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関数の微分

積分を用いた自然対数関数の定義

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自然対数関数の定義(復習)

正の実数\(a>0\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだとき、底が\(a\)で指数が\(x\)であるような累乗\(a^{x}\)と呼ばれる概念を、\begin{equation*}a^{x}=\left\{
\begin{array}{cc}
\sup S\left( a,x\right) & \left( if\ a>1\right) \\
1 & \left( if\ a=1\right) \\
\left( \frac{1}{a}\right) ^{-x} & \left( if\ a<1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}と定義します。ただし、\begin{equation*}
S\left( a,x\right) =\left\{ a^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<x\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}です。任意の\(a>0\)と\(x\in \mathbb{R} \)に対して\(a^{x}\)が常に1つの実数として定まるため、\(a>0\)が与えられたとき、全区間上に以下のような関数\begin{equation*}a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これを\(a\)を底とする指数関数と呼びます。特に、底が\(e\)であるような指数関数\begin{equation*}e^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を自然指数関数と呼びます。

特に、\(a\not=1\)である場合の指数関数\(a^{x}\)は狭義の単調関数です。加えて、指数関数の値域は\(\mathbb{R} _{++}\)であるため、終集合を値域に制限して、\begin{equation}a^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++} \quad \cdots (1)
\end{equation}とすれば全単射になります。すると、\(\left(1\right) \)の逆関数が存在することが保証されるとともに、その逆関数もまた狭義の単調関数になります。そこで、\(\left( 1\right) \)の逆関数を、\begin{equation*}\log _{a}\left( y\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}で表記し、これを\(a\)を底とする対数関数と呼びます。順序対\(\left(x,y\right) \in \mathbb{R} \times \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、逆関数の定義より、\begin{equation*}y=a^{x}\Leftrightarrow x=\log _{a}\left( y\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。2つの変数\(x,y\)の記号を入れ替えることにより、\(a\)を底とする対数関数を、\begin{equation*}\log _{a}\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と表現することもできます。対数関数\(\log_{a}\left( x\right) \)の逆関数は指数関数\begin{equation*}a^{y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}であるため、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}\times \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、逆関数の定義より、\begin{equation*}x=a^{y}\Leftrightarrow y=\log _{a}\left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

特に、自然指数関数の終集合を値域に制限した関数\begin{equation*}
e^{x}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}の逆関数を、\begin{equation*}
\ln \left( y\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}で表記し、これを自然対数関数と呼びます。順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} \times \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、逆関数の定義より、\begin{equation*}y=e^{x}\Leftrightarrow x=\ln \left( y\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。2つの変数\(x,y\)の記号を入れ替えることにより、自然対数関数を、\begin{equation*}\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と表現することもできます。自然対数関数\(\ln \left( x\right) \)の逆関数は自然指数関数\begin{equation*}e^{y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} _{++}
\end{equation*}であるため、順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}\times \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、逆関数の定義より、\begin{equation*}x=e^{y}\Leftrightarrow y=\ln \left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

 

積分を用いた自然対数関数の定義

定積分を用いて自然対数関数\(\ln \left( x\right) \)を定義することもできます。具体的には以下の通りです。

正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、変数\(t\)に関する整数ベキ関数\(\frac{1}{t}=t^{-1}\)は2つの点\(1\)および\(x\)を端点とする区間上で連続であるため、定積分\begin{equation*}\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}が1つの実数として定まることが保証されます。以上の事情を踏まえると、それぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation}f\left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt \quad \cdots (1)
\end{equation}を値として定める関数\(f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。この関数\(f\)の値に相当する定積分を具体的に特定すると、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left[ \ln \left( \left\vert t\right\vert \right) \right] _{1}^{x}\quad
\because \text{整数ベキ関数の定積分} \\
&=&\ln \left( \left\vert x\right\vert \right) -\ln \left( \left\vert
1\right\vert \right) \\
&=&\ln \left( x\right) -\ln \left( 1\right) \quad \because x>0\text{かつ}1>0 \\
&=&\ln \left( x\right) -0\quad \because \ln \left( 1\right) =0 \\
&=&\ln \left( x\right)
\end{eqnarray*}となり、これは自然対数関数\(\ln \left( x\right) \)と一致します。そこで、逆に、\(\left( 1\right) \)によって自然対数関数の定義とすることもできます。つまり、自然対数関数\begin{equation*}\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を、それぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\ln \left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}を定める関数として定義するということです。

 

自然対数関数の微分

自然対数関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)は微分可能であり、導関数\(\frac{d}{dx}\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\frac{d}{dx}\ln \left( x\right) =\frac{1}{x}
\end{equation*}を定めます。定積分を用いて自然対数関数を定義した場合にも同様の性質が成り立ちます。

命題(自然対数関数の微分)
関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\ln \left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}を定めるものとする。この関数\(\ln \left( x\right) \)は微分可能であり、導関数\(\frac{d}{dx}\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\frac{d}{dx}\ln \left( x\right) =\frac{1}{x}
\end{equation*}を定める。

証明

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対数法則

自然対数関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\begin{equation*}\ln \left( 1\right) =0
\end{equation*}が成り立ちますが、定積分を用いて自然対数関数を定義した場合にも同様の性質が成り立ちます。

命題(対数法則)
関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\ln \left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}を定めるものとする。このとき、\begin{equation*}
\ln \left( 1\right) =0
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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自然対数関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、2つの点\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選ぶと、\begin{equation*}\ln \left( x\right) +\ln \left( y\right) =\ln \left( xy\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちますが、定積分を用いて自然対数関数を定義した場合にも同様の性質が成り立ちます。

命題(対数法則)
関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\ln \left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}を定めるものとする。点\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\ln \left( x\right) +\ln \left( y\right) =\ln \left( xy\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。

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自然対数関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、2つの点\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選ぶと、\begin{equation*}\ln \left( x\right) -\ln \left( y\right) =\ln \left( \frac{x}{y}\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちますが、定積分を用いて自然対数関数を定義した場合にも同様の性質が成り立ちます。

命題(対数法則)
関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\ln \left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}を定めるものとする。点\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\ln \left( x\right) -\ln \left( y\right) =\ln \left( \frac{x}{y}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。

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自然対数関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、点\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)をそれぞれ任意に選ぶと、\begin{equation*}\ln \left( x^{r}\right) =r\ln \left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちますが、定積分を用いて自然対数関数を定義した場合にも同様の性質が成り立ちます。

命題(対数法則)
関数\(\ln \left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\ln \left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}を定めるものとする。点\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{equation*}\ln \left( x^{r}\right) =r\ln \left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。

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自然対数の定義

定積分によって定義された自然対数関数\(\ln\left( x\right) :\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}\ln \left( x\right) =\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt
\end{equation*}を定めます。以上を踏まえた上で、\begin{equation*}
\ln \left( e\right) =1
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\int_{1}^{e}\frac{1}{t}dt=1
\end{equation*}を満たす実数\(e\in \mathbb{R} _{++}\)として自然対数を定義します。

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正の実数であるような底を所与としたとき、指数を変数とし、累乗を値として定めるような関数を指数関数と呼びます。特に、ネイピア数を底とする指数関数を自然指数関数と呼びます。指数関数は正の実数を値としてとる狭義単調関数です。