WIIS

教材一覧
教材一覧
教材検索
FUNCTION

最大値・最小値の定理

目次

< 前のページ
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

関数の最大値と最小値

復習になりますが、実数空間\(\mathbb{R} \)の非空な部分集合\(A\)が与えられたとき、その最大値\(\max A\)とは、以下の2つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \max A\in A \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in A:x\leq \max A
\end{eqnarray*}を満たす実数として定義されます。つまり、\(A\)の最大値とは\(A\)の任意の要素以上であるような\(A\)の要素に相当します。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の値域は、\begin{equation*}f\left( X\right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in X\right\}
\end{equation*}と定義されますが、これは\(\mathbb{R} \)の部分集合であるため、その最大値\begin{equation*}\max f\left( X\right)
\end{equation*}を考えることができます。これを関数\(f\)の\(X\)における最大値(maximum value of a function \(f\) on \(X\))と呼びます。定義より、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \exists x\in X:f\left( x\right) =\max f\left( X\right)
\\
&&\left( b\right) \ \forall x\in X:f\left( x\right) \leq \max f\left(
X\right)
\end{eqnarray*}がともに成り立ちます。

例(関数の最大値)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}+1
\end{equation*}を定めるものとします。定義域が\(X=\left[ -1,1\right] \)である場合には、\begin{eqnarray*}f\left( \left[ -1,1\right] \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\left\{ x^{2}+1\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\left[ 1,2\right] \end{eqnarray*}であるため、\(f\)の\(\left[ -1,1\right] \)における最大値は\(2\)です。一方、定義域が\(X=\mathbb{R} \)である場合には、\begin{eqnarray*}f\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\left\{ x^{2}+1\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&[1,+\infty )
\end{eqnarray*}であるため、\(f\)の\(\mathbb{R} \)における最大値は存在しません。この例が示唆するように、関数\(f\)の最大値は定義域に依存して変化しますし、そもそも最大値は存在するとは限りません。

復習になりますが、実数空間\(\mathbb{R} \)の非空な部分集合\(A\)が与えられたとき、その最小値\(\min A\)とは、以下の2つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \min A\in A \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in A:\min A\leq x
\end{eqnarray*}を満たす実数として定義されます。つまり、\(A\)の最小値とは\(A\)の任意の要素以下であるような\(A\)の要素に相当します。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の値域は、\begin{equation*}f\left( X\right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in X\right\}
\end{equation*}と定義されますが、これは\(\mathbb{R} \)の部分集合であるため、その最小値\begin{equation*}\min f\left( X\right)
\end{equation*}を考えることができます。これを関数\(f\)の\(X\)における最小値(minimum value of a function \(f\) on \(X\))と呼びます。定義より、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \exists x\in X:f\left( x\right) =\min f\left( X\right)
\\
&&\left( b\right) \ \forall x\in X:\min f\left( X\right) \leq f\left(
x\right)
\end{eqnarray*}がともに成り立ちます。

例(関数の最小値)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-x^{2}+1
\end{equation*}を定めるものとします。定義域が\(X=\left[ -1,1\right] \)である場合には、\begin{eqnarray*}f\left( \left[ -1,1\right] \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\left\{ -x^{2}+1\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\left[ 0,1\right] \end{eqnarray*}であるため、\(f\)の\(\left[ -1,1\right] \)における最小値は\(0\)です。一方、定義域が\(X=\mathbb{R} \)である場合には、\begin{eqnarray*}f\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&\left\{ -x^{2}+1\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \\
&=&(-\infty ,1] \end{eqnarray*}であるため、\(f\)の\(\mathbb{R} \)における最小値は存在しません。この例が示唆するように、関数\(f\)の最小値は定義域に依存して変化しますし、そもそも最小値は存在するとは限りません。

 

最大値・最小値の定理

先に例示したように、一般に、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は定義域\(X\)において最大値や最小値を持つとは限りません。では、どのような条件のもとで\(f\)の最大値や最小値が存在するのでしょうか。順番に解説します。

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、それらを端点とする有界な閉区間\begin{equation*}\left[ a,b\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x\leq b\right\}
\end{equation*}を定義し、この区間上に関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。さらに、この関数\(f\)は定義域\(\left[ a,b\right] \)上で連続であるものとします。つまり、\(f\)は定義域の内部である有界な開区間\(\left( a,b\right) \)上の任意の点において連続であるとともに、端点\(a\)において右側連続であり、もう一方の端点\(b\)において左側連続です。このとき、\(f\)による\(\left[ a,b\right] \)の像\begin{equation*}f\left( \left[ a,b\right] \right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ a,b\right] \right\}
\end{equation*}が\(\mathbb{R} \)上のコンパクト集合になることが保証されます。

命題(有界閉区間の連続像はコンパクト)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)が\(\left[ a,b\right] \)上で連続であるならば、\(f\)による\(\left[a,b\right] \)の像\(f\left( \left[ a,b\right] \right) \)は\(\mathbb{R} \)上のコンパクト集合である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

\(\mathbb{R} \)の部分集合がコンパクト集合であることは、それが有界な閉集合であることと必要十分です。いずれにせよ、以上の命題から以下を導くことができます。これを最大値・最小値の定理(extreme value theorem)と呼びます。

