教材一覧
教材一覧
教材検索
DEFINITION OF REAL NUMBER

数直線上の距離

目次

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

1次元のユークリッド空間

実数\(x,y\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだとき、\(\mathbb{R} \)は減法について閉じていることから差\(x-y\)が1つの実数として定まります。さらに、実数の絶対値は実数であることから差の絶対値\(\left\vert x-y\right\vert \)が1つの実数として定まることが保証されます。そこでこれを、\begin{equation*}d\left( x,y\right) =\left\vert x-y\right\vert
\end{equation*}で表記し、\(x\)から\(y\)へのユークリッド距離(Euclidean distance)や距離(distance)などと呼びます。

例(ユークリッド距離)
距離の定義より、\begin{eqnarray*}
d\left( 1,2\right) &=&\left\vert 1-2\right\vert =\left\vert -1\right\vert =1
\\
d\left( 2,1\right) &=&\left\vert 2-1\right\vert =\left\vert 1\right\vert =1
\\
d\left( 0,\frac{1}{2}\right) &=&\left\vert 0-\frac{1}{2}\right\vert
=\left\vert -\frac{1}{2}\right\vert =\frac{1}{2} \\
d\left( 1,1\right) &=&\left\vert 1-1\right\vert =\left\vert 0\right\vert =0
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

実数\(x,y\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだとき、先の理由により、\(x\)から\(y\)への距離\(d\left( x,y\right) \)は常に1つの実数として定まります。したがって、実数を成分とするそれぞれの順序対\(\left( x,y\right)\in \mathbb{R} \times \mathbb{R} \)に対してユークリッド距離\(d\left( x,y\right) \in \mathbb{R} \)を定める写像\begin{equation*}d:\mathbb{R} \times \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これをユークリッド距離関数(Euclidean distance function)や距離関数(distance function)などと呼びます。

実数空間\(\mathbb{R} \)上にユークリッド距離関数\(d\)が定義されているとき、これらの組\(\left( \mathbb{R} ,d\right) \)を1次元のユークリッド空間(one-dimensional Euclideanspace)と呼びます。ただし、\(\mathbb{R} ^{n}\)においてユークリッド距離関数\(d\)が定義されていることが文脈から明らかである場合、ユークリッド空間をシンプルに\(\mathbb{R} \)と表記します。ユークリッド空間\(\mathbb{R} \)について考えている場合、その要素である個々の実数を(point)と呼び、\(\mathbb{R} \)の部分集合を点集合(point set)と呼ぶ場合もあります。

 

ユークリッド距離の非負性

点\(x,y\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}d\left( x,y\right) \geq 0
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、\(x\)から\(y\)への距離は必ず非負の実数になるということです。ユークリッド距離関数\(d\)が満たすこのような性質を非負性(non-negativity)と呼びます。これが絶対値の非負性から導かれます。

命題(ユークリッド距離の非負性)
ユークリッド距離関数\(d:\mathbb{R} \times \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、任意の\(x,y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}d\left( x,y\right) \geq 0
\end{equation*}を満たす。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

 

ユークリッド距離の不可識別者同一性

点\(x,y\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}d(x,y)=0\Leftrightarrow x=y
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、\(x\)から\(y\)への距離が\(0\)であることと、\(x\)と\(y\)が同じ点であることは必要十分です。ユークリッド距離関数\(d\)が満たすこのような性質を不可識別者同一性(identity of indiscernibles)と呼びます。これは絶対値の不可識別者同一性と必要十分です。

命題(ユークリッド距離の不可識別者同一性)
ユークリッド距離関数\(d:\mathbb{R} \times \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、任意の\(x,y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}d(x,y)=0\Leftrightarrow x=y
\end{equation*}を満たす。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

 

