事実と整合的です。

 

対数法則

指数法則を再掲します。\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall a\in \mathbb{R} _{++},\ \forall x,y\in \mathbb{R} :a^{x}\cdot a^{y}=a^{x+y} \\
&&\left( b\right) \ \forall a\in \mathbb{R} _{++},\ \forall x,y\in \mathbb{R} :\frac{a^{x}}{a^{y}}=a^{x-y} \\
&&\left( c\right) \ \forall a\in \mathbb{R} _{++},\ \forall x,y\in \mathbb{R} :\left( a^{x}\right) ^{y}=a^{xy} \\
&&\left( d\right) \ \forall a,b\in \mathbb{R} _{++},\ \forall x\in \mathbb{R} :\left( ab\right) ^{x}=a^{x}b^{x} \\
&&\left( e\right) \ \forall a,b\in \mathbb{R} _{++},\ \forall x\in \mathbb{R} :\left( \frac{a}{b}\right) ^{x}=\frac{a^{x}}{b^{x}}
\end{eqnarray*}

対数関数は指数関数の逆関数であることを踏まえると、指数法則より以下が導かれます。これを対数法則(logarithmic law)と呼びます。

命題(対数法則)
以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall a\in \mathbb{R} _{++}\backslash \left\{ 1\right\} ,\ \forall x,y\in \mathbb{R} _{++}:\log _{a}\left( xy\right) =\log _{a}\left( x\right) +\log _{a}\left(
y\right) \\
&&\left( b\right) \ \forall a\in \mathbb{R} _{++}\backslash \left\{ 1\right\} ,\ \forall x,y\in \mathbb{R} _{++}:\log _{a}\left( \frac{x}{y}\right) =\log _{a}\left( x\right) -\log
_{a}\left( y\right) \\
&&\left( c\right) \ \forall a\in \mathbb{R} _{++}\backslash \left\{ 1\right\} ,\ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall p\in \mathbb{R} :\log _{a}\left( x^{p}\right) =p\log _{a}\left( x\right) \\
&&\left( d\right) \ \forall a\in \mathbb{R} _{++}\backslash \left\{ 1\right\} ,\ \forall x\in \mathbb{R} _{++}:\log _{a}\left( \frac{1}{x}\right) =-\log _{a}\left( x\right) \\
&&\left( e\right) \ \forall a,b\in \mathbb{R} _{++}\backslash \left\{ 1\right\} ,\ \forall x\in \mathbb{R} _{++}:\log _{a}\left( x\right) =\frac{\log _{b}\left( x\right) }{\log
_{b}\left( a\right) }
\end{eqnarray*}
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対数関数との合成関数

実数空間\(\mathbb{R} \)もしくはその部分集合\(X\)上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を任意に選びます。さらに、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、対数関数\begin{equation*}\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。\(f\)の値域が\(\log _{a}\left( x\right) \)の定義域の部分集合である場合には、すなわち、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}が成り立つ場合には合成関数\begin{equation*}
\log _{a}\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( \log _{a}\circ f\right) \left( x\right) =\log _{a}\left( f\left(
x\right) \right)
\end{equation*}を値として定めます。

例(多項式関数と対数関数の合成)
関数\(f:\mathbb{R} \subset X\rightarrow \mathbb{R} \)は多項式関数であるものとします。先の議論より、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、多項式関数\(f\)の値域が対数関数\(\log _{a}\left( x\right) \)の定義域\(\mathbb{R} _{++}\)の部分集合である場合には、関数\begin{equation*}\log _{a}\left( f\left( x\right) \right) :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。例えば、以下の関数\begin{equation*}
\ln \left( x^{2}+1\right) :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は多項式関数\(x^{2}+1\)と対数関数\(\ln \left( x\right) \)の合成関数です。
例(有理関数と対数関数の合成)
関数\(f:\mathbb{R} \subset X\rightarrow \mathbb{R} \)は有理関数であるものとします。先の議論より、\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、有理関数\(f\)の値域が対数関数\(\log _{a}\left( x\right) \)の定義域\(\mathbb{R} _{++}\)の部分集合である場合には、関数関数\begin{equation*}\log _{a}\left( f\left( x\right) \right) :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。例えば、以下の関数\begin{equation*}
\ln \left( \frac{1}{x^{2}+1}\right) :\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は有理関数\(\frac{1}{x^{2}+1}\)と対数関数\(\ln \left( x\right) \)の合成関数です。

\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、対数関数\begin{equation*}\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。全区間\(\mathbb{R} \)上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を任意に選びます。\(\log _{a}\left( x\right) \)の値域は\(f\)の定義域\(\mathbb{R} \)と一致するため、この場合には合成関数\begin{equation*}f\circ \log _{a}:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\left( f\circ \log _{a}\right) \left( x\right) =f\left( \log _{a}\left(
x\right) \right)
\end{equation*}を値として定めます。

例(対数関数と多項式関数の合成)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は多項式関数であるものとします。\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、対数関数\(\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)の値域は\(f\)の定義域\(\mathbb{R} \)と一致するため、関数\begin{equation*}f\left( \log _{a}\left( x\right) \right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。例えば、以下の関数\begin{equation*}
\left( \ln \left( x\right) \right) ^{2}+\ln \left( x\right) +1:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数\(\ln \left( x\right) \)と多項式関数\(x^{2}+x+1\)の合成関数です。
例(対数関数と有理関数の合成)
全区間上に定義された有理関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられた状況を想定します。\(a>0\)かつ\(a\not=1\)を満たす実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、対数関数\(\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)の値域は\(f\)の定義域\(\mathbb{R} \)と一致するため、関数\begin{equation*}f\left( \log _{a}\left( x\right) \right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。例えば、以下の関数\begin{equation*}
\frac{1}{\left( \ln \left( x\right) \right) ^{2}+1}:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は対数関数\(\ln \left( x\right) \)と有理関数\(\frac{1}{x^{2}+1}\)の合成関数です。

 

演習問題

問題(対数関数)
対数関数を利用して以下の命題\begin{equation*}
4^{-2}=\frac{1}{16}
\end{equation*}を同値変形してください。

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問題(対数関数)
対数関数を利用して以下の命題\begin{equation*}
9^{0}=1
\end{equation*}を同値変形してください。

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問題(対数関数)
対数関数を利用して以下の命題\begin{equation*}
4^{-\frac{3}{2}}=0.125
\end{equation*}を同値変形してください。

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問題(対数関数を含む方程式)
以下の方程式\begin{equation*}
\log _{2}\left( x\right) =-3
\end{equation*}の実数解を求めてください。

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問題(対数関数を含む方程式)
以下の方程式\begin{equation*}
\log _{2}\left( x\right) =6
\end{equation*}の実数解を求めてください。

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問題(対数関数を含む方程式)
以下の方程式\begin{equation*}
\ln \left( x\right) =2
\end{equation*}の実数解を求めてください。

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問題(対数関数を含む方程式)
以下の方程式\begin{equation*}
\log _{\frac{1}{9}}\left( x\right) =\frac{1}{2}
\end{equation*}の実数解を求めてください。

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