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指数が実数である場合の累乗

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指数が実数である場合の累乗

正の実数\(a\in \mathbb{R} _{++}\)が与えられたとき、指数が自然数や整数、さらには有理数である場合の\(a\)の累乗を定義し、それらの概念がいずれも指数法則を満たすことを示しました。では、指数を一般の実数へ拡張した場合にはどうでしょうか。また、そもそも指数が実数であるような累乗をどのように定義すればよいでしょうか。つまり、実数\(x\in \mathbb{R} \)が任意に与えられたとき、\(a\)の実数乗は、\begin{equation*}a^{x}
\end{equation*}と表記されますが、これをどのように定義すべきでしょうか。これまで導入した概念を動員しながら順番に考えていきます。

正の実数\(a\in \mathbb{R} _{++}\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)を任意に選びます。指数が有理数であるような累乗は1つの実数として定まるため、任意の有理数\(r\in \mathbb{Q} \)に対して\(a^{r}\)が1つの実数として定まることが保証されます。そこで、\(x\)より小さいそれぞれの有理数\(r\)について\(a^{r}\)をとった上で、それらの集合を、\begin{equation*}S\left( a,x\right) =\left\{ a^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<x\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}と表記します。以上を踏まえた上で、\(a>1\)の場合には、\(a\)の\(x\)乗を、\begin{equation*}a^{x}=\sup S\left( a,x\right)
\end{equation*}と定義します。また、\(a=1\)の場合には、これまでと同様に、\begin{equation*}1^{x}=1
\end{equation*}と定義します。最後に、\(1>a>0\)の場合には\(\frac{1}{a}>1\)となるため、これと実数\(-x\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}a^{x}=\left( \frac{1}{a}\right) ^{-x}
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
a^{x}=\sup \left( \frac{1}{a},-x\right)
\end{equation*}と定義します。\(a^{x}\)を上のように定義した場合、これが常に1つの実数として定まることは必ずしも自明ではありません。後ほど\(a^{x}\)が1つの実数として定まることを証明します。

例(指数が実数であるような累乗)
底が\(2\)で指数が\(\sqrt{2}\)であるような累乗\(2^{\sqrt{2}}\)に関しては、\begin{equation*}S\left( 2,\sqrt{2}\right) =\left\{ 2^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<\sqrt{2}\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}を用いて、\begin{equation*}
2^{\sqrt{2}}=\sup S\left( 2,\sqrt{2}\right)
\end{equation*}と定義されます。また、底が\(\frac{1}{2}\)で指数が\(\sqrt{2}\)であるような累乗に関しては、\(0<\frac{1}{2}<1\)であるため、\begin{equation*}\left( \frac{1}{2}\right) ^{\sqrt{2}}=\left( \frac{1}{\frac{1}{2}}\right) ^{-\sqrt{2}}=2^{-\sqrt{2}}
\end{equation*}と定義されます。したがって、\begin{equation*}
S\left( 2,-\sqrt{2}\right) =\left\{ 2^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<-\sqrt{2}\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}を用いて、\begin{equation*}
\left( \frac{1}{2}\right) ^{\sqrt{2}}=\sup S\left( 2,-\sqrt{2}\right)
\end{equation*}と定義されるということです。

 

指数が実数であるような累乗の存在証明

繰り返しになりますが、正の実数\(a\in \mathbb{R} _{++}\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、指数が\(x\)であるような累乗\(a^{x}\)は、\begin{equation*}a^{x}=\left\{
\begin{array}{cc}
\sup S\left( a,x\right) & \left( if\ a>1\right) \\
1 & \left( if\ a=1\right) \\
\left( \frac{1}{a}\right) ^{-x} & \left( if\ a<1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}と定義されます。ただし、\begin{equation*}
S\left( a,x\right) =\left\{ a^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<x\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}です。したがって、\(a^{x}\)が常に1つの実数として定まるためには、\(a\)や\(x\)に関わらず\(S\left(a,x\right) \)が上限を持つことを保証する必要があります。

