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数学的帰納法の原理

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数学的帰納法の原理

復習になりますが、実数空間\(\mathbb{R} \)の部分集合\(A\)が帰納集合であることとは、以下の2つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ 1\in A \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in \mathbb{R} :\left( x\in A\Rightarrow x+1\in A\right)
\end{eqnarray*}が成り立つこととして定義されます。さらに、\(\mathbb{R} \)におけるすべての帰納的集合からなる集合族を\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)で表記するとき、\begin{equation*}\mathbb{N} =\bigcap\limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda }\end{equation*}を満たすものとして自然数集合\(\mathbb{N} \)を定義しました。加えて、\(\mathbb{N} \)自身もまた帰納集合であることを示しました。

\(\mathbb{N} \)の部分集合\(A\subset \mathbb{N} \)を任意に選びます。ただし、これは以下の2つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ 1\in A \\
&&\left( b\right) \ \forall k\in \mathbb{N} :\left( k\in A\Rightarrow k+1\right)
\end{eqnarray*}を満たすものとします。\(\mathbb{N} \subset \mathbb{R} \)であることを踏まえると、上の2つの条件が成り立つことは\(A\)が帰納的集合であることを意味します。\(\mathbb{N} \)はすべての帰納的集合の共通部分であるため、\(\mathbb{N} \)は任意の帰納的集合の部分集合であり、したがって\(\mathbb{N} \subset A\)が成り立ちます。一方、仮定より\(A\subset \mathbb{N} \)であるため、結局、\begin{equation*}A=\mathbb{N} \end{equation*}であることが示されました。これを数学的帰納法の原理(the principle of mathematical induction)と呼びます。

命題(数学的帰納法の原理)
自然数集合\(\mathbb{N} \)の部分集合\(A\)が以下の2つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ 1\in A \\
&&\left( b\right) \ \forall k\in \mathbb{N} :\left( k\in A\Rightarrow k+1\in A\right)
\end{eqnarray*}を満たす場合には、\begin{equation*}
A=\mathbb{N} \end{equation*}が成り立つ。

 

数学的帰納法による証明

先の命題は数学的帰納法による証明(proof by mathematical induction)の根拠になります。数学的帰納法とは、自然数\(n\)に関する主張\begin{equation*}P\left( n\right)
\end{equation*}が任意の自然数\(n\in \mathbb{N} \)に関して成り立つことを示すための手法であり、具体的には、まず、\(n=1\)の場合の主張\begin{equation}P\left( 1\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}が真であることを示した上で、さらに自然数\(k\in \mathbb{N} \)を任意に選んだ上で、\begin{equation}P\left( k\right) \Rightarrow P\left( k+1\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立つことを示すというものです。\(\left( 1\right) \)と\(\left( 2\right) \)がともに真であることを証明できたとしましょう。これは、先の命題中の\(A\)に相当する集合の任意の要素\(k\in A\)について\(P\left( k\right) \)が成り立つことが示されたということです。ただ、先の命題より\(A=\mathbb{N} \)という関係が成り立つため、以上の証明により、\(P\left( k\right) \)が任意の自然数\(k\in \mathbb{N} \)について成り立つことを示したことになります。

数学的帰納法による証明の例をいくつか提示します。

例(数学的帰納法による証明)
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}1+2+3+\cdots +n=\frac{n\left( n+1\right) }{2}
\end{equation*}が成り立つことを証明します。\(n=1\)の場合、与えられた主張は、\begin{equation*}1=\frac{1\left( 1+1\right) }{2}
\end{equation*}となりますが、右辺は\(1\)であるため、これは明らかに成り立ちます。自然数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、\(n=k\)の場合に主張が成り立つものと仮定します。つまり、\begin{equation}1+2+3+\cdots +k=\frac{k\left( k+1\right) }{2} \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことを仮定するということです。このとき、\begin{eqnarray*}
1+2+3+\cdots +k+\left( k+1\right) &=&\frac{k\left( k+1\right) }{2}+\left(
k+1\right) \quad \because \left( 1\right) \\
&=&\frac{k\left( k+1\right) }{2}+\frac{2\left( k+1\right) }{2} \\
&=&\frac{\left( k+1\right) \left( k+2\right) }{2}
\end{eqnarray*}となるため、\(n=k+1\)についても主張が成り立つことが明らかになりました。したがって、数学的帰納法により、任意の自然数\(n\)について主張が成り立つことが示されました。
例(数学的帰納法による証明)
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}1+2+2^{2}+\cdots +2^{n-1}=2^{n}-1
\end{equation*}が成り立つことを証明します。\(n=1\)の場合、与えられた主張は、\begin{equation*}2^{1-1}=2^{1}-1
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
1=1
\end{equation*}となりますが、これは明らかに成り立ちます。自然数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、\(n=k\)の場合に主張が成り立つものと仮定します。つまり、\begin{equation}1+2+2^{2}\cdots +2^{k-1}=2^{k}-1 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことを仮定するということです。このとき、\begin{eqnarray*}
1+2+2^{2}+\cdots +2^{k}+2^{k+1} &=&\left( 1+2+\cdots +2^{k}\right) +2^{k+1}
\\
&=&\left( 2^{k}-1\right) +2^{k+1}\quad \because \left( 1\right) \\
&=&2^{k+2}-1
\end{eqnarray*}となるため、\(n=k+1\)の場合についても主張が成り立つことが明らかになりました。したがって、数学的帰納法により、任意の自然数\(n\)について主張が成り立つことが示されました。

 

演習問題

問題(数学的帰納法の原理)
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}1^{2}+2^{2}+3^{2}+\cdots +n^{2}=\frac{n\left( n+1\right) \left( 2n+1\right)
}{6}
\end{equation*}が成り立つことを証明してください。
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問題(数学的帰納法の原理)
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}7^{n}-4^{n}
\end{equation*}が\(3\)の倍数であることを証明してください。
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次回は有理数の稠密性について学びます。

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