有理数ベキ関数
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだ上で、無理関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。つまり、\(f\)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{\frac{1}{n}}
\end{equation*}を定めます。\(n\)が奇数の場合には\(f\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} \)である一方で、\(n\)が偶数の場合には\(f\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} _{+}\)であることに注意してください。
整数\(z\in \mathbb{Z} \)を任意に選んだ上で、整数ベキ関数\begin{equation*}g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。つまり、\(g\)はそれぞれの\(x\in Y\)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =x^{z}
\end{equation*}を定めます。\(z\geq 0\)の場合には\(g\)の定義域は\(\mathbb{R} \)である一方で、\(z<0\)の場合には\(g\)の定義域は\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)であることに注意してください。
無理関数\(f\left( x\right) =x^{\frac{1}{n}}\)の値域が整数ベキ関数\(g\left( x\right) =x^{z}\)の定義域の部分集合である場合には、すなわち、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset Y
\end{equation*}が成り立つ場合には合成関数\begin{equation*}
g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、以下の実数\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because \text{合成関数の定義} \\
&=&g\left( x^{\frac{1}{n}}\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( x^{\frac{1}{n}}\right) ^{z}\quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}を値として定めます。この値を、\begin{equation*}
x^{\frac{z}{n}}
\end{equation*}と表記できるものと定めます。それにあわせて、以上の合成関数\(g\circ f\)そのものを、\begin{equation*}x^{\frac{z}{n}}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と表記できるものと定め、これを有理数ベキ関数(rational power function)と呼びます。つまり、有理数ベキ関数とは係数\(\frac{z}{n}\)が有理数であるようなベキ関数です。
\end{equation*}を定めるものとします。これは有理数ベキ関数です。このとき、\begin{eqnarray*}
f\left( 27\right) &=&27^{\frac{2}{3}}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( 27^{\frac{1}{3}}\right) ^{2}\quad \because \text{有理数ベキ関数の定義} \\
&=&\left( \left( 3^{3}\right) ^{\frac{1}{3}}\right) ^{2} \\
&=&3^{2}\quad \because \text{指数法則} \\
&=&9
\end{eqnarray*}となります。また、\begin{eqnarray*}
f\left( 0\right) &=&0^{\frac{2}{3}}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( 0^{\frac{1}{3}}\right) ^{2}\quad \because \text{有理数ベキ関数の定義} \\
&=&0^{2} \\
&=&0
\end{eqnarray*}となります。また、\begin{eqnarray*}
f\left( -27\right) &=&\left( -27\right) ^{\frac{2}{3}}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( \left( -27\right) ^{\frac{1}{3}}\right) ^{2}\quad \because \text{有理数ベキ関数の定義} \\
&=&\left( \left( \left( -3\right) ^{3}\right) ^{\frac{1}{3}}\right) ^{2} \\
&=&\left( -3\right) ^{2}\quad \because \text{指数法則} \\
&=&9
\end{eqnarray*}となります。
\end{equation*}を定めるものとします。これは有理数ベキ関数です。このとき、\begin{eqnarray*}
f\left( 27\right) &=&27^{-\frac{2}{3}}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&27^{\frac{-2}{3}} \\
&=&\left( 27^{\frac{1}{3}}\right) ^{-2}\quad \because \text{有理数ベキ関数の定義} \\
&=&\left( \left( 3^{3}\right) ^{\frac{1}{3}}\right) ^{-2} \\
&=&3^{-2}\quad \because \text{指数法則} \\
&=&\frac{1}{3^{2}} \\
&=&\frac{1}{9}
\end{eqnarray*}となります。また、\begin{eqnarray*}
f\left( -27\right) &=&\left( -27\right) ^{-\frac{2}{3}}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( -27\right) ^{\frac{-2}{3}} \\
&=&\left( \left( -27\right) ^{\frac{1}{3}}\right) ^{-2}\quad \because \text{有理数ベキ関数の定義} \\
&=&\left( \left( \left( -3\right) ^{3}\right) ^{\frac{1}{3}}\right) ^{-2} \\
&=&\left( -3\right) ^{-2}\quad \because \text{指数法則} \\
&=&\frac{1}{\left( -3\right) ^{2}} \\
