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DEFINITION OF REAL NUMBER

自然数の定義

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自然数集合はすべての帰納的集合の共通部分

公理主義的実数論の立場のもと、乗法\(\cdot \)が満たすべき公理の1つとして、\begin{equation*}\exists 1\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} ,\ \forall x\in \mathbb{R} :x\cdot 1=x
\end{equation*}を設けました。これは、任意の実数\(x\)に掛けてもその結果が\(x\)のままであるような実数\(1\)の存在を保証しており、この実数\(1\)を乗法単位元やイチなどと呼びます。

以上を踏まえた上で、実数空間\(\mathbb{R} \)の部分集合\(A\)が以下の2つの性質\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ 1\in A \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in \mathbb{R} :\left( x\in A\Rightarrow x+1\in A\right)
\end{eqnarray*}を満たす場合には、\(A\)を帰納的集合(inductive set)と呼びます。つまり、\(\mathbb{R} \)の部分集合\(A\)が帰納的集合であることとは、\(1\)を要素として含むとともに、\(A\)の要素である実数を任意に選んだとき、その実数と\(1\)の和もまた\(A\)の要素になることが保証されることを意味します。

例(帰納的集合)
\(\mathbb{R} \)は帰納的集合です。実際、\(\mathbb{R} \)は\(\mathbb{R} \)自身の部分集合であるとともに、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ 1\in \mathbb{R} \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in \mathbb{R} :\left( x\in \mathbb{R} \Rightarrow x+1\in \mathbb{R} \right)
\end{eqnarray*}がともに明らかに成り立つからです。

上の例が示唆するように帰納的集合は存在します。そこで、\(\mathbb{R} \)におけるすべての帰納的集合の共通部分をとり、それを\(\mathbb{N} \)で表記することとします。つまり、すべての帰納的集合からなる集合族を\(\left\{ A_{\lambda}\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)で表記するとき、\begin{equation*}\mathbb{N} =\bigcap\limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda }\end{equation*}として\(\mathbb{N} \)は定義されるということです。上のように定義される集合\(\mathbb{N} \)の要素を自然数(natural number)と呼びます。定義より、実数\(x\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}x\in \mathbb{N} &\Leftrightarrow &x\in \bigcap\limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda
}\quad \because \mathbb{N} \text{の定義} \\
&\Leftrightarrow &\forall \lambda \in \Lambda :x\in A_{\lambda }\quad
\because \text{共通部分の定義}
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation*}
x\in \mathbb{N} \Leftrightarrow \forall \lambda \in \Lambda :x\in A_{\lambda }
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、\(x\)が自然数であることと、\(x\)がすべての帰納的集合の要素であることは必要十分です。

定義より、\(\mathbb{N} \)もまた帰納的集合であることが導かれます。

命題(自然数集合は帰納的集合)
すべての自然数からなる集合\(\mathbb{N} \)は帰納的集合である。
証明

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自然数どうしの順序

先の命題より\(\mathbb{N} \)は帰納的集合であるため、\begin{equation*}1\in \mathbb{N} \end{equation*}が成り立ちます。すると、やはり\(\mathbb{N} \)が帰納的集合であることから、\begin{equation*}1+1\in \mathbb{N} \end{equation*}を得ます。そこで、この自然数\(1+1\)を\(2\)と表記します。つまり、\begin{equation*}2=1+1
\end{equation*}を満たすものとして\(2\)という自然数を定義するということです。実数の公理より、\begin{equation*}0<1
\end{equation*}が導かれることを以前に示しましたが、これに狭義大小関係\(<\)に関する加法律を適用すると、\begin{equation*}0+1<1+1
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
1<2
\end{equation*}を得ます。つまり、\(2\)は\(1\)よりも大きい数です。

同様の議論を繰り返すことができます。具体的には、先に示したように、\begin{equation*}
2\in \mathbb{N} \end{equation*}であるため、\(\mathbb{N} \)が帰納的集合であることから、\begin{equation*}2+1\in \mathbb{N} \end{equation*}を得ます。そこで、この自然数\(2+1\)を\(3\)と表記します。つまり、\begin{equation*}3=2+1
\end{equation*}を満たすものとして\(3\)という自然数を定義するということです。実数の公理より、\begin{equation*}0<1
\end{equation*}が導かれるため、これに\(<\)に関する加法律を適用すると、\begin{equation*}0+2<1+2
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
2<3
\end{equation*}を得ます。つまり、\(3\)は\(2\)よりも大きい数です。

同様のプロセスを繰り返す形で後に続く自然数\(4,5,6,\cdots \)も定義されます。以上を踏まえた上で、自然数集合の要素を、\begin{equation*}\mathbb{N} =\left\{ 1,2,3,4,5,6,\cdots \right\} \end{equation*}などと表記します。先と同様の議論により、これらの要素の間には、\begin{equation*}
1<2<3<4<5<6<\cdots
\end{equation*}という関係が成立します。

次回はアルキメデスの性質について解説します。

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