命題(最大値・最小値の定理)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)が\(\left[ a,b\right] \)上で連続であるならば、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)において最大値と最小値を持つ。すなわち、\(\max f\left( \left[ a,b\right] \right) \)と\(\min f\left( \left[ a,b\right] \right) \)がともに存在する。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(最大値・最小値の定理)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ -3,3\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ -3,3\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(\left[ -3,3\right] \)は有界な閉区間であり、\(f\)は多項式関数であるため連続です。したがって、先の命題より、\(f\)は\(\left[ -3,3\right] \)上で最大値と最小値をとるはずです。実際、\begin{eqnarray*}f\left( \left[ -3,3\right] \right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ -3,3\right] \right\} \\
&=&\left\{ x^{2}\in \mathbb{R} \ |\ x\in \left[ -3,3\right] \right\} \\
&=&\left[ 0,9\right] \end{eqnarray*}であるため、\begin{eqnarray*}
\max f\left( \left[ -3,3\right] \right) &=&9 \\
\min f\left( \left[ -3,3\right] \right) &=&0
\end{eqnarray*}となります。

 

最大値・最小値の定理が要求する条件の吟味

最大値・最小値の定理は有界閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)が定義域上において連続であることを条件として要求しています。最大値・最小値の定理が主張する結論が真であることを担保する上でこの条件は必須なのでしょうか。順番に考えていきましょう。

繰り返しになりますが、最大値・最小値の定理は関数\(f\)が区間\(\left[ a,b\right] \)の端点\(a,b\)において連続であること、すなわち点\(a\)において右側連続であるとともに点\(b\)において左側連続であることを要求します。では、\(f\)が点\(a,b\)において連続ではない場合には何らかの問題が生じるでしょうか。

例(最大値・最小値の定理)
以下のグラフを持つ関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)について考えます。この関数\(f\)は\(\left( a,b\right) \)上で連続である一方、点\(a\)において右側連続ではなく、点\(b\)において左側連続ではないため\(\left[ a,b\right] \)上で連続ではなく、したがって最大値・最小値の定理を利用できません。実際、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上において最大値や最小値を持ちません。

図:最大値・最小値の定理
図:最大値・最小値の定理

 

関数\(f\)が区間\(\left[ a,b\right] \)の内点において連続でない場合にも同様の問題が発生します。

例(最大値・最小値の定理)
以下のグラフを持つ関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)について考えます。この関数\(f\)は点\(c\)において右側連続ですが左側連続ではなく、したがって連続ではありません。つまり\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で連続ではないため、最大値・最小値の定理を利用できません。実際、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上において最大値を持ちません。

図:最大値・最小値の定理
図:最大値・最小値の定理
< 前のページ
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

最大値・最小値
1変数関数の大域的最適解

関数の値を最大化するような点が定義域上に存在する場合、そのような点を最大点や大域的最大点と呼びます。また、関数が最大点に対して定める値を最大値や大域的最大値と呼びます。

連続関数
関数の微分可能性と連続性の関係

微分可能な関数は連続であり、右側微分可能な関数は右側連続であり、左側微分可能な関数は左側連続です。一方、これらの逆は成立するとは限りません。

最大・最小
実数集合の最大値・最小値

実数集合 R の空でない部分集合 A について、そのある要素 a が A の任意の実数以上ならば、a を A の最大値と呼びます。また、a が A の任意の実数以下ならば、a を A の最小値と呼びます。

上方位集合
選好関係の連続性

ある選好関係のもとで任意の消費ベクトルに関する狭義の上方位集合と狭義の下方位集合がともに消費集合上で開集合である場合、その選好関係は連続性を満たすと言います。連続性の仮定のもとでは消費者の選好が連続的に変化することが保証されます。また、連続な効用関数によって表現される選好は連続性を満たします。

連続関数
スカラー場の連続性

スカラー場が定義域上の点において有限な極限を持つとともに、それがその点におけるスカラー場の値と一致する場合、スカラー場はその点において連続であると言います。

連続微分可能性
関数の連続微分可能性

関数が微分可能であることに加えて導関数が連続である場合、その関数は連続微分可能であると言います。連続微分可能な関数は微分可能ですが、その逆は成立するとは限りません。

連続関数
関数の連続性

関数が定義域上の点において有限な極限を持つと同時に、その極限がその点における関数の値と一致する場合には、関数はその点において連続であると言います。

区間
位相を用いた関数の連続性の判定

関数による任意の開集合の逆像が開集合であることは、その関数が定義域上において連続であるための必要十分条件です。また、関数による任意の有界開区間の逆像が開集合であることもまた、関数が連続であるための必要十分条件です。

不連続点
関数の連続点と不連続点

関数が定義域上の点において連続であるとき、その点を連続点と呼びます。一方、関数が定義域上の点において連続ではないとき、その点を不連続点と呼びます。不連続点は第1種と第2種の2種類に分類され、さらに第1種の不連続点は除去可能な不連続点と跳躍不連続点に分類されます。

ボルツァーノの定理
中間値の定理

有界な閉区間上に定義された連続関数が定義域の左右の端点において異なる値をとるとき、中間値の定理と呼ばれる命題が成立します。

連続関数による区間の像

有界な閉区間上に定義された連続関数による定義域の像もまた有界な閉区間になります。また、区間上に定義された連続関数による定義域の像もまた区間になります。

区間
逆関数の連続性

区間上に定義された連続な狭義単調関数の逆関数もまた区間上に定義された連続な狭義単調関数になります。定義域が区間ではない場合、同様の主張は成り立つとは限りません。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関数