&=&\frac{1}{9}
\end{eqnarray*}となります。
有理数ベキ関数の定義域と値域
有理数ベキ関数\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域と値域は係数\(\frac{z}{n}\)を構成する\(z\)の符号および\(n,z\)の偶奇に依存します。具体的には以下の通りです。
- \(z=0\)の場合には、\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域は\(\mathbb{R} \)で値域は\(\left\{ 1\right\} \)である。
- \(z>0\)であるとともに、\(n\)と\(z\)がともに奇数の場合には、\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} \)である。
- \(z>0\)であるとともに、\(n\)が奇数で\(z\)が偶数の場合には、\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域は\(\mathbb{R} \)で値域は\(\mathbb{R} _{+}\)である。
- \(z>0\)であるとともに、\(n\)が偶数で\(z\)が奇数の場合には、\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} _{+}\)である。
- \(z<0\)であるとともに、\(n\)と\(z\)がともに奇数の場合には、\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)である。
- \(z<0\)であるとともに、\(n\)が奇数で\(z\)が偶数の場合には、\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域は\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)で値域は\(\mathbb{R} _{++}\)である。
- \(z<0\)であるとともに、\(n\)が偶数で\(z\)が奇数の場合には、\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} _{++}\)である。
この関数\(x^{\frac{2}{3}}\)の指数の分母\(3\)は奇数であり、分子\(2\)は正の偶数であるため、先の命題より\(x^{\frac{2}{3}}\)の定義域は\(\mathbb{R} \)で値域は\(\mathbb{R} _{+}\)です。上のグラフは以上の事実と整合的です。
この関数\(x^{\frac{5}{4}}\)の指数の分母\(4\)は偶数であり、分子\(5\)は正の奇数であるため、先の命題より\(x^{\frac{5}{4}}\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} _{+}\)です。上のグラフは以上の事実と整合的です。
この関数\(x^{-\frac{2}{3}}=x^{\frac{-2}{3}}\)の指数の分母\(3\)は奇数であり、分子\(-2\)は負の偶数であるため、先の命題より\(x^{-\frac{2}{3}}\)の定義域は\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)で値域は\(\mathbb{R} _{++}\)です。上のグラフは以上の事実と整合的です。
この関数\(x^{-\frac{5}{4}}=x^{\frac{-5}{4}}\)の指数の分母\(4\)は偶数であり、分子\(-5\)は負の奇数であるため、先の命題より\(x^{-\frac{5}{4}}\)の定義域と値域はともに\(\mathbb{R} _{++}\)です。上のグラフは以上の事実と整合的です。
有理数ベキ関数との合成関数
実数空間\(\mathbb{R} \)もしくはその部分集合\(X\)上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を任意に選びます。また、自然数\(n\in \mathbb{N} \)と整数\(z\in \mathbb{Z} \)を任意に選んだ上で、有理数ベキ関数\begin{equation*}x^{\frac{z}{n}}:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。\(f\)の値域が\(x^{\frac{z}{n}}\)の定義域の部分集合である場合には、すなわち、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset Y
\end{equation*}が成り立つ場合には合成関数\begin{equation*}
x^{\frac{z}{n}}\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( x^{\frac{z}{n}}\circ f\right) \left( x\right) =\left[ f\left(
x\right) \right] ^{\frac{z}{n}}
\end{equation*}を値として定めます。
自然数\(n\in \mathbb{N} \)と整数\(z\in \mathbb{Z} \)を任意に選んだ上で、有理数ベキ関数\begin{equation*}x^{\frac{z}{n}}:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。実数空間\(\mathbb{R} \)もしくはその部分集合\(X\)上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を任意に選びます。\(x^{\frac{z}{n}}\)の値域が\(f\)の定義域の部分集合である場合には、すなわち、\begin{equation*}\left( x^{\frac{z}{n}}\right) \left( Y\right) \subset X
\end{equation*}が成り立つ場合には合成関数\begin{equation*}
f\circ x^{\frac{z}{n}}:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in Y\)に対して、\begin{equation*}\left( f\circ x^{\frac{z}{n}}\right) \left( x\right) =f\left( x^{\frac{z}{n}}\right)
\end{equation*}を定めます。
演習問題
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を特定してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を特定してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を特定してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を特定してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の定義域\(X\)を特定してください。
プレミアム会員専用コンテンツです
【ログイン】【会員登録】