命題(指数が実数である場合の累乗)
正の実数\(a\in \mathbb{R} _{++}\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、以下の集合\begin{equation*}S\left( a,x\right) =\left\{ a^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<x\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}を定義した上で、\begin{equation*}
a^{x}=\left\{
\begin{array}{cc}
\sup S\left( a,x\right) & \left( if\ a>1\right) \\
1 & \left( if\ a=1\right) \\
\left( \frac{1}{a}\right) ^{-x} & \left( if\ a<1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}と定義される\(a^{x}\)は1つの実数として定まる。
証明

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指数が実数であるような累乗の一般性

指数が実数であるような累乗を定義することに成功しましたが、これは指数が有理数であるような累乗の一般化になっているでしょうか。まずは具体例を通じて確認します。

例(指数が実数であるような累乗の一般性)
底が\(2\)で指数が整数\(3\)であるような累乗\(2^{3}\)は、\begin{equation}2^{3}=2\cdot 2\cdot 2=8 \quad \cdots (1)
\end{equation}と定義されます。整数は実数であることから、\(2^{3}\)を指数が実数であるような累乗とみなすこともできます。つまり、以下の集合\begin{equation*}S\left( 2,3\right) =\left\{ 2^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<3\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}を用いて、\begin{equation*}
2^{3}=\sup S\left( 2,3\right)
\end{equation*}と定義されます。これは\(\left( 1\right) \)と一致するため(演習問題にします)、指数が実数であるような累乗の定義は、指数が整数であるような累乗の定義の一般化になっています。
例(指数が実数であるような累乗の一般性)
底が\(2\)で指数が有理数\(\frac{1}{2}\)であるような累乗\(2^{\frac{1}{2}}\)すなわち\(\sqrt{2}\)は、\begin{equation}b^{2}=2 \quad \cdots (1)
\end{equation}を満たす正の実数\(b\)として定義されます。有理数は実数であることから、\(2^{\frac{1}{2}}\)を指数が実数であるような累乗とみなすこともできます。つまり、以下の集合\begin{equation*}S\left( 2,\frac{1}{2}\right) =\left\{ 2^{r}\in \mathbb{R} \ |\ r<\frac{1}{2}\wedge r\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}を用いて、\begin{equation*}
2^{\frac{1}{2}}=\sup S\left( 2,\frac{1}{2}\right)
\end{equation*}と定義されます。これは\(\left( 1\right) \)を満たすような正の実数\(b\)と一致するため(演習問題にします)、指数が実数であるような累乗の定義は、指数が有理数であるような累乗の定義の一般化になっています。

これらの例に限らず、指数が実数であるような累乗は、指数が有理数であるような累乗の一般化になっています。

命題(指数が実数であるような累乗の一般性)
正の実数\(a\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)が与えられたとき、そこから以下の集合\begin{equation*}S\left( a,r\right) =\left\{ a^{s}\in \mathbb{R} \ |\ s<r\wedge s\in \mathbb{Q} \right\}
\end{equation*}を定義する。このとき、\begin{equation*}
a^{r}=\left\{
\begin{array}{cc}
\sup S\left( a,r\right) & \left( if\ a>1\right) \\
1 & \left( if\ a=1\right) \\
\sup S\left( \frac{1}{a},-r\right) & \left( if\ a<1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}が成り立つ。ただし、左辺の\(a^{r}\)は指数が有理数であるような累乗であり、\(r=\frac{z}{n}\ \left( z\in \mathbb{Z} ,n\in \mathbb{N} \right) \)である場合、これは、\begin{equation*}y^{n}=a^{z}
\end{equation*}を満たす正の実数\(y\in \mathbb{R} _{++}\)として定義される。
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累乗は正の実数

復習になりますが、正の実数\(a\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)が与えられたとき、\begin{equation*}a^{r}>0
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、指数が有理数であるような累乗は正の実数です。指数が実数である場合にも同様の命題が成り立ちます。

命題(累乗の符号)
正の実数\(a\in \mathbb{R} _{++}\)と実数\(x\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、\begin{equation*}a^{x}>0
\end{equation*}が成り立つ。
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次回は指数関数を定義します。

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