ユークリッド距離の対称性

点\(x,y\in \mathbb{R} \)を任意に選びます。本来、2つの順序対\(\left(x,y\right) ,\left( y,x\right) \)は異なるものとして区別されるため、それらに対する距離である\(d\left( x,y\right) \)と\(d\left( y,x\right) \)もまた区別されます。ただ、実際には、\begin{equation*}d\left( x,y\right) =d\left( y,x\right)
\end{equation*}となり両者は一致します。つまり、\(x\)から\(y\)への距離と\(y\)から\(x\)への距離は一致するということです。ユークリッド距離関数\(d\)が満たすこのような性質を対称性(symmetry)と呼びます。これは絶対値の対称性と必要十分です。

命題(ユークリッド距離の対称性)
ユークリッド距離関数\(d:\mathbb{R} \times \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、任意の\(x,y\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}d\left( x,y\right) =d\left( y,x\right)
\end{equation*}を満たす。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

 

ユークリッド距離に関する三角不等式

点\(x,y,z\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}d(x,z)\leq d(x,y)+d(y,z)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、\(x\)から\(z\)までの距離は、\(x\)から\(y\)を経由して\(z\)へ至る場合の距離以下になります。ユークリッド距離関数\(d\)が満たすこのような性質を三角不等式(triangleinequality)と呼びます。これは絶対値の三角不等式と必要十分です。

命題(ユークリッド距離に関する三角不等式)
ユークリッド距離関数\(d:\mathbb{R} \times \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、任意の\(x,y,z\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}d\left( x,z\right) \leq d\left( x,y\right) +d\left( y,z\right)
\end{equation*}を満たす。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

 

距離空間としてのユークリッド空間

ユークリッド距離の基本的な性質を明らかにしましたが、得られた結果を改めて整理します。

命題(距離空間としてのユークリッド空間)
ユークリッド距離関数\(d:\mathbb{R} \times \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、\begin{eqnarray*}&&\left( M_{1}\right) \ \forall x,y\in \mathbb{R} :d\left( x,y\right) \geq 0 \\
&&\left( M_{2}\right) \ \forall x,y\in \mathbb{R} :\left[ d(x,y)=0\Leftrightarrow x=y\right] \\
&&\left( M_{3}\right) \ \forall x,y\in \mathbb{R} :d\left( x,y\right) =d\left( y,x\right) \\
&&\left( M_{4}\right) \ \forall x,y,z\in \mathbb{R} :d\left( x,z\right) \leq d\left( x,y\right) +d\left( y,z\right)
\end{eqnarray*}を満たす。

一般の集合\(X\)が与えられたとき、関数\(d:X\times X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在して、それが上の\(\left( M_{1}\right) \)から\(\left( M_{4}\right) \)に相当する性質を満たす場合には、それらの組\(\left( X,d\right) \)を距離空間(metric space)と呼びます。上の命題は、ユークリッド空間\(\left( \mathbb{R} ,d\right) \)が距離空間の1つであることを意味します。ここでは詳細に立ち入りませんが、ユークリッド空間の他にも距離空間の具体例は存在します。ユークリッド空間の一般化が距離空間です。距離空間については場を改めて詳しく解説します。

次回は拡大実数について解説します。

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

RELATED KNOWLEDGE

関連知識

n次元空間
n次元空間

有限n個の実数空間の直積集合をn次元空間と呼びます。これは実数のn組(成分が実数であるようなn次元ベクトル)をすべて集めてできる集合です。

ユークリッド空間
ユークリッド空間の定義

n 次元空間上にベクトル加法やスカラー乗法などの演算や大小関係を定義すると、実順序ベクトル空間になります。実順序ベクトル空間上にユークリッド距離と呼ばれる概念を定義したものがユークリッド空間です。

ユークリッド距離
絶対値

実数の絶対値と呼ばれる概念を定義した上で、その代表的な性質について解説します。

ユークリッド空間
ユークリッド空間

n 次元空間上にユークリッド距離と呼ばれる概念を定義するとき、その空間を n 次元ユークリッド空間と呼びます。ユークリッド距離は絶対値を一般化した概念です。